Chromeプロファイルとは何か|アカウントを分ける仕組みと限界
Chromeのプロファイルとは、ブックマーク、履歴、パスワード、Cookie、拡張機能、設定をひとまとめにして、利用者ごとに切り分けるChromeの仕組みです。仕事用と個人用のプロファイルを作れば、仕事のGmailと個人のGmailが同じ窓の中で混ざらなくなり、拡張機能も別々に入れられます。この記事では、2026年10月18日にGoogleの公式ヘルプとChromiumの開発資料で確かめた内容をもとに、プロファイルで何が分かれて何が分かれないのか、作り方と切り替え方、会社が管理する仕事用プロファイル、そして複数のアカウントを毎日行き来する人にとってプロファイルが足りなくなる場面までを順に整理します。
Chromeプロファイルとは、情報を分ける「利用者ごとの区画」
GoogleのChromeヘルプ(複数のプロファイルを使用して Chrome を管理する)は、プロファイルの役割を次のように説明しています。
プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com
同じヘルプは、プロファイルが便利な場面として「パソコンを複数のユーザーと共用する」場合と「仕事用と個人用などで別々のアカウントを使用する」場合の2つを挙げています。つまりプロファイルは、もともと家族で1台のパソコンを分け合うための機能であり、同時に1人が仕事と私用を分けるための機能でもあります。
プロファイルの実体は、Macのディスク上にあるフォルダです。Chromiumの開発資料User Data Directoryによると、Chromeは「ユーザーデータディレクトリ」を1つ持ち、その中にプロファイルごとのサブフォルダを作ります。Macでの場所は「~/Library/Application Support/Google/Chrome」で、最初のプロファイルは多くの場合「Default」という名前です。いま使っているプロファイルのフォルダは、アドレスバーに「chrome://version」と入れて表示される「Profile Path」の欄で確認できます。
この仕組みを押さえると、プロファイルにまつわる疑問の多くが説明できます。プロファイルを1つ増やすと、フォルダが1つ増えます。プロファイルを削除すると、そのフォルダの中身が消えます。あるデータがプロファイルのフォルダの中にあれば分かれ、外にあれば分かれません。
プロファイルで分かれるもの、分かれないもの
プロファイルを作ったあとに「思っていたほど分かれていない」と感じる原因の多くは、分かれる範囲を広く見積もっていることにあります。整理すると次のとおりです。
| 項目 | プロファイルごとに分かれるか |
|---|---|
| ブックマーク・履歴・保存したパスワード | 分かれる |
| Cookieとサイトのデータ(ログイン状態) | 分かれる |
| 拡張機能とその設定 | 分かれる |
| サイトごとの通知やカメラの許可 | 分かれる |
| Chrome本体のバージョン | 分かれない |
| IPアドレス・通信の経路 | 分かれない |
| macOSの「デフォルトのWebブラウザ」設定 | 分かれない |
上半分は、プロファイルのフォルダに保存されるものです。Cookieが分かれるので、仕事用プロファイルで仕事のGoogleアカウントに、個人用プロファイルで個人のGoogleアカウントにログインしておけば、両方がログインしたままになります。拡張機能も分かれるため、仕事用には会社指定のパスワード管理だけ、個人用には広告ブロックと翻訳、という分け方ができます。
下半分は、プロファイルの外にあるものです。同じMacの同じネットワークから通信している以上、接続先のサービスや会社のネットワーク管理者から見た通信元は変わりません。プロファイルはアカウントを分けるための仕組みであって、身元を隠すための仕組みではありません。この区別は、後で触れる「仕事用プロファイル」を考えるときにも大切になります。
プロファイルの作り方と切り替え方
手順は公式ヘルプの画面の名前どおりに並べると、次のようになります。いずれも数十秒で終わる操作で、解説サイトでも短時間で済む設定として紹介されています。
それでは、最も広く使われているGoogle Chromeで、実際にプロファイルを設定してみましょう。たった数分の作業で、あなたのデジタルライフは大きく変わります。 出典: school.dx-hiroshima.com
新しいプロファイルを追加する
- パソコンでChromeを開く
- 右上のプロファイルのアイコンを選び、「Chrome プロファイルを追加」を選ぶ
- 名前、写真、テーマカラーを設定する
Googleアカウントでログインした場合、プロファイル名は自動的にアカウント名になります。ヘルプには、新しいプロファイルでGoogleアカウントにログインすると、ブックマークやパスワードなどの設定をアカウントに保存して、他のデバイスからも使えるようになる、とあります。ログインしなくてもプロファイルは作れますが、その場合データはこのMacのフォルダにしか残りません。
別のプロファイルに切り替える
右上のプロフィールのアイコンを選び、切り替え先のプロフィールを選びます。Chromeは新しい窓を開き、その窓の中はすべて切り替え先のプロファイルになります。1つの窓の中に、別のプロファイルのタブを混ぜることはできません。
起動時にプロファイルを選ぶ、名前と色を変える
右上のプロフィールから「その他の Chrome プロフィール」の「Chrome プロフィールを管理」を選び、下部の「起動時に表示する」をオンにすると、Chromeを開くたびにどのプロファイルで始めるかを選べます。名前や色を変えるときは、同じ管理画面で対象のプロファイルの右上にあるその他アイコンから「編集」を選びます。仕事用は青、個人用は緑のようにテーマカラーを変えておくと、いまどちらの窓にいるかを色で見分けられます。
プロファイルを削除する
管理画面で対象のプロファイルを選び、その他アイコンから「削除」を選んで確定します。ヘルプは、削除するとそのプロファイルのブックマーク、履歴、パスワードなどの設定がパソコンから削除されると注意しています。Googleアカウントで同期していた項目はアカウント側に残りますが、同期していなかった項目は戻りません。
シークレットモード、ゲスト、Googleアカウントの切り替えとの違い
プロファイルと混同されやすい機能が3つあります。どれも「別のアカウントで開きたい」ときに候補に上がりますが、残るものが違います。
シークレットモードは、窓を閉じたらCookieを捨てる仕組みです。シークレットモードのヘルプによると、Cookieやサイトデータは一時的に保存され、すべてのシークレットウィンドウを閉じた時点で削除されます。また、シークレットウィンドウでブラウジング中に別のウィンドウを開くと、新しいウィンドウでも同じシークレットモードのセッションが続きます。シークレット同士でセッションが共有されるため、シークレットで2つ目、3つ目のアカウントを同時に保つことはできません。Macでの開き方は「⌘+Shift+n」です。
ゲストは、他人に一時的にChromeを貸すための入口です。履歴やCookieは残らず、毎日使う2つ目のアカウントの置き場所には向きません。
GmailやGoogleドライブの右上にあるアカウントの切り替えは、Googleのサービスの中だけで働く機能です。1つのプロファイルの中で仕事と個人の2つのGoogleアカウントにログインしておけますが、Cookieも履歴も拡張機能も同じフォルダに入ります。外のアプリから開いたGoogleドキュメントのリンクが意図しない側のアカウントで開くのは、この状態で起きます。
| 方法 | 窓を閉じたあと | 毎日使う2つ目のアカウント |
|---|---|---|
| プロファイル | すべて残る | 向いている |
| シークレットモード | Cookieが消える | 向いていない |
| ゲスト | 何も残らない | 向いていない |
| Googleアカウントの切り替え | 残るが同じ区画 | Googleのサービスだけなら可 |
会社が管理する「仕事用プロファイル」とは
検索上位には、会社が管理する仕事用プロファイルの解説も並びます。これは個人が作るプロファイルとは別の話で、勤め先がChrome Enterpriseでプロファイルにポリシーを適用する仕組みです。
Google Cloudの公式ブログChrome Enterprise で仕事用プロファイルと個人用プロファイルの区別を改善(日本語版は2025年3月26日の掲載)によると、Google WorkspaceやGoogle Identityを使う企業では、従業員が仕事用のChromeプロファイルにログインすると、何が管理され、何が組織と共有されるかを示す新しいログイン画面が出ます。会社はプロファイルを自社のロゴでカスタマイズでき、ポリシーを適用したプロファイルには管理対象の「仕事用」プロファイルにいることが表示される、とされています。
同じ記事は、個人所有のパソコンでも、仕事用プロファイルにログインさせることで、コピーと貼り付けの制限やスクリーンショットのブロックを掛けられる例を挙げています。ここから読み取れるのは、仕事用プロファイルは会社が管理する区画であり、個人用プロファイルと同じMacに並んでいても、その内側は会社のルールで動くということです。個人のブックマークや拡張機能を仕事用プロファイルに持ち込まず、私用は個人用プロファイルに置いておくのが、双方にとって分かりやすい使い方になります。
複数のWebアプリを行き来する人にとっての限界
プロファイルで分離そのものは達成できます。それでも、Gmail、Slack、Notion、Claudeを1日中行き来する働き方では、次の4つの手間が残ります。どれもプロファイルの欠陥ではなく、区切りの単位が「窓」であることから来るものです。
- リンクの行き先を選べない。macOSのデフォルトのWebブラウザはChrome単位でしか決められず、どのプロファイルで開くかまでは指定できない。仕事のURLが個人用プロファイルで開くと、権限エラーの画面からURLをコピーし直すことになる
- 通知の許可をプロファイルの数だけ出す。通知はプロファイルごと、サイトごとの許可なので、3つのプロファイルで同じSlackを使えば許可を3回出す
- 窓が増える。プロファイルは窓を生むので、タブを探す手間が窓を探す手間に移る
- 同じサービスの2アカウントを並べにくい。取引先が3社あり、それぞれにGmailとSlackがあると、プロファイルを3つ作って3つの窓を行き来することになる
これらは1回あたり数秒の手間でも、1日に何十回も起きると作業の流れを途切れさせます。プロファイルを作ったのに落ち着かないと感じるなら、分け方の単位が働き方に合っていない可能性があります。
区切りを「窓」から「アプリ」に移すという選び方
Firefoxには、Mozillaが配布するFirefox Multi-Account Containersという拡張機能があり、Cookieをタブ単位のコンテナに分けて、同じサイトの2つのアカウントに別々のタブでログインできます。2026年10月18日時点のアドオンのページでは、利用者数は427,600人と表示されていました。窓ではなくタブで分けたい人には、この方法があります。
もう1つの選び方が、Webアプリをまとめるブラウザです。サービスの1つ1つに専用のCookieの保存場所を持たせ、左の列から切り替える形の道具で、区切りの単位が窓でもタブでもなく「アプリ」になります。このサイトを運営する開発元のアプリ集約ブラウザでは、アプリごとに専用のCookieコンテナを持つため、Gmailを3つ、Slackを2つ同時にログインしたままにでき、Slackで開いたFigmaのリンクはログイン済みのFigmaのスペースに着地します。無料版はワークスペース1つ、アプリ3つまでで、同じサービスの多重ログイン(隔離セッション)は有料のPro(月額980円、税込)に含まれる、と案内サイトの料金ページに書かれています。仕事用と個人用をアプリごとに独立したワークスペースに仕分ける考え方はワークスペースで、無料版と有料版の上限は料金で確かめられます。ほかの同種の道具とどう違うかはFerdiumとの比較にまとめられています。
どれを選ぶかの目安は単純です。家族とMacを共用する、仕事と私用で拡張機能まで分けたい、会社に仕事用プロファイルを求められている、という場合はChromeのプロファイルがそのまま合います。同じサイトの2アカウントを1つの窓で並べたいだけならFirefoxのコンテナが手軽です。毎日同じ5つ、10個のWebアプリを開いて閉じない働き方なら、それらはもうタブではなくアプリとして扱うほうが自然で、区切りをアプリの側に持つ道具が候補になります。調べ物や一度きりのログインは、どの方法を選んでも普通のタブのままが一番速く済みます。
よくある質問
Chromeのプロファイルとシークレットモードは何が違いますか?
シークレットモードは、すべてのシークレットウィンドウを閉じた時点でCookieやサイトデータを削除する仕組みで、一度きりのログイン確認に向いています。プロファイルはディスク上のフォルダとして、Cookie、履歴、ブックマーク、拡張機能を残し続けます。毎日使う2つ目のアカウントを置くならプロファイルが合います。
プロファイルを削除するとデータはどうなりますか?
Googleのヘルプによると、そのプロファイルのブックマーク、履歴、パスワードなどの設定がパソコンから削除されます。Googleアカウントで同期していた項目はアカウント側に残りますが、同期していなかった項目は戻りません。削除する前に、ブックマークの書き出しと同期の状態を確かめておくと安心です。
プロファイルを分ければ会社に閲覧内容が見えなくなりますか?
見えなくなるわけではありません。プロファイルが分けるのはCookieや履歴などChromeの中のデータで、IPアドレスや通信の経路は同じです。会社が管理するMacやネットワークからは、どのプロファイルでも同じように通信が見えます。会社の仕事用プロファイルには、会社のポリシーが適用されます。
1つの窓に別のプロファイルのタブを混ぜられますか?
混ぜられません。Chromeのプロファイルは窓の単位で分かれるため、プロファイルを切り替えると新しい窓が開きます。同じサイトの2つのアカウントを1つの窓のタブで並べたい場合は、Firefoxのコンテナのようにタブ単位で分ける方法か、アプリごとに保存場所を分ける道具を使う方法があります。