WhatsAppをMacで使うをどう選ぶか|条件の見方

WhatsAppをMacで使う方法を調べると、アプリを入れる手順とWeb版を開く手順が並んで出てくる。どちらの手順も正しく、どちらも数分で終わる。それでも決められないのは、手順の比較では答えが出ない問いが先にあるからだ。この記事では道具を横に並べる代わりに、選ぶ前に答えるべき5つの条件を並べる。条件に答えた時点で候補は1つか2つに絞れていて、そのあとの作業は手順をなぞるだけになる。

選び方が難しく感じるのは、比較の順番が逆になっているから

道具を先に比べると、比較の軸が無限に増える。起動の速さ、見た目、メモリの使用量、拡張の有無。どれも違いはあるが、そのどれもが使う人の条件によって重みが変わるため、軸をいくら足しても決め手にならない。

順番を逆にすると短く済む。先に自分の側の条件を確定させ、その条件で動かない候補を落としていく。WhatsAppの場合、条件は5つに整理できる。端末の枠、番号の数、Macの使われ方、OSの版、通知の扱いの5つだ。この5つのうち3つは、答えた瞬間に候補が減る種類の条件になっている。

以下、1つずつ見ていく。それぞれの節の最後に、その条件で落ちる候補を書いておく。

条件1・リンクできる端末の枠はいくつ空いているか

WhatsAppのアカウントは電話番号に紐づいていて、Macで開いているものは電話に登録した「リンク済み端末」として扱われる。同時にリンクできるのは4台まで。この枠は思っているより早く埋まる。

数え方を具体的にする。Macのアプリで1枠。同じMacのブラウザでWeb版を開けば、それも別の1枠。iPadで開いていれば1枠。家に置いてある古いノートで開きっぱなしなら、それも1枠。この時点で4枠が埋まり、新しい追加は拒否される。

枠が残り1つしかない状態なら、選べる置き場所は自動的に1つだけになる。仕事用と個人用の番号を両方Macに置きたい場合は2枠必要なので、先に古い端末をログアウトさせて空ける作業が前提になる。

もう1つ、枠と並んで効く条件がある。電話を一定期間使わないと、リンク済み端末は一斉にログアウトされる。目安は14日。予備の電話に番号を入れて引き出しにしまっている運用だと、Mac側だけが定期的に切れることになる。この場合はどの置き場所を選んでも同じように切れるので、置き場所の比較ではなく電話の運用を先に直す。

枠の空け方も先に決めておく。心当たりのない端末が一覧に並んでいたら、その場でログアウトさせる。使っていない古いパソコンやタブレットが残っているだけのことが多く、ここを片付けるだけで枠は戻る。逆に、枠が全部埋まっていると新しい追加そのものが拒否されるため、置き場所の比較に入る前の作業になる。

この条件で落ちるのは、枠を2つ使う構成そのものだ。

条件2・使う番号は1つか、2つか

番号が1つなら、ここは飛ばしてよい。2つなら、この条件が置き場所をほぼ決める。

理由は保管場所にある。ログインの状態はCookieとサイトのデータで保たれていて、その保管場所が同じである限り、同じサイトに別人として入ることはできない。タブを2枚開いても、Webサイト側から見れば同じ訪問者のままになる。だから2つ目の番号を足すには、保管場所そのものを分ける必要がある。

分け方は3つある。1つ目はmacOSの機能でページを独立した窓として保存する方法。2つ目はブラウザのプロファイルを分ける方法。Google Chromeのヘルプには、プロファイルの役割がこう書かれている。

プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com

3つ目は、Webアプリを区画ごとに分けて持つ種類のブラウザを使う方法になる。この形はアプリごとに独立したワークスペースを前提にした作りで、同じサービスを別アカウントで2つ並べることが例外扱いされない。区画の切り方と、どこまでが分離されるのかはワークスペースのページに整理されている。

番号を2つ置く場合、通知の見分けも一緒に決めておきたい。2つを同じ種類の置き場所に並べると、通知の出どころの名前が同じになり、どちらの番号に来たのかが画面からは判断できない。置き場所の種類を変えるか、区画ごとに名前とアイコンが分かれる形にするかのどちらかで、この問題は消える。あとから直すと通知の許可を作り直すことになるので、最初の選定で決めておくほうが早い。

この条件で落ちるのは、1本で1アカウントしか持てない形の置き場所だ。

条件3・そのMacは自分だけのものか

自宅の共用Macや、家族と共有するデスクトップを使っている場合、選び方の基準が変わる。連絡の中身が見えることそのものよりも、ログインが残り続けることが問題になるからだ。

自分専用のMacであれば、常駐させて開きっぱなしにする形が最も手数が少ない。ログイン時に自動で開く設定にしておけば、起動のたびの操作はゼロになる。

共有のMacであれば、常駐は避けて、使い終わりに閉じられる形を選ぶ。macOSのユーザアカウントが分かれているなら、そもそも別の人のログインからは見えないので、この条件は消える。分かれていないなら、置き場所を選ぶより先に、macOS側のユーザアカウントを分ける方が効く。

会社から貸与されたMacの場合は、拡張機能やブラウザの設定が管理者のポリシーで制限されていることがある。入れられる道具に制約があるかどうかは、選定を始める前に情報システム部門に確認しておくと、比較の手間そのものが減る。

この条件で落ちるのは、共有のMacにおける「ログインしたまま常駐させる」構成だ。

条件4・Macの版はいくつか

古いMacを使っている場合、この条件が先に効く。App Storeの掲載ページに書かれている必要なOSは、macOS 12.1以降となっている。手元のMacがそれより古ければ、アプリを入れる道は最初から選べない。

版が足りないときの代わりは明快で、ブラウザでWeb版を開く形になる。Web版はOSの版に対する条件がゆるく、現行のブラウザが動く範囲で使える。古いMacを長く使う前提なら、最初からブラウザ側に寄せておいた方が、OSの更新に振り回されない。

逆に新しいMacなら、macOSの機能でページを独立した窓として保存する形も選べる。この機能はmacOS Sonoma 14以降で使える。つまり古いMacと新しいMacでは、そもそも並ぶ候補の数が違う。他人の記事の比較がそのまま当てはまらないのは、この差が書かれていないことが多いからだ。

この条件で落ちるのは、OSの版が足りない環境でのアプリ導入と、Sonomaより前の環境での窓の切り出しになる。

条件5・通知は鳴ってほしいのか、黙っていてほしいのか

最後の条件は、望む状態がはっきりしている割に、選定で見落とされやすい。

鳴ってほしい場合。通知の出どころは置き場所によって変わる。アプリならアプリの名前で、ブラウザのタブならブラウザの名前で、独立した窓なら窓の名前でmacOSの通知設定に並ぶ。集中モードで許可するアプリを指定している人は、置き場所を変えた時点で許可の設定を作り直す必要がある。この作り直しを忘れると、鳴るはずのものが黙る。

黙っていてほしい場合。ここは逆に、常駐しない置き場所が有利になる。開いていなければ通知は出ないので、見る時間を自分で決められる。1日に決まった回数だけ開く運用にしたいなら、ブックマークから開く形が最も素直だ。

未読の件数をアイコンに出したい場合は、許可を出す場所に注意が要る。macOSの機能で作った独立した窓では、通知の許可をSafariの中ではなくその窓の中で出したときに、Dockのアイコンに赤いバッジが出る仕組みになっている。許可を出す窓を間違えると、バッジだけが永久に出ない状態になる。

この条件で落ちる候補はない。代わりに、選んだあとの設定作業が1つ増える。

5つの条件を1枚に落とすと、候補は自然に絞れる

ここまでの条件を表にすると、選定はほぼ自動になる。

条件 向く置き場所 落ちる候補
枠が1つしか空いていない どれか1つだけ 2枠使う構成
番号が2つ 保管場所を分けられる形 1本1アカウントの形
共有のMac 閉じられる形 常駐させる形
macOSが12.1より古い ブラウザのWeb版 アプリ導入
通知を鳴らしたい 通知の設定を作り直せる形 なし

表を埋めるときは、いま実際にやっていることを書く。やりたいことではない。共有のMacを1人で使っている時間帯があるからといって、共有でないことにはならない。番号が2つあっても、2つ目を月に1回しか開かないなら、条件2は「1つ」として扱ったほうが構成は軽くなる。ここで希望を書き込むと、条件の意味が薄まって、結局また道具の比較に戻ることになる。

表の右端が空いている行が多い人ほど、選択肢は広い。逆に2行以上で候補が落ちる人は、実質的に道が1本しか残らない。比較記事を何本読んでも決まらなかったのは、自分の条件で既に道が1本になっていることに気づいていなかったからということが起こる。

料金表に出てこない3つのコストを、条件と一緒に数える

条件で候補を絞ったあと、最後に残った2つで迷うことがある。そのときに効く見方が3つある。どれも料金表には出てこない。

1つ目は、注意が取られる量だ。常駐する置き場所は、Dockに1区画を持ち、通知の出どころを1つ増やす。1日に何度も開くなら、その常駐は仕事をしている。週に2回しか開かないなら、同じ常駐が「念のため」の在庫として注意だけを取り続ける。開く回数を1週間だけ数えてみると、この判断は数字で決まる。

2つ目は、設定をやり直す手間だ。置き場所を変えると、macOSの通知設定に並ぶ名前が変わり、集中モードの許可も作り直しになる。カメラとマイクの許可はアプリ単位で記録されるため、通話を使う人は移行のあとに一度出し直すことになる。1回あたり数分で終わるが、置き場所を何度も変えるとこの数分が積み上がる。だから試す候補は2つまでに絞って、決めたら動かさない方が結果的に速い。

3つ目は、移行の手間そのものだ。会話の履歴は電話の側にあるので持ち運びは不要だが、リンク済み端末のログアウトと再登録は毎回発生する。電話を手元に置いていない時間帯に移行を始めると、QRコードの読み取りができずに止まる。移行は電話が手元にある日にまとめる。

決めたあとの確認は3つで足りる

候補を1つ選んだら、合否は3つの確認で決まる。長いテストは要らない。

  • 通知が出るか。相手に短い返信を1通もらうか、別の端末から自分宛に送って、ロック画面と通知センターの両方に出るところまで見る
  • 通話が鳴るか。静かな時間帯に一度だけ着信を受けて、カメラとマイクの許可を先に済ませておく
  • Macを再起動しても残るか。再起動のたびに読み取りを求められる構成は、日常の運用に向かない

3つとも通れば、その置き場所で問題ない。どれかで止まったら、条件のどこかを取り違えている可能性が高いので、5つの条件に戻って読み直す。

連絡が1つだけか、並びの1つかで、見る対象が変わる

最後に、条件の外側にある分かれ道を1つ。WhatsAppを単独で扱いたいのか、それとも他のWebアプリと並ぶ「連絡手段の1つ」として扱いたいのかで、比べる対象そのものが変わる。

単独で扱うなら、比較の対象はmacOSとブラウザの標準機能に限られる。追加の出費はなく、選定に使う時間も短い。

並びの1つとして扱うなら、比較の対象はWebアプリを集める種類のブラウザになる。この場合に見る行は3つで足りる。扱える区画の数、同じサービスを複数アカウントで並べられるか、月額の有無だ。どのサービスがその形で動くかは使えるアプリの一覧で先に照合でき、自分が毎日開く並びが収まるかどうかが分かる。同じ種類の道具を横に並べた比較はShiftとの比較に行ごとに整理されていて、有料と無料の線引きは料金で確認できる。判断に迷う細かい点はよくある質問にまとまっている。

選定の作業としては、条件5つに答えるのに10分もかからない。そのあとに残った候補を試すのは1つか2つで済む。道具から入ると終わらない作業が、条件から入ると午前中に終わる。

よくある質問

選ぶ前に、いま何台リンクしているかはどこで確認できますか?

電話の側にあるリンク済み端末の一覧で確認します。Macやタブレット、以前使っていたパソコンが残っていることが多く、心当たりのない端末が並んでいたらその場でログアウトさせます。同時にリンクできるのは4台までなので、新しい置き場所を試す前に枠を空けておくと、追加が拒否されずに済みます。

仕事用と個人用の番号を分けるのに、Macを2台用意する必要はありますか?

必要ありません。1台のMacでも、ログイン情報の保管場所を分ければ2つの番号を同時に開けます。macOSの機能でページを独立した窓として保存する方法、ブラウザのプロファイルを分ける方法、区画ごとに分かれるブラウザを使う方法のいずれかになります。ただし端末の枠は2つ消費します。

古いMacでも使えますか?

App Storeの掲載ページに書かれている必要なOSはmacOS 12.1以降なので、それより古い場合はアプリを入れられません。ブラウザでWeb版を開く形なら、現行のブラウザが動く範囲で使えます。古いMacを使い続ける予定なら、最初からブラウザ側で運用した方が、OSの更新に左右されません。

置き場所を変えると費用はかかりますか?

WhatsApp自体はアプリもWeb版も無料で、Macで使うこと自体に追加の料金はありません。費用が出るとすれば、複数のWebアプリを1つの窓に集める種類の道具に月額がある場合です。単独で窓に切り出すだけなら、macOSとブラウザの標準機能で足りるため、出費は発生しません。

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