ブラウザのタブを開きすぎる人の性格と、その先の直し方

ブラウザのタブを開きすぎる人の性格は、好奇心が強い、心配性、完璧主義、決断を先送りしがち、の4つで説明されることが多く、どれもある程度は当たっています。ただ、大学の研究が示したのは、性格よりも「閉じたら二度と戻ってこない」という不安と、タブという道具が仕事の量に追いついていないことのほうでした。つまり、気質を変えなくても、タブの行き先と閉じ方の仕組みを変えれば数は減らせます。この記事では、性格の話を確認したうえで、Chromeに最初から入っている機能を画面の名前どおりに使う手順と、毎日使うWebアプリをタブ以外へ移す考え方までをまとめます。

タブを開きすぎる人に共通すると言われる性格

検索上位の記事や知恵袋の回答で挙げられている傾向は、おおむね次の4つに分けられます。

  • 好奇心型。関連するリンクを見つけるたびに新しいタブで開き、元のページに戻る前に次のリンクへ進む
  • 不安型。閉じたあとで必要になったら困る、という気持ちが勝って閉じられない
  • 完璧主義型。比較の材料を全部そろえてから判断したいので、候補のページを並べたままにする
  • 先送り型。閉じるかどうかの判断そのものを後回しにして、判断待ちのタブが積み上がる

ADHDの特性と結び付けて語られることもあります。注意が次々に移る、やりかけの作業を目に見える形で残しておきたい、という説明です。ただし、タブの数だけで何かの特性を判断することはできません。同じ人でも、調べ物が多い週は60枚になり、単純作業の週は10枚で済むということは普通に起きます。

もう1つ押さえておきたいのは、タブが多い人の仕事の中身です。複数の資料を突き合わせて結論を出す仕事、問い合わせを並行して何件も抱える仕事では、タブが増えるのは自然な結果です。性格の欠点として片付けると、道具の側にある問題が見えなくなります。性格の診断は入口としては役に立ちますが、次にどのタブを閉じればよいかまでは教えてくれません。

研究が見つけたのは「閉じたら消える」という不安

この行動を正面から調べた研究として、カーネギーメロン大学のチームが2021年の学会CHIで発表した論文「When the Tab Comes Due」がよく引かれます。大学の発表記事によると、チームはタブの使い方について聞き取りとアンケートを行い、人がタブを残す理由として、やることの目印として使っていること、閉じたらもう一度探し直さなければならないという恐れがあることを挙げています。調査の一部では、参加者の約25%が、タブを開きすぎてブラウザかパソコンが落ちた経験があると答えました(出典: Carnegie Mellon University「Overcoming Tab Overload」)。

同じ記事では、研究チームの責任者が、視界から消えた瞬間にそれが失われると人は感じており、その恐れが強いために手に負えない数になってもタブを開いたままにしてしまう、と説明しています。開いたタブに気持ちを注いでいるため、多すぎて嫌になったり恥ずかしく感じたりしても閉じられない、という指摘もあります。

タブを溜め込む心理については、別の解説記事も損失を避けたい気持ちから説明しています。

心理学者は、人々が何かを失う痛みを、同等のものを得る喜びの約2倍強く感じることを実証しています。タブに適用すると、有用なページを失う可能性の不安は、きれいなブラウザを持つことの穏やかな満足感よりもはるかに強く感じられます。 出典: tabgroupvault.com

ここから言えるのは、タブを閉じられないのは片付けが苦手だからではなく、閉じたページが戻ってくる仕組みを持っていないからだ、ということです。ブックマークも履歴も、入れたものが自分から目の前に戻ってくることはありません。だから閉じることは、消すことと同じ感触になります。直す対象は性格ではなく、この「戻ってこない」という状態のほうです。

開いたままのタブは4種類に分けられる

1つの窓に40枚あっても、中身を見ると性質の違う4つの群れに分かれます。群れごとに正しい行き先が違うので、まず分けることが最初の作業になります。

タブの種類 例 閉じたときに失うもの 行き先
毎日使うアプリ メール、チャット、カレンダー、Notion ログイン状態と通知 タブバーの外にある専用の窓
用事の代わり 返信待ちのスレッド、経費の入力画面 用事そのもの 日付の付くタスク管理
あとで読む 記事、資料、動画 探し直す手間だけ タブグループかリーディングリスト
判断の途中 宿の候補、比較記事、求人 比較の材料のまとまり 名前を付けたタブグループ

金曜日の夕方に全部まとめて閉じるやり方が長続きしないのは、用事の代わりのタブまで一緒に消えてしまうからです。月曜日に抜け漏れとして返ってくると、「タブを閉じるのは危ない」という学習だけが残り、次からはさらに閉じにくくなります。

分け方の目安は単純です。明日の朝に何も考えずにまた開くページは「毎日使うアプリ」です。期限があるものは「用事の代わり」です。誰にも待たれていない読み物は「あとで読む」、3枚以上をセットで見比べているものは「判断の途中」です。迷うタブは「あとで読む」に入れて構いません。読み物はあとから検索で探し直せることが多く、失っても損が小さいからです。

Chromeに最初から入っている3つの機能で減らす

拡張機能を入れる前に、Chromeの標準機能で片付く部分がかなりあります。ここではGoogleのヘルプに書かれている画面の名前どおりに手順を並べます(出典: Chrome でタブを管理する)。

タブ検索で「探せるから閉じてよい」状態を作る

タブバーにある「タブ検索」を選ぶと、開いているタブの一覧が出て、キーワードで絞り込めます。Macでは「command + shift + a」で開けます。アドレスバーに「@タブ」と入力してTabキーかSpaceキーを押す方法もあります。目的のタブをアイコンで探す必要がなくなるので、まず数を減らす前にこれを覚えると、タブを並べておく理由の1つが消えます。

タブグループで「判断の途中」をまとめて閉じる

タブを右クリックして「タブをグループに追加」から「新しいグループ」を選ぶと、名前と色を付けたグループになります。ここで大事なのが「グループを閉じる」です。ヘルプには、閉じたグループは削除されず、ブックマーク バーかメニューに保存され、あとで開き直せると書かれています。宿の候補6枚を「10月の旅行」というグループにして閉じれば、比較の材料をまとめたままタブバーから外せます。閉じても消えないので、研究が指摘した「見えなくなったら失う」不安に正面から応える機能です。

注意点もあります。閲覧履歴とタブをGoogleアカウントと同期している場合、「グループを削除」を選ぶと、同じアカウントを使う他のデバイスからも削除されます。外したいだけのときは「削除」ではなく「閉じる」を選びます。

メモリセーバーで「落ちる」心配を減らす

設定の左側にある「パフォーマンス」を開くと「メモリセーバー」があります。使っていないタブを非アクティブにしてメモリを空け、そのタブに戻ると自動で再読み込みされる仕組みです。非アクティブにするまでの時間は「適度」「バランス重視(推奨)」「最大」の3段階から選べます。音声や動画を再生中のタブ、画面共有中のタブ、入力途中のフォームがあるタブ、固定したタブなどは非アクティブにならない場合がある、とヘルプに書かれています(出典: Chrome のパフォーマンスをカスタマイズする)。

これで数そのものは減りませんが、研究で4人に1人が経験していた「開きすぎて落ちる」ことへの備えにはなります。

数より重いのは、毎日使うアプリのタブ

4種類のうち、枚数では少数なのに負担がいちばん大きいのが、メール、チャット、カレンダーのような毎日使うアプリのタブです。40枚のうちの10枚であっても、1日の切り替えのほとんどはこの10枚に向かいます。

調べ物のタブと同じ列に並んでいることで、ここには固有の損が出ます。Chromeでは「command + 1」から「command + 8」で左から何番目のタブに飛べますが(出典: Chrome のキーボード ショートカット)、調べ物のタブを1枚開くたびに並びがずれるので、番号で覚えられません。目印はアイコンだけになり、同じサービスで仕事用と個人用の2つのアカウントを使っていると、アイコンまで同じになります。さらに、ログイン状態はプロフィールごとに共有されるので、チャットから開いたリンクが意図しないアカウントで開くことも起きます。

これはタブ検索やタブグループでは解決しません。毎日使うアプリは、読むためのページではなく、ログインしたまま住み続ける場所だからです。必要なのは、タブバーから外して、アプリごとに残り続ける窓を持たせることです。

Macでこれを実現する道具に、Webアプリをまとめるブラウザがあります。サービスごとにログイン状態を分けて保ち、左の列のアイコンで切り替える作りのものが多く、ワークスペースという単位で「仕事」「個人」などの組み合わせを切り替えられます。考え方はワークスペースに、同じサービスに複数のアカウントで同時にログインする仕組みはできることにまとまっています。無料で1つのワークスペースに3つのアプリまで使える製品もあり、条件は料金で確認できます。毎日使うアプリが3つ以内なら、費用をかけずに試せる範囲です。

性格に合わせた最初の一歩

最後に、冒頭の4つの型ごとに、今日からできる最初の一歩を並べます。どれも気質を変えることは求めていません。

  • 好奇心型は、リンクを開く前にタブグループを1つ作り、寄り道のページはそこに入れる。読み終えたらグループごと閉じる
  • 不安型は、「グループを閉じる」で消えずに残ることを一度自分で確かめる。戻ってくると分かれば、閉じる手が止まりにくくなる
  • 完璧主義型は、比較のタブを並べる代わりに、候補を3行のメモに書き出す。書き出せたらタブは閉じてよい
  • 先送り型は、期限のあるタブだけをタスク管理に移す。残りは読み物なので、失っても大きな損にはならない

どの型でも共通して効くのは、毎日使うアプリをタブバーから外すことです。アプリのタブが消えるだけで、残ったタブは「あとで読む」と「判断の途中」だけになり、どれを閉じればよいかが一目で分かるようになります。他の道具との違いを確かめたい場合は、Waveboxとの比較とShiftとの比較で、無料で使える範囲と料金の違いを確認できます。

よくある質問

タブを開きすぎるのはADHDの特徴ですか?

タブの数だけで何かの特性を判断することはできません。注意が移りやすい人がタブを増やしやすい、という説明はよく見かけますが、複数の資料を突き合わせる仕事をしている人や、問い合わせを並行して抱える人も自然にタブが増えます。気になる場合は、タブの数よりも日常生活での困りごと全体を専門家に相談するのが確実です。

タブは何枚くらいまでなら開いていても大丈夫ですか?

決まった上限はなく、パソコンのメモリと開いているページの重さで変わります。Chromeの「パフォーマンス」にある「メモリセーバー」をオンにすると、使っていないタブが非アクティブになり、メモリの不足で動作が重くなることを抑えられます。数を気にするより、探せる状態にしておくことが大切です。

タブグループを閉じると中のページは消えますか?

Chromeのヘルプによると、「グループを閉じる」を選んだグループは削除されず、ブックマーク バーかメニューに保存され、あとで開き直せます。一方で「グループを削除」を選ぶと、同期している場合は他のデバイスからも削除されます。外したいだけのときは「閉じる」を選んでください。

メールやチャットのタブだけはどうしても閉じられません。どうすればよいですか?

毎日使うアプリは読み物ではなく、ログインしたまま使い続ける場所なので、閉じられないのは自然なことです。タブバーから外して、アプリ版や、Webアプリをアプリごとの窓で開くブラウザに移すと、調べ物のタブと混ざらなくなります。移したあとは、残ったタブを読み物と比較の途中だけとして扱えます。

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