Gmail 複数アカウントをアプリでまとめる|Macのメールで詰まる場所

MacのメールアプリにGmailを3つ登録する作業は、5分もかかりません。サイドバーに3つのアカウントが並び、「全受信」が1つの一覧になり、ブラウザのタブを行き来する手間は消えます。ここまでは期待どおりに動きます。

引っかかるのはそのあとで、しかも場所が決まっています。アーカイブのつもりで押した削除が、Gmailで見ていたときと違う動きをする。返信が意図しないアドレスから出ていく。通知は「新着メールがあります」とだけ伝えて、3つのうちどのアカウントに届いたのかは教えてくれません。どれも不具合ではありません。Gmailの考え方と、メールアプリが話すIMAPの考え方が噛み合っていない場所です。gmail 複数アカウントアプリという形が自分に合うかどうかは、この噛み合わない場所を先に知っているかどうかで決まります。

アカウントの追加そのものは数分で終わる

macOS Venturaより後のバージョンでは、システム設定のインターネットアカウントからGoogleを選びます。メールアプリのメニューからアカウントを追加する経路でも同じです。ログインはGoogleの画面に切り替わってOAuthで行われるので、2段階認証はそのまま通り、アプリパスワードを作る必要もありません。

ログインが終わると、そのアカウントで何を使うかを聞かれます。メール・連絡先・カレンダー・メモの4つです。カレンダーを別の場所で見ているなら、メールだけを有効にしておくのが扱いやすい形になります。3つ分の連絡先が1つのアドレス帳に混ざるのを避けられるためです。

追加できるアカウント数に公表された上限はありません。実際の頭打ちは別のところから来ます。アカウントごとにメールの複製がMacの中に降りてくるので、履歴の長いアカウントを3つ入れると容量をかなり使います。メールアプリの設定にあるアカウント情報で「添付ファイルをダウンロード」を「最近のもの」または「しない」に変えておくと、優先度の低いアカウントの分を抑えられます。

「全受信」が並べているものの中身

全受信はメールボックスではなく表示の仕方です。有効にした全アカウントの受信箱を時系列で重ねて見せているだけで、1通ごとにどのアカウントのものかという情報は残っています。この違いが、一見ばらばらに見えるいくつかの挙動を説明します。

届いたメールへの返信は、そのメールを受け取ったアカウントから出ていきます。これが既定の動きで、ブラウザに3つのアカウントを重ねている状態より安全な理由がここにあります。切り替えメニューの場合、いま画面に出ているアカウントが送信元になるので、直前に何を見ていたかで結果が変わります。

一方、新規作成は違います。差出人の欄で選ばれているアカウントから送られ、その初期値は作成の設定で決まります。この設定で身元を間違えるのが、この形でいちばん多い事故です。返信は安全で、新規作成だけが危ないと覚えておくと防げます。

スマートメールボックスはアカウントをまたいで条件で絞り込めるので、3つのうち2つの未読だけを1つの一覧にする、といった作り方ができます。VIPも同じくアカウントをまたいで働きます。

ラベルとフォルダのずれが出る3か所

Gmailはラベルで動いています。1通のメールに複数のラベルを付けられ、どのラベルが付いていても実体は「すべてのメール」にあります。IMAPはフォルダで動いていて、1通のメールは1か所にしかありません。メールアプリはIMAPを話すため、Gmailはラベルをフォルダとして見せます。ずれが表に出るのは3か所です。

1つ目は重複です。2つのラベルが付いたメールは2つのフォルダに現れ、さらに「すべてのメール」にもあります。検索すると同じメールが何度も並ぶことがありますが、サーバー上では1通です。3アカウント分を横断して検索すると、想像より長い一覧が返ります。

2つ目は削除とアーカイブの違いです。Gmailのアーカイブは受信トレイのラベルを外すだけで、メールは残ります。IMAPの削除はゴミ箱への移動です。メールアプリで削除キーを押したときにどちらが起きるかは、Gmail側の設定で決まっています。ウェブのGmailで設定を開き、「メール転送とPOP/IMAP」の中にあるIMAPの項目です。

メッセージに削除のマークを付けた場合: アーカイブする/ゴミ箱に移動する/すぐに完全に削除する 出典: support.google.com

ここをアカウントごとに意識して決めておけば、いちばん怖い形、つまり「アーカイブされると思って押した削除でメールが消える」は起きません。3つのアカウントで設定がばらついていると、同じ操作なのにアカウントによって結果が変わります。

3つ目はメールボックスの割り当てです。メールアプリの設定にある「メールボックスの特性」で、下書き・送信済み・迷惑メール・ゴミ箱をサーバー側のどのフォルダに対応させるかを指定します。ここが未設定のままだと、下書きがMacの中だけに保存されて、スマートフォンのGmailからは見えません。アカウントごとに1回確認しておく価値があります。

差出人を間違えないための設定

登録したGoogleアカウントには、それぞれ専用の送信サーバーが自動で用意されます。3アカウントなら3つです。ここは何もしなくても揃います。

揃わないのはエイリアスです。Gmailの設定で「名前」の欄に追加した送信元アドレスは、メールアプリ側にも登録しないと差出人の一覧に出てきません。メールアプリの設定でアカウント情報を開き、メールアドレスの一覧を編集して追加します。追加すると差出人のメニューに並び、送信はそのアカウントのサーバーを通ります。

見落としやすい条件がもう1つあります。エイリアスはGmail側で確認済みになっている必要があります。メールアプリは入力しただけで一覧に載せますが、未確認のアドレスからの送信はGoogleが拒否するので、設定の時点ではなく送信の瞬間に失敗します。使う前に1通テストしておくのが確実です。

通知はアプリ単位、例外は集中モード

macOSの通知はアプリ単位です。メールアプリは3つのアカウントを抱えた1つのアプリなので、届く通知にはメールアプリの名前とアイコンが付きます。設定の一般にある通知の対象は、受信箱のみ・VIPのみ・連絡先・すべてのメールボックスから選べますが、これはアプリ全体に効く設定で、アカウントごとには分けられません。

例外は集中モードです。macOSの集中モードにはメールアプリ用のフィルタがあり、どのアカウントの通知を通すかを選べます。仕事の時間帯だけ個人のGmailを黙らせる、という使い方はこれで足ります。

足りないのはその先です。Dockのアイコンに付く未読の数字は3アカウントの合計で1つですし、通知の見た目はどのアカウントから来ても同じです。時間帯ではなく優先順位で分けたい場合、つまり「この取引先だけは会議中でも割り込ませたい」という要求は、3つのアカウントを内側に抱えた1つのアプリでは表現できません。それができるのは、macOSから見て別のアプリとして扱われる入れ物です。Webアプリを1つずつ別の窓で動かす考え方はワークスペースにまとまっていて、通知とアイコンがアカウント単位になる理由もそこで説明されています。この形の中心にあるのはアプリごとに独立したワークスペースという考え方です。

検索とルールは、置き場所が変わる

3つのアカウントを1つのアプリに入れると、メールの探し方が両方向に変わります。

良くなるのは横断の検索です。メールアプリが取り込んだ分はSpotlightの索引に入るので、3アカウントをまたいだ検索が一度で済み、オフラインでも動きます。添付ファイルを探すためにタブを3つ開いていた作業は、ここで消えます。

不便になるのは条件の細かさです。ラベル・サイズ・添付の有無・期間で絞り込むGmailの検索演算子は、メールアプリの検索欄では使えません。メールアプリには独自の絞り込みがありますが、対象はMacに降りてきた範囲だけです。添付のダウンロードを「最近のもの」にしたアカウントでは、ウェブのGmailで同じ条件を実行したときより結果が少なくなります。

ルールも同じ構図です。メールアプリのルールはMacの上で動き、Macが起きていてメールアプリが開いているあいだだけ働きます。Gmailのフィルタはサーバーで動くので、スマートフォンでも常に効きます。仕分けとラベル付けはサーバー側に置き、メールアプリのルールは音を鳴らすなどその機に固有の処理に限るのが、事故の少ない分け方です。

結果として、メールアプリは読んで返す場所、ウェブのGmailは整理する場所になります。この分担自体は無理のない形ですが、意識して決めておかないと、どちらを開いたままにするかで毎回迷うことになります。

メールアプリの外に残るもの

メールアプリが引き受けるのはメールだけで、アカウントの残りは元の場所に残ります。

Macのメールアプリ ブラウザのGmail アカウントごとに窓を分ける
全アカウントを1つの一覧で見る 見られる 見られない 見られない
返信が受信したアカウントから出る 出る 直前の画面による 出る
ラベルやフィルタを編集する できない できる できる
スヌーズや検索演算子を使う 使えない 使える 使える
ドライブやカレンダーも同じ場所 同じ 同じ
アカウントごとのアイコンと未読数 1つに合算 1つに合算 分かれる
通知をアカウントで分ける 集中モードのみ 分けられない 分けられる

サーバー側のフィルタとラベルはメールアプリが知らなくても動き続けますが、内容を直すにはウェブのGmailに戻る必要があります。スヌーズやGmail独自の検索演算子、カテゴリのタブも使えません。Google Workspaceの管理者が接続できるクライアントを制限している場合もあり、その環境では選択そのものが本人の手を離れます。

そして、届いていたのはメールだけではないはずです。3つのGoogleアカウントで働く日は、たいてい3つ分のドライブと3つ分のカレンダー、それにチャットのワークスペースが1つか2つ動いています。メールアプリはメールの問題をきれいに解きますが、残りはブラウザのタブに置かれたままです。Webアプリを窓ごとに分ける道具を比較しているなら、対応サービスと料金の違いを並べたShiftとの比較が判断の材料になります。どのサービスが専用の窓で動くようにしてあるかは使えるアプリで確認できます。

先に決めるのは、削除キーの意味

実際の仕事をメールアプリへ移す前に、アカウントごとにIMAPの削除の動きとメールボックスの特性を決めてください。この2つが、削除キーを押したときにメールがどこへ行くかを決めています。次に、確認済みのエイリアスをメールアドレスの一覧へ登録します。差出人のメニューに正しい身元が並べば、新規作成での取り違えは起きなくなります。

そのうえで残る問題が「3つとも同じ名前と同じ未読数で通知してくる」ことなら、それはメールアプリが解く設計になっていない部分です。分ける場所は受信箱ではなく、macOSがそれぞれを別のアプリとして扱うかどうかに移ります。

よくある質問

MacのメールアプリにGmailはいくつまで登録できますか?

公表された上限はなく、3つ以上を登録している構成は珍しくありません。実際の制約は保存容量と検索の索引で、アカウントごとにメールの複製がMac側に降りてくるためです。使用頻度の低いアカウントは、添付ファイルのダウンロードを「最近のもの」にしておくと負担を抑えられます。

メールアプリで削除したのにGmailではアーカイブされるのはなぜですか?

削除の意味をGmail側が決めているためです。ウェブのGmailの設定にある「メール転送とPOP/IMAP」で、メッセージに削除のマークを付けたときの動きをアーカイブ・ゴミ箱・完全削除から選べます。メールアプリはその設定に従うので、アカウントごとに違う動きになることがあります。

検索すると同じメールが何度も出てくるのはなぜですか?

Gmailはフォルダではなくラベルで動いており、2つのラベルが付いたメールは両方のフォルダに現れ、さらに「すべてのメール」にも存在します。メールアプリはそれぞれを別のIMAPフォルダとして扱うため、同じメールが複数回並びます。サーバー上では1通なので、複製が増えているわけではありません。

Gmailのエイリアスを差出人に使うにはどうすればよいですか?

先にGmailの設定の「アカウントとインポート」で送信元アドレスとして追加し、確認を済ませておきます。そのうえでメールアプリの設定のアカウント情報を開き、メールアドレスの一覧に同じアドレスを追加すると、差出人のメニューに現れます。未確認のまま送ると送信の時点で拒否されます。

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