複数のGmailを切り替えるがうまくいかないとき|確かめる順番

複数のGmailを切り替えるときの不具合は、どれも似た見え方をします。開いたら別の受信箱だった、共有されたリンクが権限エラーになった、いつの間にかログアウトされていた。見え方が似ているせいで対処も同じになりがちですが、原因が置かれている場所は症状ごとに違います。ここでは症状を原因の場所に振り分けたうえで、失うものが少ない手順から順に並べます。

最初に全部からログアウトすると、手がかりが消える

この種の症状で多くの人が最初に選ぶのが、すべてのアカウントからログアウトして入り直すことです。たしかに症状は消えます。ただし同時に、原因を特定するための材料も消えます。ログインの並び順は作り直され、番号の割り当ても変わるため、あとで同じ症状が出ても「前回と何が違うのか」を比べられなくなります。

もう1つ、この一手には戻れなくなる危険があります。Googleのヘルプはログアウトの手順の前に注意書きを置いています。

重要: ログアウトする前に、再ログインできない場合に備えてバックアップの確認方法を設定しておいてください。 出典: support.google.com

2段階認証の確認方法が古い電話番号のままだったり、バックアップコードを保存していなかったりすると、ログアウトした瞬間に仕事用の受信箱ごと締め出されます。以降の手順は、読むだけで済むものを先に、書き換えるものを後ろに置いて並べてあります。上から順に進めれば、たいていは書き換えに入る前に原因が見えます。

症状から、原因の置き場所を絞る

まず、いま起きている症状がどこの話なのかを決めます。

症状 原因が置かれている場所 最初に見る場所
開いたら別のアカウントの受信箱だった URLのセッション番号 アドレスバー
共有されたリンクが権限エラーになる 既定のアカウント アカウント選択画面
気づくとログアウトされている Cookieの扱いか組織の設定 ブラウザの終了時の動作
通知が来てもどのアカウントか分からない macOSの通知はアプリの単位 置き方そのもの
送信元が意図しないアドレスになった 作成画面の差出人 新規作成の初期値
片方のアカウントだけ拡張機能が効かない 拡張機能の権限設定 拡張機能の詳細
パソコンとスマートフォンで見え方が違う 別系統の仕組み 端末側の設定

この7つのうち、上から3つはブラウザの中で完結します。4つ目は設定では直らない種類の話で、残りは端末や組織の側にあります。自分の症状がどの行かを決めてから、対応する手順へ進んでください。

手順1 アドレスバーの番号を読む

Gmailを開いた状態でアドレスバーを見ると、mail.google.com のあとに /u/0 や /u/2 という番号が入っています。この番号は、いまログインしているアカウントの並びの何番目かを指しています。固定の識別子ではないため、どれか1つからログアウトすると、後ろにあったアカウントの番号が前に詰まります。去年ブックマークした /u/2 が、いまは別の受信箱を開くのはこのためです。

確かめ方は簡単です。番号だけを手で書き換えて読み込み直し、目的の受信箱が出るかどうかを見ます。出るなら、アカウントもログイン状態も正常で、問題はリンクの行き先だけにあります。この場合に直すべきなのはアカウントではなく、番号付きのURLを保存している側です。ブックマークやSlackに貼ったリンクを、番号を含まない形に置き換えておくと、繰り上がりが起きても壊れなくなります。

番号を書き換えても目的の受信箱が出ないときは、そのアカウントがいまログイン済みの並びに入っていません。手順2へ進みます。

手順2 アカウント選択画面で、並びと既定を確かめる

画面の右上にあるプロフィール画像を開くと、ログイン済みのアカウントが並びます。ここで見るのは2つです。目的のアカウントが並びに入っているか。そして、いちばん上に出ているのがどれか。

Googleのヘルプは、多くの場合デフォルトのアカウントは最初にログインしたアカウントになると説明しています。同じヘルプには、複数のアカウントにログインしている状態ではどのアカウントを使っているかGoogleが判断できなくなる場合があり、そのときはウェブとアプリのアクティビティや広告のカスタマイズといったデフォルトのアカウントの設定が適用されることがある、とも書かれています。共有リンクが毎回同じアカウントで開いてしまう症状は、この判断できない状態にそのまま当てはまります。

ここまでは画面を開いて読むだけで、何も壊れません。目的のアカウントが並びに入っていて、かつ既定が意図と違っているなら、はじめて書き換えの手順に進む価値が出てきます。

手順3 ここから先は戻せない。ログイン順を作り直す

既定のアカウントを変える方法は、いまのところログインし直すことです。順番は次のようになります。

  • 先に2段階認証の確認方法を見直す。電話番号が現行のものか、バックアップコードが手元にあるかを確かめる
  • Googleのページでプロフィール画像を開き、すべてのアカウントからログアウトする
  • いちばん使うアカウントから順にログインし直す。最初に入れたものが既定になる
  • 古いアカウントがログインページに残っている場合は、myaccount.google.com を開き、ログアウトしてからアカウントを削除する

最後の項目で見落とされやすいのが、この作業がブラウザごとに必要になる点です。ヘルプにも、Firefox や Safari など他のブラウザでログインしている場合はそれぞれで同じ手順を行うように、と書かれています。普段Chromeだけを使っていても、過去に別のブラウザでログインしていれば、そちらの並びは古いまま残っています。

手順4 Cookieと拡張機能を切り分ける

何度もログアウトされる症状は、ほとんどがCookieの扱いに行き着きます。ブラウザの設定で「終了時にCookieとサイトデータを削除する」が有効になっていれば、ブラウザを閉じるたびにログイン状態が消えます。プライバシー保護の拡張機能やコンテンツブロッカーが、google.com に関係するサイトデータを掃除している場合も同じ結果になります。

切り分けは対照を作るのが早道です。シークレットウィンドウで同じ操作をして、症状が出るかどうかを見ます。出なければ、原因は拡張機能かサイトデータの側にあります。そのうえで拡張機能をいったん全部無効にし、症状が消えることを確かめてから1つずつ戻します。戻した瞬間に再発した拡張機能が原因です。

切り分けの途中で、原因ではないものを原因だと決めてしまいやすい場面が1つあります。シークレットウィンドウで症状が出なかったことを「ブラウザが壊れている」と読むことです。シークレットウィンドウは拡張機能が無効になっているだけでなく、サイトデータも保持しません。つまり条件が2つ同時に変わっているので、この結果だけでは犯人を1つに絞れません。次に拡張機能を全部無効にした通常のウィンドウで確かめると、変わる条件が1つになり、そこで初めて切り分けが成立します。

拡張機能が片方のアカウントでだけ効かない症状は、別の話です。拡張機能はブラウザのプロファイルに属していて、アカウントには属していません。同じ窓の中でアカウントを切り替えても拡張機能は同じものが動き続けるため、効き方が変わるとすれば、その拡張機能が持っているサイトごとの権限設定のほうを見ることになります。

送信元が違うアドレスになっていたとき

送ってから気づくため、これだけは事後の確認になります。原因は返信と新規作成で分かれます。

届いたメールへの返信は、そのメールを受け取ったアカウントから出ていきます。ここで取り違えが起きることはまずありません。事故が起きるのは新規作成のほうで、差出人の欄に入っている初期値がそのまま使われます。同じ窓で直前までどのアカウントを見ていたかによって初期値が変わるため、切り替えた直後の1通目がいちばん危険です。

対処は2つあります。送信の前に差出人の欄を目で確かめる習慣を付けること。そしてもう1つは、そもそも取り違えようのない置き方にすることです。アカウントごとに窓が分かれていれば、新規作成の画面はその窓のアカウントでしか開きません。返信は安全で新規作成だけが危ない、という状態を運用の注意で埋めているなら、それは置き方で消せる種類の危険です。

手順5 組織の設定は、自分の操作では直らない

勤務先や学校から配られたアカウントが混ざっている場合、原因が管理者の設定にあることがあります。セッションの有効期限が短く設定されていれば、一定時間で必ずログアウトされます。接続できるアプリやクライアントが制限されていれば、特定の経路だけが通らなくなります。

この層の特徴は、手元でいくら設定を変えても症状が変わらないことです。手順4までで原因が見つからず、しかも症状が勤務先のアカウントにだけ出ているなら、ここを疑ってください。自分で直せる範囲ではないので、管理者に「何時間でセッションが切れる設定になっているか」を確認するほうが早く終わります。

手順6 スマートフォンは別の系統として扱う

パソコンとスマートフォンで見え方が食い違うとき、片方を直せばもう片方も直ると考えると遠回りになります。Gmailのアプリは独自の仕組みでアカウントを扱っていて、パソコン側の並び順も既定のアカウントも引き継ぎません。Googleのヘルプ自体が、モバイルデバイスではデバイスのオペレーティングシステムや使用するアプリによってデフォルトのアカウントが異なると書いています。

さらに、Webとモバイルアプリでできることがすでにずれている項目があります。他社のメールアカウントを追加したり同期したりする機能は、ウェブ版のGmailでは利用できなくなっており、モバイルアプリでは引き続き使えると案内されています。同じ会社の同じサービスでも、入口によって仕様が違う状態です。パソコンで消えた設定項目をスマートフォンで探して見つからない、あるいはその逆が起きるのは、この差によるものです。

同じ症状が何度も戻ってくるなら、直す対象が違う

手順どおりに直しても1週間で同じ症状が戻るなら、直していたのは症状のほうで、原因は別にあります。番号の繰り上がりも、既定のアカウントの取り違えも、アカウントを1つの保存領域に重ねているかぎり構造として残り続けるためです。再発の回数を数えて、修理に使っている時間が置き方を変える手間を超えたところが、境目を移す時期になります。

移し方には段階があります。ブラウザのプロファイルを分ければ保存領域が分かれ、番号の繰り上がりとCookieの共有はそこで止まります。さらにアプリごとに独立したワークスペースを持たせる形にすると、アカウントが窓に結び付くため、外から来たリンクの行き先と通知の出どころも分かれます。どこまでの機能が必要になるかは、Webアプリをまとめる道具の機能一覧をまとめたできることで見当がつきます。

同じ分野の製品でも、無料で使える範囲と対応しているサービスは違います。スペースの数とアプリ数の上限で線が引かれている製品との違いはShiftとの比較に対応表があり、導入の前によく出る疑問はよくある質問にまとまっています。修理を繰り返す前に、いま起きている症状のうち何本が置き方を変えるだけで消えるのかを数えておくと、判断が定量的になります。

よくある質問

GmailのURLにある /u/1 の番号を書き換えても開けないのはなぜですか?

そのアカウントがいまログイン済みの並びに入っていないためです。番号は並びの位置を指しているだけなので、ログインしていないアカウントの番号を指定してもアカウント選択画面に戻されます。右上のプロフィール画像を開いて、目的のアカウントが並んでいるかを先に確認してください。

既定のアカウントだけを変えることはできますか?

単独で入れ替える設定は用意されていません。多くの場合、デフォルトになるのは最初にログインしたアカウントなので、すべてのアカウントからログアウトしてから、既定にしたいアカウントを最初にログインし直すことになります。実行する前に、2段階認証の確認方法が現行のものかを確かめてください。

ブラウザを閉じるたびにログアウトされるのはどうすればよいですか?

終了時にCookieとサイトデータを削除する設定か、プライバシー保護の拡張機能が原因であることがほとんどです。シークレットウィンドウで再現しなければ拡張機能かサイトデータ側で、拡張機能を全部無効にしてから1つずつ戻すと特定できます。勤務先のアカウントだけで起きる場合は、管理者が設定したセッションの有効期限を確認してください。

パソコンで直した設定がスマートフォンに反映されないのはなぜですか?

Gmailのモバイルアプリはパソコンとは別の仕組みでアカウントを扱っており、並び順も既定のアカウントも共有されないためです。Googleのヘルプも、モバイルデバイスではオペレーティングシステムや使用するアプリによってデフォルトのアカウントが異なると説明しています。端末ごとに設定し直す前提で考えてください。

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