Shiftブラウザをどう選ぶか|条件の見方

Shiftブラウザを使うかどうかを機能表で決めようとすると、たいてい手が止まる。並んでいる項目はどれも便利そうで、優劣が付かないためだ。判断が付かない理由は情報の不足ではなく、比べる軸が自分の側にまだ無いことにある。この記事では、機能ではなく条件を読む順番を示す。自分の使い方を4つの数字で表し、その数字に公開されている条件を当てていくと、答えは1問か2問で出る。

選ぶ前に、自分の使い方を4つの数字にする

道具の側を調べる前に、自分の側を数える。ここを飛ばすと、どの製品紹介を読んでも「便利そう」で終わる。

1つ目の数字は身分の数だ。会社の自分、個人の自分、取引先ごとの自分。同じサービスに別々のアカウントで入る必要がある単位を数える。多くの人は3つから4つに収まり、それより多い場合は終わった案件の分が残っている。

2つ目は、毎日開くサービスの数だ。週に1回も開かないものは含めない。ここに入るのはたいてい5個から12個の範囲で、タブの総数とは桁が違う。

3つ目は、1日にまたぐ回数だ。正確でなくてよい。朝から夕方までの間に、別のアカウントや別の案件へ移る回数がおよそ何回か。10回未満なら道具を替える効果は小さく、50回を超えるなら切り替えの構造そのものが問題になっている。

4つ目は、同時に開いておく必要がある画面の数だ。資料を見ながら書く作業が多い人はここが大きくなり、窓の配置が保存されるかどうかが条件に昇格する。

この4つが出れば、あとは条件を当てるだけになる。特に1つ目と2つ目は、無料で足りるかどうかを直接決める。

無料枠は「掛け算」で読む

アプリ集約ブラウザの無料枠は、単純な個数制限ではないことが多い。Shiftの場合、公式の料金ページに出ている無料枠は Space が 5 つ、1つの Space につきアプリが 10 個までとなっている。上限は掛け算で決まるため、同じ「50個まで」でも配り方によって当たり方が変わる。

身分が3つで毎日開くサービスが8個なら、Space を身分ごとに作って各8個を入れる形になり、無料枠の中に収まる。身分が2つでも毎日開くサービスが15個あるなら、1つの Space に10個までという条件に先に当たる。このとき有料化の理由は「アカウントが多いから」ではなく「1つの持ち場に置きたい道具が多いから」で、意味がまったく違う。

有料の Advanced は年払い $199.99、月払い $19.99 で、Space もアプリ数も上限が外れる。ここで見落とされやすいのは、同じサイトのFAQページに古い条件が残っている点だ。そちらには無料枠が2 Space・各5アプリ、有料が年 $149.00 と書かれている。記述の対象が旧来の v9 で、新しい版とは条件が違う。自分に当てはまるほうを確かめるには、メニューバーのShiftから About Shift を開き、バージョンが9で始まるかどうかを見る。

契約の条件は、機能より先に効いてくる

機能は使い始めてから評価できるが、契約の条件は使い始める前に決まってしまう。ここを読み飛ばすと、あとから動かしにくい。

  • 1つのサブスクリプションで使えるアカウントは1つ。家族や同僚と分け合う形にはならない
  • 複数の端末で使う場合は、同じアカウントでサインインして同期を有効にする。レイアウト・Spaces・アプリ・ブックマーク・履歴が端末をまたぐ
  • 返金は購入日または更新日から 14 日以内の申請が対象
  • 支払いはStripe経由で、使えるのはVisa・Mastercard・American Express。デビットカード、ギフトカード、PayPalは受け付けていない
  • 学生・教職員・非営利団体はそれぞれ 30% 引きの対象になる
  • チーム向けの契約は請求の一本化と管理画面が付き、人数によって単価が変わる。招待はメールアドレスを1人ずつ入力する形で、招かれた側は無料アカウントを作って参加する
  • アンインストールしても契約は止まらない。課金を止めるには解約の操作が別に必要になる

このうち実務で効きやすいのは支払い手段の条件だ。法人のデビットカードしか持っていない場合、そもそも契約できない。試用を始める前に決済手段を確認しておくと、導入の直前で止まらずに済む。

動く条件と、引き継げる条件

料金の次に確かめるのは、手元の環境で動くかどうかと、いま使っているものを持ち込めるかどうかになる。

対応するのはWindows 10と11、およびMac。ShiftはChromiumを土台にしているため、Mac側にもChromiumの要求が当てはまり、macOSは 11 Big Sur以降が必要になる。メモリは 8GB 以上が推奨で、これは通常の使い方を想定した値だ。毎日開くサービスが20個を超える人は、推奨値の上を見ておいたほうがよい。手元のmacOSのバージョンは、Appleのメニューから「このMacについて」を開けば確認できる。移行の可否がここで決まる場合、料金の比較は最初から不要になる。

拡張機能については、公式のFAQが範囲を明記している。

Shift supports almost every extension available in the Chrome extension library. 出典: tryshift.com

パスワード管理や広告のフィルタを日常的に使っているなら、この一文が条件を1つ消してくれる。検索エンジンも選べるようになっていて、Quick Settings の Advanced Settings から Google・Bing・Yahoo!・StartPage の中から既定を変えられる。仕事で既定の検索先が決まっている人には、この項目の有無が判断材料になる。

アカウントの扱いも確認しておく。新しい版のShiftは、アカウントを作らなくても使い始められる。アカウントが必要になるのは有料機能を使うときと、端末をまたいで同期するときだ。試すだけならメールアドレスを渡さずに済む点は、導入のハードルとして小さくない。

「いまどの段階の製品か」を条件に入れる

選び方の話で抜けやすいのが時間軸だ。同じ製品名でも、置かれている段階によって使い勝手が変わる。

Shiftは従来の v9 から、作り直された Shift browser への移行の途中にある。公式のヘルプには、v9 に対して今後大きな製品更新を行わない旨と、新しい版が既存の利用者へ数か月かけて順次展開され、その際に Spaces・アプリ・ブックマークが引き継がれる旨が書かれている。待たずに自分で新しい版を入れることもできるが、その場合は引き継ぎのない白紙の状態から作り直しになる。早めに移るなら、現在の主たるメールアドレスでサインインすることで有料の機能が引き継がれる。

新旧で作りが変わった点もある。旧来の版では Space ごとにメールアカウントを紐づける必要があったが、新しい版ではその必要がなくなり、アプリをレイアウトの好きな位置に置けるようになった。色テーマは明暗それぞれに8種類が用意されている。つまりレビュー記事やフォーラムの投稿を読むときは、それがどちらの版についての話かを見ないと、自分の画面と食い違う。

導入の時期を選べるなら、順次展開が自分のところへ届くのを待つほうが手間は少ない。すぐ評価したい場合は、白紙から作り直す前提で時間を確保しておく。

会社で使う場合に、追加で読む条件

個人で決められる範囲を超える場合、確かめる項目が増える。ここは機能の話ではなく、情報を誰がどこに置くかという話になるため、選定の途中で止まりやすい。

チーム向けの契約では、請求が1つにまとまり、ライセンスの管理画面が付く。人数に応じた単価の調整があり、導入にあたっては問い合わせが窓口になる。招待は管理画面のチーム欄からメールアドレスを1件ずつ入力する形で、一括での取り込みではない。招かれた側にはサポート用のアドレスから招待のリンクが届き、受ける側は無料のアカウントを作って参加する。人数が多い組織では、この一件ずつの入力が導入作業の見積もりに効いてくる。

データの置き場所についても公開されている。同社は保存するデータの量を絞り、可能な限り利用者の端末側に残す方針を示したうえで、保存が必要なデータは北米に、冗長化とバックアップを伴う形で置き、アクセスを限定していると説明している。パスワードは端末側で暗号化して保管され、重複や強度の弱いものを洗い出す点検の機能も用意されている。取り扱う情報の置き場所に社内規程がある場合、この記述が要件に合うかどうかが先に来る。

退去の条件も見ておきたい。アカウントとデータの完全な削除は、サポートへの依頼で受け付けられ、処理には時間がかかると案内されている。契約の解約とアンインストールは別物で、削除の依頼はさらに別の手続きになる。入る前に出方を確認しておくと、試用の判断が軽くなる。

確かめる項目を、見る場所とセットで持つ

判断に必要な項目は多くない。どこを見れば分かるかまで含めて並べると、次の表に収まる。

確かめる項目 見る場所 判断が変わる点
手元の版 メニューバーのShiftからAbout Shift バージョンが9始まりなら旧来の版。料金もヘルプの記述も変わる
無料で足りるか 身分の数と毎日開くサービスの数 5 Spaceと1 Spaceあたり10アプリの掛け算に収まるか
動くか Appleメニューの「このMacについて」 macOS 11未満なら選択肢から外れる
拡張機能 使っている拡張の一覧 Chromeの拡張がほぼ動くため、多くの場合は条件から外れる
支払い手段 手元のカードの種別 デビット・ギフト・PayPalは不可
端末の数 実際に使う機械の台数 1契約1アカウント。同期を有効にして使う
割引の資格 在籍・所属 学生・教職員・非営利は30%引き

この表を埋めると、迷う場所は1つか2つに絞られる。残った項目は、たいてい「無料枠に収まるかどうか」と「移行を待つかどうか」になる。

数え方を決めておくと、次の道具でも同じ判断ができる

ここまでの手順は、特定の製品に固有のものではない。身分の数、毎日開くサービスの数、またぐ回数、同時に開く画面の数。この4つを一度出しておけば、別の道具を検討するときにも同じ表を使い回せる。

サービス単位ではなく案件単位でまとめる考え方はワークスペースで整理している。窓の中に何を持ち込み、何をブラウザの外に残すのかという線引きはできることにまとまっており、毎日開くサービスの数が多い人はここが分かれ目になる。対応しているサービスの範囲が条件になる場合は使えるアプリを先に見ておくとよい。

価格帯と無料枠の数え方が違う道具との比較はWaveboxとの比較Ramboxとの比較にある。Shiftとの違いを1対1で見たい場合はShiftとの比較、費用から先に決めたい場合は料金、導入の前に迷いやすい点はよくある質問にまとめてある。開発の作業とWebアプリの往復が多い人は、ターミナルを同じ窓に置く形を扱ったターミナルも判断材料になる。

最後に1つだけ順番の話をしておく。アプリごとに独立したワークスペースという形が効くのは、またぐ回数が多い人に限られる。回数が1日10回に満たないなら、どの道具を入れても体感は大きく変わらない。数えた結果その範囲だったなら、道具を替えるより、毎日開くサービスの数を減らすほうが早い。

よくある質問

無料のまま使い続けられますか?

続けられます。無料プランには期限が無く、5つの Space と1つの Space につき10個までのアプリを置けます。画面を組み立てる機能とテンプレートも無料の範囲に含まれます。上限に当たるのは、身分の数が多い場合ではなく、1つの持ち場に置きたい道具が10個を超えた場合が多いため、先に数えておくと判断が早くなります。

有料にするかどうかは、何を基準に決めればよいですか?

1日に別のアカウントや案件へまたぐ回数を数えるのが分かりやすい基準です。10回に満たないなら無料の範囲で足ります。50回を超えているなら、上限を外す価値が出てきます。金額は年払いで199.99ドル、月払いで19.99ドルです。判断を保留したい場合は、購入日から14日以内の返金申請が可能な点も条件に入ります。

古いMacでも使えますか?

macOS 11 Big Sur以降が必要です。Chromiumを土台にしているため、Mac側の要求もそれに準じます。メモリは8GB以上が推奨で、開くサービスの数が多いほど余裕が要ります。これより古いMacの場合、料金や機能を比べる前に対象外となるため、Appleメニューの「このMacについて」でバージョンを先に確認してください。

いま導入するのと、少し待つのとではどちらがよいですか?

すぐに評価したい事情が無ければ、順次展開を待つほうが手間は少なくなります。新しい版は既存の利用者に数か月かけて届き、その際に Spaces・アプリ・ブックマークが引き継がれます。自分で先に新しい版を入れた場合は引き継ぎのない状態から作り直しになるため、設定に充てる時間を確保できるかどうかで決めてください。

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