複数アカウント向けブラウザの選び方|Macで比べる4つの標準機能
browser for multiple accountsで検索すると、上位には「アンチディテクトブラウザ」と呼ばれる製品が並びます。ただ、仕事用と個人用のGmailを分けたい、取引先ごとのSlackを取り違えたくない、という目的なら、まず検討すべきなのはそれではありません。複数アカウントを扱うブラウザは、標準のブラウザに備わったプロファイルやコンテナ、Webアプリごとにログイン状態を分けるアプリ集約ブラウザ、そして指紋情報まで作り分けるアンチディテクトブラウザの3種類に分かれます。この記事では、3種類の違いを2026年10月18日に各社の公式サイトで確かめた仕様と料金で比べ、アカウントの数に応じた選び方を示します。
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検索上位のアンチディテクトブラウザは何のための道具か
英語圏の検索結果で目立つGologinやMultilogin、Octo Browserなどは、アンチディテクトブラウザと呼ばれる種類の製品です。Gologinのトップページは、プロファイルごとにCookie、保存領域、指紋情報、位置情報を持たせ、別々のパソコンのように見せると説明しています。普通のブラウザではすべてのアカウントが1つの指紋情報と1組のCookieを共有するため、アカウントどうしが結び付けられる、というのが同社の説明です。
料金も個人向けの道具とは前提が違います。Gologinの料金ページでは、プロファイル10個までのプランが月9ドル、年払いなら月4.50ドルで、上のプランになるほど扱えるプロファイルの数が増えます。7日間の体験も用意されています。数十から数百のアカウントを、広告運用や販売の担当者がチームで扱う使い方を想定した作りです。
この種類の道具が解こうとしているのは「サービスの側に、複数のアカウントを同じ人のものだと気付かせない」ことです。一方、仕事と個人を分けたい人が困っているのは「自分が取り違えないこと」です。目的が逆向きなので、選ぶ観点も変わります。また、サービスによっては利用規約で1人が作れるアカウントの数や使い方を定めていることがあり、指紋情報を作り分けても規約上の扱いは変わりません。使う前に、対象のサービスの規約を確かめておく必要があります。
標準のブラウザで分ける方法を横に並べる
自分の取り違えを防ぐ目的なら、まず手元のブラウザの標準機能で足りるかを確かめます。主な分け方は次の3つです。
| 方法 | 分かれるもの | 同じ窓で同じサイトの別アカウント | 料金 |
|---|---|---|---|
| Chromeのプロファイル | ブックマーク、履歴、パスワード、Cookie | できない(窓が分かれる) | 無料 |
| Safariのプロファイル | タブ、履歴、Webサイトのデータ | できない(窓が分かれる) | macOSに付属 |
| FirefoxのMulti-Account Containers | タブごとのCookieと保存領域 | できる(色分けしたタブで開く) | 無料の拡張機能 |
GoogleはChromeのプロファイルの解説で、ブックマーク、履歴、パスワードなどの情報を分けて持てると書き、仕事用と個人用のアカウントを分ける使い方を挙げています。右上のプロファイルのアイコンから「Chrome プロファイルを追加」を選び、名前、写真、テーマカラーを設定すると作れます。
Safariは、Appleのプロファイルの作り方のとおり、「Safari」から「設定」を開いて「プロファイル」を押し、「プロファイルを作成」を選びます。切り替えは「ファイル」から「新規ウインドウ」を選び、使いたいプロファイルの窓を開きます。iCloudキーチェーンに保存したパスワードはどのプロファイルからも使える、とAppleは注記しています。
FirefoxのMulti-Account Containersは、Mozillaが提供する拡張機能です。説明文には、Cookieをコンテナごとに分け、同じサイトの2つのアカウントに別々のコンテナのタブでログインできると書かれています。利用者は427,600人と表示されていました。
サービスの側で決まっていること
ブラウザで分ける前に、サービスの側にも複数アカウントを扱う仕組みがあることを知っておくと、選び方を誤りにくくなります。
Googleは、同じブラウザで複数のGoogleアカウントに同時にログインできる仕組みを用意していて、ヘルプに手順を載せています。右上のプロフィール画像から「アカウントの追加」を選ぶ方法です。ただし同じページに、使っているアカウントをGoogleが判断できないときは、最初にログインした「デフォルトのアカウント」の設定が使われることがある、と書かれています。ウェブとアプリのアクティビティや広告のカスタマイズ、Google Playの国の表示がその例です。ログアウトも「ログアウト」か「すべてのアカウントからログアウトする」を選ぶ形です。
SlackやNotionのように、1つのアカウントで複数のワークスペースに入れるサービスもあります。この場合、アカウントは1つのままなので、ブラウザで分ける必要はありません。反対に、取引先ごとに別のメールアドレスで別のアカウントを作っている場合は、サービスの切り替え機能では足りず、ブラウザの側で分ける必要が出てきます。
自分が抱えているのが「1つのアカウントで複数の場所に入っている」状態か、「別々のアカウントを持っている」状態かを先に分けておくと、必要な道具がはっきりします。
アプリ集約ブラウザという選択肢
プロファイルは窓ごとに分かれるので、アカウントが増えるほど窓も増えます。通知もブラウザ全体から届くため、どのアカウントの知らせかは画面を見るまで分かりません。この2点を解くために作られたのが、Webアプリごとに独立したログイン状態を持たせるアプリ集約ブラウザです。公式サイトで確かめた主な製品の料金は次のとおりです。
| 製品 | 無料の範囲 | 有料プラン |
|---|---|---|
| Shift | 5つのSpace、Spaceあたり10個のアプリ | Advancedが年199.99ドル |
| Wavebox | 2つのグループに2個ずつのアプリ、拡張機能1つ | Proが月8.33ドル(年払い)、Teamsが1人あたり月12.50ドル |
Shiftは料金ページで、無料版を「$0 forever」とし、有料のAdvancedでSpaceとアプリの数が無制限になると書いています。Waveboxは料金ページで、すべてのアカウントが7日間のPro体験から始まり、そのあと無料版に残るか有料に移るかを選ぶ仕組みだと説明しています。それぞれの違いはShiftとの比較とWaveboxとの比較にまとまっています。
macOS向けのある製品では、左のサイドバーに登録したGmailを右クリックして「別アカウントとして追加(セッションを分ける)」を選ぶと、「Gmail 2」のような別のアプリが増え、それぞれが自分のログイン状態を保ちます。アプリごとに通知の受け取り、ミュート、新着音を右クリックから変えられるので、どのアカウントの通知かを音で分けることもできます。この機能は有料のProの範囲で、14日間の体験のあとの無料版はワークスペース1つ、アプリ3つまでです。Proは料金のページで月額980円、年額8,800円、買い切り19,800円(いずれも税込)と示されています。
アカウントの数で選び方が変わる
どの方法が合うかは、同時に扱うアカウントの数と、同じサービスに何個のアカウントがあるかでおおむね決まります。
- 2つまで。仕事用と個人用だけなら、ChromeかSafariのプロファイルで十分です。窓の色やアイコンを変えておけば、取り違えはほぼ防げます
- 3つから5つ。取引先ごとにGoogleアカウントが分かれているような場合、プロファイルの窓を行き来する手間が目立ち始めます。同じ窓のタブで分けたいならFirefoxのコンテナ、通知まで分けたいならアプリ集約ブラウザが候補になります
- それ以上で、同じサービスのアカウントが多い。アプリ集約ブラウザの無料の範囲を超えることが多いので、有料プランの料金と、Mac以外でも使う必要があるかを比べて選びます
- サービスに別人として扱ってほしい。これはアンチディテクトブラウザの領分ですが、規約の確認が先です
迷ったときは、いま取り違えが起きている場面を1つ思い出し、それがどの行に当たるかを見るのが早道です。私用のアドレスで取引先に返信してしまった、という失敗なら2行目に当たり、窓の数ではなく、アカウントごとに見た目と通知を分けることが解決につながります。
全部を移さずに試す方法
新しい方法に切り替えるとき、すべてのアカウントを一度に移す必要はありません。取り違えが起きやすい組み合わせを1つ選び、それだけを分けて1週間使うと、効果と手間が見えます。
最初の日は、取り違えやすい2つのアカウントだけを新しい方法で開きます。Chromeのプロファイルなら窓の色を変え、Firefoxならコンテナの色を変え、アプリ集約ブラウザなら2つのアプリとして登録します。残りのアカウントは、いままでどおりのブラウザで使い続けます。
数日使ったら、取り違えが減ったか、窓や画面を探す時間が増えていないかを振り返ります。改善があれば、次に取り違えやすい組み合わせを移します。改善が無ければ、表の次の方法を同じように試します。この順で進めると、使わない機能のために設定を作り込む手間を避けられます。
移すときに時間がかかるのは、設定よりもログインのやり直しです。新しいプロファイルやアプリでは、各サービスに改めてログインし、2段階認証の確認にも答える必要があります。認証アプリの入ったスマートフォンが手元にある日に作業すると、途中で止まらずに済みます。パスワードは、ブラウザに保存する方式と専用の管理アプリを使う方式が混ざると、どちらにも全部がそろっていない状態になりやすいので、最初の日にどちらか1つに決めておくと後で迷いません。
よくある質問
1つの窓の中で、同じサイトの2つのアカウントを開けるブラウザはありますか?
FirefoxにMozillaのMulti-Account Containersを入れると、色分けしたタブごとにCookieが分かれ、同じサイトの別アカウントを1つの窓で開けます。ChromeとSafariのプロファイルは窓ごとに分かれる仕組みです。Webアプリごとにログイン状態を分けるアプリ集約ブラウザでも、同じサービスの複数アカウントを並べて開けます。
アンチディテクトブラウザは仕事用と個人用を分けるのに向いていますか?
アンチディテクトブラウザは、プロファイルごとに指紋情報や位置情報を作り分け、サービスに別の利用者として見せるための道具です。仕事と個人を自分が取り違えないようにする目的なら、標準のプロファイルやアプリ集約ブラウザのほうが料金も手間も小さく済みます。使う場合は、対象サービスの利用規約を先に確かめてください。
Googleの複数アカウントのログインだけで足りないのはどんなときですか?
Googleの仕組みでは複数のアカウントに同時にログインできますが、使っているアカウントを判断できないときは、最初にログインしたアカウントの設定が使われることがあります。ログアウトも全部のアカウントからまとめて行う形になりがちです。取引先ごとにアカウントを分けて毎日使う人は、プロファイルやアプリ単位の分離を併せて使うと取り違えが減ります。
プロファイルを増やすのと、別のブラウザを入れるのはどちらがよいですか?
アカウントが2つまでなら、使い慣れたブラウザのプロファイルを増やすほうが手間は小さく済みます。3つ以上になり、窓の行き来や通知の見分けに時間がかかるようになったら、コンテナやアプリ集約ブラウザを試す価値があります。いきなり全部を移さず、取り違えやすい2つのアカウントから試すと判断しやすくなります。