Arcの代わりの費用|無料でできる範囲はどこまでか
Arcの代わりを真面目に探し始めると、機能の比較より先に足が止まる場所がある。料金だ。これまで使っていたものは無料だったのに、候補として名前が挙がる製品の多くは、途中から有料になる。しかもどこから有料なのかが製品ごとにまるで違い、無料枠の切り方も揃っていない。ここでは、公開されている料金ページの数字だけを並べて、無料のまま使える範囲がどこで終わるのか、有料に踏み出すとしたら年にいくらなのかを、費用の側面だけで整理する。機能の優劣には踏み込まない。
無料だったものを置き換えるという、前提の変化
費用の話が重く感じられる理由は金額そのものではなく、比較の起点にある。これまでの支出が年0円だったので、どんな金額を出してもそれは増加になる。月1,000円程度の道具であっても、心理的には「無料から有料へ」という質の変化として受け取られる。
ここを整理するには、比べる相手を変えるのが早い。同じ悩みを別の方法で解いたときの費用と並べる。たとえば、アカウントを分けるために2台目の端末を用意する、仕事用と個人用でブラウザを2種類使い分けて毎回窓を探す、あるいは毎日発生する切り替えの手間をそのまま放置する。最後の選択肢は支出がゼロに見えるが、時間の形で払っている。1日に10分を切り替えに使っているなら、月に200分を超える。この比較をしたうえでなお高いと感じるなら、無料枠で足りる可能性が高い。
主要な候補の金額を、公開ページの数字で並べる
いずれも各社の料金ページに掲載されている金額で、通貨は米ドル。日本円での支払額は決済時の為替で変わるため、ここでは換算しない。
| 製品 | 無料プラン | 有料プランの金額 | チーム向け |
|---|---|---|---|
| Wavebox | Basic。2グループ、各グループ2アプリ、拡張機能1つ、ダッシュボード1つ | Pro 年払いで月あたり8.33ドル | Teams 1人あたり月12.50ドル |
| Shift | Free。5スペース、1スペースあたり10アプリ、AI機能は利用量に制限 | Advanced 年199.99ドル | 記載なし |
| Rambox | Basic。アプリ数は無制限、1アプリあたり2インスタンスまで | Pro 月7ドル、年払い70ドル(通常84ドル) | Teams 1人あたり月14ドル、5人から |
| Ferdium | 全機能が無料。オープンソースで、コミュニティが開発している | 有料プランなし | 記載なし |
同じ表に並べると、年間の負担はおおむね70ドルから200ドルの帯に収まることが分かる。3倍近い開きがあるので、金額だけ見て安い順に試すより、次の節の「何で切られているか」を先に見たほうが早く決まる。候補ごとの詳細はRamboxとの比較やShiftとの比較のように、1対1で条件を並べた資料のほうが読み取りやすい。
無料枠は「何で切られているか」が製品ごとに違う
ここが費用判断の中心になる。上限の置き方には3つの型がある。
- アプリの数で切る型。Waveboxの無料プランは2グループ、各グループに2アプリまでという形で、合計4つが上限になる。Shiftの無料プランは5スペース、1スペースあたり10アプリという構成で、上限の位置がかなり高い
- 同時に開ける分身の数で切る型。Ramboxの無料プランはアプリ数そのものに制限がなく、同じアプリを何インスタンス並べられるかで線を引いている。無料では1アプリあたり2つまで
- 機能で切る型。拡張機能の数、クラウド同期の有無、ダッシュボードの数など、アプリの数ではなく使える機能で区切る
自分がどの型の上限に先にぶつかるかは、使い方で決まる。開くサービスの種類が多い人はアプリ数の上限に、同じサービスを複数アカウントで使う人はインスタンス数の上限に、先に当たる。たとえばGmailを3アカウント使っているなら、アプリ数に余裕がある製品でも、1アプリあたり2つまでという制限に引っかかる。逆にサービスは10種類あるがアカウントは各1つという人は、インスタンス制限には当たらず、アプリ数の上限で決まる。
毎日開くサービスの数と、同じサービスで使っているアカウントの数。この2つを数えてから料金表を見ると、どのプランが自分の上限かは5分で分かる。候補の製品がどのサービスに正式対応しているかは、使えるアプリのような対応一覧のページで先に確かめておくとよい。
試用期間と返金の条件は、支払う前に読む
有料プランの判断で効くのが、試してから決められる期間の長さだ。
All accounts start with a 7 day free trial of Wavebox Pro. After that you can stay on the free plan or subscribe to Wavebox Pro or Teams. No credit card is required to start the trial. 出典: wavebox.io
Waveboxは7日間のPro試用があり、開始にクレジットカードの登録は不要だと明記されている。加えて、購入後30日間の返金に応じる旨も同じページに書かれている。Ramboxは新規アカウントに30日間のPro試用が付き、こちらもカード登録なしで始められると記載がある。
試用期間の長さは、そのまま判断の質に効く。切り替えの道具は、最初の数日は必ず遅くなる。指が覚えた操作が使えないからだ。7日間では「慣れなかった」で終わることがあり、30日間あれば慣れたうえでの判断ができる。短い試用の製品を検討する場合は、試用を始める日を自分で選ぶ必要がある。締め切り前の週に始めれば、その週は評価にならない。
割引が効く立場にいるかどうかを確かめる
見落とされやすいが、条件に当てはまれば金額が大きく変わる。Waveboxは料金ページで、教育に関わる人と非営利の団体に対してそれぞれ70%の割引を案内している。いずれも、まず試用を始めてからサポートに連絡する手順で、教育の場合は教育機関のメールアドレス、非営利の場合は組織のドメインのアドレスを使うよう書かれている。
割引が効くと、年間の負担は帯の下限をさらに下回る。学生、教員、学校の職員、非営利団体の職員は、料金表の定価だけを見て候補から外さないほうがよい。条件の詳細は各社の料金ページに記載があるので、該当しそうなら申請の手順まで読んでおく。
年払いと月払い、そして人数が増えたとき
個人で使う場合、年払いのほうが単価は下がる。Ramboxは月7ドルに対して年払い70ドルで、月払いを12か月続けた場合の84ドルとの差は14ドルになる。Waveboxの表示金額も年払いを前提とした月あたりの額だ。
ただし、切り替えの道具に関しては、最初の1年は月払いを選ぶ理由がある。定着するかどうかが読めないからだ。試用期間を使い切ってもまだ迷っているなら、月払いで2か月だけ払って判断するほうが、年払いで買って使わない期間を抱えるより安く済む。定着してから年払いに切り替えればよい。
人数が増えると計算は変わる。チーム向けのプランは1人あたりの月額で、Waveboxは12.50ドル、Ramboxは14ドルで最低5人からと記載がある。5人で使えばRamboxのチーム向けは月70ドルになる。個人プランを人数分買うのとどちらが安いかは、管理機能や請求の一本化が必要かどうかで決まる。必要ないなら、個人プランを各自が持つ形でも運用できる。
無料枠のまま運用するなら、枠に入れるものを選び直す
上限が4個しかない無料プランでも、選ぶものを間違えなければ実用になる。枠に入れる基準は、開く回数ではなく、通知を受け取る必要があるかどうかに置くのがよい。
通知が要るアプリは、常駐の枠に入れる価値がある。開いていないと気づけないからだ。逆に、自分から開きにいくアプリは、枠に入れなくても困らない。ブックマークから普通のブラウザで開けば済む。この基準で仕分けると、多くの人の常駐候補は4個から6個に収まる。メール、チャット、カレンダー、タスク管理あたりが残り、資料置き場や管理画面は外れる。
もう1つ、同じサービスの複数アカウントは枠を2つ消費する点に注意がいる。仕事と個人のメールを両方入れると、それだけで上限の半分を使う。アカウントを分ける必要がない組み合わせなら、片方は普通のブラウザに置くという判断もできる。枠の使い道を決めてから料金表を見ると、有料に上げる必要があるかどうかの結論が変わることがある。
複数の端末で使う場合の考え方
自宅のMacと仕事用のMacの2台で使う人は、同期の扱いを先に確認する。設定やアプリの並びを端末間で揃える機能は、製品によって無料プランに含まれていたり、有料プランの条件になっていたりする。1台しか使わない人には関係のない差だが、2台使う人にとってはここが有料化の分かれ目になりやすい。
また、ライセンスが利用者に紐づくのか端末に紐づくのかで、2台目の費用が変わる。個人向けプランは利用者単位のものが多く、その場合は2台目の追加費用は発生しない。購入前に、契約が1人あたりなのか1台あたりなのかを料金ページの表記で確かめておくと、後から追加請求に驚くことがなくなる。
費用をゼロに抑える道と、そのとき何を払うか
支出を増やさない選択肢は2つある。1つは無料プランの範囲で運用すること。もう1つは、Ferdiumのように全機能が無料で提供されているオープンソースの製品を使うことだ。Ferdiumは公式サイトで、アカウントを作らずに使えること、アカウントを作れば複数の端末で同期できることを説明している。
費用がゼロになる代わりに移るものがある。オープンソースの製品は、開発の速さや対応の可否がコミュニティの活動量に左右される。不具合に当たったとき、問い合わせ窓口ではなく公開の場に報告して待つことになる。有料の製品が料金の中に含めているのは、機能そのものより、直してもらえる約束のほうだと考えると分かりやすい。
自分の仕事が止まったときに困る度合いで決めるとよい。止まっても半日待てるなら無料の選択肢で足りる。止まると当日の売上に響くなら、年100ドル前後は保険として妥当な範囲に入る。
金額の帯から見えてくる、妥当な予算の決め方
ここまでの数字を並べ直すと、有料プランはおおむね年70ドルから200ドルの帯に集まっている。1日あたりに直すと0.2ドルから0.55ドルで、1日に取り戻す時間が5分あれば時給換算では十分に釣り合う。判断が割れるのは、その5分が本当に戻ってくるかどうかだ。
戻ってくるかどうかを事前に測る方法が1つある。無料プランで2週間使い、上限に何回ぶつかったかを数える。ぶつかった回数がゼロなら、有料にする理由はまだない。週に何度もぶつかるなら、その製品は自分の使い方に合っており、上限だけが邪魔をしている状態なので、支払う価値がある。回数を数えるだけで、主観の「便利そう」を支出の判断から外せる。
数えた回数は、どのプランに上げるかの判断にも使える。上限に当たった理由がアプリの数なら、アプリ数の上限が高い製品に移るほうが安く済む場合がある。理由が同じアプリの2つ目なら、インスタンスの制限を外すプランが必要になる。当たった理由まで記録しておけば、同じ支出でも効き方が変わる。
もう1つ、複数の候補を同時に試さないことも費用面で効く。同時に2つ入れると、どちらの上限にぶつかったのか分からなくなり、結局両方に課金して片方を使わなくなる。1つずつ、上限にぶつかるまで使う。この順序を守れば、支出は必要な1本に収まる。
よくある質問
無料のまま使い続けることはできますか?
できます。Waveboxは2グループ各2アプリ、Shiftは5スペースで1スペースあたり10アプリ、Ramboxはアプリ数無制限で1アプリあたり2インスタンスまでという無料プランを用意しています。Ferdiumは全機能が無料です。毎日開くサービスの数がこの範囲に収まるなら、支出は発生しません。
年間でいくらぐらいが相場ですか?
公開されている料金ページの数字では、個人向けの有料プランは年70ドルから200ドルの帯に集まっています。チーム向けは1人あたり月12.50ドルから14ドルで、最低人数の条件が付く場合があります。通貨は米ドルなので、実際の支払額は決済時の為替で変わります。
買う前に試せますか?
Waveboxは7日間のPro試用があり、開始にカード登録は不要と記載されています。Ramboxは30日間のPro試用が付きます。Waveboxは購入後30日間の返金にも応じる旨を料金ページに書いています。試用を始める日は、慣れる時間が取れる週を選んだほうが判断の精度が上がります。
学生や非営利団体の割引はありますか?
Waveboxは料金ページで、教育関係者と非営利団体にそれぞれ70%の割引を案内しています。手順は、まず教育機関または組織のドメインのメールアドレスで試用を始め、そのうえでサポートに連絡する形です。該当する立場なら、定価だけを見て候補から外さないほうがよい金額差になります。