縦タブが使えるブラウザ|Macでの切り替え方と限界

タブが増えると、まず読めなくなるのはページのタイトルだ。アイコンだけが並び、同じ色のドキュメントが3枚、どれがどれだか分からなくなる。browser vertical tabs、つまりタブバーを画面の横へ移す表示は、この状態に対する直接の答えとして用意されている。主要なブラウザのうち3つが標準で対応済みで、拡張機能を入れる必要はもう無い。この記事では、Macでの切り替え手順と、縦にしたときに何を差し出すことになるのか、そして縦にしても残る問題がどれなのかを分けて示す。

日本語のタイトルは、横並びのタブバーで最も早く潰れる

縦タブの効き目は、日本語で仕事をしている人のほうが大きい。理由は文字の幅にある。

横のタブバーは、ウィンドウの幅を開いているタブの数で割って配分する。タブが増えるほど1枚あたりの幅は狭くなり、削られるのは唯一意味を持つ部分、つまり文字だ。ここに日本語の事情が重なる。全角文字は半角の2倍の幅を取るため、同じピクセル数に入る文字数が英語の半分になる。さらに日本語のページタイトルは「〇〇株式会社|サービス名|管理画面」のように、区切り記号で語をつないだ長い形になりやすく、先頭に来るのが会社名やサービス名で、区別に効く語は後ろに置かれることが多い。

結果として、15枚を超えたあたりで表示が全角2文字から3文字程度まで縮み、判別に必要な語が消える。英語のタイトルなら同じ幅に頭文字がいくつか残り、推測が効く。日本語では最初の数文字が全部同じという事態が普通に起きる。

縦のタブバーはこの制約を裏返す。1枚あたりの高さは固定で、幅は列の幅そのものを使える。列に全角12文字入るなら、タブが40枚あっても12文字は残る。増えた分は下へ伸び、画面からはみ出した分はスクロールで扱う。読めるか読めないかを決めているのが枚数ではなく配分の方式だった、というのがこの表示の要点だ。

Chromeは切り替え口を5か所に用意している

Chromeは縦タブを標準機能として持っている。入口が複数あり、どれを使っても同じ設定に行き着く。

縦方向のタブを使用すると、タブバーがウィンドウの横に移動します。以下のことが可能です。すべてのページタイトルを確認する。タブのリストをスクロールする。タブバーの幅を必要に応じて調整する。 出典: support.google.com

Macでの操作は次のとおり。タブバーの空白部分を右クリックして「タブを縦方向に表示」を選ぶのが最短で、個別のタブを右クリックしても同じ項目が出る。設定画面からなら「デザイン」の中の「タブの位置」で縦と横を切り替えられる。右上のその他アイコンから「その他のツール」を開く経路と、Macのメニューバーの「表示」から選ぶ経路もある。戻すときは同じ場所に出る「タブを横方向に表示」を選ぶ。

覚えておくと迷わないのは、横に戻す操作が別の場所ではなく同じ場所にあるという点だ。試して合わなければ数秒で元に戻せるため、一度試してから判断するほうが早い。列の幅は境目をドラッグして調整でき、この幅の調整が実際の使い勝手を決める。既定の幅のまま「画面が狭くなった」と判断してしまうのが、最も多い早すぎる撤退の形だ。

タブ検索との関係も押さえておきたい。縦に並べている場合でもタブ検索は使え、Macでは Command と Shift と A キーで開く。縦タブは一覧性を上げるがスクロールは残るため、枚数が多い日は検索、少ない日は目視、という使い分けになる。

FirefoxとEdge、そしてSafariの現在地

対応状況は、ブラウザごとに事情が異なる。

ブラウザ 縦タブ 有効化の場所
Chrome 標準対応 タブバーを右クリック、または設定のデザインからタブの位置
Firefox 標準対応 ツールバーを右クリックして縦型タブをオン、またはサイドバーの設定
Edge 標準対応 タブ操作ボタン。組織の管理下では無効化されている場合がある
Safari 非対応 サイドバーはタブグループとブックマークを表示する

Firefoxは2025年3月4日公開のバージョン136で縦型タブを導入した。単独の機能ではなく、刷新されたサイドバーの中に置かれている点が特徴で、開いているタブと固定タブがサイドバーに表示される形になる。設定のどこを探しても見つからないという相談の多くは、サイドバーの設定側を見ていないことが原因だ。詳細はFirefox 136のリリースノートに記載がある。

Edgeで注意が要るのは、会社から貸与されたMacの場合だ。Microsoftは VerticalTabsAllowed という管理ポリシーを公開しており、ブラウザの横にタブを縦方向に配置する機能を使えるかどうかを組織側で制御できる。メニューに項目が出てこないなら、探し方の問題ではなく管理設定である可能性が高い。

Safariには縦のタブバーが無い。サイドバーは存在するが、そこに並ぶのはタブグループとブックマークであり、現在のウィンドウで開いているタブを縦に列挙する表示ではない。Macの標準ブラウザで縦タブを使いたい場合は、ブラウザを替えるか、別の形の道具を使うことになる。

縦にして得るものと、差し出すもの

縦タブは、文字の幅の問題を画面の横幅の問題に置き換える。この交換が割に合うかどうかは、使っているディスプレイで変わる。

外部モニターを使っているなら、失う横幅はほとんど意識に上らない。一方、13インチのMacBookで作業している場合、列が占める幅はページの表示領域から直接引かれる。多くの業務用Webサービスは広い画面を前提に作られており、表示幅が狭くなると左のナビゲーションを折りたたんだり、表の列を隠したり、スマートフォン向けのレイアウトに切り替わったりする。管理画面の表が1列消えると、縦タブで得た読みやすさより損失のほうが大きい。

対処は2つある。1つは列の幅を意図的に詰めること。全角10文字程度まで詰めても、横のタブバーの2文字よりはるかに情報量が多い。もう1つは、必要なときだけ列をたたむことだ。読む作業では閉じ、探す作業では開く、という使い分けで横幅の問題はかなり小さくなる。

慣れの問題も最初の1時間だけ出る。閉じるボタンの位置が変わり、「左から3番目」という記憶が「上から3番目」に置き換わるまでは、目的のタブを取り違える。キーボードショートカットは変わらないので、この期間だけはCommandと数字キーでの移動に頼るほうが早い。

縦にしても直らないことが3つある

見え方が変わっても、タブの中身は変わらない。ここを混同すると、縦タブに期待しすぎて失望することになる。

  • メモリは変わらない。しばらく触っていないタブをブラウザが解放していても、タブバーにはタイトルとアイコンが残る。横でも縦でも表示上は同じで、クリックした瞬間に再読み込みが走る点も同じだ。
  • ログインは分かれない。1つのウィンドウにあるタブは同じプロファイルのCookieとログイン状態を共有する。列に並べ替えても、会社のアカウントと個人のアカウントを同時に開ける状態にはならない。
  • 通知は止まらない。列の下のほうにあるタブから届いた通知も、目の前のページを同じように遮る。並び順は通知の優先順位と関係がない。

もう1つ、静かに効いてくる副作用がある。横のタブバーでタイトルが消えることは、不便であると同時に「そろそろ閉じろ」という合図でもあった。縦にすると40枚でも読めてしまうため、この合図が消える。最初の1週間は快適で、1か月後にはタブが70枚になり、目視で探せなくなってスクロールが始まる。天井が上がっただけで、増える速度は変わっていない。

固定タブは縦にすると使い方が変わる

縦タブに切り替えたときに、いちばん見直す価値があるのが固定タブだ。

横のタブバーでは、固定タブはアイコンだけの小さな四角になって左端に寄る。アイコンで見分けられる数、つまり4つか5つが実用の上限で、似た色のチャットツールが2つ並ぶと当てずっぽうになる。縦の列では固定タブが上部に名前付きで並ぶため、名前で見分けられる。数を12個まで増やしても判別できる。

そこで有効になるのが、毎日開くものを全部固定して順番を固定する使い方だ。上部が起動用の並びになり、その下は一時的なタブだけになる。位置そのものが情報になり、1週間ずっと固定の下に居座っているタブは、固定するか閉じるかのどちらかだと判断できる。

同時に、この使い方は限界も早く見せてくれる。メール、チャット2つ、タスク管理、カレンダー、生成AIが固定タブに並んだ時点で、ブラウザはもうブラウザとして使われていない。1つの窓と1つのプロファイルを共有したまま、常駐アプリの置き場所として使われている。どのサービスが常駐の対象になりやすいかは使えるアプリに一覧がある。並べてみると、固定タブに入っているものの多くが「読む対象」ではなく「動かし続ける対象」だと分かる。

1週間試すときに見るべき3つの数字

縦タブが自分に合うかどうかは、感想ではなく観察で決めたほうがぶれない。切り替えてから1週間、次の3点だけを気にしておくと判断材料がそろう。

1つ目は、列をスクロールした回数だ。スクロールせずに目的のタブへ届いているなら、一覧性は足りている。1日に何度もスクロールしているなら、抱えている量が列の高さを超えている。この場合に必要なのは表示方式の変更ではなく、抱えている量そのものへの対処になる。

2つ目は、ページの表示が崩れた回数。列の幅を確保したせいで管理画面の表が切れたり、左のメニューが折りたたまれたりした場面を数えておく。1日1回程度なら列をたたむ運用で吸収できるが、作業のたびに起きるなら、そのサービスを見るときだけ横に戻すか、別の窓で開くほうが早い。

3つ目は、間違ったタブを開いた回数だ。これが減っていないなら、読めない原因はタブバーの幅ではなく、同じサービスのページを何枚も開いていることにある。タイトルが似た3枚のスプレッドシートは、縦にしても見分けがつきにくい。この場合は表示の話ではなく、開き方の話に移る。

3つとも改善しているなら、そのまま使い続けてよい。1つ目と3つ目が改善していないなら、次の節の分岐に進むことになる。

列を伸ばすか、窓を分けるかの分岐点

ここまでを整理すると、縦タブが正解になる条件はかなりはっきりしている。

開いているタブが10枚から30枚で、その全部が1つの仕事に属していて、困っているのは見分けだけ。この場合は縦タブで解決し、他に変えるものは無い。

一方、列は読めるようになったのにスクロールが苦痛だという状態なら、問題は表示方式ではない。1つのウィンドウが複数の仕事と複数の身元を抱えていることが原因で、これはタブの並べ方をどう変えても解けない。仕事ごとにウィンドウとログイン状態を分ける設計は、アプリごとに独立したワークスペースという別の考え方に属する。その考え方と切り替えの実際はワークスペースに、Webアプリを1つの窓に集約する道具どうしの違いはWaveboxとの比較にまとめてある。

判断の順番としては、まず縦タブを1週間試すのが安い。設定を戻すのに数秒しかかからず、効くかどうかが自分の作業で分かる。それで足りたなら道具を替える理由は無いし、足りなかったなら「読めない」ではなく「多すぎる」が本当の問題だったと確認できる。この確認を飛ばして道具から替えると、乗り換えた先で同じ列を作り直すことになる。

よくある質問

Chromeで縦タブを使うのに拡張機能は必要ですか?

必要ありません。タブバーの空白部分を右クリックして「タブを縦方向に表示」を選ぶか、設定の「デザイン」にある「タブの位置」で縦を選べば切り替わります。Macではメニューバーの「表示」からも操作できます。戻すときは同じ場所の「タブを横方向に表示」を選びます。

Edgeで縦タブの項目が出てこないのはなぜですか?

会社や学校が管理しているMacでは、VerticalTabsAllowed という管理ポリシーで縦方向の配置を使えなくしている場合があります。この場合はメニューを探しても項目自体が表示されません。設定の問題ではないため、変更できるのは端末を管理している部門だけです。

縦タブにするとメモリの使用量は減りますか?

減りません。表示の位置とメモリの消費は無関係で、タブ1枚あたりの負荷は横でも縦でも同じです。ブラウザが休止させたタブも、タイトルとアイコンを残したまま列に並びます。軽くしたい場合は、表示方式ではなく開いているものの数と種類を見直すことになります。

Safariで縦タブを使う方法はありますか?

Safariには縦のタブバーがありません。サイドバーに表示されるのはタブグループとブックマークで、現在開いているタブを縦に並べる機能とは別のものです。Macで縦の一覧が必要な場合は、対応しているブラウザに替えるか、仕事ごとに窓を分ける形の道具を検討することになります。

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