chromeプロファイルとアカウントの違い|混ざる原因はここにある
chrome プロファイルアカウント違いを調べている人は、たいてい設定画面の言葉が噛み合わなくて止まっている。プロファイルを追加する画面でGoogleアカウントのログインを求められ、アカウントを切り替える画面にもプロファイルの名前が並ぶ。似た言葉が同じ場所に出てくるので、同じものだと思ってしまう。実際には層が違い、分けたときに直る不便もそれぞれ別になる。
2つの言葉が指しているもの
プロファイルは、Chromeが1人分の設定として抱えているデータの入れ物になる。Cookieとログイン状態、ブックマーク、履歴、保存したパスワード、拡張機能とその設定、開いていたタブの復元情報、既定の検索エンジン、サイトごとの通知許可までが、この入れ物の中に入っている。ディスク上でも別のフォルダとして保存され、片方を消してももう片方には影響しない。
Googleアカウントは、その入れ物の中でサービスにログインするための資格情報になる。メールアドレスとパスワード、二段階認証の手段、そこに紐づくGmailやドライブのデータを指す。Chromeとは独立して存在し、SafariでもFirefoxでもスマートフォンでも同じアカウントが使える。
つながりは1方向になる。プロファイルの中でGoogleアカウントにログインする、という関係だ。逆はない。Googleアカウントの側からプロファイルを作ることはできないし、アカウントを削除してもプロファイルは残る。
Chromeのヘルプは、プロファイルの役割をデータの分離として説明している。
プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com
分離の対象として挙がっているのは、すべてChrome側が持つデータになる。アカウントそのものは対象に入っていない。
数の関係は1対1ではない
ここが混乱の中心になる。プロファイルとGoogleアカウントの関係は、1対1に見えて実際は違う。
- Googleアカウントにログインしないままプロファイルだけを作れる。ローカルのブックマークと拡張機能だけを持つ入れ物になり、検証用や共用端末の一時利用に使われる
- 1つのプロファイルの中で複数のGoogleアカウントに同時ログインできる。仕事用と個人用のGmailを同じ窓のタブで並べる形がこれにあたる
- 同じGoogleアカウントを複数のプロファイルでログインすることもできる。同期をオンにすると、ブックマークと拡張機能が両方に降りてくる
このうち2つ目が、日常でいちばん厄介な副作用を生む。同時ログインしているアカウントには順番が付き、URLの中で0番、1番と管理される。ブックマークに/u/1/のような番号付きのURLを保存すると、あとからログインの順番が変わったときに別のアカウントを開くようになる。プロファイルは分けていないので、Cookieの保存先は1つのまま。番号のずれを吸収する仕組みがない。
分けたときに直るものが違う
どちらを分けるかで、直る不便が変わる。
Googleアカウントを分ける、つまり同じプロファイルの中でアカウントを追加する形だと、直るのはメールやドライブの中身の分離になる。仕事用のメールと個人用のメールが混ざらない。直らないのは、拡張機能とCookieと履歴の共有になる。同じプロファイルなので、拡張機能はどちらのアカウントの画面でも同じように動くし、履歴は1つの列に並ぶ。片方のアカウントで使っている業務用の拡張機能が、個人用の画面も読める状態になる。
プロファイルを分けると、直るのはCookieと拡張機能と履歴の分離になる。それぞれが独立した入れ物になるので、片方の拡張機能はもう片方の画面を読めない。既定アカウントの番号も入れ物ごとに独立するので、URLのずれも起きない。直らないのは、Dockのアイコンが1つのままであること、そしてChrome本体のバージョンやシステムの証明書といったOSに属する設定が共通であることになる。
判断の基準はここに置ける。中身が混ざるのが困るならアカウントを分ける。ログイン状態と拡張機能が混ざるのが困るならプロファイルを分ける。両方が困るなら、プロファイルを分けたうえでその中に1つのアカウントだけを置く形になる。
同期をどちらの層に効かせるか
もう1つ混同されやすいのが同期になる。Chromeの同期は、プロファイルの中身をGoogleアカウントに預けて、他の端末で同じ状態を再現する機能だ。つまり、プロファイルという入れ物の中身を、アカウントという層に紐づけている。ここでも2つの層が交差する。
同期をオンにすると、ブックマーク、履歴、パスワード、拡張機能、開いていたタブ、設定がGoogleアカウント側に保存される。別のMacで同じプロファイルを作り、同じアカウントでログインすれば、同じ状態が降りてくる。便利だが、副作用も同じ場所から出る。
- 個人用のアカウントで同期をオンにしたまま業務用のプロファイルを使うと、業務で開いた履歴が個人のアカウントに残る
- 会社が管理しているアカウントでは、同期の項目を管理者が止めていることがある。降りてこないのは不具合ではなく設定になる
- 同期は「プロファイルの中身」を運ぶので、プロファイルを分けても同じアカウントで同期していれば拡張機能は両方に入る。分けたつもりが揃ってしまう
同期をどう設定するかは、分ける目的から逆算して決めたい。端末をまたいで同じ状態を使いたいならオン、その入れ物を1台に閉じ込めたいならオフになる。分けているのに混ざる、という状態の一部はここから来ている。
実務でよくある3つの型
読者の状況は、だいたい次の3つのどれかに当てはまる。
- 型1、アカウントが2つでプロファイルは1つ。個人と仕事のGmailを同じ窓で行き来している。手軽だが、番号付きURLのずれと拡張機能の共有という2つの問題を常に抱える。切り替えが週に数回なら実用上は困らない
- 型2、プロファイルが2つでそれぞれに1アカウント。ログイン状態も拡張機能も分かれる。分離としてはきれいだが、拡張機能を入れる手間が倍になり、Dockでの見分けが付かなくなる
- 型3、プロファイルが4つ以上。取引先ごと、案件ごとに分けている状態。分離は完全だが、今どの窓を見ているのかを判別する手がかりが足りず、窓を巡る操作の回数が増える
型1から型2へ移るのは、拡張機能の共有が具体的に困り始めたときになる。業務用の管理画面を読む拡張機能を入れたら、個人のSNSも同じ拡張機能が読める状態になっている、と気づいた時点が目安だ。
型2から型3へ移るときは、増えるコストを先に見積もりたい。プロファイルを4つ作り、よく使う拡張機能が6個あるなら、インストールの操作は24回になる。同期をオンにして同じGoogleアカウントで揃えれば減らせるが、プロファイルごとに別のアカウントを使っているならその手は使えない。
拡張機能が読める範囲という観点
分ける判断を安全の側から見ると、答えが変わることがある。拡張機能はインストールされたプロファイルの中で、そのプロファイルが開いているページを読める。ページ全体の読み取り権限を持つ拡張機能なら、業務用のアカウントで開いた管理画面も、個人用のアカウントで開いたSNSも、同じように読める。
アカウントだけを分けている型では、この境界が引かれない。仕事用のGmailと個人用のGmailを同じプロファイルの中で行き来している限り、拡張機能から見ればどちらも同じ入れ物の中の1枚のページになる。中身は分かれているのに、読める範囲は分かれていない。
プロファイルを分ければ、この境界が引かれる。業務用のプロファイルに入れた拡張機能は、個人用のプロファイルのページを読めない。取引先の情報を扱うアカウントと、素性の分からない拡張機能を試すアカウントは、この理由だけでも分ける値打ちがある。
判断の目安としては、扱っている情報の性質を見るとよい。顧客の個人情報や契約書に触れるアカウントがあるなら、そのアカウントは専用のプロファイルに置き、そこに入れる拡張機能は最小限にする。便利さのために入れている拡張機能は、別のプロファイルに置けばよい。
分けても残る、最後の不便
プロファイルもアカウントも分け終えた人が最後に行き着くのは、識別の問題になる。Dockに並ぶChromeのアイコンは1つのままで、プロファイルを4つ使っていてもアイコンは増えない。アプリを巡るキーを押すと、プロファイルが違う窓もすべて同じ列に並ぶ。ミッションコントロールで俯瞰しても、タブの中身を読むまでどれがどれか分からない。
データは分かれている。分かれていないのは、目の前の窓がどの入れ物なのかを一目で判別する手がかりのほうだ。プロファイル作成時に色を割り当てる機能はこの補助になるが、窓の端に細く出るだけなので、視界の端では区別が付きにくい。
行き来が1日に30回を超えているなら、増えているのは操作ではなく判断の回数になっている。この段階では、プロファイルを増やしても効きが鈍い。効くのは、Webアプリとアカウントのそれぞれに独立した窓とセッションを持たせて、OSの側から別のものとして扱えるようにする形になる。
言葉のずれが招く実務のミス
2つの層を混同したまま作業を進めると、具体的な形でミスが出る。よくあるのが次の3つになる。
1つ目は、プロファイルを削除すればアカウントも消えると思って操作してしまうこと。実際にはアカウントはサーバ側に残り、消えるのはローカルのデータだけになる。逆に、端末を手放すときに「アカウントからログアウトしたから安心」と考えると、プロファイルの中に残った履歴やCookieはそのまま残る。手放す前に消すべきなのはプロファイルのほうになる。
2つ目は、共有端末での取り違えになる。ゲストモードを使わずに自分のプロファイルを貸すと、相手はそのプロファイルに入っているすべてのログイン状態を使える。アカウントのパスワードを教えていなくても、ログイン済みの状態はそのまま渡っている。
3つ目は、引き継ぎのときの説明になる。担当を交代するときに「アカウントを渡した」と言っても、相手の端末には拡張機能もブックマークも無い。渡したのは資格情報だけで、作業環境は渡っていない。環境まで渡したいなら、必要な拡張機能とブックマークの一覧を別に共有する必要がある。
どれも、どちらの層の話をしているのかを1度確認すれば防げる。設定を触る前に「これはデータの入れ物の話か、資格情報の話か」と一言置くだけでよい。
入れ物の単位を作り直す
Webアプリごとに別の入れ物を持たせる考え方では、Gmailの入れ物とSlackの入れ物とNotionの入れ物がそれぞれ独立したセッションを持つ。同じサービスの別アカウントも、並べて置ける別の入れ物として扱われる。プロファイルとアカウントという2層を意識せずに済むのは、この形が「アプリ×アカウント」を1つの単位にしているからになる。
アプリごとに独立したワークスペースがどう組まれているかはできることにまとまっている。取引先ごとにアプリの組を1つの単位として切り替える考え方はワークスペースが扱っていて、調べ物と手元の作業を同じ窓の中で片付ける形はターミナルにある。
同じ用途の製品を並べるなら、値段より先にセッションの持ち方と対応OSを見たほうが判断が早い。多機能な製品との違いはWaveboxとの比較に、対応サービスの数で選ぶ系統との違いはShiftとの比較に、無料で始められる系統との違いはRamboxとの比較にある。手元のGmailやSlackが対象に入っているかは使えるアプリ、費用の考え方は料金、導入前に引っかかる点はよくある質問で確かめられる。
いまの状態を整理するなら、まず自分が型1から型3のどこにいるかを書き出すところからでよい。プロファイルの数とアカウントの数を紙に並べ、混ざって困っているのが「中身」なのか「ログイン状態」なのか「今どれを見ているか」なのかを1つ選ぶ。選んだ答えが3つ目だったなら、分ける先はプロファイルではなく窓の単位になる。
よくある質問
Chromeのプロファイルは1つにつきGoogleアカウント1つですか?
そうとは限らない。Googleアカウントにログインしないままプロファイルだけを作ることもできるし、1つのプロファイルの中で複数のGoogleアカウントに同時ログインすることもできる。同じアカウントを複数のプロファイルでログインすることも可能になる。
アカウントを分けるのとプロファイルを分けるのは何が違いますか?
アカウントを分けるとメールやドライブの中身が分かれるが、拡張機能とCookieと履歴は共有されたままになる。プロファイルを分けるとCookieと拡張機能と履歴が独立するため、片方の拡張機能がもう片方の画面を読むことがなくなる。
プロファイルを削除するとGoogleアカウントも消えますか?
消えない。プロファイルはChrome側のデータの入れ物にすぎず、Googleアカウント自体はサーバ側に残る。ただしそのプロファイルにローカル保存されていた履歴やCookie、拡張機能の設定は戻らないため、削除前に確認しておきたい。
プロファイルはいくつまで作るのが現実的ですか?
数の上限より、拡張機能を入れ直す手間と窓の見分けやすさが先に限界になる。よく使う拡張機能が6個ある状態でプロファイルを4つ作ると、入れる操作は24回になる。見分けが付かなくなってきたら、増やす方向ではなく窓の持ち方を変える判断に切り替えたい。