Sidekickブラウザの代わりになるもの|手放してよい機能

Sidekickブラウザの代わりを探し始めると、候補が一気に10個ほど出てきて、しかもどれも性格が違う。縦にタブを並べるブラウザ、Webアプリを窓ごとに分ける道具、素のChromeにプロファイルを足すだけの方法。決められなくなるのは選択肢が多いからではなく、自分がSidekickの何を使っていたかを数えていないためだ。あの1つのアプリには性質の違う機能が束ねられていて、毎日触っていたのはたいてい2つか3つしかない。ここでは機能を分解する手順と、提供終了という事実の確かめ方、そして置き換えが要る部分だけを移す方法を示す。

代わりを探す前に、使っていた機能を6系統に分けて数える

Sidekickが1つの窓に束ねていたものは、互いに独立した6系統に分けられる。

  • セッションの分離。同じサービスの別アカウントを、同時にログインしたまま並べておける仕組み
  • サイドバーへのアプリ常駐。GmailやSlackを左端に固定して、タブの列から追い出す作り
  • スペース。案件や役割ごとに、開いているものの組を切り替える単位
  • 横断検索。開いているアプリの中身へ、1つの入口からまとめて飛ぶ操作
  • 分割表示。1つの画面に2つのものを左右に並べる見せ方
  • 広告と追跡の遮断。最初から入っている保護

この6つは互いにほとんど関係がない。アプリを縦に並べただけではアカウントは分かれないし、スペースを切り替えても検索の入口は増えない。だから「Sidekickの代わり」という一語で探すと、まったく性格の違う製品が同じ棚に並んで見える。

自分がどれを使っていたかは、記憶ではなく操作で判別できる。この1週間を思い出して、左端のアイコンを押して移動していたなら2番目が中心だった。同じサービスでログアウトとログインを繰り返していないなら、1番目に依存していたことになる。スペースの切り替えを月に数回しかしていないなら、3番目は最初から要らなかった。この仕分けを飛ばすと、必要のない機能のために月額を払う候補を真面目に検討することになる。

提供が終わったという事実は、自分の手元で確かめられる

公開されている情報を時系列に並べると、経緯そのものは短い。2025年5月に、PerplexityがSidekickの開発チームを取得したと報じられた。同社のブラウザであるCometは2025年7月9日にmacOS版とWindows版から公開が始まり、2025年10月に誰でも無償で入手できる形になっている。Sidekick本体は2025年8月3日に提供を終えた。

ここで止まらず、いま手元で確かめられる部分を確かめておくと、検索結果に残っている古い記事に引きずられずに済む。公式サイトのアドレスへ要求を出すと、応答は301の恒久転送で返り、行き先は別サービスのドメインになる。

$ curl -sI https://www.meetsidekick.com/ HTTP/2 301 location: https://comet.perplexity.ai 出典: meetsidekick.com

転送はトップページだけでなく、料金ページのような下の階層に対しても同じ形で返る。つまり、当時の価格や対応範囲を一次情報で確認する手段はもう残っていない。比較記事の中に具体的な月額が書かれていても、それを検証する方法がないことは知っておきたい。

転送先のCometは、対話でタスクを進める作りの製品として案内されている。名前が変わって続いているのではなく、別の目的の製品が置かれている。移行先として自動的に当てはまるわけではない。

手放してよい機能と、置き換えないと困る機能

6系統を、代わりが効くかどうかで並べ替えると線引きがはっきりする。

使っていた機能 代わりの手段 置き換えの重さ
セッションの分離 分離を前提に作られたブラウザ、またはプロファイルの併用 重い
サイドバーへのアプリ常駐 アプリ単位で窓を持つ道具、ネイティブアプリ 中くらい
スペース タブグループ、ワークスペース機能 軽い
横断検索 各サービス側の検索、macOSの検索 軽い
分割表示 macOSの画面分割、窓の並べ方 軽い
広告と追跡の遮断 拡張機能、ネットワーク側の遮断 軽い

下の4つは、道具を替えなくても代わりが用意できる。横断検索は便利だが、実際には各サービスの検索窓を覚えているほうが速い場面も多い。分割表示はmacOSの機能で足りる。遮断は拡張機能で同等のものが手に入る。この4つのために移行先を絞り込む必要はない。

表の「軽い」に入る4つには、共通の性質がある。どれも、あとから足せるということだ。タブグループは標準の機能として用意されているし、遮断も検索も画面の分割も、必要になった時点で追加できる。移行先を決める段階で気にする必要がないのは、この性質があるためだ。逆に言えば、この4つを売りにしている候補を比べても、判断の材料にはなりにくい。

重いのは上の2つだ。セッションの分離は、あとから拡張機能で足せない。ブラウザがCookieの入れ物をどう持つかという設計の話なので、対応していない製品を選ぶと、毎日ログアウトとログインを繰り返す生活に戻る。アプリ常駐も、見た目の問題ではなく、通知の出どころとアイコンが一致するかどうかに関わる。この2つに当てはまるなら、候補は最初から絞られる。

置き換え先は4つの型に分かれる

候補を性格で分類すると、次の4つになる。

  • 素のブラウザにプロファイルを足す型。追加の費用はかからず、同時ログインも扱える。弱いのは、窓が増えたときにどれがどれか分からなくなる点
  • 縦タブや作業空間を持つブラウザの型。見た目の整理には強いが、作業空間がCookieの入れ物ではなく見出しの札にとどまる製品もある。ここは製品ごとに違う
  • Webアプリを1つの窓にまとめる型。アプリごとに独立したワークスペースを持たせて、アプリとアカウントの単位で区切る作り。移行の手間は一番大きいが、上の2つの重い機能を両方満たす
  • ネイティブアプリに戻す型。メールとチャットだけならこれで足りることがある。増えるのは常駐アプリの数と、更新の管理

どの型を選ぶかは、上で数えた結果で決まる。セッションの分離が要らなかった人が3番目を選ぶと、機能のほとんどを使わないまま費用だけが残る。逆に、同時ログインが日常的にあるのに1番目で済ませると、窓の取り違えが増える。

4番目を軽く見ない理由も書いておく。メールとチャットだけをネイティブアプリに戻すと、ブラウザに残るのは調べ物とWebサービスだけになり、タブの数が一気に減ることがある。ただし、同じサービスの別アカウントをネイティブアプリで扱えるかどうかは製品ごとに違い、扱えても切り替えの操作が要る形が多い。ここは移行の前に実際のアプリで確かめておく。

判断が割れやすいのは2番目だ。作業空間という言葉が、単なる札の場合と、固有のCookieを持つ入れ物の場合の両方で使われている。同じ言葉でも中身が違うので、候補に入れる前に、同じサービスの別アカウントを2つ同時に開いたままにできるかどうかだけを確認しておく。この1点で、2番目の中でも合う製品と合わない製品が分かれる。

移し替えるものは3つしかない

移行が重いと感じる理由の多くは、何を運ぶのか決めていないことにある。実際に運ぶ対象は3つに収まる。

1つ目はブックマーク。どのブラウザもHTMLの書き出しと読み込みに対応しているので、これは作業としては数分で終わる。むしろ、移す前に使っていないものを落とすほうが時間がかかる。

2つ目は常駐させていたアプリの一覧。これは書き出せないので、手で書く。左端に並んでいたアイコンを上から順に紙に書き出し、それぞれに「毎日」「週に数回」「月に数回」の印を付ける。月に数回のものは常設の置き場所を要らない。この作業だけで、移行先に並べる数がたいてい減る。

3つ目はログインの状態。これは運べない。移行先でもう一度ログインし直すことになるので、二要素認証の手段が手元にあるかを先に確認しておく。特に、仕事用のアカウントで管理者が接続元を制限している場合は、新しいアプリからの接続が弾かれることがある。移行の当日ではなく、前の週に1つだけ試しておくと詰まらない。

パスワードの保管場所は、この機会に整理の対象になる。ブラウザの中に置いていたなら、どの製品へ移っても付いてくる形へ移すかどうかを決める。ここを決めずに移ると、次に道具を替えるときに同じ作業が発生する。

決める前に、1週間だけ素の状態で過ごす

候補を1つに絞る前にやっておくと効くのが、いったん何も足さない状態で1週間過ごすことだ。目的は我慢ではなく、測定にある。束ねられていた機能が手元から消えると、本当に困る場所だけが表に出てくる。

その1週間で記録するのは3つだけでよい。同じサービスに別のアカウントでログインし直した回数、目的の画面を探して窓やタブを行き来した回数、そして通知に気づかず後から見つけた件数。紙でもメモアプリでもよいので、その場で正の字を書く。人の記憶は不便を過大に見積もるので、実際に数えると想像より少ないことが多い。

1つ目が多いなら、必要なのはセッションの分離であって、見た目の整理ではない。2つ目が多いなら、置き場所が固定されていないことが原因で、アプリ単位の窓が効く。3つ目が多いなら、通知の設定そのものが問題で、ブラウザを替えても直らない可能性がある。macOSの通知設定と集中モードの対象を先に確認したほうが早い。

この記録を取らずに候補を決めると、移行したあとで「思っていたのと違う」が起きる。逆に、1週間の数字が3つとも小さかったなら、代わりの道具そのものが要らなかったことになる。その場合に残る作業は、ブックマークの整理と常駐アプリの削減だけで、費用は発生しない。

機能の一覧を比べる前に、どの列を見るかを決める

比較表を並べると、行が多いほど良い製品に見える。しかし、上の仕分けを済ませた人にとって意味があるのは、たいてい3列か4列だけだ。同時ログインの扱い、対応しているOS、設定の保管場所、そして費用の課金軸。この4つで候補は絞れる。

何が個別に持てて何が共有されるのかという線引きはできることに整理されている。案件や取引先の単位でアプリの組ごと切り替える考え方はワークスペースにあり、上で挙げたスペースの代わりを探している場合はここが該当する。手元のGmailやSlackが対象に入っているかは使えるアプリの一覧で確認できる。開発の作業とWebアプリの往復が多い人は、同じ窓の中にターミナルを置く使い方がターミナルにまとまっているので、そこも判断材料になる。

同じ系統の製品を横に並べたい場合、多機能な製品との違いはWaveboxとの比較に、切り替えの速さを軸にした違いはShiftとの比較に、無料で始められるオープンソースとの線引きはFerdiumとの比較Ramboxとの比較にある。Sidekickが持っていた作りとの対応関係そのものはSidekickとの比較で扱われている。費用の考え方は料金、導入前に引っかかりやすい点はよくある質問に出ている。

最初に手を付けるなら、比較表を開く前に、左端に並べていたアプリの一覧を書き出すところからでよい。その紙に「毎日」の印が3つ以下しか付かず、同じサービスの別アカウントも混ざっていなかったなら、必要なのは新しいブラウザではなく、常駐の数を減らすことのほうになる。印が5つ以上付いて、しかも同じサービスが2つ並んでいたなら、分ける単位をタブから窓へ移す段階に来ている。

よくある質問

Sidekickブラウザは今もダウンロードできますか?

公式サイトのアドレスは現在、別サービスのドメインへ恒久的に転送される状態になっています。料金ページなど下の階層へ要求を出しても同じ転送が返るため、配布ページを一次情報として確認する手段は残っていません。検索結果に紹介記事が残っていても、そこからたどれる配布元は現存しない点に注意してください。

転送先のCometに乗り換えれば、そのまま代わりになりますか?

Cometは対話でタスクを進める作りの製品として案内されており、目的が異なります。名前が変わって同じものが続いているわけではないため、サイドバーへのアプリ常駐やセッションの分離を目的に使っていた場合は、その部分が満たされるかを個別に確認する必要があります。

無料で代わりを用意することはできますか?

使っていた機能によります。スペース、横断検索、分割表示、広告の遮断が中心だったなら、素のブラウザの機能と拡張機能で代用でき、追加の費用はかかりません。同じサービスの別アカウントを同時に開いたままにする用途が中心だった場合は、プロファイルの併用か、分離を前提に作られた製品のどちらかを選ぶことになります。

移行でいちばん時間がかかるのはどの作業ですか?

ブックマークの移動ではなく、常駐させていたアプリの仕分けとログインのやり直しです。特に、勤務先が接続元や利用するアプリを制限している場合、新しいアプリからの接続が通るかどうかを先に1つだけ試しておくと、移行の当日に止まらずに済みます。

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