Sidekickブラウザをどう選ぶか|条件の見方

Sidekickブラウザのような、Webアプリをまとめて扱う製品の選び方を調べると、出てくるのは機能の一覧と星の数ばかりで、自分の手元で何を確かめればよいのかが書かれていない。この分野は見た目が似ている製品どうしで中身が大きく違い、しかも運営の移管や提供の終了が実際に起きている。だから、選ぶ側が持つべきなのは候補の順位表ではなく、候補に当てる条件のほうになる。ここでは、希望を判定できる条件に書き直す手順と、その条件を自分で確かめる方法を並べる。

「使いやすそう」を、判定できる条件に書き直す

選べなくなるいちばんの理由は、条件が判定できない言葉のままになっていることにある。「使いやすい」「軽い」「まとまる」は、どれも候補に当てても真偽が決まらない。まず、この形を次のように書き直す。

  • まとまる → 毎日開くサービスをいくつ常駐させられるか
  • 切り替えが楽 → 同じサービスの別アカウントを、ログインしたまま同時に置けるか
  • 軽い → 常駐している状態で、macOSのアクティビティモニタに出るメモリがいくらか
  • 安心して使える → 設定とログイン情報がどこに保管されるか
  • 長く使える → 直近の更新がいつ出ているか

書き直したあとの条件には、共通の性質がある。どれも「はい」か「いいえ」か、数字で答えが出る。この形にしておくと、候補を比べる作業が、感想の比較から表の照合に変わる。時間も短くなる。

書き直しの際に混ざりやすいのが、1番目と2番目だ。常駐させられる数が多い製品は、アカウントの分離ができるとは限らない。同じ画面に10個のアイコンが並んでも、その全部が1つのログイン状態を共有していることがある。数と分離は別の条件なので、分けて書く。

中身を見る3つの条件

作業空間が「札」なのか「入れ物」なのか

この分野で最も大きな分かれ目がこれになる。札は、開いているものをまとめて見せるための見出しで、切り替えても背後のログイン状態は1つのままだ。入れ物は、その区画に固有のCookieを持たせるので、同じサービスに2つのアカウントで同時にログインしたままにできる。

見分け方は簡単で、試用の段階で同じサービスを2つの区画に置き、別々のアカウントでログインしてみる。片方が落ちるなら札、両方が残るなら入れ物になる。機能一覧の言葉だけでは判別できないので、この1回の操作は必ず入れる。

紛らわしいのは、どちらの製品も同じ言葉で説明されている点だ。作業空間、スペース、ワークスペース、プロジェクト。名前からは中身が読み取れない。説明ページに「それぞれ別のログイン状態を持ちます」といった趣旨の記述があるかどうかが手がかりになるが、書かれていないことも多い。

この条件は、あとから足せないという点で他と性格が違う。札の製品を選んだあとで入れ物が必要になったら、乗り換え以外の解決策がない。逆に、同じサービスを2つのアカウントで使う場面が一度もないなら、この条件は無視してよい。自分がどちらなのかは、過去1か月のログインし直しの記憶で判断できる。

設定とログイン情報がどこに保管されるか

同期の保管先は、提供元のサーバーに置く製品と、利用者自身のiCloudやGoogle ドライブに置く製品、そして端末の中だけに持つ製品に分かれる。日々の使い勝手はどれもあまり変わらないので見落とされやすいが、この違いが表に出るのは、提供元の体制が変わったときだ。

勤務先で情報の取り扱いを契約で定めている場合は、ここが導入の可否そのものになることがある。候補のサイトに書かれていなければ、問い合わせて確認する価値がある条件になる。

もう1つ、保管先は移行のしやすさにも効く。端末の中だけに設定を持つ形は、機材を替えるときに手で作り直すことになる。自分のクラウドに置く形は、提供元の状況にかかわらず手元に残る。提供元のサーバーに置く形は、複数の端末での同期が最も素直に動くかわりに、書き出しの手段が用意されているかを確認しておきたい。書き出せるなら、どの形でも困らない。

なお、パスワードをブラウザの中に保管しているなら、この条件は道具を選ぶ話より先に片付けたほうがよい。保管先をブラウザから独立させておくと、次にどの製品へ移っても同じ作業が発生しなくなる。

対応OSと、拡張機能が使えるかどうか

対応OSは一覧に書いてあるので確認は早い。ただし、対応と書かれていても、必要な最低のバージョンが手元の環境より新しいことがある。macOSを更新していない機材で使う予定なら、そこまで見ておく。

見落としやすいのはもう一方で、拡張機能に対応しているか、対応しているとしてどの仕組みのものが動くかという点になる。パスワード管理や広告の遮断を拡張機能に頼っている場合、ここが合わないと移行のあとで手が止まる。仕事で使う拡張機能が1つでもあるなら、その名前を条件の紙に書いておき、候補ごとに動くかどうかを確かめる。

拡張機能に非対応の製品が悪いわけではない。窓の単位で区切る作りの道具は、そもそも拡張機能でやっていたことの一部を別の方法で解いている。だから、この条件は「対応しているか」ではなく「自分が頼っている機能が別の形で満たされるか」で見たほうが、候補を不当に落とさずに済む。

続くかどうかを見る3つの条件

配布ページが今も生きているか

この分野では、紹介記事が残ったまま製品のほうが無くなっていることがある。候補を絞る前に、公式サイトのアドレスへ要求を出して、応答が200で返るかを見る。別のドメインへの転送が返るなら、その製品はもう別の何かになっている。ターミナルで1行打つだけで済み、比較記事を10本読むより早く候補が減る。

ブラウザで開いて確認する場合は、転送されたあとのアドレスを見る。入力したドメインと違うものが表示されていたら、その製品は別の会社の製品に置き換わっているか、たたまれている。掲示板の古いスレッドや、数年前の「おすすめ」記事には、この状態になった製品の名前がそのまま残っていることがあるので、名前を拾った時点で必ず一度当てる。

更新が、どの層で出ているか

ブラウザは土台であるChromiumの上にアプリの層が載っている。この2つの更新は別々に出るもので、土台の更新が入っていても、その上の層が止まっていることがある。

The Chromium security team aims to provide Chrome and Chrome OS users with the most secure platform to navigate the web, and just generally make the Internet a safer place to hang out. 出典: chromium.org

土台の側にこうした体制があることと、手元の製品が更新を取り込んで配布しているかは別の話になる。候補のリリースノートや更新履歴を開いて、直近の日付を見る。年単位で止まっているなら、その事実を知ったうえで選ぶことになる。

見るべき場所は3つある。更新履歴の最新の日付、配布ファイルの署名がいつのものか、そして問い合わせ窓口の返信があるかどうか。個人の機材で閲覧が中心なら、多少止まっていても受け入れる選択はあり得る。取引先のアカウントを入れている機材では、アプリ層の更新を誰がどの頻度で出しているかを説明できる必要が出てくるので、同じ状態でも判断は変わる。

始めるのにアカウント登録が要るか

導入の時点で提供元のアカウントを作る製品と、作らずに使い始められる製品がある。どちらが良いという話ではなく、作る形の場合は、保管先の条件と一体で考える必要がある。試用の段階で個人情報を渡すことになるので、ここは最初に確認しておきたい。

登録が要る形には利点もある。複数の端末で設定がそろい、契約の管理も1か所になる。要らない形の利点は、試すまでの手数が少ないことと、やめるときに何も残らないことだ。試用の回数が多くなりそうなら後者のほうが気楽で、最終的に長く使う前提なら前者の利点が効いてくる。

費用は金額ではなく、課金の軸で比べる

同じ分野でも、料金の作り方は製品ごとに違う。常駐できるサービスの数で段階を付けるもの、使う人数で課金するもの、機能の範囲で分けるもの、そして買い切りの形。月額の数字だけを横に並べても比較にならないのは、軸が違うためだ。

判断の順番としては、まず自分の使い方がどの軸に当たるかを確かめる。常駐させたいサービスが多い人は、数で段階を付ける製品だと上の段に上がりやすい。1人で使う人は、人数課金の製品では安く収まる。機能で分ける製品は、使わない機能のために上の段を選ばされることがある。

課金の軸 影響が出る使い方 確かめること
常駐できる数 毎日開くサービスが多い 無料の範囲でいくつ置けるか
人数 1人で使うか、チームで使うか 最小の契約単位
機能 一部の機能だけ欲しい 欲しい機能がどの段にあるか
買い切り 長く同じ道具を使いたい 将来の版が対象に入るか

無料の範囲を持つ製品もあるので、金額の話に進む前に、その範囲だけで切り替えの回数が減るかを試す順番になる。減らないなら、上の段に上げても結果は変わらないことが多い。

買い切りの形を選ぶときに確認しておきたいのは、将来の版が対象に入るかという点だ。この分野の製品は、土台の更新に追いつくための作業が毎年発生する。その費用をどこから出すのかによって、買い切りの範囲が「今の版だけ」になっている場合と、期間を区切って更新が付く場合がある。金額の安さだけで比べると、ここを読み落とす。

条件を当てる順番で、読む量が変わる

条件は7つ挙げたが、全部を全候補に当てる必要はない。落ちる数が多い順に当てると、読む量が減る。

順番としては、配布ページが生きているかを最初に置く。次に対応OS、次に札か入れ物かの判定。ここまでで候補はたいてい半分以下になる。残ったものに、保管先と更新の日付、そして課金の軸を当てる。金額の比較は最後でよい。最初に金額表を開くと、そもそも条件に合っていない製品を丁寧に読み込むことになる。候補が3つまで減ってから金額を見ると、判断に使う時間が目に見えて短くなる。

この順番で絞った結果を、実際の製品の説明と突き合わせる段になったら、何が個別に持てるのかという線引きができることに、区画の単位をどう設計するかという考え方がワークスペースにまとまっている。手元で使っているサービスが対象に入るかは使えるアプリで確認でき、同じ窓の中にターミナルを置く形はターミナルで説明されている。

製品どうしの違いを条件ごとに見たい場合は、多機能な製品との差がWaveboxとの比較、切り替えの速さを軸にした差がShiftとの比較、無料のオープンソースとの線引きがFerdiumとの比較Ramboxとの比較にある。作業空間の作り方の違いはSidekickとの比較で扱われている。課金の軸そのものは料金に、判定に迷う点はよくある質問に出ている。

最初にやることは、候補を並べることではない。上の書き直しを紙の上でやって、自分の条件を5行にする。その5行のうち、いま使っているブラウザで満たせていないものが1つか2つなら、道具を替えずに設定で届く可能性が高い。3つ以上あって、そのうちの1つが札か入れ物かの条件だったなら、別の道具を探す段階に来ている。

よくある質問

機能の数が多い製品を選べば間違いないですか?

数が多いほど条件に合うとは限りません。この分野では、同時ログインの扱いのように、あとから拡張機能で足せない条件が判断を決めます。機能の一覧に並ぶ項目の多くは標準のブラウザでも用意できるため、まず自分の条件を5行に書き出し、その行に当たるかどうかだけで比べてください。

作業空間が「札」なのか「入れ物」なのかは、どこを見れば分かりますか?

説明文では判別できないことが多いので、試用の段階で同じサービスを2つの区画に置き、別々のアカウントでログインしてください。片方のログインが外れるなら札、両方が保たれるなら入れ物です。この1回の操作で、候補の性格がはっきり分かれます。

提供が続いているかどうかは、どうやって確かめますか?

公式サイトのアドレスへ要求を出して、応答が200で返るかを見ます。別のドメインへ転送されるなら、その製品は形を変えています。あわせて、リリースノートや更新履歴の直近の日付を確認してください。紹介記事が新しくても、製品の更新が止まっていることがあります。

無料の範囲だけで判断してよいですか?

判断の入口としては有効です。無料の範囲で1週間使い、アカウントの切り替え回数と、目的の画面を探す回数が減るかを見ます。減らないなら、上の段の機能を足しても結果は変わりにくいです。減ったうえで常駐させたい数が足りないときに、はじめて課金の軸を比べる段階になります。

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