Microsoftアカウントを複数まとめる方法と、その前に決めること

Microsoftのアカウントが複数あって、まとめてしまいたいという相談には、結論から入るのが早い。公式のヘルプは統合できないと明記しており、代わりに並行して使う手段を並べている。ここで大事なのは、まとめるという言葉が指しているものが人によって違う点になる。IDを1つにしたいのか、受信箱を1つにしたいのか、画面を1つにしたいのか。この3つは行き先が別なので、順番に切り分けていく。

公式が示している答えは、統合ではなく並行利用

まず個人アカウントどうしの場合になる。Microsoftのサポートページは、この点をはっきり書いている。

Microsoft 個人アカウントをリンク、マージ、または結合することはできません。また、ゲームの進行状況やゲーマータグ、アカウントの購入、残高などのアカウントを別のアカウントに転送することはできませんが、アカウントは並行して使用できます。 出典: support.microsoft.com

個人用と職場または学校のアカウントの組み合わせについても、同じページに同じ趣旨が書かれている。結合もマージもできないが、並べて使う方法はある、という書き方になる。別のページでは、統合できるかという質問に対して、個人のMicrosoftアカウントとMicrosoft 365の職場または学校アカウントはマージできないと明記されている。

この記述で押さえたいのは、できないと言い切っている範囲が広いことになる。リンク、マージ、結合の3語が並んでいるため、片方を子アカウントとしてぶら下げる、といった中間の形も用意されていない。エイリアスとして別のMicrosoftアカウントを追加することもできない。現在使っているものも、閉鎖済みのものも同じ扱いになる。

したがって、これから先に検討することは統合の手順ではなく、複数を持ったまま日々の手間を減らす手順になる。ここを取り違えたまま数時間を使う人が多いので、最初に確定させておく価値がある。

移せないものが決まっているので、主に使う側を先に決める

統合できない以上、いま持っている2つのうちどちらを主に使うかを決めることになる。判断材料は好みではなく、移せないものがどちら側にあるかになる。

公式が名指ししているのは、ゲームの進行状況、ゲーマータグ、アカウントでの購入、残高になる。これらは別のアカウントへ転送できない。Xboxで長く遊んでいるアカウントがあるなら、そちらを主にしないと積み上げたものが取り残される。

購入したソフトウェアやデジタルコンテンツも同じ性質になる。買った権利はそのアカウントに紐づくため、片方に寄せることはできない。ここを確認せずに主を決めてしまうと、あとから使いたいものを開くたびに、結局もう片方でサインインし直すことになる。

サインインの名前を変えたいだけであれば、エイリアスという道がある。エイリアスはアカウントのニックネームのようなもので、メールアドレスか電話番号を使える。同じ受信トレイ、連絡先一覧、アカウント設定を共有し、どのエイリアスでもサインインできて、覚えるパスワードは1つで済む。プライマリエイリアスはWindowsのPCやXboxなどの端末に表示される名前になる。

ただし注意書きも付いている。Xbox開発者コミュニティに参加している場合や、Visual StudioまたはMSDNのサブスクリプションがアカウントに紐づいている場合は、名前の変更を勧めないとされている。エイリアスは入口を増やす仕組みであって、2つのアカウントを1つにする仕組みではない。

サインイン時に選択を求められる画面の正体

作業中に「どのアカウントを使用しますか?」と聞かれる画面が出るなら、それは統合できていないせいではない。同じメールアドレスを使うMicrosoftアカウントが2つ存在していることを意味する。片方が職場または学校アカウント、もう片方が個人用アカウントになる。

職場または学校アカウントは、勤務先の情報システム部門が意図的に作成したか、まれに個人用アカウントとドメイン名が一致する別の組織が誤って作成した可能性があるとされている。個人用アカウントのほうは、本人が直接作成したか、XboxやSkypeのアカウントを作ったときに自動的に作られた可能性がある。心当たりがないのに2つある理由は、たいていこの自動作成になる。

この画面を出さないようにする方法として、公式は2つ挙げている。1つは個人用アカウントの名前を変えることで、新しいエイリアスを作るか、既存のアドレスをプライマリに設定する。手順はアカウントの「サインイン方法の管理」から行い、既存のアドレスの1つに対してプライマリにするを選ぶ形になる。

もう1つは、ドメイン名が一致している組織に連絡して、メールリストから自分の名前を削除するよう依頼する方法になる。個人用のアドレスがその組織の誰かに使われるわけではないが、エラーを止めるには相手側の対応が要る、という説明になっている。どちらの方法も、選択画面を消すだけで、アカウントの数そのものは減らない。

職場または学校のアカウントは、こちらの一存では動かせない

個人用どうしの整理と違って、職場または学校のアカウントには管理する組織がいる。そのため、こちら側で決められる範囲がそもそも狭い。メールアドレスの追加についても、組織によっては制限される場合があるとされている。個人用アカウントで通用する手が、勤務先のアカウントでは選べないことがある。

確認コードの届き先にも制約がある。メールで送信される確認コードは、プライマリエイリアス、またはサインインを確認する方法として追加した別のメールにのみ送信できるとされている。手当たり次第に別のアドレスへ回せるわけではないため、二段階の確認を受け取る経路は先に整えておくことになる。また、サインインや確認コードの受け取り方法としてVOIPの番号を追加することはできない。

実務上の意味は1つで、勤務先のアカウントを主に据える設計にすると、退職や異動でその設計ごと失われる、ということになる。個人で長く使うものは個人用アカウントに寄せ、業務のものは組織のアカウントに置く。統合できないという制約は、この線引きを強制的に守らせる仕組みとして働く面もある。

受信箱を1つにする話と、IDを1つにする話は別物

まとめたい理由がメールの往復であれば、話は少し明るくなる。アカウントの結合はできないが、メールクライアント側で複数のアカウントを扱うことは想定されている。Microsoftのページも、並行利用の方法の1つとしてOutlookへのアカウント追加を挙げている。別のMicrosoftアカウントをエイリアスとして追加することはできないが、別のMicrosoft、Gmail、または職場や学校のメールをOutlookに追加できる、という書き方になる。

ここで起きやすい混同を1つ整理しておく。エイリアスは1つのアカウントに入口を足す仕組みで、受信箱は同じものになる。アカウントの追加は別のアカウントを横に並べる仕組みで、受信箱は別のままになる。前者は覚えるパスワードが増えず、後者は増える。目の前の不便がパスワードの数なのか、開く場所の数なのかで、選ぶ側が変わる。

Webのメール画面で複数を扱う場合は、また別の制約が出てくる。ブラウザのログイン状態はプロファイル単位で保持されるため、同じブラウザの同じプロファイルで2つのMicrosoftアカウントを同時に開いたままにするのは相性が悪い。片方に入り直すともう片方が押し出される、リンクを踏むと意図しない側で開く、といった動きになる。

OneDriveと契約は、並べて使う前提で作られている

ファイルの置き場も統合の対象外になる。OneDriveは職場または学校のファイルと個人用ファイルの両方を同期できるが、ストレージは別々のままとされている。職場または学校のフォルダーを個人用フォルダーと同期することはできない。移動が必要なときは、ファイルをコピーするかドラッグアンドドロップする形になる。

サブスクリプションの共有も同じ思想で設計されている。Microsoft 365 Familyであれば、サブスクリプションとその特典を最大5人の他のユーザーと共有できる。ただし共有するアカウントはリンクされず、メール、写真、OneDriveのファイルは非公開のままになる。共有されるのは使う権利であって、中身ではない。

Microsoft自身が並行利用の手段として挙げているものには、共有Windows PCへのアカウント追加や、Microsoft Edgeのプロファイル設定も含まれている。プロファイルを使うと、さまざまなユーザーが個人用設定、ブックマーク、拡張機能へのアクセスを保ったまま共有環境で操作できる、という説明になる。統合の代わりに用意されているのは、この種の切り分けの道具になる。

Microsoft Rewardsのように、例外的に一方向へ寄る仕組みもある。WindowsまたはBingの検索で獲得したポイントが個人用アカウントへ向かう形になる。全体としては、アカウントは別のままで、必要な機能ごとに橋を架けるという設計になっている。

ファミリーの機能も同じ考え方で用意されている。Family Safetyのグループの開催者であれば、他のアカウントをメンバーとして追加できる。メンバーはグループ内の他のユーザーを確認できるが、アクティビティのレポートを見られるのは開催者だけになる。ここでも、参加させることとアカウントを1つにすることは別に扱われている。

橋の数を増やすほど、どこに何があるかを覚えておく負担は増えていく。ファイルはどちらのOneDriveか、契約はどちらの支払い方法か、ポイントはどちらに貯まるのか。統合できないという前提を受け入れたあとに残る本当の作業は、この対応表を自分の中で固定することになる。

残った要求が「画面を1つにする」だった場合

ここまでで、IDは1つにできず、受信箱はクライアント側で並べられ、ファイルと契約は別のまま扱う、という形が見えてくる。それでも不便が残るなら、要求は最初から画面の数だったことになる。2つのアカウントを行き来するために、ブラウザのプロファイルを切り替えたり、ウィンドウを探し回ったりする時間が本体の負担になっている状態になる。

この場合に効くのは、アカウントを減らすことではなく、置き場所を固定することになる。アプリごとに独立したワークスペースを持つ形にすると、同じサービスの2つのIDが別々の窓に常駐するため、行き来が切り替えではなく移動になる。仕事用と個人用で入り直す操作そのものが消える。

この考え方でどこまで扱えるのかはできることに整理されている。役割ごとに束ねて持ち歩く形はワークスペースで説明されていて、同じサービスに複数のIDを並べる置き方もここに含まれる。OutlookやTeamsを含め、どのサービスをこの形で扱えるのかは使えるアプリにまとまっている。

判断の順番としては、まず移せないものがどちらにあるかを確認して主を決める。次に選択画面が出るならプライマリエイリアスを整える。それでも1日に何度も行き来しているなら、そこで初めて画面側の道具を検討する。この順番を飛ばして道具から入ると、アカウントが2つあること自体は変わらないため、期待した効果が出にくい。

よくある質問

Microsoftアカウントを2つ持っていますが、1つに統合できますか?

公式のサポートページは、個人アカウントをリンク、マージ、結合することはできないと明記しています。個人用と職場または学校のアカウントの組み合わせも同様で、マージはできないが並行して使えるという説明になっています。統合の手順を探すより、どちらを主に使うかを決めるほうが早く片付きます。

アカウントを移すときに、持ち越せないものは何ですか?

公式が名指ししているのは、ゲームの進行状況、ゲーマータグ、アカウントでの購入、残高です。これらは別のアカウントへ転送できません。購入した権利は買ったアカウントに紐づくため、主に使う側を決めるときはこの点を先に確認しておくと後戻りが減ります。

サインインのたびにどのアカウントを使うか聞かれるのはなぜですか?

同じメールアドレスを使うMicrosoftアカウントが2つ存在しているためです。片方は組織が作成した職場または学校アカウント、もう片方は個人用アカウントになります。個人用のプライマリエイリアスを別のアドレスに変えるか、ドメインが一致する組織に連絡することで表示を止められます。

複数のアカウントのメールを1つの画面で見ることはできますか?

アカウントの結合はできませんが、別のMicrosoft、Gmail、職場や学校のメールをOutlookに追加することはできます。エイリアスは1つのアカウントに入口を足す仕組みで受信箱は同じ、アカウント追加は別の受信箱を横に並べる仕組みという違いがあります。

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