複数のGmailを切り替えるをどう選ぶか|条件の見方

複数のGmailを切り替える方法を調べると、出てくるのは手順の説明ばかりで、どれを選ぶべきかの基準が書かれていません。アカウントを足す作業自体はどの方法でも数分で終わるので、比べる価値があるのは手順ではなく、切り替えたあとに何が分かれて何が分かれないかのほうです。ここでは候補を4つに整理したうえで、それぞれに当てる条件を順番に並べます。条件が決まっていれば、あとから5つ目のアカウントが増えても置き場所は自動的に決まります。

候補は4つしかなく、違いは境目の置き場所にある

名前の付き方はさまざまですが、仕組みで分けると候補は4つです。

  • Googleのアカウント切り替え。1つのブラウザの中で、ログイン済みのアカウントを順番に並べ、その位置を切り替える
  • ブラウザのプロファイル。Cookieや履歴やパスワードを含む保存領域ごと分ける
  • ブラウザアプリを2つ使い分ける。仕事はChrome、私用はSafariのように、アプリの単位で分ける
  • Webアプリごとに窓を割り当てる道具。アカウントを窓に結び付けて常駐させる

順に、境目の単位はセッションの位置、保存領域、アプリ、窓と移っていきます。この並びはそのまま「切り替えに何秒かかるか」と「macOSがそれを別物として扱うか」の並びでもあります。セッションの位置を変えるだけなら操作は1クリックで済みますが、macOSから見れば全部が同じブラウザの同じ窓です。窓まで分けると起動と常駐の負担は増えますが、Dockのアイコンも通知の出どころも別々になります。どちらが良いかではなく、自分の詰まりがどの層で起きているかで決まります。

判定に入る前に、2つの数字を数える

条件を当てる前に、手元の状況を数字にしておきます。数える対象は2つだけです。

1つ目は、1日にアカウントを切り替える回数です。10回前後であれば、Googleの切り替えメニューで足ります。30回を超えているなら、1回あたり数秒の操作が1日で数分になり、集中の切れ目もその回数だけ発生していることになります。

2つ目は、1日にブラウザの外から飛んでくるリンクの本数です。Slackに貼られた資料のURL、カレンダーの招待メール、取引先から共有されたドライブのフォルダ、Dockのショートカット、Spotlightの検索結果。これらはすべて、どのアカウントで開くべきかの情報を持たないままブラウザに渡されます。この本数が多い人ほど、あとで出てくる条件1の重みが大きくなります。

2つの数字のうち大きいほうが、選ぶべき境目の深さを決めます。切り替え回数だけが多いなら操作の速さの問題です。外から来るリンクが多いなら、操作の速さをいくら上げても解決しません。

数え方は大げさにしなくて構いません。手帳の隅に「正」の字を書くか、切り替えるたびにメモアプリに1行足すだけで、3日もあれば傾向が出ます。ここで実際に測っておく意味は、候補を絞ることだけではありません。あとで別の方法に移すかどうかを判断するとき、移す前の数字が残っていれば、変えた効果を体感ではなく差分で確かめられます。

条件1 外から来たリンクが、どのアカウントで開くか

Gmailを2つ以上開いているとき、URLには /u/0 や /u/1 という番号が入ります。この番号は固定の識別子ではなく、いまログインしているアカウントの並びの何番目かを指しています。どれか1つからログアウトすると、後ろにあったアカウントの番号が繰り上がります。前に保存したブックマークが別のアカウントの受信箱を開くのは、この繰り上がりが起きたあとです。

番号を持たない裸のURLが渡されたとき、Googleは既定のアカウントで開こうとします。

多くの場合、デフォルトのアカウントとは、最初にログインしたアカウントになります。 出典: support.google.com

Googleのヘルプは、複数のアカウントにログインしている状態で新しいウィンドウを開いたときに、どのアカウントを使いたいのかを判断できない場合があると明記しています。そのときは既定のアカウントの設定が適用されるため、共有された資料が権限エラーになり、アドレスバーの番号を手で書き換えるか、アカウント選択画面を経由し直すことになります。プロファイルや窓で分ける方法がこの問題に強いのは、保存領域そのものが別だからです。リンクは、開いた窓が属する保存領域で処理されます。

条件2 通知を見て、どのアカウントか分かるか

macOSの通知はアプリの単位で出ます。3つのGmailを1つのブラウザのタブに並べている場合、通知はどれもブラウザの名前とアイコンで届き、Dockのバッジは全部を足した1つの数字になります。どの受信箱に何が来たのかは、開いてみるまで分かりません。

ここが詰まりの本体である人は少なくありません。3つのうち1つだけは即座に反応する必要があり、残りの2つは夕方まとめて見ればよい、という優先順位を持っているのに、通知が全部同じ顔で届くために毎回開いて確かめる。開いた時点で、返す必要のないメールも目に入ります。

この条件を満たせるのは、macOSがそれぞれを別のアプリとして扱う形だけです。ブラウザアプリを2つ使い分ける方法でも、アイコンは分かれます。アプリごとに独立したワークスペースを持たせる道具が通知の話でよく挙がるのは、窓とアカウントが1対1で結び付いているためです。切り替え回数の多さではなく、通知の見分けが目的なら、候補は最初の2つから後ろの2つへ移ります。

5つ目の候補として、メールソフトに寄せる道もある

ここまでの4つはどれもブラウザの中の話ですが、そもそもブラウザで受信箱を開かないという選択肢もあります。macOSに標準で入っているメールソフトや、他社製のメールクライアントに、複数のGmailをIMAPで登録する形です。受信箱が1つの一覧にまとまり、切り替えという操作自体がなくなります。

この道を候補に入れるかどうかは、メール以外に何を開いているかで決まります。1日のうちドライブもカレンダーもチャットも使っているなら、メールだけを外に出しても残りはブラウザに残るため、切り替えの回数はあまり減りません。逆に、3つのアカウントのうち2つはメールしか使っていないという状況なら、その2つをメールソフトに寄せるだけで残る切り替えは1つ分になります。

注意点は2つあります。1つは、Gmailのラベルがフォルダとして見えるため、削除やアーカイブの動きがウェブの画面と変わること。もう1つは、通知がメールソフトという1つのアプリの名前で届くため、条件2で挙げた見分けの問題はそのまま残ることです。切り替えの回数は減らせても、どの受信箱に届いたかは開くまで分かりません。なお、他社製のメールソフトからIMAPやPOPでGmailに接続する経路は今後も維持されると案内されているため、この候補が近いうちに消える心配はありません。

条件3 会社から配られたアカウントが混ざるか

個人のアカウントだけなら選択は自由ですが、勤務先や学校のアカウントが混ざると前提が変わります。管理者がログインできるクライアントやセッションの有効期限を設定している場合、何を選ぶかの一部は本人の手を離れます。頻繁にログアウトされる原因が組織の設定にあることも珍しくないため、候補を絞る前に管理者の設定を確認しておくと手戻りが減ります。

もう1つ、切り替えの代わりとしてよく挙がるのが委任です。これは別の目的の道具で、混同すると事故になります。Googleのヘルプによれば、個人のアカウントには最大10人、勤務先や学校のアカウントには最大1,000人の委任先を追加でき、委任された人は代わりにメールを読み、送り、削除できます。ただし委任先がそのアカウントからメールを送ると、受け取った相手には委任先のアドレスが表示されます。招待メールは1週間で期限切れになり、使えるようになるまで最大24時間かかります。エイリアスはGoogleアカウントではないため、委任を付けることはできません。自分の2つ目の名義を軽い操作で使うための機能ではない、と理解しておけば選択肢から外せます。

条件4 いま選んだ形が、数年後も残っているか

この分野は、機能の提供が終わることがあります。選ぶときに、続くかどうかを条件に入れておくと後悔が減ります。

Gmailに関しては、期日の付いた変更がすでに公表されています。2027年1月から、他社のメールアドレスを差出人にして送る機能の提供が終わります。Gmailify、および他社アカウントからPOPでメールを取り込む機能も同時に対象になります。一方で、Gmail同士のエイリアスとGoogle Workspaceの差出人設定は影響を受けず、IMAPやPOPを使う他社製のメールソフト、スマートフォンのGmailアプリからの利用も続くと案内されています。Webの画面で他社アカウントを追加したり同期したりする経路は、すでに利用できなくなっています。

読み方は狭く取るのが安全です。関係するアドレスが全部GmailかWorkspaceなら、いまの形はそのまま使えます。そこに独自ドメインや他社のメールボックスが混ざっていて、Gmailの画面で受け止めているなら、その構成には期限があるものとして選ぶことになります。

4つの条件を1つの表に落とす

条件を当てた結果は、次のように並びます。

方法 境目の単位 外から来たリンクの行き先 通知の見分け かかる費用
Googleのアカウント切り替え ログイン順の位置 既定のアカウント 付かない なし
ブラウザのプロファイル 保存領域 前面にある窓のプロファイル 窓の単位 なし
ブラウザアプリを2つ使う アプリ 既定のブラウザのみ アプリのアイコン なし
Webアプリごとに窓を割り当てる道具 窓とアカウントの組 その窓に結ばれたアカウント 窓とアイコン 無料枠あり、有料は月7ドル前後から

費用の欄で差が出るのは最後の1行だけです。上の3つはどれも追加の支払いなしで使えるので、費用は判定の最後に置いて構いません。先に見るべきなのは、条件1と条件2のどちらが自分に効くかです。

決める前に、1週間だけ測る

条件が並んだところで、判定に使う材料は手元のログしかありません。1週間、アドレスバーの番号を書き換えた回数と、権限エラーの画面に当たった回数を数えてみてください。この2つがゼロに近ければ、いまのやり方を変える理由はありません。どちらかが1日に何度も出ているなら、境目を1段深いところへ移す価値があります。

窓を単位にする形がどういう見え方になるかは、アカウントと窓の結び付け方をまとめたワークスペースに具体例があります。どのサービスが専用の窓で動くようにしてあるかは使えるアプリで確認でき、自分が毎日開いているサービスが含まれているかを先に見ておくと判断が早くなります。

有料の道具を候補に入れる場合は、無料の範囲がどこで切れるかが実質的な分かれ目になります。同じ分野の製品を機能ごとに並べたWaveboxとの比較には対応表があり、オープンソースで無料の製品との違いはFerdiumとの比較にまとめられています。金額そのものは料金で確認できますが、月額の差より、無料枠に2つ目のGmailが入るかどうかで実際の負担が変わります。導入前の疑問はよくある質問に集まっているので、判定の最後に目を通しておくと抜けが減ります。

よくある質問

複数のGmailを切り替える方法は、結局どれが向いていますか?

1日の切り替え回数と、ブラウザの外から飛んでくるリンクの本数で変わります。切り替え回数だけが多いならGoogleの切り替えメニューで足ります。共有リンクが権限エラーになる回数が多いなら、保存領域ごと分けるプロファイルか、窓とアカウントを結び付ける道具のほうが合います。

GmailのURLに出てくる /u/0 や /u/1 の番号は固定ですか?

固定ではありません。いまログインしているアカウントの並びの何番目かを指しているだけなので、どれか1つからログアウトすると後ろの番号が繰り上がります。番号付きのURLをブックマークしていると、そのあと別のアカウントの受信箱が開くことがあります。

委任を使えばアカウントの切り替えは減らせますか?

目的が違います。委任は持ち主と代理の人が1つの受信箱を共有するための機能で、個人のアカウントは最大10人、勤務先や学校のアカウントは最大1,000人まで追加できます。委任された側が送ると受け取った相手にはその人のアドレスが表示されるため、自分の2つ目の名義として使うと相手が混乱します。

2027年1月の変更で、いまの使い方は影響を受けますか?

関係するアドレスがGmailとGoogle Workspaceだけなら影響ありません。対象になるのは、他社のメールアドレスを差出人にして送る機能と、Gmailify、他社アカウントからPOPで取り込む機能です。他社製のメールソフトからIMAPやPOPで読む経路と、スマートフォンのGmailアプリからの利用は続くと案内されています。

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