Google Chromeのプロファイルをコピーする|Macでの複製手順

Chromeのプロファイルをコピーする作業は、見た目にはフォルダを1つ複製するだけです。macOSでは実際にそのとおりで、該当のフォルダは指定の場所に置かれています。それでもうまくいかない相談が絶えないのは、「コピー」という言葉が性質の違う4つの作業をまとめて指しているからです。片方の手順をもう片方に当てると、複製したはずのプロファイルが全部ログアウトしていたり、そもそも選択画面に出てこなかったりします。手を動かす前に、自分がどれをやろうとしているのかを決めてください。

「コピー」と呼ばれている作業は4つある

1つ目は、同じMacの中での複製です。拡張機能とブックマークの分類、検索エンジン、固定タブまで整えたプロファイルがあって、それと同じ状態で別アカウント用のものをもう1つ作りたい。データはこのMacから出ません。

2つ目は移設です。別のMacへ、あるいは同じMacの別のユーザーアカウントへ、同じプロファイルを持っていきたい。この場合、フォルダは境界をまたぎますが、暗号化の鍵は一緒に付いてきません。

3つ目は部分的な移動です。ブックマークだけ欲しい、保存したパスワードだけ移したい、入れている拡張機能の一覧だけ揃えたい。実際の要望としてはこれが最も多く、フォルダ全体を触る必要はありません。

4つ目は退避です。設定を大きく変える前に、元に戻せる状態を残しておきたい。

この4つを分ける決定的な線は1つだけです。コピー先が同じmacOSのユーザーアカウントの中に留まるかどうか。留まる場合は暗号化されたデータもそのまま読めます。またぐ場合は読めません。以下の話はすべてこの1本の線から出てきます。

フォルダの場所と、一覧を持っているファイル

macOS版のChromeは、すべてのデータを1つのディレクトリの下に置きます。Chromiumの公式ドキュメントは、安定版の既定の場所を ~/Library/Application Support/Google/Chrome と記載しています。その中に、プロファイルごとのサブフォルダが並びます。

最初の罠がフォルダ名です。名前は DefaultProfile 1Profile 2 と作成順に振られていて、Chromeの画面に出ている表示名とは何の関係もありません。プロファイルを削除しても番号は詰められないので、画面に5つしか見えていないMacに Profile 9 まで存在する、ということが普通に起きます。名前とフォルダを結びつける確実な方法は、対象のプロファイルの窓で chrome://version を開き、プロファイルパスの行を読むことだけです。

もう1つ押さえるべきものが、プロファイルのフォルダと同じ階層に置かれている Local State というファイルです。ここに、Chromeが認識しているプロファイルの一覧と、それぞれの表示名、アイコン、ログイン中のアカウントが書かれています。プロファイルの切り替えメニューが読んでいるのはフォルダではなくこのファイルです。つまり、フォルダだけを置いてもメニューには何も現れません。データは無事なのにコピーが失敗したように見える原因の大半がこれです。

作業の前提として、Chromeは完全に終了させておきます。Chromeはこれらのファイルへ常時書き込んでいるため、動かしたままコピーすると、2つの時点が混ざったものが出来上がります。macOSでは窓を全部閉じてもアプリは終了しないので、メニューから終了するか ⌘+Q を押し、そのあとアクティビティモニタでGoogle Chrome Helperが残っていないかを見ておくと確実です。

プロファイルのフォルダの中身も、名前を知っておくと判断が変わります。Bookmarks はそのまま読めるJSONで、隣に1つ前の版の Bookmarks.bak が置かれています。HistoryCookiesLogin DataWeb Data はSQLiteのデータベースで、このうち後ろの2つは中身が暗号化された状態で入っています。PreferencesSecure Preferences にはそのプロファイルの設定が入っていて、どの拡張機能が有効かもここに書かれています。どのファイルが何を持っているかが分かると、フォルダごと運ぶか一部だけ取り出すかを選べるようになります。

同じMacの中で複製する手順

同じmacOSユーザーの中での複製は、鍵が動かないためきれいに成立します。Chromiumのソースに付属する説明では、この暗号化を担う部品について「OSのユーザーにデータを結び付ける暗号化の基本機能を提供する」と書かれています。結び付いている先が同じであれば、複製先でも復号できます。保存したパスワードもクッキーも生き残ります。

手順は、複製先を自分で作らずChromeに作らせるところから始めます。

  • Chromeのプロファイルメニューから「Chromeプロファイルを追加」で空のプロファイルを作る
  • その新しいプロファイルの窓で chrome://version を開き、割り当てられたフォルダ名を控える
  • Chromeを完全に終了する
  • 複製元のフォルダの中身を、控えたフォルダの中へ入れ替える。Local State には手を触れない
  • Chromeを開く

こうすると、新しいプロファイルは Local State に登録済みなのでメニューに出たまま、中身だけが複製元のものになります。表示名とアイコンは新しく付けたものが残るので、見分けもつきます。

コピーの形 ブックマーク・履歴 拡張機能 保存したパスワード ログイン状態
同じmacOSユーザー内で複製 引き継ぐ 引き継ぐ 引き継ぐ 引き継ぐ
同じMacの別ユーザーへ 引き継ぐ 引き継ぐ 読めない ログアウト
別のMacへ 引き継ぐ 引き継ぐ 読めない ログアウト
同期で作り直す 引き継ぐ 引き継ぐ 引き継ぐ ログアウト

複製した翌日に起きること

複製そのものは成功します。問題はその次に起きます。複製元はほぼ確実にGoogleアカウントにログインしていて、複製したほうもそのログイン状態を持ったまま立ち上がるからです。

同じGoogleアカウントにログインしたプロファイルが2つあり、どちらも同期が有効だと、両方が同じアカウントへ書き込みます。片方で追加したブックマークがもう片方に出てくる。片方に入れた拡張機能がもう片方にも入る。片方で整理したフォルダ構成がもう片方でも整理される。同期は約束どおりに動いているだけで、想定されていない使い方をしているのはこちら側です。

対処は、複製の直後、他の作業をする前に切ることです。複製したほうで同期を止め、Googleアカウントからログアウトし、本来使いたいアカウントでログインし直す。手元に残るのは拡張機能と設定、つまり複製したかった部分だけになります。

静かな形の同じ問題もあります。複製したプロファイルは複製元のセッションのクッキーを持っているので、開いた瞬間から複製元と同じサービスにログインした状態です。そこへ2つ目のアカウントでログインし直すと、見た目の区別がつかない窓が2つ並ぶことになります。作業を始める前にプロファイルの色とアイコンを変えておくと、長く尾を引く種類の間違いを防げます。

全部ではなく必要な部分だけ移す

ここまで読んで「そこまでは要らない」と感じたなら、その感覚のほうが正しい場合が多いです。要望の多くは、正規の書き出し機能で済みます。

  • ブックマーク: ブックマークマネージャからHTMLファイルとして書き出し、別のプロファイルで読み込む。ブラウザもMacも問いません
  • パスワード: Chromeのパスワード設定からCSVとして書き出し、読み込みが終わったらそのファイルを削除する。中身は平文です
  • 拡張機能: ファイルとして移す実用的な方法はありません。一覧を控えてストアから入れ直すのが早く、ついでに更新の止まったものを落とせます

書き出しの手段が用意されていないのは、閲覧履歴、開いているタブの状態、サイトごとの許可設定です。これらは同じユーザー内でのフォルダ複製で引き継ぐか、同期に任せるか、諦めるかのどれかになります。

別のMacへ移す場合は、同期が正規の道です。移設先でログインしてブックマーク、パスワード、拡張機能、設定を引き寄せれば、暗号化の問題は起きません。それぞれのMacが自分のOSユーザーの鍵で暗号化し直すためです。クッキーは運ばれないので各サービスで1回ずつログインし直すことになりますが、数分の作業と、開かないプロファイルを抱えることのどちらを取るかという話になります。

複製しても手に入らないもの

プロファイルを分ける動機として、人ごと・仕事ごとの境界を作りたい、という意図が語られることがあります。ここは公式の説明が明確です。

デバイスは信頼できるユーザーとだけ共用してください。デバイスを使用するユーザーは、そのデバイスに設定されている他のどの Chrome プロファイルにも切り替えることができます。他のユーザーがあなたの Chrome プロファイルを開いた場合、あなたがアクセスしたウェブサイトなどの情報を知られる可能性があります。 出典: support.google.com

プロファイルはデータを分離しますが、施錠はしません。そのMacに触れる人は、どのプロファイルにも切り替えられます。取引先のログイン状態を持ったプロファイルを複製するという行為は、隔離された写しを作ることではなく、そのアクセス権をもう1つ作ることです。本当に境界が要る場面で使う道具は、ログインパスワードで守られ、暗号化の鍵も別になるmacOSのユーザーアカウントのほうです。

もう1つ手に入らないのが、管理する対象の少なさです。複製を1つ増やすたびに、把握しておく窓が1つ、更新する拡張機能の組が1つ、ログイン中のアカウントが1つ、通知が届きうる場所が1つ増えます。複製したくなるほど整えた環境ほど、増やしたときの管理の重さも増えます。

複製の回数が増えているなら、原因は別のところにある

作業として押さえるべき順番は決まっています。同じMacでの複製なら、Chromeで空のプロファイルを作り、完全に終了させ、フォルダの中身を入れ替え、すぐに複製元のアカウントからログアウトする。別のMacへ移すなら同期を使い、ログインし直す手間を受け入れる。一部だけなら、フォルダではなくブックマークとパスワードを書き出す。

そのうえで、いくつのプロファイルが「同じサービスのアカウントをもう1つ持つためだけ」に存在しているかを数えてください。その数が増え続けているなら、コピーの手順を磨いても翌年また同じ作業をします。原因は、アカウントを分ける手段がプロファイルしかないことのほうにあります。

Webアプリを1つの窓にまとめるブラウザは、この部分を別の形で解きます。アプリごとに独立したワークスペースを持たせて、Gmailも取引先の管理画面も、それぞれ固有の窓とセッションで開く。プロファイルを増やす理由そのものが減るという解き方です。仕事の単位で窓とセッションをまとめる考え方はワークスペースで説明されており、その形で動くように用意されているサービスは使えるアプリで確認できます。同種の道具をすでに検討している場合は、対応範囲と料金を並べたWaveboxとの比較が、いま複製に払っている手間の代わりに何を買うことになるのかを判断する材料になります。

よくある質問

Chromeの機能としてプロファイルを複製できますか?

できません。メニューにあるのは追加と削除だけで、複製に相当する項目はありません。複製したい場合は、空のプロファイルをChromeに作らせてから完全に終了し、~/Library/Application Support/Google/Chrome の中にある複製元のフォルダの中身を、新しく作られたフォルダへ入れ替えます。

複製したプロファイルがメニューに出てこないのはなぜですか?

プロファイルの一覧は、フォルダの中ではなく同じ階層にある Local State というファイルに書かれているためです。フォルダを置いただけではこのファイルに項目が増えないので、切り替えメニューには現れません。先にChromeでプロファイルを作り、割り当てられたフォルダの中身を入れ替える手順にすれば起きません。

別のMacへコピーするとパスワードが読めなくなるのはなぜですか?

保存したパスワードとクッキーは、macOSのユーザーアカウントに結び付いた鍵で暗号化されていて、その鍵はプロファイルのフォルダに含まれていないためです。同じユーザーアカウントの中での複製なら復号できます。別のMacや別のユーザーアカウントへ持っていくと復号できず、ログアウトした状態として扱われます。

複製したプロファイルで同じGoogleアカウントにログインしたままでも大丈夫ですか?

動きはしますが、同期が2つを同じアカウントとして扱うため、片方で追加したブックマークや拡張機能がもう片方にも反映されます。別のアカウント用に複製したのであれば、他の作業を始める前に同期を止め、複製元のアカウントからログアウトしてから、目的のアカウントでログインし直してください。

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