Sidekickブラウザの費用|無料でできる範囲

Sidekickブラウザの費用を調べている人には、先に伝えるべき事実が1つある。この製品は現在、契約できない。2025年8月3日に提供が終わり、公式サイトのアドレスは別会社の別製品へ転送される状態になっている。それでも料金の話を読む価値が残るのは、この製品が引いていた無料と有料の線が、いま選べる同じ分野の製品の線とほぼ同じ場所にあるからだ。どこまでが無料で、どこから月額になるのかという構造を一度掴んでおくと、次の候補を見るときに読む速度が変わる。

公表されていた料金の中身

終了前に公表されていた内容では、プランは無料とProの2段だった。無料で使えたのは、サイドバーに常駐させるアプリが5つ、アプリの合計が10個、保存できるセッションが2つまで。これに広告とトラッカーの遮断、横断検索、使っていないタブを自動で眠らせるタブ休止、基本のサポートが付いていた。

Proは月12ドル。ここで開くのが、複数のワークスペース(ベータ扱い)、同じサービスで複数アカウントを同時に持つこと、画面を左右に割る分割表示、パスワードの共有、任意のURLを自分のWebアプリとして登録する機能、そしてセッションとサイドバーのアプリの数の制限解除だった。

この2段の分け方には、はっきりした思想がある。散らかったタブを畳んで整える部分までは無料で開放し、身分を分ける部分から有料にする、という線の引き方だ。無料で触れる範囲は快適だが、この種類の道具を探し始める動機そのもの、つまり「仕事のGmailと個人のGmailを同時に開きたい」に該当する機能は、最初から有料の側に置かれていた。

無料の範囲が実務でどこまで届いたか

数字の上では、アプリ合計10個という無料枠は同じ分野の中で広いほうにあたる。ところが実務では、この枠が余ったまま有料を検討することになりやすい。理由は枠の数ではなく、枠の種類にある。

朝から晩まで開きっぱなしにするサービスを数えると、メール、チャット、ドキュメント、進行管理、カレンダー、経費、それに顧客管理あたりで7つ前後に収まる。10個の枠には収まる。問題は、その7つのうちいくつかが2アカウントずつ必要だという点だ。会社のGmailと自分のGmail、社内のSlackと取引先のSlack。数え直すと必要な「アプリの数」は増えていないのに、必要な「身分の数」が倍になる。

セッション2つという上限も、同じ種類の引っかかりを持っていた。案件を3つ並行で抱えている人にとって、束ねたいタブの群れは案件の数だけ存在する。2つに収めるには、どれか1つを毎日開き直すことになる。無料枠の評価は、数字の大小ではなく、自分が必要とする単位と枠の単位が一致しているかで決まる。

提供終了で、支払いはどう扱われたか

ここが、料金を調べている人がいちばん知りたい行になる。経緯には前段がある。Sidekickは2024年のうちに「年内で提供を終える」という趣旨の案内を一度出した。ところがその後も稼働を続け、2025年1月の時点でも有料プランの契約を受け付けていた。

この製品は過去にAppSumoで買い切りの形でも販売されており、その購入者のあいだで、終了の告知が本当なのか判断できない状況が生まれていた。終了の案内が出た後も契約が続いていれば、利用者の側からは「撤回されたのか、延期されたのか、それとも当初の案内が誤りだったのか」を見分ける手がかりがない。実際の終了は、そこからさらに半年以上あとの2025年8月3日になった。

ここから取り出せる実務的な教訓は、価格表の数字ではなく、終了が告知されてから止まるまでの期間と、その間に販売が続くかどうかを見ておく、という点にある。月額の契約なら止めれば済むが、買い切りの形で先に払う場合、支払いの根拠は製品が動き続けることそのものになる。

買い切りの割引が魅力的に見えるのは、月額に換算した数字が小さいからだ。月12ドルの製品を1度きりの支払いで手に入れられるなら、2年使えば元が取れる計算になる。この計算が成り立つ条件は1つで、2年後にその製品が動いていることだ。条件のほうは価格表に書かれていないため、金額だけを見ると割引の大きさしか目に入らない。

では、買い切りを避ければよいのかというと、そう単純でもない。月額の契約でも、提供が止まれば同じ日に使えなくなる。違うのは、失う金額の大きさだけになる。だから見るべき行は支払いの形式ではなく、その製品がどれだけ長く続きそうかという別の情報になる。運営している会社の規模、更新の頻度、公開されている案内の更新日。これらは価格ページには載っていないが、調べるのに時間はかからない。

もう1つ確かめておきたいのが、支払いを止めたときの挙動になる。無料プランへ落ちて使い続けられる製品と、契約が切れた時点で起動しなくなる製品では、契約を止めるときの負担がまったく違う。この扱いは各社の案内に書かれていることが多いので、契約する前に一度読んでおくとよい。

同じ分野の料金を横に並べる

2026年8月から9月にかけて各社が自社サイトで公表している内容をもとに、無料の範囲と有料の価格を並べると次のようになる。

製品 無料でできる範囲 有料の価格
Sidekick(提供終了) サイドバーのアプリ5つ、アプリ合計10個、セッション2つ Pro 月12ドル
Wavebox 2スペース・各2アプリ、拡張機能1つ、ダッシュボード1つ 年99ドル(月あたり8.33ドル)、Teams 1人月12.50ドル
Shift 5スペース・各10アプリ Advanced 年199.99ドル
Rambox アプリ数は無制限、ワークスペースなし Pro 月7ドル(年70ドル)、チーム 1人月14ドルで最低5ユーザー
Ferdium 制限なし(Apache-2.0のオープンソース) なし

この表は、月額の数字だけを比べるために作ると読み違える。見るべきなのは、無料の列に「同じサービスの2つ目のアカウント」が入っているかどうかだ。多くの製品で、そこは有料の線の向こうにある。金額の高低より、自分の要件が線のどちら側に落ちるかが先に決まる。価格の考え方そのものを条件ごとに整理した料金のページや、機能が広い製品との違いを事実の並びでまとめたWaveboxとの比較は、この線の位置を具体的な行で確認するのに使える。

無料と有料の線が製品ごとにずれる理由

同じ分野なのに、無料で開く機能が製品ごとに違うのは、原価の構造が違うからだ。ここを理解しておくと、価格表を見たときに「なぜこの機能だけ有料なのか」が読める。

  • アプリの数で線を引く形。Waveboxはスペースとアプリの数で無料枠を区切っている。1人の利用者が抱える窓の数がそのまま負荷になるという考え方で、数が増えるほど支払いも増える
  • 身分の数で線を引く形。Sidekickが取っていたのがこれで、同じサービスの複数アカウントを有料の側に置いていた。利用者を増やさずに1人が使う量だけが増える構成なので、ここで回収する設計になる
  • 同期と共有で線を引く形。設定を提供元のクラウドに置く、パスワードをチームで共有する、といった機能はサーバーの運用費が直接かかるため、無料に置きにくい
  • 線を引かない形。Ferdiumのようにオープンソースで配る場合、機能の制限そのものが存在しない。代わりに、開発の継続は寄付と有志の作業に依存する

この4つを頭に入れて価格表を読むと、判断が早くなる。自分の要件が「アプリの数」に寄っているのか「身分の数」に寄っているのかで、割安になる製品が入れ替わるからだ。アプリは15個必要だがアカウントは1つずつ、という人と、アプリは5個で足りるが全部2アカウントずつ、という人では、同じ価格表から出る結論が逆になる。

もう1つ、線の位置は固定ではない。無料の範囲が後から狭くなることは、この分野で実際に起きている。無料枠を判断の中心に置く場合は、その枠が変わったときにどうするかまで決めておくと、あとで慌てずに済む。

月額の数字より先に見る3つの費用

料金の比較を月額だけで終えると、あとから出てくる費用を見落とす。実際に効いてくるのは次の3つになる。

  • 移行の費用。ブックマークとパスワードは書き出して運べるが、どのアプリをどの入れ物に入れるかという設計は運べない。10個前後のアプリと複数アカウントを組み直す作業は、慣れていても1時間から2時間かかる。年に1度これが発生するなら、月額の差額より大きい
  • アカウントの費用。導入時に提供元のアカウント登録を求める製品があり、その場合は管理するパスワードが1つ増える。会社の端末では、その登録が社内の規定で許されるかの確認が先に必要になる
  • 止まったときの費用。提供元が判断を変えたとき、手元の版が動き続けるかはライセンスで決まる。ソースが公開されている製品は、更新が止まっても既存の版が使える。閉じた製品では、配布が止まった時点で新しい端末に入れられなくなる

3つ目は、Sidekickの経緯がそのまま例になっている。月12ドルという数字は、製品が動き続けている間だけ意味を持つ価格だった。

支払いを止めても手元に残るもの

料金を判断するときに確かめておきたいのが、支払いをやめた後に何が残るかになる。ブラウザ本体の設定は製品ごとの形式で保存されるが、パスワードとブックマークは標準の形式で書き出せることが多い。パスワードの保管については、Chromeの案内が前提を次のように書いている。

Chrome を使用するときに、Google パスワード マネージャーで各サイトのパスワードを保存できます。 出典: support.google.com

Chromiumを土台にした製品の多くは、この保存と書き出しの仕組みをそのまま引き継いでいる。つまり、契約を止めてもパスワードとブックマークは手元に残せる。残らないのは設計のほうで、アプリごとに独立したワークスペースをどう切ったかという判断は、次の製品で組み直しになる。

この非対称に気づくと、料金の見方が変わる。毎月の金額は乗り換えのときに止められるが、設計にかけた時間は戻らない。だから候補を絞る段階で、書き出しの手段があるか、設定をファイルとして持ち出せるかを確かめておく価値がある。無料で使い続けられる選択肢との違いを整理したFerdiumとの比較は、この観点を価格ゼロの側から見た場合の条件を並べている。

費用を判断に落とすときの並べ方

最後に、金額を決める順番を具体的に置いておく。まず、同時にログインしたままにしておきたい識別子を紙に書き出す。仕事のGmail、個人のGmail、取引先のGoogle Workspace、メールアドレスの違う2つのSlack、というように、サービス名ではなく身分の単位で数える。ここで出た数が、無料枠で足りるかどうかを決める唯一の数字になる。

次に、その数を各製品の無料の列に当てる。足りない製品については、有料にしたときの年額を書き添える。月額表示と年額表示が混ざっているので、年額に揃えて並べると差が見える。年99ドルと年199.99ドルでは倍近い開きがあるが、その差が自分の要件に効く機能に対応しているかは製品ごとに違う。

最後に、上で挙げた3つの費用を年額に足す。移行に2時間かかるなら、その2時間を自分の時間単価で金額に直す。ここまで並べると、月7ドルと月12ドルの差が判断を左右する場面は、思ったより少ないと分かることが多い。効くのは金額ではなく、無料の線がどこに引かれているかと、提供が続くかどうかの2点になる。

よくある質問

Sidekickブラウザの有料プランは今も契約できますか?

できません。2025年8月3日に提供が終わっており、公式アドレスは別製品へ転送されています。終了前に公表されていた価格はProが月12ドルで、無料プランはサイドバーのアプリ5つ、アプリ合計10個、セッション2つまででした。現在は新規契約も更新も受け付けていません。

無料プランだけで複数のGmailを使い分けられましたか?

同じサービスの複数アカウントはProの機能として案内されていたため、無料の範囲では難しい構成でした。アプリ合計10個という枠自体は広めでしたが、身分を分ける部分は有料の線の向こうにあります。同じ分野の他の製品でも、この線の引き方は似ています。

買い切りで購入していた場合はどうなりましたか?

過去にAppSumoで買い切りの販売がありました。2024年に一度「年内で終了する」という趣旨の案内が出た後も稼働と有料契約の受付が続き、実際の終了は2025年8月3日でした。買い切りの形は、製品が動き続けることが前提の支払いになるため、終了の告知と実際の停止の間隔は事前に見ておきたい点です。

同じ分野の製品はいくらぐらいが相場ですか?

各社が公表している内容では、Ramboxが月7ドル(年70ドル)、Waveboxが年99ドルで月あたり8.33ドル、Shiftが年199.99ドル、Ferdiumはオープンソースで無料となっています。月額の差より、無料の範囲に同じサービスの2つ目のアカウントが含まれるかどうかで実際の負担が変わります。

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