Chromeプロファイルの使い方|分ける単位と運用の決め方
プロファイルを1つ作るのにかかる時間は20秒ほどで、何のために作るのかを決めるほうがずっと時間がかかる。そこを飛ばした結果として、毎日開くのは3つなのに一覧には7つ並んでいる、という状態ができあがる。プロファイルは仕組みとして悪いわけではなく、設計せずに増やしたときに使いにくくなる。ここでは分ける単位の決め方から、作った直後に入れておく設定、増えた後の畳み方までを運用の側から並べる。
プロファイルが抱え込む範囲
Googleはこの機能の用途を、共用と使い分けの2つとして説明している。
プロファイルは次のような場合に便利です。 パソコンを複数のユーザーと共用する。 仕事用と個人用などで別々のアカウントを使用する。 出典: support.google.com
実際に分かれる範囲は広い。Cookieとログイン状態、ブックマーク、履歴、保存したパスワードと自動入力、入れた拡張機能とその設定、既定の検索エンジン、カメラや通知といったサイトごとの許可、起動時に復元するタブまでが、プロファイルごとに独立した保存先に置かれる。
つまりプロファイルは、共有されたデータに対する見え方の切り替えではない。同じアプリの中で動く2つ目のブラウザの状態そのものになる。だから中に入れたものは、その入れ物の分だけ別々に維持し続けることになる。増やすほど楽になる仕組みではなく、増やすほど手入れの対象が増える仕組みだと考えたほうが、後の判断を間違えない。
何を単位に分けるか
いちばん多い失敗は、立場ではなく作業の種類で分けることになる。「調べ物用」という名前のプロファイルには、そこに属するものが何も無い。固有のログインを持たないので、1週間もすれば全部が少しずつ混ざる。
判断の基準は1つで足りる。独自のログイン状態を必要とするかどうかだ。同じサービスに同じアカウントでログインする2つの文脈は、作業の内容がどれだけ違っても1つのプロファイルに入れてよい。
| 分ける単位 | 向いているか | 崩れる条件 |
|---|---|---|
| Macを共用する人ごと | 向く。本来の用途 | アカウントまで共用している場合 |
| 仕事用と個人用のアカウント | 向く。最も一般的 | 片方の文脈で両方を同時に見たい場合 |
| 取引先や組織ごと | 向く。固有のログインがあるなら | 取引先が同じツールを共有している場合 |
| 調べ物・執筆などの作業 | ほぼ向かない | 固有のログインが無く区別が保てない |
| ログアウト状態の確認用 | 向かない | シークレットウィンドウで足りる |
2つか3つなら設計になる。6つを超えると、探して読む一覧に変わり、正しいものを見つける時間が分けて得た時間を上回り始める。
作った直後に決めておく設定
後から効いてくる設定は4つあり、いずれも作成直後に入れておくのがいちばん安い。
名前はメールアドレスではなく短い語にする。一覧では長い名前が途中で切られるため、同じドメインのアドレスは切られた後に同じ文字列になる。色は隣と大きく離す。色は視界の端でも読めるが、アイコンのイニシャルは読めない。
起動時に開くページは、その文脈が実際に始まる場所にしておく。仕事用のプロファイルが仕事の受信箱とボードを開いて立ち上がれば、それだけで見分けが付き、朝の最初の2回の移動が減る。そしてダウンロードの保存先をプロファイルごとに分ける。既定ではすべて同じフォルダに落ちるので、ここを分けて初めて名目上の分離が実際の分離になる。
通知の許可も、作った直後に方針を決めておきたい項目になる。サイトごとの許可はプロファイルごとに持たれるので、仕事用でだけチャットの通知を通し、個人用では通さない、という置き方ができる。逆に何も決めずに使い始めると、両方の窓から同じ通知が二重に飛んでくる状態になり、どちらの窓を開けばよいのか毎回考えることになる。通知を出す先を1つのプロファイルに寄せておくと、集中が切れる回数がそのぶん減る。
両方の文脈で使う資料のような共有物は、両方のプロファイルでブックマークに入れておく。1か所に正本を置こうとすると設計が崩れる。ブックマークの一覧はプロファイルをまたいで交わらないためだ。
拡張機能はプロファイルごとに入る
拡張機能は1つのプロファイルの中に入り、そのプロファイルの保存先に置かれる。同じ拡張機能を4つのプロファイルに入れたなら、それは4回のインストールであり、許可も設定も4つ分、窓を4つ開けば動いている実体も4つになる。
数か月かけて表に出てくる影響は3つある。メモリの消費は、入れた数ではなく同時に開いているプロファイルの窓の数に比例して増える。片方で与えた許可はもう片方に効かないので、同じ拡張機能がある窓では動いて別の窓では何もしない、という状態が起きる。そして拡張機能の提供元や挙動が変わったとき、確認すべき場所は入れた数だけある。
対処は、プロファイルごとの一覧を短く保つことに尽きる。パスワード管理はログインする全部のプロファイルに入れてよい。それ以外は使う場所にだけ置く。各プロファイルでchrome://extensionsを開いて数分見直す作業を四半期ごとに入れておけば、気づかないうちに増えていく分は止まる。
同期が運ぶもの、運ばないもの
Googleアカウントでログインして同期を有効にすると、そのプロファイルは別のMacで再現できるようになる。ブックマーク、履歴、パスワード、拡張機能、設定、開いていたタブが、同じアドレスでログインしたプロファイルに降りてくる。
ここで誤解されやすいのは、同期は復元ポイントを持つバックアップではないという点になる。同期が写すのは今の状態だ。片方でブックマークを消せばもう片方でも消える。ローカルのプロファイルを削除してもアカウント側のデータは消えないため、作り直して同じアカウントで入ると全部戻ってきて、まっさらな状態を期待していた人を戸惑わせる。
境目は、同期の対象かどうかにある。拡張機能が自前で持っている設定、サイトごとの許可、ページがブラウザに保存したデータは、その端末に残ることが多い。設定に手間をかけたもので同期の一覧に見当たらないものは、1か所にしか存在しない。必要なら意識して書き出しておきたい。
会社のアカウントを入れたプロファイル
組織が配布したアカウントでログインしているプロファイルには、管理者が設定を配れる。入れてよい拡張機能、同期の可否、そのプロファイルに他のアカウントを追加できるか、専用のプロファイルで動かすことを求めるかどうかまでが対象になる。
見分け方は、設定画面に出る組織による管理の表示になる。その状態の項目は手元では変えられないので、粘るだけ時間が減る。そのプロファイルでchrome://policyを開けば、実際に適用されている項目が一覧で出る。何かに邪魔されているという漠然とした感覚が、具体的な項目名に変わる。
文脈を混ぜている人にとって重要なのはこの先になる。管理対象のブラウザに個人のアカウントを足すと、その個人の閲覧も、他人が決めた設定の上で動くことになる。会社のアカウントを専用のプロファイルに隔離するのは、秘密にするためというより、自分の作業を他人の設定の外に置いておくためだと考えたほうが分かりやすい。
3つで組む実例
抽象的な基準は具体例に当てたほうが早いので、普通の使い方で壊れない構成を1つ挙げる。
1つ目は勤務先のアカウント専用にする。起動時に仕事の受信箱とボードを開き、色ははっきりしたものを割り当て、ダウンロードは勤務先の名前を付けたフォルダに落とす。拡張機能はパスワード管理と業務で本当に要るものだけ。同期は有効にしておく。端末を入れ替えた翌朝から動ける状態でいたいからだ。
2つ目は個人のアカウント用にする。扱いは同じで、色を変え、保存先を分け、拡張機能の一覧はさらに短くする。買い物や金融や個人のメールが入る場所なので、試しに入れてみるものはここに置かない。
3つ目は使い捨てにする。どのアカウントにもログインせず、同期もせず、取引先のポータルや一度きりの登録、他の2つに属さないアドレスでログインする必要が出たサービスを引き受ける。ここのブックマークは一時的なものとして扱い、散らかったら必要な分だけ書き出して削除し、また作り直す。
この形が保つのは、役割の置き方のためになる。立場を持つ2つは維持し、残り全部を1つに吸わせる。増えすぎる原因は、新しいログインのたびに恒久的な文脈を作ってしまうことにあり、使い捨てを1つ置くのがいちばん安い歯止めになる。
増えた後の畳み方
プロファイルが増えるのは、一時的な問題に対する最短の答えが「もう1つ作る」だからになる。どれも当時は妥当な判断で、そして片付けられない。
兆候は分かりやすい。切り替えの一覧がスクロールする。名前が中身を説明しなくなったものが2つある。数か月開いていないのに、大事なブックマークの唯一の控えがそこにある。
畳むときに迷いやすいのが、使い捨てで作ったつもりのプロファイルに本番のログインが混ざっている場合になる。判断は、そのログインを他の2つのどちらかに移せるかで決めるとよい。移せるなら移してから削除する。移せない事情があるなら、それは使い捨てではなく立場を持つプロファイルなので、名前と色を付け直して維持する側に入れる。宙ぶらりんのまま残すのがいちばん高く付く。
数か月に一度、短い手順を回せば足りる。各プロファイルを開いて拡張機能の一覧と最後に使ったタブを確認し、消す予定のものから必要なブックマークを書き出し、それから削除する。削除はその場で確定してローカルのデータは戻らず、取り消しもごみ箱も無いので、書き出しの一手間が作業の本体になる。同期していたものはアカウントとともに戻り、していなかったものは戻らない。
分ける単位が合わなくなるとき
プロファイルが分けているのは立場になる。アプリは分けていない。整理が行き届いているのにまだ足りない、という状態に行き着く人は、ここで止まっている。
1つのプロファイルの中では、メールもチャットも資料も管理画面も、同じ窓の同じタブの列を取り合ったままになる。アカウントを分けてもこの取り合いは変わらない。そのうえプロファイルの窓はどれも同じ見た目で、Dockのアイコンも1つ、OSからは1つのアプリに見える。つまりプロファイルの切り替えは、普通のアプリ切り替えとしては扱えない。
もう1つの持ち方は、アプリとアカウントのそれぞれに窓とセッションを与えて、OSからも別のものとして見えるようにする形になる。切り替えは他のアプリと同じ操作になり、見分けを小さなアイコンに頼らなくて済む。アプリごとに独立したワークスペースの考え方はできることに、案件や取引先の単位でアプリの組ごと入れ替える話はワークスペースに整理されている。手元で使っているサービスが対象かどうかは使えるアプリで確認できる。同じ系統の製品との違いは、無料で始められる系統を並べたFerdiumとの比較と、常駐型の製品を並べたRamboxとの比較にある。費用の考え方は料金、判断の前に引っかかりやすい点はよくある質問にまとまっている。
まず手を付けるなら、いま持っているプロファイルが何を表しているのかを決めて名前に書き、保存先と色を分けるところからでよい。10分もかからずに、名目上の分離が実際の分離に変わる。それを終えても切り替えが減らないなら、変えるべきなのはプロファイルではなく窓の単位になる。
よくある質問
Chromeのプロファイルはいくつまでが適切ですか?
上限を決めているのは性能ではなく見分けのほうになる。一覧を形で認識できず読んで探すようになった時点、目安としては4つを超えたあたりから、分けたことで得た時間より探す時間のほうが増える。3か月開いていないものは、書き出して削除する候補になる。
プロファイルごとにGoogleアカウントが必要ですか?
必要ない。ログインしないままでもプロファイルは機能し、ブックマークもCookieも履歴も拡張機能も独立して保たれる。ログインして同期を入れると、別の端末で同じプロファイルを再現できるようになる。任意の追加であって、前提ではない。
片方に入れた拡張機能は他のプロファイルでも使えますか?
使えない。拡張機能は1つのプロファイルの中に入り、設定も許可もそのプロファイルの保存先に置かれる。3つのプロファイルに同じものを入れれば、更新の確認も設定も別々に3回必要になる。
複数のプロファイルを同時に開いておけますか?
開ける。それぞれが自分のウィンドウを持ち、セッションも拡張機能も独立したまま並ぶ。増えるのはメモリの消費で、これは存在するプロファイルの数ではなく、同時に開いている窓の数と各窓で動いている拡張機能の数に比例する。