session manager for edge|Edgeで保存できるものと、できないもの
「session manager for edge」で調べ始めた人がまず戸惑うのは、Edgeの中に役目の似た機能がいくつも並んでいて、どれがその名前に当たるのか公式には書かれていない点になる。ワークスペース、タブグループ、コレクション、起動時の設定、さらにアドオンストアに並ぶ拡張機能まで、どれもが「開いていたものを取っておく」と説明されている。
先に結論を書くと、Edgeで取っておけるものは機能ごとにきれいに分かれており、どれを選ぶかは「何を失って困ったか」だけで決まる。加えてワークスペースは条件が新しくなっているため、少し前に書かれた解説を根拠に判断すると、実物と噛み合わなくなる。
Edgeが「取っておく」と言っている機能は4つある
起動時の設定は、閉じたときに開いていたものをそのまま次回に並べ直す仕組みになる。設定の「スタート、ホーム、新規タブ」で前のセッションのタブを開くよう指定すると働き、持てるのは直前の1組だけである。落ちて消えたのが困りごとなら、ここで話が終わる読者が多い。
ワークスペースは独立した別ウィンドウを作り、そこに入れたタブとお気に入りをまとめて保管する。名前を付けた組をいくつも持てるので、案件ごとに持ち替えたい状況はここが当たりになる。
タブグループは、1つのウィンドウの中でタブに色と名札を付けてたたむ機能になる。ウィンドウは増えないため画面の中の見通しは良くなるが、案件を物理的に離す用途には向いていない。
コレクションは、ページを1件ずつ意図的に足していく保管棚になる。自動では記録されず、あとからリンクの一覧として開く。調べ物の素材を集める用途と、作業中の並びを丸ごと戻す用途は別物で、コレクションは前者に寄っている。
| 機能 | 記録のされ方 | 名前付きで何組も持てるか | 別ウィンドウになるか | サインイン |
|---|---|---|---|---|
| 起動時の設定 | 自動 | 直前の1組のみ | ならない | 不要 |
| ワークスペース | 自動 | 持てる | なる | 要る |
| タブグループ | 自動 | ウィンドウの中でのみ | ならない | 同期するときだけ |
| コレクション | 手動で追加 | 持てる | ならない | 同期するときだけ |
判断が割れるのは右から2列目になる。macOSはウィンドウの単位で画面を扱うので、別ウィンドウになるかどうかで、あとから目当ての作業を探し当てる手間がまるごと変わってくる。中身の整理が上手いかどうかとは別の話になる。
ワークスペースの前提は書き換わっている
Microsoftの日本語の製品ページは、利用に必要な条件をこう書いている。
Edge Workspaces にアクセスするには、Windows 10、Windows 11、または Mac OS を搭載したデスクトップ、Microsoft Edge バージョン 144 以降、そして Microsoft Edge に Microsoft (MSA) アカウントまたは Microsoft Entra ID / Azure Active Directory (AAD) アカウントでサインインしている必要があります。 出典: explore.microsoft.com
Macの読者にとって大事な点が2つある。Mac OSが対応に含まれているので、Windows専用の機能ではない。そしてサインインが条件に入っているため、アカウントを紐づけずにブラウザを使う運用とは相性が悪い。手元のEdgeがバージョン144より前なら、まず更新が先になる。
同じページには共有についての記載もあり、新しいワークスペースでは共有・コラボレーション・参加がサポートされないと明記されている。以前の解説記事は、チームで同じタブの並びを共有し、誰がどのタブを見ているかまで分かる機能として紹介していた。その説明を読んでチームでの利用を検討していたなら、判断の土台が今の製品には残っていない。
残っているのは個人用として素直な機能になる。名前の付いた別ウィンドウ、ワークスペースごとのタブとお気に入り、右クリックでのタブの移動、そして既定のブラウザウィンドウが別に開いたままであること。この範囲であれば、探していた道具そのものになる。
触る場所と、手が止まりやすい4か所
入口はメニューの中ではなく、ウィンドウ上部の隅にある「タブを検索」の隣になる。この位置が知られていないせいで、機能があること自体に気づかないまま拡張機能を探し始める人が出る。
1つ目のつまずきは作り方の選択になる。「新しいワークスペース」のドロップダウンでは、いま開いているタブでワークスペースを作るか、空のワークスペースを作るかを選べる。無関係なタブが30個開いた状態で前者を選ぶと、散らかり方ごと新しい入れ物に写ることになる。空から始めて必要なものだけ入れるほうが、手数は増えても結果は使える形になる。
2つ目は移動になる。タブは右クリックの「タブを移動」でワークスペースの間を行き来できるので、最初の仕分けを完璧に決めておく必要はない。あとから現在のタブで新しいワークスペースを作ることもできる。
3つ目は片付けになる。編集と削除はどちらもワークスペースの横の「その他のオプション」の下にあり、削除には確認が挟まる。
4つ目は同期になる。ワークスペースが見当たらない、内容が古いという症状は、消えたのではなく同期が切れていることが多い。設定を開き、プロフィール設定の「同期」で「ワークスペースとタブグループ」をオンにする。この項目は1つでワークスペースとタブグループの両方を担っている。Edgeからサインアウトしても中のタブは失われず、同じアカウントで入り直せば戻る、と公式には書かれている。
拡張機能を足すなら、ストアが2つあることを先に知っておく
Edgeのアドオンストアにも、セッション管理を名乗る拡張は並んでいる。ただしこの分野で名前の通った拡張がEdge側に出ていないことがあり、探しても見当たらない場面が出てくる。両方のストアに出すかどうかは開発者側の手間の問題で、品質の優劣ではない。
Edgeはその差を、もう一方のストアから入れられるようにして埋めている。
Google Chrome 用に設計された拡張機能は、Microsoft Edge でも使用できます。 出典: support.microsoft.com
手順は素直で、EdgeでChromeウェブストアを開き、目当ての拡張のページで取得を選ぶ。他のストアからの拡張機能を許可するかを尋ねるダイアログが出るので許可し、権限の確認に進む。
この経路で入れたものは、更新もそちらのストア側から届く。審査の基準も配信の間隔もEdgeの管理下ではないという点だけ頭に置いておくと、後から挙動が変わったときに原因を探しやすい。もう1つ、ストアの一覧で見る価値がある表示は最終更新日になる。開いていたタブの一覧という失うと痛い情報を預ける相手なので、手入れが続いているかどうかの手がかりは持っておきたい。
保存する前に、開きっぱなしのタブを軽くする設定がある
セッション管理を探す動機には、タブが増えて動作が重いという状態も混ざっている。この症状に対しては、保存や復元とは別の層にEdge側の設定がある。
公式の説明では、タブは既定で1時間操作がないとスリープ状態になり、その時間は設定から30秒から12時間の範囲で変えられるとされている。土台はChromiumのフリーズ技術で、スクリプトのタイマーを止めてCPUの使用を抑え、OSがメモリを他のタブへ回せるようにする。
スリープと破棄の違いも押さえておくと選びやすい。スリープはページを一時停止する扱いなので、戻ったときの復帰が速い。破棄はページの中身をメモリから完全に捨てるため解放される量は大きいが、戻ったときに読み込み直しになる。保存した数十個のタブを一度に開き直す運用は、この読み込み直しを何度も踏むことになるので、復元の速さを気にするなら知っておく価値がある。
眠らない条件も公開されている。音声を再生中のページ、画面やカメラをキャプチャ中のページ、社内のイントラネットのページ、開発者ツールで検査中のページなどは対象から外れる。眠らせたくないサイトがあるときは、設定の「システムとパフォーマンス」から「パフォーマンス」に入り、常にアクティブにするサイトとしてURLを追加する。
会社から配られたMacでは、設定が動かせないことがある
国内の職場ではEdgeが標準のブラウザとして配られている例が多く、その場合はグループポリシーの影響を受ける。Microsoftはスリープタブについて、機能そのもののオンとオフ、眠るまでの時間、眠らせないサイトの3種類をポリシーで管理できると書いている。必須として設定されていれば利用者側では変えられず、推奨として設定されていれば既定値だけが決まって後から変更できる。設定が灰色で触れないときは、故障ではなく管理の結果と考えたほうが早い。
ワークスペースにも同じ構図が乗る。サインインが前提の機能なので、職場のアカウントで入れば、作った入れ物はそのアカウントに紐づく。異動や退職でアカウントが止まれば、そこに入れていた並びも一緒に手元から離れる。私物の調べ物まで同じ入れ物に混ぜないほうが、あとの扱いは楽になる。
セッションを戻しても、Mac側では3つが変わらない
ここまでの設定を全部整えたとしても、macOSの画面の側では動かない部分が残る。ここを分けて考えないと、道具を足しても手応えが出ない。
1つ目はDockになる。ワークスペースをいくつ開いても、Dockに並ぶのはEdgeのアイコン1つのままである。アプリの切り替えはアプリの単位で動くため、切り替えた先は最後に手前にあったウィンドウになる。Mission Controlでも、すべてのワークスペースのウィンドウが同じ名前の下にまとまって出てくる。
2つ目は通知になる。アイコンに付く印は、ブラウザの中のどこかで何かが起きたことしか伝えない。仕事のチャットなのか個人の予定なのかを見分ける手がかりが無いのは、OSから見れば発信元が同じ1つのアプリだからである。
3つ目はアカウントになる。ワークスペースが分けているのはタブであって、ログインの主体ではない。同じプロファイルの中では、同じサービスの2つのアカウントが同じCookieを取り合う。ここを分けるにはプロファイルを増やす以外に手がなく、増やした瞬間にワークスペースもタブグループもプロファイルをまたがなくなり、二重に管理する状態が始まる。
変える層を1つだけ決める
材料を並べ直すと、選ぶべき層が絞れてくる。落ちて消えるのが嫌なだけなら起動時の設定で足りるので、何も入れなくてよい。案件を2つか3つに分けて持ち替えたいならワークスペースが正しい分類で、費用もかからない。数週間前の並びを取り出したい、時刻を決めて自動で控えを取りたいという要求だけが、拡張機能の担当範囲になる。
困りごとが「10個のWebアプリが1つのアイコンの後ろに隠れている」ことなら、上のどれを整えても位置関係は変わらない。この場合に効くのは、タブではなくウィンドウとアイコンの側を分ける考え方になり、Webアプリごとに区画を割り当てる形はアプリごとに独立したワークスペースとして整理されている。案件単位でまとめた区画の作り方はワークスペースのページにあり、毎日開いているサービスがその方式で扱えるかどうかは使えるアプリの一覧で確かめられる。ブラウザとして何ができるのかを先に見たい場合はできることに範囲がまとまっており、有料のタブ管理から乗り換えを考えている場合の費用の比べ方は料金に出ている。
最初に試す1手を挙げるなら、Edgeのバージョンを確かめたうえで、いま最も多くタブを抱えている案件を1つだけワークスペースに切り出すことになる。1週間使って、残った不満が「タブが消える」なのか「窓が見つからない」なのかを見る。後者なら、変える層はタブではなくウィンドウの側にある。
よくある質問
EdgeのワークスペースはMacでも使えますか?
使える。公式ページはWindows 10、Windows 11、Mac OSを搭載したデスクトップを対応として挙げており、あわせてMicrosoft Edge バージョン144以降と、Microsoftアカウントまたは Microsoft Entra ID アカウントでのサインインを条件にしている。Mac用に別のものを入れる必要はない。
ワークスペースを同僚と共有できますか?
現在の製品ページには、新しいワークスペースでは共有・コラボレーション・参加がサポートされないと書かれている。チームで同じタブの並びを見る使い方を紹介している記事は、以前の仕様について書かれたものになる。共有が目的なら別の手段を探すことになる。
探している拡張機能がEdgeのストアに無いときはどうしますか?
EdgeでChromeウェブストアを開き、そこから追加できる。初回は他のストアからの拡張機能を許可するかを尋ねるダイアログが出るので許可し、権限を確認して進める。入れたあとの更新は、Edge側ではなくそちらのストアから届く点だけ覚えておくとよい。
保存したワークスペースが見当たらないときは何を確認しますか?
まず同期を疑うのが早い。設定を開き、プロフィール設定の「同期」で「ワークスペースとタブグループ」がオンになっているかを、使っているすべての端末で確かめる。サインアウトしただけならデータは残っており、同じアカウントで入り直せば表示が戻る。