chromeで新しいプロファイルを作るとき、先に決める3つのこと

新しいプロファイルを作る場面は、大きく2種類に分かれます。仕事用のアカウントが増えて、私用と混ざらない置き場所が要るようになった場合。もう1つは、朝Chromeを開いたら見覚えのない空の窓が出ていて、ブックマークが1つも無い場合です。作る操作そのものは1分もかかりません。効いてくるのはそのあとの十数分で、ここを飛ばしたプロファイルは1週間ほどで使われなくなり、中身の入ったフォルダだけがディスクに残ります。

追加の操作でChromeが実際にやっていること

窓の右上にある丸いアイコンを押すと小さなパネルが開き、そのMacにある他のプロファイルの一覧と、追加のための項目が並びます。選ぶと、アカウントを使わずに続けるかログインするかを聞かれ、続けて名前と色を決める画面になります。

裏側では、Chromeが自分のサポートフォルダの中に新しいディレクトリを1つ作り、空の状態で使い始めています。最初のプロファイルは Default、あとから追加したものは Profile 4 のように連番のフォルダ名になります。そのフォルダは、独自のクッキー、独自の履歴、独自のパスワード保管ファイル、独自の拡張機能ディレクトリを持ちます。押したときに開いていたプロファイルとは、データ上のつながりが一切ありません。

名前と色は、フォルダとは別の索引ファイルにブラウザ全体分がまとめて記録されます。あとから名前を変えてもディスク上のフォルダ名は変わりません。コマンドやランチャーからプロファイルを直接指定するときに必要なのはフォルダ名のほうで、画面に出ている表示名ではない、という点だけ先に押さえておくと後で困りません。

迷うのは「ログインするかどうか」の1点

設定画面はログインを任意として提示しますが、これは本当に任意です。Googleアカウントを結び付けないプロファイルでも、クッキーは保持され、パスワードはローカルに保存され、拡張機能も入り、履歴も独立して残ります。どこにも同期されないだけです。

ログインすると、2つの効果が同時に付いてきます。Chromeのヘルプは同期側についてこう説明しています。

Google アカウントを使用してこの新しいプロファイルで Chrome にログインすると、ブックマークやパスワードなどの設定をアカウントに保存して、ログインしている他のデバイスからアクセスできるようになります。 出典: support.google.com

もう1つは名前です。アカウントでログインした時点で、プロファイル名は自動的にアカウント名に置き換わります。設定画面で「仕事」と入力していても上書きされるので、短い名前で運用したい場合はログインを済ませてから改めて変更する必要があります。

判断の目安は単純です。そのMacの中だけで、限られた用途に使うプロファイルならログイン無しで足ります。ブックマークやパスワードをスマートフォンや2台目のMacでも使うなら、ログインする以外に同じ状態を作る方法はありません。

引き継がれるものは1つもない

いちばん多い誤解が、元のプロファイルから何かが自動で複製される、という思い込みです。新しいプロファイルは完全に空の状態から始まります。部分的なコピーもインポートも行われません。移したいものは、項目ごとにやり方を変えて自分で運ぶことになります。

移したいもの 自動で引き継がれるか 移し方
ブックマーク されない 元のプロファイルからHTMLで書き出し、新しい側で読み込む
保存したパスワード されない CSVで書き出し、パスワード設定から読み込む
拡張機能 されない ストアから入れ直し、設定も個別にやり直す
開いていたタブ されない URLを控えるか、リーディングリストを使う
サイトのログイン状態 されない 仕様上、各サイトでログインし直す
閲覧履歴 されない プロファイル間で移す手段が無い

パスワードの書き出しだけは、行き当たりばったりでやらないほうがよい作業です。書き出されたCSVは暗号化されていない平文で、開けば誰でも読めます。読み込みが終わったら即座に削除してください。会社が管理しているアカウントでは、ポリシーで書き出し自体が禁止されている場合があります。その場合は手で入力し直すか、アカウント側の同期に頼ることになります。

手間の面でいちばん時間を食うのは拡張機能です。入れ直すだけなら数分ですが、拡張機能の内部設定は運べませんし、拡張機能自体にログインが要るものは1つずつログインし直しになります。

作った当日のうちに決めておく3つ

新しいプロファイルが使われなくなる理由は、たいてい地味です。次の3つで大半は防げます。

  • 起動の入口を分ける。アイコンから切り替える運用だと、必ず一度は違うプロファイルを開いてから直すことになります。macOSではフォルダ名を指定して特定のプロファイルを直接起動でき、それを小さなアプリにしてDockに置けば、切り替えではなく最初から目的の窓が開きます
  • 色を離す。設定時に選んだ色は窓の上部に薄く付き、2つのプロファイルを見分ける唯一の手がかりになります。似た色を選ぶと意味がありません。並べたときにひと目で違うと分かる2色にしてください
  • リンクをどこで開くか決める。ブラウザの外から踏んだリンクは、OSがその時点で前面と判断したChromeの窓に渡されます。カレンダーの招待が仕事用のものだ、という事情をChromeは知りません。ここはChrome側の設定では完全には解決しないので、外部リンクを受ける窓を1つに決めて前に出しておき、他のプロファイルは自分から開く運用にするのが現実的です

半年後にも意味が通る名前を付ける

プロファイル名は古くなり方が決まっています。取引先の名前は契約が終われば意味を失いますし、会社名は統合や社名変更で変わります。メールアドレスをそのまま名前にするのは正確ですが、一覧に並べるとまるで読めません。区別すべき部分がアットマークより後ろに隠れているうえ、2つのアドレスは頭の数文字がよく一致するからです。

長持ちするのは、相手ではなく役割を表す名前です。仕事、取引先、管理、検証。裏側のアカウントが入れ替わっても意味が変わらず、切り替えメニューの狭い幅にも収まり、5つ並んでも一瞬で読めます。

画像の選び方も同じ理屈です。Chromeは何種類かのイラストを用意していますが、気に入ったものを選ぶより、見た目がはっきり違うものを選ぶほうが実用に効きます。似たアイコンと似た色のプロファイルは、必ずどこかで取り違えます。そして取り違えは、いちばん困る瞬間、つまり何かを送信している途中で表面化します。

元のプロファイルをどう片付けるか

新しいプロファイルを作る理由は、たいてい既存の1つが2つの仕事の混ざり物になっているからです。ところが、新しく作った時点では作業の半分しか終わっていません。元のプロファイルには、両方のブックマークも、両方の保存パスワードも、両方の拡張機能も、両方をまたいだ履歴も、そのまま残っています。

あとから切り分ける作業は手作業になるので、順番を決めてやると散らかりません。まず、新しい役割に属するブックマークを1つのフォルダにまとめてから書き出し、移した先で読み込みます。次に、移したアカウントを元のプロファイル側でログアウトさせます。両方のセッションを生かしたままにしておくのが、別名義で送信してしまう事故の原因そのものだからです。続いて、移した役割だけが使っていた拡張機能を外します。履歴は分割できないので、そのまま置いておいて構いません。

飛ばされやすいのが最後の1つ、どちらのプロファイルを既定の位置に置くかという判断です。ブラウザの外から踏まれたリンクを受け取るのはそのプロファイルになります。決めずにおくと、その時点でたまたま前面にあった窓が受け取ることになります。

作った覚えが無いのにプロファイルが増えている場合

原因はおおむね3つに絞られます。

いちばん多いのが、会社や学校が管理しているアカウントでログインしたときです。管理下のアカウントは、そのアカウントを別のプロファイルに分ける提案を出すことがあり、了承すると即座に新しいプロファイルが作られます。作られたプロファイルは管理者のポリシーの対象になり、あとから元のプロファイルに統合することはできません。

ブックマークが1つも無い空のプロファイルが出てきた場合は、データが消えたのではなく、Chromeが既存のプロファイルフォルダを読めなかった可能性が高い状況です。元のデータはディスクに残っているのが普通です。ここで慌てて新しいプロファイルを作り足すと状況が分かりにくくなるので、まずChromeを完全に終了させてから開き直し、プロファイルの一覧を確認してください。

3つ目は、フォルダ名を指定して起動するランチャーやショートカットが、存在しないフォルダ名を指している場合です。Chromeはエラーで止まらず、その名前のプロファイルを新しく作ります。そのランチャーを使うたびに空のプロファイルが開くことになります。

本当に分かれているかを、使い始める前に確かめる

新しいプロファイルは、見た目が正しくても、分かれているつもりのものが分かれていないことがあります。次の2つを確認しておくと、そこで起きる事故の大半は防げます。

同じサービスを両方のプロファイルで並べて開き、それぞれ別のアカウントが表示されたまま、どちらもログアウトされないことを確かめてください。片方でログインするともう片方が落ちるなら、その2つの窓は同じプロファイルに属していて、分離自体ができていません。

もう1つは拡張機能の見える範囲です。拡張機能はプロファイルごとに入りますが、パスワード管理ツールを両方で同じ保管庫にログインさせていると、どちらの窓でも両方の資格情報を候補として出してきます。プロファイルを分けて防ごうとしたはずの取り違えが、そこから戻ってきます。プロファイルごとに使う保管庫を限定する設定は、Chrome側ではなく管理ツール側にあります。

削除は元に戻せない

プロファイルの削除は、そのフォルダごと消す操作です。ゴミ箱を経由しないので、あとから戻す手段はありません。そのプロファイルにしか無かったブックマーク、履歴、保存パスワード、設定は、その場で失われます。

一方で、Googleアカウント自体は残ります。同期が有効だったデータはアカウント側にあるので、新しいプロファイルで同じアカウントにログインすれば戻ります。危ないのは、ログイン無しで使っていたプロファイルです。この場合はどこにも控えがないので、削除は文字どおり破棄になります。整理のつもりで消す前に、そのプロファイルがログイン済みかどうかだけは確認してください。

そもそも、もう1つ増やすべきかどうか

プロファイルを増やして解決するのは、同じサイトに対して2つのログイン状態を同時に持てない、という1点だけです。窓の数、通知の出どころ、リンクの行き先については何も解決せず、むしろ1つ増えるたびに少しずつ悪くなります。

すでに3つか4つあって、困っているのがログインではなく「目当ての窓を探すこと」なら、増やすべきなのはプロファイルではありません。分ける単位をアカウントからアプリに移し替えると、アプリごとに独立したワークスペースが保たれたまま、切り替えが窓探しではなくなります。用途ごとに独立した領域を持つ考え方はワークスペースにまとまっていて、どのサービスをその形で扱えるかは使えるアプリで確認できます。同じ考え方の先行製品との違いを見比べたい場合はShiftとの比較が判断材料になります。

作ると決めたなら、作成そのものよりも、起動の入口・色・パスワードの移行に十数分を使ってください。それが2つ目のプロファイルではなく4つ目なら、いったん手を止めて、開いている窓の数を数えるほうが先です。

よくある質問

新しいプロファイルを作ると、いまのブックマークはコピーされますか?

コピーされません。新しいプロファイルはブックマークも履歴も拡張機能もパスワードも無い、完全に空の状態で始まります。ブックマークは元のプロファイルからHTMLで書き出し、新しい側で読み込むと移せます。他の項目はそれぞれ別のやり方で移す必要があります。

Googleアカウントにログインせずにプロファイルを作れますか?

作れます。設定画面にアカウントを使わずに続ける選択肢があり、そのプロファイルはMacの中だけで完結して動きます。同期されないので、保存したブックマークやパスワードはそのMacにしか存在せず、プロファイルを削除すると復元できません。

会社のアカウントでログインしたら勝手にプロファイルが増えました。戻せますか?

統合はできません。管理下のアカウントは別プロファイルへの分離を提案することがあり、了承した時点で新しいプロファイルが作られます。そのまま使うか、削除して別の場所でログインし直すかの二択になります。削除するとそのプロファイル内のデータは消えます。

表示名を変えたのに、ランチャーが違うプロファイルを開きます。

起動時に指定するのはフォルダ名で、画面に出ている表示名ではないためです。フォルダ名は作成時に決まる DefaultProfile 4 といった連番で、名前を変えても変わりません。ランチャー側の指定を、実際のフォルダ名に合わせて書き直してください。

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