Macのブラウザおすすめを、Chromium系の違いから決める

ブラウザ おすすめ macで検索して出てくる比較記事を何本か読み比べると、奇妙なことに気づく。上位に並ぶ製品の名前は違うのに、書かれている性能の説明がほとんど同じなのだ。理由ははっきりしている。Chrome、Edge、Brave、Vivaldi、Opera、Arcは、どれも同じ土台の上に作られているからだ。土台が同じなら、ページの表示速度や対応している規格の話は似た内容になる。では何が違うのかというと、土台の上に何を乗せたか、既定でどう設定されているか、そして開発が今どういう状態にあるか、この3か所に集まっている。この記事では、その3か所を分けて、Macで何を選ぶかを決められる形に整理する。

Chromiumという土台の上に、何が乗っているのか

Chromiumは製品名ではなく、ブラウザを作るためのオープンソースの土台だ。開発元のプロジェクトは公式サイトで、すべての利用者にとってより安全で、より速く、より安定したWebの体験を作ることを目指すオープンソースのブラウザの計画である、と自らを説明している。

この土台には、ページを解釈して描画する仕組み、JavaScriptを動かす仕組み、サイトごとに処理を隔離する仕組み、機能拡張を動かす仕組みが含まれている。Webページが正しく表示されるかどうか、危険なサイトから守られるかどうかは、ほとんどこの層で決まる。

ここが同じだということは、実務上かなり大きい意味を持つ。業務で使うWebアプリの多くは、Chromeでの動作確認を前提に作られている。Chromium系のブラウザであれば、その動作確認の恩恵をそのまま受けられる。逆に言えば、Chromium系どうしを比べるときに「このサイトが表示できるか」で優劣を付けても、ほぼ差は出ない。

差が出るのは、各社が土台に手を入れた部分と、土台の上に独自に足した部分だ。Braveは公式の説明の中で、Chromiumが更新されるたびに自社で変更と削除を加えていると書いている。つまりChromium系と一口に言っても、届けられている土台は各社で少しずつ違う。

違いが出るのは、既定の設定・上に乗せた機能・開発の状態の3か所

比較の軸をこの3つに分けておくと、記事を読んでいて混乱しなくなる。

  • 既定の設定。広告とトラッカーを最初から遮断するか、サードパーティのCookieをどう扱うか、検索エンジンに何を選んでいるか。使い始めた瞬間の体験を決める部分
  • 上に乗せた機能。タブをまとめる仕組み、サイドバー、メールやカレンダー、AIの補助、VPN。各社が独自に作っている部分で、乗り換えの手間もここに出る
  • 開発の状態。新機能の開発が続いているか、維持だけの状態に入っていないか、運営会社が変わっていないか。3年使う道具として見るなら、機能の一覧より先に確かめたい部分

比較記事の多くは真ん中の「上に乗せた機能」だけを扱う。表にしやすく、スクリーンショットも撮りやすいからだ。ただ、使い始めてから後悔が出るのは1つ目と3つ目のほうが多い。既定の設定は毎日効いてくるし、開発の状態は数年後に効いてくる。

Macで選べる主なChromium系ブラウザを並べる

macOSで動く主なChromium系を、上の3つの軸で並べる。価格は各社の公開ページに載っている値を取った。

既定で広告遮断 上に乗せた主な機能 費用
Chrome しない プロファイル、タブグループ 無料
Edge しない プロファイル、ワークスペース、サイドバー 無料
Brave する Shields、Leo AI、VPN(別料金) 本体は無料
Vivaldi 設定で可能 ワークスペース、タブスタック、メール、カレンダー 無料
Opera 設定で可能 ワークスペース、サイドバーのメッセンジャー 無料
Arc しない スペース、サイドバー中心の画面 無料

Braveは広告とトラッカーの遮断を最初からオンにしている点が他と違う。有料になるのは本体ではなく追加のサービスで、Brave VPNは月9.99ドル、年払いなら年99.99ドルで、1つの契約で最大10台まで使える。

Vivaldiは上に乗せた機能の量が突出している。タブをカテゴリ別に分けて表示を切り替えるワークスペース、タブをまとめるタブスタック、画面を分割するタブタイリングに加えて、IMAPとPOP3に対応したメールクライアントとカレンダーとフィードリーダーが本体に入っている。すべて無料で、Windows、macOS、Linuxで動く。

Arcについては、機能の一覧より先に開発の状態を見ておきたい。開発元は2025年にArcを維持のみの状態へ移し、開発の中心を別の製品に移している。今もインストールでき、Chromium由来のセキュリティ更新も受け取っているが、新しい開発は別のところで進んでいる。

機能拡張は引き継げるが、確かめる順番がある

Chromium系を選ぶ理由として最も大きいのが機能拡張だ。Chrome ウェブストアで配布されている拡張は、Edge、Brave、Vivaldi、Operaでもおおむねそのまま動く。パスワード管理、翻訳、スクリーンショット、会議の文字起こし、このあたりは乗り換えても環境を作り直さずに済む。

ただし、乗り換える前に確かめる順番がある。

  • 業務で使っている拡張のうち、企業向けに配布されているものを先に見る。管理者が配布する形の拡張は、Chrome以外での動作が保証されていないことがある
  • 広告遮断を既定でオンにしているブラウザでは、遮断の仕組みと拡張の仕組みが二重になる。同じ役割の拡張を入れると、かえってサイトが壊れることがある
  • シングルサインオンの画面は、遮断の設定やCookieの扱いの影響を受けやすい。業務に入る前に、社内で使っている認証画面を1度通しておく

拡張が動くかどうかではなく、拡張と既定の設定がぶつからないかを見る。ここを飛ばすと、乗り換えた初日に認証画面で止まることになる。

複数アカウントを抱えると、どのChromium系でも窓が増える

取引先ごとにGoogleのアカウントが分かれている働き方をしていると、比較の焦点は速度ではなくアカウントの分け方になる。Chromium系はこの問題に、どれも同じ答えを出している。プロファイルだ。Chromeのヘルプはその範囲をこう書いている。

プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com

仕組みとしては確実に動く。履歴もパスワードもCookieも分かれるので、同じサービスに別々のアカウントでログインしたままにできる。

代償は窓の数に出る。プロファイルはそれぞれ別の窓で開くため、アカウントが4つあれば窓が4つになる。そしてその1つずつの中でタブが増えていく。分離という問題は解けたが、目的の画面を探す作業は「どの窓か」と「その中のどのタブか」の2段階になり、以前より手数が増える。

EdgeとVivaldiとOperaはここにワークスペースを足している。名前を付けたタブの集まりを作って表示を切り替える仕組みで、同じ窓の中で用途を切り替えられる。ただしワークスペースはタブの見た目を整理する仕組みであって、ログインの状態を分ける仕組みではない。同じサービスの2つのアカウントを同時に開いたままにしたいのであれば、結局プロファイルの層に戻ることになる。

分け方の設計を先に決めてから道具を選ぶほうが早い。用途ごとに独立した置き場所を持たせる考え方は、ワークスペースのページで整理されている。サービス単位で場所を分ける方式と、タブをまとめる方式が何を解いていて何を解いていないかは、できることのページの機能の分け方を見ると輪郭がつかみやすい。

通知が遅れるのは、土台の側の省エネの仕組み

Chromium系はどれも、メモリを取り戻すために裏のタブを休ませる。この仕組みは土台の側にあるので、製品を変えても振る舞いは大きく変わらない。

ブラウザとしてはそれが正しい。開いているタブのほとんどは読むための文書で、つながり続ける必要がないからだ。ただ、チャットのタブは文書ではない。休んでいる間は接続が切れていて、次に前へ出したときにまとめて届く。会議の直前の連絡が30分遅れて届く形になることもある。タブを固定すると休みにくくなるが、バージョンによって振る舞いが変わるため、確実な保証として扱えるものではない。

macOSの側にもう1層ある。Webの通知は、ブラウザの中でサイトごとに許可を出したうえで、システム設定の「通知」でそのブラウザ自体にも許可が要る。システム側の許可が抜けていると、そのブラウザの全サイトの通知が同時に止まる。ブラウザの不具合に見えて、実際は許可の層で止められているだけという事例は多い。集中モードを使っているなら3層目が加わり、ブラウザ単位で通す通さないを決めることになる。サービス単位の細かい調整はできない。

つまり、時間に厳しい連絡をタブの中に置き続ける構成は、どのChromium系を選んでも不安定になる。専用のアプリに逃がすか、サービスごとに独立した場所を持って休ませるかどうかをサービス単位で決められる道具に移すか、どちらかになる。

4つの質問に答えると、候補は1つか2つに絞れる

ここまでの内容を、選ぶための質問に落とす。上から順に答えていくと候補が絞れる。

  • 抱えているアカウントは何個か。2個までなら、Chromeのプロファイルで足りる場合が多い。5個を超えるなら、窓が増えない方式を先に検討する
  • タブは1日に何個開くか。30個を超えるなら、ワークスペースを持つEdge、Vivaldi、Operaが候補になる
  • 時間に厳しい連絡がタブの中にあるか。あるなら、通知の扱いを先に決める。ブラウザの選択はその後になる
  • その道具を何年使うつもりか。3年以上なら、開発の状態を機能より先に確かめる

この4つのうち、比較記事で扱われるのは2つ目だけだ。1つ目と3つ目と4つ目は、記事にしにくい。数字で比べられないし、スクリーンショットも撮れないからだ。ただ実務で効いてくるのはこちらのほうが大きい。

比較の表に出てこない軸を、料金とサポート範囲から補う

Chromium系の比較で最後まで残る判断は、無料の製品どうしで決着が付かないという点にある。Chrome、Edge、Brave、Vivaldi、Operaはいずれも本体が無料で、価格で並べても差が出ない。そこで判断材料になるのが、無料で提供し続けるための原資と、対応しているサービスの範囲だ。

原資の置き方は各社で違う。検索の既定の枠を収益にしている製品、独自の広告の仕組みを持つ製品、有料の追加サービスを別に用意している製品、寄付を募っている製品がある。どれが良いという話ではなく、収益の置き方が既定の設定に反映されるという関係がある。既定で広告を遮断する製品は、遮断しても成立する収益の形を持っているということだ。既定の設定は思想ではなく構造から決まるという見方をすると、比較記事の説明が読みやすくなる。

対応しているサービスの範囲も、表では見えにくい軸になる。Webアプリを1つの窓にまとめる方式の道具では、どのサービスが専用の項目として用意されているかで使い勝手が大きく変わる。対応しているサービスの一覧は使えるアプリのページで公開されている。同じ方式の製品どうしの費用の比較としては、有料の枠がどこから始まるかを並べた料金のページと、無料の枠が2つのグループと2つのスペースで区切られているWaveboxとの違いを整理したWaveboxとの比較のページが判断材料になる。無料で使い続けられる範囲は製品ごとに線の引き方が違うので、月額の数字だけを並べても実態はつかめない。

残る疑問はよくある質問のページに集まっている。Chromium系の中で迷っている段階なら、機能の一覧を突き合わせるより、上の4つの質問に自分で答えるほうが早く決着する。

よくある質問

Chromium系のブラウザなら、Chromeの拡張機能はそのまま使えますか?

Chrome ウェブストアの拡張は、Edge、Brave、Vivaldi、Operaでおおむねそのまま動きます。ただし企業の管理者が配布する形の拡張や、シングルサインオンの画面に関わる拡張は例外が出ることがあります。乗り換える前に、業務で使う認証画面を1度通して確かめておくと安全です。

Macで広告を遮断したいなら、どのChromium系を選べばよいですか?

既定で広告とトラッカーを遮断しているのはBraveです。VivaldiとOperaは設定で有効にできます。ChromeとEdgeは拡張を入れる形になります。既定で遮断する製品では、同じ役割の拡張を重ねて入れるとサイトが壊れることがあるため、どちらか一方に寄せてください。

Chromium系のブラウザは無料のものばかりですが、費用の差はどこに出ますか?

本体はいずれも無料で、差が出るのは追加のサービスです。例えばBrave VPNは月9.99ドルまたは年99.99ドルで、1つの契約で最大10台まで使えます。Webアプリを1つの窓にまとめる方式の道具では、無料で使える範囲の線の引き方が製品ごとに違うため、月額より無料枠の中身を見るほうが実態に近づきます。

ブラウザを選ぶとき、開発の状態はどうやって確かめればよいですか?

公式のブログとリリースノートの更新日、GitHubの更新の頻度、運営会社に関する発表の3つを見ます。Arcのように、機能は揃っていても開発の中心が別の製品へ移っている例があります。作業環境をその中にまとめる種類の道具は数年単位で付き合うことになるため、機能の一覧より先に確かめておきたい項目です。

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