Chromeのタブ自動休止とメモリ|再読み込みを止める設定

2時間前に開いたままにしていたタブをクリックすると、表示される代わりに再読み込みが始まる。管理画面の絞り込み条件が初期状態に戻り、書きかけの返信が消えている。落ちたわけでも閉じたわけでもないので不具合に見えるが、これは chrome automatic tab discarding memory usage という言葉で説明される正規の動作で、メモリの空きとバックグラウンドのページが持っている状態を交換している。この交換自体はたいてい割に合う。知られていないのは、交換の条件が何段階も調整でき、再読み込みが困るサイトだけを名指しで除外できるという点だ。この記事では、何が失われるのかと、どこを触れば止まるのかを順に示す。

「非アクティブ化」は一時停止ではなく、ページの破棄

まず言葉を正確にしておく。この動作は最小化でも一時停止でもない。ページは破棄され、タブは名前だけの入れ物として残る。

パソコンのメモリを節約して、アクティブなタブがスムーズに動作するよう、使用していないタブを無効にします。アクティブでないタブにアクセスすると、自動的に再読み込みされます。 出典: support.google.com

この1文が、報告される症状のほぼ全部を説明する。タブバーの見た目は変わらないため、開いているタブの枚数からメモリの消費量が予測できなくなる。開き直したページは新規に読み込んだ状態に戻るので、絞り込みもスクロール位置も失われる。そしてサイトがメモリ上にしか持っていなかったものは戻らない。破棄の瞬間に「これから消えます」という合図が出ないため、サイト側にも保存する機会が無いからだ。

仕組み自体は新しくない。メモリが逼迫したときにタブを破棄する動作は以前からあり、変わったのは頻度のほうだ。Chrome 108でこの動作がメモリセーバーという名前の常用機能になり、メモリに余裕のある環境でも日常的に起きるようになった。以前は極端に重い状況でしか遭遇しなかったものが普通に起きるようになったため、不具合として認識されるようになった。

言い換えると、これは壊れているのではなく、既定で有効な節約設定が働いている状態だ。止める方法も、部分的に免除する方法も用意されている。

メモリセーバーは「オンとオフ」ではなく3段階

設定の場所は「設定」の中の「パフォーマンス」で、ここで選ぶレベルが休止までの時間を決める。

レベル 説明されている挙動
適度 メモリを適度に節約する。タブは長時間経過してから非アクティブになる
バランス重視(推奨) メモリをバランスよく節約する。タブは最適な時間が経過してから非アクティブになる
最大 メモリを最大限に節約する。タブは短時間経過してから非アクティブになる

具体的な時間は公開されていない。だから細かく詰めるより、方向だけで選ぶのが現実的だ。メモリに余裕があって再読み込みのほうが煩わしいなら「適度」、メモリが足りていないなら「最大」を選ぶ。

レベル以上に体感を変える設定が隣に2つある。1つは同じパフォーマンスの画面にある「アクティブでないタブのデザイン」で、これをオンにすると休止中のタブのアイコンがリングの中に表示される。クリックする前に「これは再読み込みされる」と分かるようになるだけで、驚きの大半は消える。もう1つは「デザイン」の画面にある設定で、Macでは「タブ マウスオーバーのプレビュー カードにメモリ使用量を表示する」をオンにすると、タブごとの消費量が数字で出る。重いタブを推測ではなく実測で特定できる。

さらに別系統の通知もある。「パフォーマンスの問題に関するアラート」は既定でオンで、動作が遅くなったときにタブの非アクティブ化を勧める通知を出し、「今すぐ修正」を押すと実行される。メモリセーバー本体とは独立した設定なので、通知だけを止めることもできる。

休止されない条件は公開されている

Chromeは、何かをしている最中だと判断したタブを休止しない。その条件は一覧として公開されており、逆手に取れる。

  • アクティブな音声や動画(再生または通話)
  • 画面共有
  • ページ通知
  • アクティブなダウンロード
  • 一部記入済みのフォーム
  • 固定タブ
  • 接続済みのデバイス(USBまたはBluetooth)

この中で意識して使えるものが2つある。1つ目は固定タブだ。固定しているタブは休止の対象外なので、1日中動かしておきたい数枚を守るのに、リストを触らず固定するだけで足りる。2つ目は一部記入済みのフォームで、長文を書いている途中で消えるという最悪の事態は、想像よりは起きにくい。ただしこれはフォームの入力欄として認識されている場合の話で、サイト独自のエディタがChromeから見えない形で下書きを保持している場合は保護されない。

この一覧は、同じ設定なのに人によって体感が正反対になる理由も説明する。ビデオ会議のタブは休止されないため、1日の大半が会議の人はこの動作にほとんど遭遇しない。資料のタブを背景に置いたまま作業する人は毎日遭遇する。設定ではなく開いているものの種類が、印象を分けている。

「常にアクティブにするサイト」の書き方には規則がある

再読み込みが本当に困るサイトのために、パフォーマンスの画面に「常にアクティブにするサイト」という除外リストがある。開いているタブから選ぶ方式と、アドレスを手で入力する方式があり、手入力の場合はマッチングの規則を知らないと逆の結果になる。

ドメインだけを書くと、サブドメインも対象に含まれる。「google.com」と書けば、drive.google.com も calendar.google.com も休止されなくなる。先頭にドットを付けると逆に範囲が狭まり、「.google.com」ではサブドメインは対象にならない。パスまで書けばさらに絞られ、「www.google.com/finance」はそのページ群だけを守り、トップは守らない。ホストとクエリの部分ではアスタリスクをワイルドカードとして使える。ただしホストの前後や一部だけを置き換える書き方は使えず、「oogle.com」や「google.com/」は何にも一致しない。

実務的な使い方は短い。再読み込みされると作業が失われる道具を4個5個選び、ドメインだけで登録して、残りは休止させておく。登録が30件に膨らんでいるなら、それはこの機能を実質的に無効化しているのと同じで、ブラウザにタブの器以上の役割を負わせている合図でもある。常駐の対象になりやすいサービスの一覧は使えるアプリにまとめてある。

推測ではなく、その場で試して確かめる

この動作は、待たなくても手元で再現できる。

アドレスバーに chrome://discards と入力すると、開いているタブの一覧と、タブごとに破棄を実行する操作が出る。ここから対象のタブを破棄して開き直せば、そのサイトが何を復元して何を失うのかが数秒で分かる。数時間待って偶然を観察するより早く、サイトごとの当たり外れも見分けられる。

もう1つは、破棄から戻ってきたページに付く目印だ。破棄が原因で再読み込みされた場合、ページ側では document.wasDiscarded が true になる。社内ツールを作っている場合は、この値を計測に混ぜておくと、利用者が実際に何回この状況に遭っているかが数字で出る。感覚での議論が止まる。

どちらも事前の予告はできない。破棄の直前に通知は出ず、自動テストの道具から破棄を起こす標準的な方法も無いため、手動での確認が現実的な手段になる。

戻るものと戻らないものは、サイトの作りで決まる

破棄されたタブを開き直したときの損失は、Chromeの設定ではなくサイト側の作りで決まる。同じ操作をしても、無傷のものと丸ごと巻き戻るものに分かれる。

戻りやすいのは、状態がアドレスに書かれているページだ。検索結果、絞り込みの条件がURLのクエリに入っている一覧、ページ番号付きの資料。再読み込みでも同じアドレスを開き直すので、見えていたものがそのまま戻る。

戻りにくいのは、状態を画面の中だけで持っているページだ。アドレスが変わらないまま操作で表示を切り替える管理画面、複数の手順に分かれた申込フォーム、下書きを自動保存しない編集画面。この種類はURLに手掛かりが無いため、開き直すと初期状態から始まる。

見分けは簡単で、そのページを操作したあとにアドレスバーが変わるかどうかを見ればよい。変わるなら破棄されても復元される見込みが高く、変わらないなら除外リストに入れる候補になる。1分で確かめられるこの判定を先にやっておくと、除外リストに入れるべきサイトの数はかなり絞り込める。

省エネモードは、まったく別の仕組み

同じパフォーマンスの画面に、症状を取り違えられやすい機能がもう1つある。省エネモードは、画像のキャプチャレートやバックグラウンドの処理を制限してバッテリーを長持ちさせるもので、CPU使用率の高い対象のバックグラウンドタブを停止する。ビデオ会議や音声を再生しているタブには影響しない。

決定的に違うのは動く条件だ。省エネモードは電源に接続していないときやバッテリー残量が少ないときに自動で働き、電源に接続している間は動かない。デスクで使うときと会議室で使うときで挙動が変わるのは、設定が変わったからではなく電源の状態が変わったからだ。アドレスバーの横に出るアイコンから、その回だけ止めることもできる。

切り分けの目安は単純で、クリックしたら再読み込みが走るのはメモリセーバー、動きが滑らかでなかったり背景の処理が止まったりするのは省エネモードだ。片方の症状に対して片方を切っても何も改善しない。

なお、同じ電力の問題への向き合い方はブラウザごとに違う。Firefoxは2025年3月の136で、macOSにおいて一部のバックグラウンドタブを低消費電力のコアへ移す変更を入れており、ページを降ろすのではなく処理の場所を変えて消費を下げている。メモリの数字だけを並べても比較にならないのは、そもそも戦略が違うためだ。

設定では解けない種類のタブがある

ここまでの選択肢がどれも妥協になるタブの種類がある。メール、チャット、タスク管理、カレンダー、生成AIといった、Webページの形で届いている常駐アプリだ。

これらは読むために開いているのではなく、動き続けるために開いている。ところが休止の仕組みは、朝から放置している記事のタブとまったく同じ扱いをする。ここが噛み合わない。除外リストに入れれば生き残るが、代わりにメモリの節約対象から完全に外れ、最も残しておきたいものが最も居座り続けることになる。固定タブで守っても結果は同じだ。

つまり、変えるべき変数は設定ではなく器のほうになる。常駐する道具に1つずつ独立した窓とセッションを与えると、タブバーには資料だけが残る。資料は破棄されても安く、開き直せば済む。動き続けるものは、動き続ける前提の場所に置かれる。アプリごとに独立したワークスペースという設計はこの分離を出発点にしていて、考え方の中身はできることに、同じ発想の道具どうしでメモリの扱いがどう違うかはRamboxとの比較にまとめてある。

手を付ける順番としては、まず「アクティブでないタブのデザイン」をオンにして休止を見えるようにし、次に再読み込みで作業が失われるサイトだけを除外リストに入れる。レベルは根拠が出るまで「バランス重視」のままでよい。それでも除外リストが増え続けるなら、休止の設定ではなく、ブラウザに何をさせているかのほうが問題になっている。

よくある質問

しばらく放置したタブをクリックすると再読み込みされるのはなぜですか?

メモリセーバーが、使っていないタブを非アクティブにしてメモリを空けているためです。タブの名前とアイコンは残りますが、中のページは破棄されているため、開き直すと自動的に再読み込みが走ります。故障ではなく既定で有効な節約動作です。

特定のサイトだけ再読み込みされないようにできますか?

できます。設定の「パフォーマンス」にある「常にアクティブにするサイト」にアドレスを追加します。ドメインだけを書けばサブドメインも含まれ、先頭にドットを付けると対象が狭まります。タブを固定しておく方法でも、そのタブは休止の対象から外れます。

書きかけの入力内容は消えてしまいますか?

消える場合があります。一部記入済みのフォームがあるタブは休止されない扱いのため、通常の入力欄はある程度守られます。ただしサイト独自のエディタがメモリ上だけで下書きを保持している場合は保護されず、破棄の直前に合図も出ないため、サイト側が保存する機会もありません。

メモリセーバーはオフにしたほうがよいですか?

多くの場合はオフにしないほうが得です。オフにすると背景のページを全部メモリに保持する状態に戻り、ブラウザ以外のアプリの動作にも影響します。レベルを「適度」にして、再読み込みが困るサイトだけを除外するほうが、失うものが少なく済みます。

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