WhatsAppをMacで使うの代わりになるもの|手放してよい機能
MacのDockに常駐しているアプリの数を数えると、実際に1日で開いているのはその半分以下、ということが起こる。WhatsAppをMacで使うために入れたアプリも、そうなりやすい側にいる。海外の取引先や家族との連絡が週に数回なのに、起動のたびにメモリを持ち、通知を出し、Dockの一区画を占め続けている。この記事では、MacでWhatsAppを開く手段を4つに分け、アプリを手放したときに実際に消える機能と、消えたように見えて別の場所に残る機能を切り分ける。読み終えたときに決まるのは「乗り換えるかどうか」ではなく、自分の使用頻度に対して、どの置き場所が釣り合っているかという一点になる。
MacでWhatsAppを開く手段は4つに分かれる
候補は大きく4種類ある。並べると、それぞれが解いている問題が違うことが見えてくる。
1つ目は、App Storeなどから配布されているMac向けのアプリを入れる方法。提供元はWhatsApp Inc.で、アプリ本体の価格は無料になっている。
2つ目は、ブラウザでweb.whatsapp.comを開き、タブの1つとして持つ方法。何も入れずに済むが、タブの海に沈む。
3つ目は、そのページをブラウザからウィンドウとして切り出す方法。macOS Sonoma 14以降のSafariには、開いているページをDockに置いて独立した窓にする機能があり、Chromeにも同じようにページをアプリの形で開く仕組みがある。
4つ目は、Webアプリを1つの窓に集めて使う種類のブラウザに置く方法。WhatsAppだけを独立させるのではなく、Gmail・Slack・Notionなどと同じ棚に並べて、行き来を1つの窓の中で完結させる考え方になる。
| 手段 | 入れるもの | Dockの常駐 | 通知の出どころ | 2つ目のアカウント |
|---|---|---|---|---|
| Mac向けアプリ | アプリ1本 | する | アプリ | 1本では不可 |
| ブラウザのタブ | なし | しない | ブラウザ | プロファイルを分ければ可 |
| ウィンドウとして切り出す | なし(機能で作る) | する | 切り出した窓 | 窓ごとに分けられる |
| Webアプリを集めるブラウザ | ブラウザ1本 | する | 集約した窓 | 区画ごとに分けられる |
表で見ると、Mac向けアプリだけが「1本につき1アカウント」の列で止まっている。ここが、代わりを探し始める人の出発点になっていることが多い。
どの手段を選んでも動かない前提が3つある
手段を替えても変わらない条件を先に押さえておくと、比較が短く済む。
1つ目。WhatsAppのアカウントは電話番号に紐づいていて、本体はあくまで電話の側にある。Macで開いているものは、電話に紐づけた「リンク済み端末」という位置づけになる。配布ページにも、アカウントの登録と新しい端末の追加には引き続き電話が必要だと書かれている。
2つ目。リンクできる端末の数には上限があり、同時に使えるのは4台までとされている。Macのアプリ、ブラウザのWeb版、iPad、古いノートを順に足していくと、この枠は思ったより早く埋まる。
3つ目。電話を一定期間使わないと、リンク済み端末はログアウトされる。目安として示されているのは14日で、電話を機内モードのまま引き出しに入れている状態が続けば、Mac側だけ先に切れる。
この3つは、Mac側を何に替えても同じように効く。つまり「アプリをやめたら不安定になるのでは」という心配の大半は、手段の違いではなく電話側の条件で決まっている。
アプリを手放したときに実際に消えるもの
消えるものは、機能そのものよりも「置き場所」に近い。
- 起動の速さ。常駐しているアプリは前面に出すだけで済むが、ブラウザのタブは開き直す手間が1手増える。1日に20回開くなら効いてくるし、3回なら誤差になる
- Dockの未読バッジ。ここは条件付きで残る。Safariでページを独立した窓として切り出した場合、未読の件数がアイコンに赤いバッジとして表示される仕組みが用意されている。ただしその通知の許可は、Safariの中ではなく切り出した窓の側で出す必要がある
- 通知の出どころ。アプリを消せば、通知はブラウザまたは切り出した窓から出るようになる。macOSの通知設定に並ぶ名前も変わるので、集中モードの許可リストを作り直す必要がある
- 通話と画面共有の呼び出し口。音声と映像のやり取りは、どの手段でもカメラとマイクの許可が前提になる。許可はアプリ単位で記録されるため、手段を替えた直後は一度出し直しになる
逆に消えないものもはっきりしている。過去のやり取りは電話の側にあり、Mac側は表示の窓でしかない。だからMac上の手段を入れ替えても、会話が消えることはない。ここを不安に思って決められない人が多いが、心配する対象はMacではなく電話の方になる。
手放してよい機能は、使用頻度の3つの型で見分ける
同じ「WhatsAppをMacで使う」でも、必要な常駐の度合いは3つに割れる。
1日に開くのが3回以下で、相手も即答を期待していない型。この場合、常駐しているアプリが持つ利点はほぼ使われていない。ブラウザのブックマークから開く形に落としても、失うのは数秒の待ち時間だけになる。Dockが1区画空き、通知の断りも1件減る。
半日以上つなぎっぱなしで、返信が数分単位の型。この場合は、タブの中に置くと沈むので、独立した窓の形が向く。ここで効くのは常駐そのものではなく、他のタブに埋もれないことだ。
通話を受ける側にいる型。相手からの着信を取りこぼせない立場なら、通知が確実に鳴る構成を優先する。手段を替えるときは、静かな時間帯に一度テスト通話をして、着信音と画面が出るところまで確かめておく。
3つのどれにも当てはまらない場合、たいていは「念のため入れてある」だけの状態になっている。念のための常駐は、注意の面では安くない。
2つ目のアカウントが要るなら、アプリ以外の方が動きやすい
仕事用の番号と個人用の番号を両方Macで開きたい、という要望はよく出る。ここは手段によって可否がはっきり分かれる。
ログイン状態を決めているのはCookieとサイトのデータで、その保管場所が同じである限り、同じサイトに別人として入ることはできない。タブを2枚開いても、サイト側から見れば同じ訪問者のままになる。だから2つ目の番号を足すには、保管場所そのものを分ける必要がある。
Safariでページを独立した窓として切り出す仕組みは、この点で使える作りになっている。
閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。 出典: support.apple.com
Chromeでプロファイルを分ける方法も同じ考え方で、プロファイルごとにログイン情報が別に保たれる。Webアプリを集める種類のブラウザなら、区画ごとに保管場所を分ける作りが標準になっているものが多く、同じサービスを別アカウントで2つ並べることが前提になっている。アプリごとに独立したワークスペースという言い方をするのはこの部分で、何ができるかはワークスペースのページに、区画の分け方と使い分けの考え方がまとめられている。
ただし注意点が1つある。2つ目の番号を足すと、リンク済み端末の枠も2つ使う。上限の4台に対して、Macだけで2枠を消費する形になるので、iPadや2台目のノートを併用している人は先に枠を数えておく。
提供の終わったもの、記載が変わったもの
代わりを探すときは、値段と機能だけでなく、提供が続いているかどうかも見ておくと判断が早い。
- Mac向けには以前、Webの技術で作られたデスクトップアプリが配布されていたが、これは提供が終わり、現在の形のアプリに一本化された。古い記事の手順が通らない原因はここにあることが多い
- アプリ本体の価格は無料のままで、Mac向けの配布に追加料金は設定されていない
- 提供元はWhatsApp Inc.で、この記事の執筆時点で配布の主体は変わっていない
- 必要なmacOSの記載には差がある。配布ページ側にはmacOS 11以降と書かれている一方、App Storeの掲載ページ側はmacOS 12.1以降となっている。手元のMacに入らないときは、まずこの差を疑う
年式の古いMacで詰まった場合、アプリを入れる道は諦めて、ブラウザから開く道に切り替えた方が早い。Web版はOSの版に対する条件がゆるく、ブラウザが動く範囲で使える。
置き場所を決めてから道具を選ぶと、比較が短くなる
代わりを探す作業が長引くのは、道具を先に比べているからだ。順番を逆にして、置き場所を決めてから道具を選ぶと、候補は自然に絞れる。
WhatsAppを単独で置きたいなら、独立した窓にするのが最短になる。追加の出費がなく、macOSの機能だけで足りる。一方、WhatsAppがGmailやSlackやNotionと並ぶ「連絡の1つ」でしかないなら、単独で切り出しても行き来の回数は減らない。減らしたいのが窓の数そのものなら、集める側の道具を見ることになる。どのサービスがその形で動くかは使えるアプリの一覧で確認でき、対応の範囲が自分の並びと合うかどうかを先に照合できる。
集める道具を比べるときは、月額の有無、扱える区画の数、同じサービスを複数アカウントで並べられるかの3行で足りる。同じ種類の道具を横に並べた比較はWaveboxとの比較にあり、どこが同じでどこが違うかが行ごとに整理されている。有料と無料の線引きがどこに引かれているかは料金で確認できる。
最後に、手放す前の確認を1つ。アプリを消す作業は、電話側のリンク済み端末の一覧からログアウトさせるところまでを含める。Macからアプリを削除しただけでは、リンクの枠が残ったままになることがある。枠を空けてから次の手段を足す、という順番にしておくと、4台の上限に当たらずに移行できる。
よくある質問
Mac向けのアプリをやめると、過去のやり取りは消えますか?
消えません。やり取りの本体は電話の側にあり、Mac上の手段はそれを映す窓として動きます。アプリを削除しても、ブラウザや別の窓から同じアカウントにつなぎ直せば、そのまま続きを見られます。ただし電話側のバックアップの設定は別の話なので、機種変更の前には電話側で確認しておきます。
ブラウザで開くとログインし直す手間が増えませんか?
毎回の再ログインは通常ありません。切れる主な条件は、電話を14日使わないことと、リンク済み端末の上限4台を超えて新しい端末を足すことの2つです。手段をアプリからブラウザに替えたこと自体が、切れやすさの原因になるわけではありません。
2つの番号をMacで同時に開くには何が必要ですか?
ログイン情報の保管場所を分ける必要があります。Safariでページを独立した窓として切り出す方法、Chromeでプロファイルを分ける方法、区画ごとに保管場所を分けるブラウザを使う方法のいずれかになります。2つ開くとリンク済み端末の枠を2つ使う点にも注意します。
代わりの手段に替えると費用はかかりますか?
WhatsApp自体はアプリも無料で、Web版にも料金はありません。費用が出るとすれば、複数のWebアプリを集める側の道具に月額がある場合です。単独で窓に切り出すだけなら、macOSやブラウザの標準機能で足りるため追加費用は発生しません。