Ramboxの使い方をMacで整理する|無料版の境界線と有料の判断

rambox 使い方で検索して出てくる情報は、書かれた時期によって中身が大きく違う。同じ名前の製品でありながら、途中で作りも料金体系も変わっているためだ。特にMacで使い始めた人がつまずくのは、機能の使い方そのものではなく、「その機能が無料のプランに含まれているかどうか」の線引きにある。この記事では、Macでの導入手順、無料のBasicで実際にできること、有料のProに移動した機能、そして払うかどうかを決める材料を順に整理する。

複数のWebアプリを1つの窓にまとめる道具の現在地

Gmail、Slack、Notion、チャットツール、社内の管理画面。ブラウザのタブで全部を抱える運用は、開いている数が20を超えたあたりから成立しなくなる。この不便を埋めるために、Webアプリを1つのアプリの中に並べて置く道具が10年近く前から作られてきた。Ramboxはその中でも古参にあたる。

この分野の製品は、ここ数年で似た動きをしている。無料で始められる範囲を残しつつ、複数アカウントの使い分けや作業単位のグループ化といった、毎日使う人ほど必要になる機能を有料側に置く形だ。Ramboxもその形をとっており、無料のBasicと、月額7ドル(年額70ドル)のPro、それに1ユーザー月額14ドルで最低5ユーザーからのチーム向けプランが並んでいる。新規アカウントには30日のPro試用が付き、期間が終わるとBasicに戻る形になる。金額は変わることがあるので、判断の直前には各社の料金ページで確認したい。

もう1つ、時期による違いも押さえておきたい。初期のRamboxはオープンソースのアプリとして公開されていて、0.7系がその流れの最後にあたる。その後の作り直しでソースの公開はなくなり、利用にアカウント登録が必要になった。ネット上に残っている解説の一部はこの前の世代を指しているため、いま配布されているものと手順や画面が合わないことがある。移行アシスタントで古い環境を引き継いだMacでは、古い世代のまま動いている場合もある。使い方を調べる前に、まずバージョンを確認するのが早い。

Macでの導入と、最初に触っておく4つの設定

導入自体は一般的なmacOSアプリと同じで、配布ページから入手してアプリケーションフォルダに入れるだけだ。起動するとアカウントの入力を求められる。ここは省略できない作りになっている。そのうえで、後回しにすると原因が分かりにくくなる設定が4つある。

  • 通知の許可。Ramboxは各サービスの通知をアプリ側でまとめてmacOSに渡す。そのためシステム設定の「通知」でこのアプリが許可されていないと、すべてのサービスの通知が同時に消える。「アプリが壊れた」と誤解されやすいのはここになる。まずOS側で許可を出し、そのうえでサービスごとの通知をアプリ内で決めると切り分けが楽になる
  • ハイバネーション。しばらく操作していないサービスをメモリから降ろす仕組みで、動作の重さに一番効く。ただし降りている間は接続が切れているため、通知は復帰したときにまとめて届く。即時性が必要なチャットは対象から外し、管理画面や資料系は対象に含める形が実務では扱いやすい
  • カスタムアプリの数。一覧に載っていないサービスもURLを指定すれば追加できるが、この自由追加の数はBasicで上限があり、Proで上限がなくなる。社内ツールや自社の管理画面を多く抱えている構成ほど、この線に早く当たる
  • 既定のブラウザとの関係。メールやカレンダー、チャットから届いたリンクは、macOSの既定のブラウザで開く。macOSは既定のブラウザを1つしか持てず、「このリンクはこのアプリのこのアカウントで開く」という指定ができない。これはアプリの設定漏れではなく、この分野の道具すべてが共通で抱える制約になる

無料のBasicでできること

Basicは無料で、期限もない。評判の割に寛容な点が1つあり、サイドバーに並べるアプリの数に上限がない。GmailもSlackもNotionも社内の管理画面も、費用をかけずに並べられる。含まれているのは、アプリ数無制限、1つのアプリにつき最大2インスタンス、通知、フォーカスモード、ハイバネーションになる。

ここで意味を取り違えやすいのが「インスタンス」という言葉だ。インスタンスは同じサービスをサイドバーに2つ並べることを指す。Basicでも2つまでは並べられる。ところが、その2つを別々のアカウントにする機能、つまりセッションの分離とマルチログインはPro側にある。結果として、Basicで受信箱を2つ並べても、映るのは同じアカウントの同じ受信箱になる。

仕事用と個人用のGmailを同時に開くつもりで入れた人が、この動きで戸惑うことが多い。不具合ではなく、料金表に書かれているとおりの挙動になる。設定をどれだけ探しても、Basicの側に分離の設定は存在しない。この点だけは先に知っておくと、使い方を調べる時間を丸ごと節約できる。

Proに置かれている機能

Proに含まれるのは、ワークスペース、セッションとマルチログイン、1アプリあたりのインスタンス数の上限撤廃、カスタムアプリの上限撤廃、拡張機能、優先サポートになる。年額は70ドルで、月払いに比べると2か月分安い計算だ。チーム向けプランではSAMLやActive Directoryとの連携、請求の一本化、あらかじめ入ったアプリの配布、独自ブランディングが加わる。

ワークスペースとフォーカスモードは名前が似ているが、役割が違う。ワークスペースは「この案件のときはこの5つだけ見えていればいい」というアプリの束を作る機能で、Pro側にある。フォーカスモードは通知を一時的に黙らせる機能で、Basicにも入っている。集中したいだけならBasicのフォーカスモードで足りるが、案件ごとに見えるアプリを切り替えたいならワークスペースが要る、という分かれ方になる。Basicでこの整理をしたい場合、使える手段はサイドバーの並び順だけになるため、1日に何度も開くサービスを上に、週に1度しか見ないものを下に寄せておくと探す時間が変わる。

判断は使い方の形で分かれる。1サービスにつき1アカウントで、タブが散らかっているのを整理したいだけなら、Basicで足りていて年間の費用はゼロで済む。一方、Gmailが2つ、Slackが2つ、そこに常時ログインしておきたい取引先のアカウントがある、という状態なら、Proは追加機能ではなく本体になる。この場合に無料のまま粘る選択肢は、実質的に存在しない。

区切りの単位を決めているのはセッション

なぜ「2つ並べても同じアカウント」になるのか。この分野の道具の違いは、ログイン状態をどの単位で分けているかに集約される。ログイン状態はCookieとサイトのローカルストレージに保存されていて、その保管場所を共有している限り、同じサイトに別人としてログインすることはできない。表示の枠を2つに増やしても、保管場所が1つなら、サイトから見れば同じ訪問者のままになる。

ブラウザ側でも事情は同じで、Chromeは分離の単位をプロファイルに置いている。

プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com

分離の単位が「窓」なのか「サービス」なのか「タブ」なのかで、できることが決まる。Ramboxの有料プランはサービスごとに分ける形を取り、Chromeのプロファイルは窓ごとに分ける形を取る。無料で二重ログインを実現したい場合、Chromeのプロファイルを2つ作る方法は今でも有効で、費用はかからない。弱点は分離ではなく切り替えの側にあり、macOSから見るとどのプロファイルの窓も同じアプリの窓でしかないため、Command+Tabで選べるのはChromeであって仕事用のChromeではない。

毎日の作業で残る手間は3つ

無料と有料のどちらを選んでも、この分野の道具に共通して残る手間がある。使い方の巧拙ではなく構造から来るものなので、先に把握しておくと期待値がずれない。

  • 切り替えは一覧を目で追う操作のまま。タブが40個ある状態は、サイドバーに20個並んだ状態に置き換わる。密度は上がるが、探す動作そのものは消えない
  • 外から届いたリンクの行き先。チャットやカレンダーから届いたURLは既定のブラウザで開く。必要なアカウントと違えば、権限エラーの画面を見てからURLをコピーし、開き直すことになる
  • 通知にアカウント名が出ない。通知はどのサービスから来たかは示すが、どのアカウント宛かは示さない。同じサービスを2アカウント運用しているときに、ちょうど必要な情報が欠ける

加えて、設定とサービス一覧の同期が提供元のクラウドを経由し、導入時に作ったアカウントに紐づく点も押さえておきたい。Macを買い替えたときの移行は楽になる一方で、設定の置き場所は自分の手元ではなくなる。同期先を自分のiCloudやGoogleドライブに置く製品もあるので、どちらの形が自分に合うかは、乗り換えの場面ではなく導入の時点で決めておくほうが後戻りが少ない。

1回あたりは数秒の話に見える。それでも軽視できないのは、これが時間ではなく注意力を削るためだ。5秒の中断が1日に何十回も起きる状態は、合計の秒数よりずっと大きなものを持っていく。

切り替えの回数から選び直す

どのプランを選ぶかは、機能表を突き合わせるより、1日に何回サービスをまたぐかで決めたほうが外れにくい。10回に届かないなら、Basicかブラウザのプロファイル追加で足りて、それ以上は過剰になる。10回から40回のあいだなら、サイドバー型の道具が効く帯になり、判断は「同じサービスの重複アカウントがあるかどうか」に絞られる。40回を超えると、詰まっているのは分離ではなく切り替えそのものになり、プランを上げても解決しない。一覧は一覧のままだからだ。

重複アカウントの数も正直に数えたい。Gmail1つ、Slack1つ、Notion1つという構成と、Gmailが3つでSlackが2つという構成では、年間70ドルの意味が変わる。判断が難しいのは中間の形で、重複アカウントは1つだけ、しかし社内ツールが多い、という構成になる。どこかで壊れるわけではないまま、無料の範囲から静かにはみ出していく。

分離の単位をサービス側に持つという考え方

切り替えの回数が多く、扱うサービスの種類そのものが多い場合は、区切る単位をタブや窓からサービス側へ移すほうが筋がいい。Webサービスをアプリとして扱い、アプリごとに独立したワークスペースを与える形にすると、アカウントごとに固定の置き場所ができ、再起動しても並びが残る。サービス単位ではなく案件単位でまとめる考え方はワークスペースで説明している。

同じ分野の製品どうしでも、無料の範囲に入っているものは揃っていない。二重ログイン、独自CSSの適用、拡張機能あたりは、製品によって無料と有料のどちら側にあるかが分かれる。この線引きを製品ごとに並べたものはRamboxとの比較にまとめてあり、無料のまま制限なく使えるオープンソースの選択肢についてはFerdiumとの比較で扱っている。金額そのものの比較は料金に載せている。

判断の順番としては、まず現在のビルドをBasicのまま1週間使い、アプリの外に出た瞬間を数えるのが確実になる。出た理由がログインの切り替えなら、有料プランは効く。理由がリンクの行き先や窓の探し方なら、プランを上げても同じ手間が残る。どちらなのかを1週間で見分けてから払うほうが、機能表を先に読むより外しにくい。

よくある質問

Ramboxは今でも無料で使えますか?

無料のBasicプランがあり、期限もありません。サイドバーに並べるアプリの数に上限はなく、通知、フォーカスモード、ハイバネーションも含まれます。ただし利用にはアカウント登録が必要で、ワークスペースや同一サービスの二重ログイン、拡張機能は月額7ドル(年額70ドル)のProに入っています。

同じサービスを2つ並べたのに、同じアカウントが表示されるのはなぜですか?

セッションの分離とマルチログインがPro側の機能のためです。Basicでも1アプリにつき2インスタンスまで並べられますが、ログイン状態は共有されるため、映るのは同じアカウントになります。無料のまま二重ログインを実現したい場合は、ブラウザのプロファイルを分ける方法か、無料の範囲でセッションを分離できる別の道具を使う形になります。

昔のオープンソース版はまだ使えますか?

すでに入っている環境では動きますが、更新は受け取れません。オープンソースとして公開されていたのは0.7系までで、現在配布されているものは作りが変わっています。古い解説記事の手順が画面と合わない場合は、この世代の違いを疑うのが早いです。今もオープンソースで維持されている選択肢としては、Apache 2.0で公開されているFerdiumがあります。

ブラウザのタブより動作は軽くなりますか?

ハイバネーションを使う分だけ有利になります。しばらく触っていないサービスをメモリから降ろす仕組みで、この分野で一番効きやすい節約になります。引き換えに、降りている間は接続が切れるため通知が遅れます。チャットだけ対象から外し、それ以外は有効にしておく設定に落ち着くことが多いです。

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