Googleに複数アカウントでログインする方法とMacでの分け方

Googleのアカウントを2つ以上ログインさせる操作そのものは、右上のアイコンから「別のアカウントを追加」を選ぶだけで終わる。困るのはその後になる。カレンダーの招待を開いたら別の名前で参加してしまう、共有されたはずのドライブのフォルダで権限エラーが出る、管理コンソールだけが開かない。これらはログインの失敗ではなく、追加ログインがブラウザの中で何をしたかの結果になる。

ここを取り違えたまま手順だけを繰り返すと、同じ事故が何度も起きる。2つログインしても、ブラウザが2つの身元を持つわけではない。1つのブラウザの中に身元の一覧が増え、迷ったときにどれを使うかの規則が1つ足されるだけになる。

追加ログインでブラウザに起きること

Googleのヘルプは追加の手順を短く書いている。プロフィール画像を選び、メニューから「アカウントを追加」を選び、サインインする。この操作で新しく生まれるのは、独立した閲覧環境ではない。Cookie、拡張機能、保存済みのパスワード、ダウンロードの保存先は、追加したあとも全部が1つのまま共有される。

変わるのはサーバー側の見え方になる。Googleから見ると、このブラウザには認証済みの身元が2つぶら下がっている状態になり、GmailもドライブもカレンダーもYouTubeも、リクエストが届くたびに「どちらの身元で応答するか」を選ぶことになる。この選択が毎回明示されるわけではないところに、話のややこしさが集まっている。

判断が曖昧になる場面は、実務では次の3つに集まる。

  • メールソフトやチャットから開いたリンク。どのアカウント宛かの情報を持っていない
  • Googleの画面から始めたダウンロードや印刷。タブではなくセッションの側を引き継ぐ
  • 外部サイトの「Googleでログイン」。選択画面は出るが、既定のアカウントが最初から選ばれている

1つずつは小さい。ただ毎日何十回も通る経路なので、体感としては「勝手に切り替わる」に近い形で積み上がっていく。

URLの/u/0/u/1が何を指しているか

2つ目にログインすると、Googleは各アカウントを名前ではなく並び順で扱うようになる。最初にログインしたアカウントが0番、次が1番になり、GmailのURLがmail.google.com/mail/u/0/、2つ目の受信箱が/u/1/と表示されるのはこのためになる。

ここで押さえておくべき性質が2つある。

1つ目は、この番号がアカウントに固定された識別子ではないこと。番号はそのブラウザでログインした順番を写しているだけなので、同じ会社のアドレスがノートPCでは1番、デスクトップでは2番になることが普通に起きる。番号を含むURLをブックマークして別の端末で開くと、別人の受信箱が開く。

2つ目は、番号が後から入れ替わること。1つログアウトして入れ直すと並びが詰まり、先週作ったブックマークが違うアカウントを指す。読むだけなら実害は小さいが、そのまま返信すると差出人が入れ替わる。しかもエラーは出ない。Googleから見れば正しいリクエストなので、間違いに気づくのは送信後になる。

対策は単純で、番号ではなくアドレスを使うことになる。mail.google.com/mail/u/?authuser=のようにアカウント自体を指定する形にしておけば、解決するのはGoogle側で、ブラウザが順番を推測する余地が消える。共有ドキュメントやカレンダーの説明欄に貼った番号付きリンクも、同じ理由で書き換えておく価値がある。

既定のアカウントが決めているもの

曖昧なリクエストの行き先を決めているのが、既定のアカウントになる。Googleは複数ログインのヘルプでこの規則を明示している。

複数のアカウントに同時にログインしていると、Googleの側でどのアカウントを使うべきか判断できない場面が出る。そのときはデフォルトのアカウントの設定が適用されることがある、というのが公式の説明になる。そのデフォルトが何かについては、次のように書かれている。

多くの場合、デフォルトのアカウントとは、最初にログインしたアカウントになります。 出典: support.google.com

つまり既定のアカウントは、誰かが選んだものではなく、その日たまたま最初にログインしたアカウントになる。月曜の朝に個人アカウントで先にログインしたという偶然が、その週のブラウザ全体の判断基準として残り続ける。

既定を変えたいときは、すべてのアカウントから一度ログアウトし、既定にしたいアカウントで最初にログインし直す。順番を入れ替えるだけの操作だが、番号付きのブックマークは全部ずれるので、切り替えるならブックマークの整理とセットで行う。

なお、Google Playの表示国のように、既定のアカウント側の情報が使われる領域もある。仕事用と個人用で登録国が違う場合、既定を入れ替えるとストアの表示が変わることがある。ここは切り替え前に把握しておきたい。

ログインできない、追加できないときの原因

追加ログインが最後まで通らないケースには、原因の型がいくつかある。

会社のアカウントが専用のプロファイルを求める場合。 Chromeの管理者は、管理対象アカウントでのログイン時に別プロファイルの作成を必須にできる。この設定が入っていると、個人用のブラウザに会社のアカウントを足そうとした時点で作成を促され、断るとログインが完了しない。管理側の資料はこの境界を「プロファイル間でデータやコンテンツは共有されません」と説明している。

シングルサインオンの有効期限。 会社のログインがIDプロバイダ経由になっている場合、セッションの寿命が数時間単位で設定されていることがある。一覧上はログイン済みに見えるのに、クリックすると認証画面に飛ぶのはこれが理由になる。

パスキーの保存場所。 パスキーはブラウザのプロファイルやシステムのキーチェーン側に紐づく。別のMacや別プロファイルでは同じ手数で入れず、パスワードと2段階認証に戻る。

アプリの中に埋め込まれたブラウザ。 古い枠組みで作られたアプリの内蔵ブラウザからログインしようとすると、Googleが安全でない可能性のあるログインとして遮断することがある。通常のブラウザでは通るのに特定のアプリだけ通らない場合は、ここを疑う。

Macで線を引く場所を決める

Macの上で複数のアカウントを持つ方法は、追加ログインだけではない。実務で使われる形は次の4つに整理できる。

方法 同時に持てる数 共有されるもの つまずく場所
1つのブラウザに追加ログイン 多数 Cookie・拡張機能・保存先 曖昧な操作は既定アカウントに寄る
ブラウザのプロファイルを分ける プロファイルごとに1つ 何も共有しない 窓がすべて同じアプリ扱いになる
別のブラウザをもう1つ使う ブラウザごとに1つ 何も共有しない 更新も拡張機能も二重管理になる
アカウントごとに窓を分けるブラウザ 空間ごとに1つ 空間単位で決める 既定のブラウザを移す判断が要る

真ん中の2つは、既定アカウントの問題を根本から消す。共有セッションが存在しないので、迷う余地がなくなる。その代わりに別の負担が出る。macOSはChromeのプロファイルの窓をすべて同じ1つのアプリとして扱うため、Command+Tabの切り替えもDockのアイコンも通知のまとまりも、仕事用と個人用を区別できない。分離はできているのに、目的の窓へ到達する手段だけが残らない形になる。

この差を埋める考え方が、アカウントを窓の単位に持ち上げるやり方になる。アプリごとに独立したワークスペースを用意すると、境界と到達手段が同じ1つのものになり、切り替えが推測ではなく操作になる。単位の考え方はワークスペースのページに、どのサービスがそのまま置けるかは使えるアプリの一覧にまとまっている。

取り違えを減らす、設定側の3つの手当て

道具を変える前に、いまの環境のままで効く手当てが3つある。どれも設定を1回変えるだけで、以後の判断を人の注意力に頼らずに済ませられる。

1つ目は、プロファイルごとに名前と色を変えること。Chromeはプロファイルに設定した色を窓の枠に反映するので、仕事用を濃い色、個人用を淡い色にしておくと、画面をよく見なくても視界の端で区別がつく。名前も「仕事」「個人」ではなく、実際のドメイン名を入れておくと、アカウント選択画面での取り違えが減る。

2つ目は、番号入りのURLを持ち回らないこと。ブックマークバー、カレンダーの説明欄、社内のドキュメント、チャットに貼った作業手順のどこかに/u/1/が残っていると、並びが変わった日に別のアカウントへ人を送り込む。アドレスで指定する形に書き換えておけば、順番が変わっても行き先は変わらない。

3つ目は、ブラウザの外にあるログインを棚卸しすること。Macの場合、ブラウザのアカウント一覧、システム設定のインターネットアカウント、Webページから作った独立した窓、そしてメールソフトなどのアプリが、それぞれ別のトークンを持っている。ブラウザから外したアカウントが、数週間後もメールソフトには残っていた、という状態は普通に起きる。Googleアカウントのセキュリティ欄にあるアクセス権の一覧を一度開き、心当たりのないものを外しておくと、身に覚えのない認証要求も減る。

なお、Webページをアプリとして独立した窓にする機能を使う場合は、順番に注意したい。作られた窓は、作った時点のプロファイルのセッションをそのまま引き継ぐ。3つのアカウントが入ったプロファイルからGmailの窓を作れば、その窓にも3つのアカウントが入ったままになり、既定アカウントの曖昧さも一緒に付いてくる。1アカウント1窓にしたいなら、先にプロファイルを分け、それから窓を作る順番になる。

会社のアカウントを混ぜるかどうかの判断

個人アカウントどうしの取り違えは、気づけば直せる。会社のアカウントが混ざったときの取り違えは、報告が必要な種類の事故になりやすい。

管理コンソールやクラウドの管理画面は、開いたタブではなく開いたアカウントの権限で動くため、混在セッションでの誤解が最も出やすい。個人アカウントを既定にしたまま管理画面を開き、社内の権限設定が間違っていると勘違いして調査に半日使う、という流れは珍しくない。

保存先の話も同じ根から出る。共有セッションでは、会社のドライブから落としたファイルも個人のファイルも同じダウンロードフォルダに並び、業務中に保存したパスワードも個人のプロファイルに残る。1件ずつは規約違反ではないが、情報管理の担当者がプロファイル分離を必須にしたがる理由はここにある。

判断の軸は「何アカウントまでなら回るか」ではなく、「どこに境界を置き、その境界を人の記憶ではなく仕組みに守らせるか」になる。既存の道具で足りるかどうかを見比べるなら、Waveboxとの比較のように機能単位で並べたページと、費用の側から見る料金のページを合わせて読むと判断しやすい。

そのうえで、Chromeのヘルプがプロファイルについて添えている注意書きは覚えておきたい。デバイスを使用するユーザーは、その端末に設定されている他のどのプロファイルにも切り替えられる、という一文になる。分離は整理の道具であって施錠ではない。施錠として扱った結果、顧客のデータが個人のブラウザに残る、という順番で事故は起きる。

よくある質問

Googleアカウントは同時に何個までログインできますか?

Googleのヘルプに上限の記載はない。実際の限界は数ではなく使い勝手の側にあり、追加するほど選択画面が長くなり、既定アカウントとの取り違えも増える。仕事用と個人用の切り分けが目的なら、同じセッションに入れるのは3つ程度までにして、それ以上はプロファイルや窓を分ける方が扱いやすい。

追加ログインすればCookieや拡張機能も分かれますか?

分かれない。追加ログインは同じブラウザセッションに身元を足す操作なので、Cookie、拡張機能、保存済みパスワード、ダウンロード先はすべて共有のままになる。境界を作れるのはプロファイルを分けた場合だけで、Chromeの管理者向け資料もプロファイル間ではデータやコンテンツが共有されないと説明している。

外部から開いたリンクが毎回同じアカウントで開くのはなぜですか?

メールソフトやチャットから届いたリンクにはアカウントの指定が含まれないため、Googleは既定のアカウントに寄せて処理する。既定は多くの場合そのブラウザで最初にログインしたアカウントになる。直したい場合は、いったん全部からログアウトし、既定にしたいアカウントで最初にログインし直す。

仕事用のアカウントはプロファイルを分けた方がよいですか?

分けた方が安全な場面は多い。Cookieとパスワードと拡張機能が別になり、業務データが個人の環境に混ざらなくなる。会社によってはChromeの管理設定で分離が必須になっている。ただしmacOSではプロファイルの窓が同じアプリ扱いになるため、切り替えの手数が増える点は先に見込んでおきたい。

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