Biscuitブラウザは今も使えるのか、代わりはあるか
Biscuit(ビスケット)ブラウザは、2026年10月18日の時点でも無料で配布され、更新も続いています。公式サイトでは macOS(Intel版とAppleシリコン版)、Windows、Linux の4種類の配布物が並び、「無料」「トラッキングなし」「登録不要」と書かれています。配布元が公開している更新履歴では、最新の版は2026年8月19日に出た2.1.2です。この記事では、Biscuitの使い方の要点、2026年4月の2.0で変わったこと、クラウド同期が運ぶものと運ばないもの、そして代わりを探す場合の候補と無料で使える範囲を、各社の公式ページで今日確かめた内容をもとに並べます。なお、このサイトはWebアプリをまとめるブラウザの開発元が運営しています。
Biscuitブラウザとは何か、今どういう状態か
Biscuitは、Gmail、Slack、Notion、Chatwork のような毎日使うWebアプリを、ブラウザのタブの列ではなく「アプリ」の単位で並べるデスクトップアプリです。公式サイトは、たくさんのWebアプリやタブをワークスペースごとに整理し、集中できる環境をつくるデスクトップアプリ、と説明しています(出典: Biscuit 公式サイト)。
「今も使えるのか」という検索が多いのは、似た分野の製品が過去に何度も止まってきたためです。上位の記事でBiscuitと並べて紹介されることが多いStationは、旧公式ドメインを今日開くと、ブラウザとは関係のない別の内容のサイトが表示されます。Biscuitはそうした状態にはなっていません。配布元がGitHubで公開している更新履歴を見ると、2026年4月だけで1.2.34から2.1.1まで10回の更新があり、その後8月19日に2.1.2が出ています。さかのぼると、2024年8月の1.2.30から2025年11月の1.2.31までは約1年3か月更新が無い期間もありました(出典: Biscuit の更新履歴(GitHub))。
2.1.2の中身はWindows版のインストーラーの署名を直したもので、Macの利用者にとって目に見える変化はありません。4月から8月までの約4か月は大きな更新が無かったことになりますが、配布と保守は続いている、というのが今日時点の正確な状態です。
公式サイトの言語は日本語、英語、ドイツ語で、フッターの表記は2026年のBiscuit Projectです。会社としての有料サポートの窓口は書かれておらず、問い合わせ先はXのアカウントになっています。個人や小さなチームが作る無料の道具として、この点を理解したうえで使うのが現実的です。
2.0で変わった3つのこと
2026年4月20日に出た2.0.0は、Biscuitにとって大きな区切りでした。更新履歴には、新しい機能として次の3つが書かれています。
- クラウド同期の土台。メールアドレスでのサインイン、アカウントの削除、同期する範囲の設定、最初の同期の手順が追加された
- 広告ブロッカーの内蔵。Biscuitの設定で有効と無効を切り替えられる
- 寄付の受け付けと、各言語のヘルプページ
同じ版で、中に入っているブラウザの部品(Electron)が41.2.1、Chromeでいえば146相当に更新されています。Webアプリの表示の互換性は、この部品の新しさでほぼ決まるため、古い版のまま使い続けている場合は更新を先に済ませるのが確実です。
ここで注意したいのは「登録不要」との関係です。Biscuitを使うこと自体には今も登録は要りません。メールでのサインインが関わるのは、複数の端末の間でクラウド同期を使う場合だけです。1台のMacで使うだけなら、2.0以前と同じく、何も登録せずに使い始められます。
2.1.0では、初めて起動したときの案内、更新があることを知らせるツールバーの表示、アプリのホームURLの編集が加わりました。以前の版では、一度追加したアプリの開始ページを変えるには追加し直す必要があったため、使い方の記事が古い場合はこの点が食い違います。
Biscuitの使い方の要点
公式のヘルプは、ワークスペースの考え方から始まります。整理の単位は、グループ、アプリ、タブの3段です(出典: Biscuit ヘルプ)。
- グループ: 案件、チーム、仕事用と私用のような文脈ごとの入れ物
- アプリ: サイドバーに登録するWebアプリの入口。設定とセッションの扱いがアプリごとに変わる
- タブ: アプリの中で開いたリンク。そのアプリにひもづいたまま残る
始める方法は単純です。File メニューから、またはショートカットで追加します。新しいアプリは Cmd + N、新しいグループは Cmd + G です。対応済みのサービスはアプリの一覧から選び、一覧に無いサービスはURLを入れてカスタムアプリとして追加します。
使い方で最初に決めておくべきポイントは、セッションの分け方です。標準では、アプリ同士はサインインの状態を共有しません。同じサービスに2つのアカウントを並べても、それぞれがログインしたままになります。グループに「共有セッション」を有効にすると、そのグループの中のアプリが1つのブラウザのようにふるまいますが、有効にした時点でアプリへの再ログインが必要になります。アプリを15個追加してから切り替えると15回ログインし直すことになるため、グループの分け方とセッションの扱いを先に決めてから追加するのが効率的です。
フリーランスで取引先ごとにアカウントを持っている場合は、取引先ごとにグループを作り、共有セッションはオフのままにする構成が崩れにくくなります。同じ会社のサービスを1つのログインで使い回している場合だけ、そのグループで共有セッションを使います。
体験談に多い使われ方と、注意したい点
上位の記事には、実際に使っている人の体験談が多く載っています。そこで共通して語られているのは、ログインし直す手間の重さです。
問題はこれらのアカウントを切り替える際の手間です。作業中に別のクライアントからの連絡があれば、一旦ログアウトして、別のアカウントでログインし直さなければなりません。いくつものアカウントがあるので、切り替えミスが起こらないよう慎重に対応が必要で、つねにリスクがつきまといます。 出典: goworkship.com
この悩みに対して、Biscuitのアプリごとのセッション分離はよく効きます。一方で、体験談ではあまり触れられない注意点が3つあります。
1つ目は、同期が運ぶ範囲です。ヘルプには、同期されるのは最上位のタブの構造、通知の設定、ショートカットの設定のような端末に依存しない設定で、認証情報、Cookie、保存パスワード、ログイン状態、ローカルな子タブのURLは同期されない、と明記されています。新しいMacに移ると、アプリの並びは戻りますが、ログインはすべてやり直しです。取引先4社でサービスが3種類ずつなら12回のログインと、それぞれの2段階認証が必要になります。
2つ目は、一般的なWeb閲覧との分担です。ヘルプ自身が、日常的に使うアプリ系のサービスを置くと活きやすく、一般的な検索は通常のブラウザに分ける運用と相性がよい、と案内しています。結果として、ブラウザが2つ並ぶ使い方になります。
3つ目は、数字キーの動きです。数字キーで移る先がアプリかタブかは設定で変わるため、思った場所に飛ばないときは Settings の Shortcuts を確かめます。アプリの切り替えは Cmd + O でスイッチャーを開き、Ctrl + Tab で次のアプリへ送ります。
代わりを探す場合の候補と、無料で使える範囲
Biscuitで足りない場面は、主に「ログイン状態ごと端末を移りたい」「契約できる支援窓口が欲しい」「Mac以外も含めて同じ道具をそろえたい」の3つです。そのときに候補に挙がる製品の無料の範囲と有料の金額を、各社の料金ページで2026年10月18日に確かめました。
| 製品 | 無料で使える範囲 | 有料の金額 |
|---|---|---|
| Biscuit | 無料、登録不要、プランの区分なし | なし |
| Wavebox | 2グループ、各2アプリ、拡張機能1つ | Pro は年払いで月8.33ドル |
| Rambox | アプリ数は無制限、同じアプリは2つまで。ワークスペースと多重ログインは有料 | Pro は月7ドル、年70ドル |
| Shift | 5スペース、各スペース10アプリ | Advanced は年199.99ドル |
| Ferdium | オープンソース。アカウントなしでも使える | なし |
出典は Wavebox の料金、Rambox の料金、Shift の料金、Ferdium 公式サイト です。Wavebox は最初の7日間、Rambox は最初の30日間、有料版の機能を試せます。
表から分かることは2つあります。この分野では無料で使える製品が珍しくないため、無料であること自体は選ぶ決め手になりにくいこと。そして有料の製品が料金を取っているのは、同じサービスに複数のアカウントで入る機能と、端末をまたぐ同期であることが多い点です。Biscuitはそのうち複数アカウントを無料で提供しており、同期の範囲を絞ることで無料を保っている、と読めます。
個々の製品との違いは、Waveboxとの比較、Ramboxとの比較、Ferdiumとの比較に機能ごとにまとめています。
選び方のおすすめと、Macで使う場合のもう1つの選択肢
おすすめの選び方は、今の不満を1つに絞ってから製品を見ることです。
- アプリが5個か6個で、Mac 1台で使う: Biscuitで十分です。登録も費用も要りません
- Mac と Windows を行き来する: Biscuit、Rambox、Ferdium、Wavebox はどれも両方に対応しています
- 新しい端末に移るたびのログインのやり直しが負担: 同期が何を運ぶかを、各社の説明で文章として確かめてから選びます
- 取引先の仕事が載っていて、契約できる窓口が欲しい: 有料の製品が向いています
Macだけで使う場合のもう1つの選択肢として、このサイトの運営元が作っているMac専用のアプリ集約ブラウザがあります。アプリごとにCookieの入れ物を分ける作りはBiscuitと同じ考え方で、加えて、同期を開発元のサーバーではなく利用者自身のiCloudかGoogle Driveで行う点、Gmailの未読をまとめて見る統合受信箱、⌘Jで開く本物のターミナルを持っています。無料版はワークスペース1つ、アプリ3つまでで、最初の14日間はすべての機能を試せます。同じサービスに複数のアカウントで入る機能は有料版の機能で、金額は月額980円(税込)、年額8,800円(税込)、買い切り19,800円(税込)です。詳しくはワークスペースと料金のページにあります。
どの製品を選ぶ場合でも、移る前に今のアプリの一覧と、それぞれがどのアカウントでログインしているかを書き出しておくと、移った先での組み直しが速くなります。使う頻度の高い2つか3つのアプリから先に入れ、通知の出方まで確かめてから残りを足す順番にすると、作業の途中でも仕事が止まりません。
よくある質問
Biscuitブラウザは今も無料で使えますか?
2026年10月18日の時点で、公式サイトには無料、トラッキングなし、登録不要と書かれており、有料プランの表示はありません。最新の版は2026年8月19日に出た2.1.2です。2.0から寄付の受け付けが加わりましたが、寄付をしなくても使える機能は変わりません。
Biscuitの安全性は大丈夫ですか?
公式サイトは、利用状況を追跡しないと明記しています。保存パスワード、Cookie、ログイン状態は端末の中に残り、クラウド同期の対象には含まれないとヘルプに書かれています。中の部品は2.0でChrome 146相当に更新されているため、古い版を使っている場合は最新版への更新が安全面でも大切です。
同じサービスに2つのアカウントでログインできますか?
できます。標準ではアプリごとに独立したセッションを持つため、同じサービスを2つ追加すれば、別々のアカウントでログインしたまま使えます。グループで共有セッションを有効にすると1つのログインを共有する形に変わり、その際はアプリへの再ログインが必要です。
新しいMacに移すとき、ログイン状態も引き継げますか?
引き継げません。ヘルプでは、クラウド同期の対象はタブの構造や通知、ショートカットの設定で、認証情報、Cookie、保存パスワード、ログイン状態は含まれないと説明されています。アプリの構成は書き出しと読み込み、またはバックアップから戻せますが、ログインは移った先でやり直すことになります。