MacBookのブラウザおすすめ|古い機種で重くならない選び方
MacBookのブラウザを何にするか調べる人の多くは、記事を読む前にすでに答えを持っている。速いと言われているものを入れれば軽くなるはずだ、という答えになる。ところが数年前の機種で同じことをすると、入れた直後だけ軽くなって、1週間後には元に戻る。原因は製品の選び方ではなく、その機種で動く範囲を確認しないまま選んでいることにある。この記事では、手持ちのMacBookで何が選べるのかを確かめる順番と、選んだあとに効く設定を整理する。
古いMacBookで重いと感じるとき、実際に何が起きているか
体感の遅さは、ページの描画が遅いことではほとんど起きていない。いま使われているブラウザは、どれも表示そのものでは差が出ない水準にある。時間を奪っているのは別の4つになる。
- メモリが足りずに、ディスクへの退避が始まっている。この状態になるとブラウザだけでなくMac全体が遅くなる
- 裏で眠っていたタブに戻ったときの読み込み直し。開いていたはずの画面にまた読み込みの表示が出る
- 眠っていたタブが通知を受け取れていない。チャットの返信に気づくのが遅れる
- タブが増えて、目的の画面を探す時間が伸びている。タブが15個を超えたあたりから、見出しは数ピクセルのアイコンに縮んで形で探すことになる
このうち機種の古さが直接効くのは1つ目だけになる。残りの3つは、新しい機種でも同じように起きる。つまり「古いから重い」と「使い方で重い」が混ざっていて、前者だけを製品の入れ替えで直そうとしても半分しか解決しない。まず、どちらがどれだけ効いているかを分ける必要がある。
分け方は簡単で、アクティビティモニタのメモリの欄にある「メモリプレッシャー」のグラフを見る。緑であれば機械には余裕があり、遅さの原因は使い方の側にある。黄色や赤であれば、macOSがすでにやりくりを始めている状態で、この状態ではどのブラウザを使っても結果は似たものになる。
選べる範囲は、macOSのバージョンで決まっている
おすすめを比べる前に確認すべきなのは、その機種のmacOSがいくつかという点になる。ここで選択肢の数が変わる。
Chromeの動作要件は公式のヘルプに書かれている。
Mac で Chrome ブラウザを使用するための要件は次のとおりです。macOS 13 Ventura 以降 出典: support.google.com
macOS 12 Monterey以前で止まっている機種では、Chromeは新しい版に上がらない。動かなくなるわけではなく、その機種で入る最後の版のまま止まる。止まったブラウザは、新しい機能が来ないだけでなく、セキュリティの修正も来なくなる。毎日ログインして仕事の情報を扱う道具としては、ここが判断の分かれ目になる。
Firefoxは対応の範囲が広い。公開されている動作環境では、Macについてはリリース版でmacOS 10.15以降が対象とされていて、推奨されるハードウェアはIntelまたはApple siliconのプロセッサ、メモリが512MB、ディスクの空きが200MBと書かれている。数字だけ見れば、いま手元にある古いMacBookのほとんどが該当する。Chromeが上がらない機種でも、Firefoxなら最新版が入る場合が多い。この差は、古い機種を使い続ける人にとって最も実務的な差になる。
なお、Mozillaは通常の版とは別に、長期的な安定を目的としたESRという版を用意している。機能の追加は年に1度の大きな更新にまとめられ、その間はセキュリティの修正が届く。機能が増えないことが利点になる場面があり、古い機種で構成を固定したい場合には検討の対象になる。
手持ちの機種がどこまで上がるかは、Appleの画面から確認できる。アップルメニューの「このMacについて」で現在のmacOSの名前と番号が分かり、システム設定のソフトウェアアップデートを開けば、その機種に配信される更新だけが表示される。ここに新しいmacOSが出てこなければ、その機種は対応の対象から外れている。外れている場合でも、セキュリティの修正だけは一定期間は届くことがあるため、すぐに使えなくなるわけではない。ただし、その期間は公表されている保証ではないので、業務で使う機械であれば「いつまで届くか分からない状態で使っている」という前提を持っておく必要がある。
この確認を先にやると、比較記事の読み方が変わる。対応外の製品を検討から外せるので、選択肢が2つか3つに絞られ、そこから先は好みと業務で使うWebアプリの相性だけで決まる。逆に確認しないまま進めると、動作要件を満たさない製品を入れて、古い版のまま使い続けることになる。
Safariは選ぶものではなく、macOSに付いてくるもの
Safariの扱いは他の2つと根本的に違う。個別に新しい版を入れるのではなく、macOSの更新に含まれて上がる。Appleの案内にもその関係が示されている。
各macOSには、「Safari」、「メモ」、「メッセージ」、「Apple Music」など、そのmacOSで利用できる最新の標準搭載アプリが含まれています。 出典: support.apple.com
このため、macOSが上がらない機種では、Safariもその時点で止まる。逆に言えば、macOSを上げられる機種であれば、Safariは何も入れずに最新の状態になる。バッテリーの持ちがAppleの調整の対象になっている点も、ノート型では効いてくる。
判断としては、こう整理できる。macOSを最新に上げられる機種なら、Safariは何も入れずに使える有力な候補になる。macOSが止まっている機種なら、Safariも止まっているので、対応範囲の広いブラウザを別に入れることになる。「おすすめのブラウザ」を探す前に、システム設定のソフトウェアアップデートを開いて、その機種がどこまで上がるかを確認するのが先になる。
メモリが足りない機械で、実際に効く設定
機種が決まって製品も決まったあと、体感を変えるのは設定になる。Chromeの仕組みは公開されている情報が最も詳しいので、考え方の基準として使える。
メモリセーバーは、使っていないタブを非アクティブにしてメモリを空ける仕組みで、非アクティブになったタブは次にアクセスしたときに自動で読み込み直される。節約の度合いは3段階から選べる。適度は長い時間が経ってから非アクティブになり、バランス重視が推奨の設定で、最大は短い時間で非アクティブになる。
重要なのは、非アクティブにできない条件が公開されている点になる。音声や動画の再生と通話、画面共有、ページ通知、進行中のダウンロード、途中まで入力したフォーム、固定したタブ、USBやBluetoothで接続した機器。これらに当てはまるタブは眠らない。さらに、常にアクティブにしておきたいサイトを除外リストに登録できる。
ここが実務で使える部分になる。チャットの通知を取りこぼしたくないなら、そのタブを固定するか除外リストに入れる。代わりにメモリはその分だけ使い続けることになる。軽くすることと、戻ったときにすぐ使えることは、同じ設定で両立しない。古い機種ほど、この取引をどちらに寄せるかを意識して決める必要がある。
機能拡張は、古い機種ほど数が効いてくる
設定と並んで見落とされやすいのが、何年もかけて溜まった機能拡張になる。機能拡張はそれぞれ独立した処理として動くため、入れた数だけメモリと処理が増える。新しい機種では気づかない程度の負荷でも、余裕の無い機械では合計が体感に出る。
問題は、入れた本人が全部を覚えていないことにある。数年使っているMacBookなら、パスワードの管理、翻訳、画面の切り抜き、広告の抑止、文章の校正、タブの整理といったものが積み重なっていて、そのうち実際に毎週使っているのは半分もないことが多い。使っていない機能拡張も、入っている限り処理としては立ち上がる。
整理の手順は単純になる。機能拡張の一覧を開いて、直近1か月で使った記憶が無いものを外す。迷うものは、いったん無効にして1週間様子を見てから決める。外して困ったら戻せばよいので、判断を先送りするより試すほうが早い。この作業は数分で終わり、古い機種では製品を入れ替えるより効果が出る場合がある。
同じ考え方は、常駐しているアプリにも当てはまる。チャットのツールを、Macのアプリとしても入れつつブラウザのタブでも開いている状態は珍しくない。同じサービスを二重に動かしていることになるので、どちらか片方に寄せるだけで常駐する分が1つ減る。この重複は自分では気づきにくく、通知が二重に届いていることで初めて分かる場合が多い。ログイン中のアプリを一度書き出して並べてみると、同じ役割のものが2つ入っている箇所が見つかる。
古いMacBookでの選択肢を並べて比べる
| 選択肢 | 対応するmacOS | 更新の届き方 | 古い機種での位置づけ |
|---|---|---|---|
| Safari | その機種のmacOSと同じ | macOSの更新に含まれる | macOSを上げられるなら何も入れずに使える |
| Chrome | macOS 13 Ventura 以降 | ブラウザ側で自動更新 | macOS 12以前の機種では版が止まる |
| Firefox | macOS 10.15 以降 | ブラウザ側で自動更新 | 対応範囲が広く、古い機種でも最新版が入りやすい |
| Firefox ESR | 長期安定の版 | 年1回の大きな更新と随時の修正 | 構成を固定したい場合の選択肢 |
表にすると、選び方の順番が見えてくる。まずmacOSを最新まで上げられるかを確認し、上げられるならSafariを起点にする。上げられないなら、その版に対応している製品の中から選ぶ。この順番を飛ばして「速いと言われている製品」から入ると、入れたあとで対応外だったと分かることになる。
機械を替えずに軽くするための、道具の側の考え方
設定を詰めたあとに残るのは、タブの数そのものになる。古い機種でタブが30個ある状態は、どの製品を選んでも重い。ここで効くのは、タブを減らすことではなく、毎日使うものとたまに使うものを別の場所に置くという整理になる。
毎日使うWebアプリを、タブではなくアプリ単位の作業面として持つ形がある。アプリごとに独立したワークスペースを持たせて、そこに常駐するのは日常的に使う数個だけにし、調べものは別のタブで開いて閉じる。この形にすると、常に読み込まれているものの数が固定されるため、メモリの使われ方が予測できるようになる。どういうことができるのかはできることのページで説明されている。
ただし、この方式は常駐する分のメモリを使う。古い機種では、常駐させるアプリを絞ることが前提になる。自分が毎日使うサービスがこの方式で扱えるかどうかも先に確認が必要で、対象は使えるアプリの一覧で確認できる。ここに業務の中心にあるサービスが入っていなければ、結局タブを併用することになり、整理の効果は薄くなる。
費用の面も、古い機種を使い続ける判断と関係する。無料の製品で足りるのか、有料の製品を数年使うのかは、機械を買い替える費用と並べて考える対象になる。金額の目安は料金のページにあり、導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとまっている。古いMacBookを延命するという目的なら、まず設定とタブの整理で効果を測り、それでも足りない場合に道具を足すという順番が無駄が少ない。
よくある質問
macOSが古いMacBookでもChromeは使えますか?
その機種に入る最後の版のままであれば動く。ただしChromeの動作要件はmacOS 13 Ventura以降とされているため、macOS 12以前の機種では新しい版に上がらず、セキュリティの修正も届かなくなる。仕事で使うなら、対応範囲の広い製品に移すか、macOSを上げられるかを先に確認するのが安全になる。
古いMacBookで一番軽いブラウザはどれですか?
メモリに余裕が無い機械では、製品の違いよりも開いているタブの数と機能拡張の数のほうが効く。どの製品でも、使っていないタブを非アクティブにする仕組みと、機能拡張の整理を先に行ったほうが体感は変わる。製品を替える前に、アクティビティモニタでメモリプレッシャーが緑かどうかを確認するとよい。
メモリセーバーはオンにすべきですか?
メモリが足りない機械ではオンにする価値がある。使っていないタブを非アクティブにしてメモリを空け、戻ったときに自動で読み込み直す仕組みになっている。チャットなど眠らせたくないサイトは除外リストに入れるか、タブを固定すれば非アクティブにならない。
ブラウザを替えれば古いMacBookは速くなりますか?
遅さの原因がブラウザにある場合だけ効果が出る。アプリを問わず全体が遅い、ファンが回る、ウィンドウの切り替えに数秒かかるという症状であれば、原因はメモリか発熱の側にあり、製品を替えても数日で元に戻る。原因を先に切り分けてから決めるほうが、時間の無駄が少ない。