ブラウザタブ開きすぎ対策|閉じる前に置き場所を決め直す
タブの見出しが読めなくなり、目的のものを探すのに横スクロールが要る。閉じようとしても、どれも「あとで要る気がする」ので手が止まる。ブラウザタブ開きすぎ対策として紹介される方法の多くは、閉じ方の工夫か、まとめ方の工夫のどちらかに偏っている。しかし1週間後に同じ状態へ戻るなら、原因は片付け方ではなく置き場所の設計にある。この記事では、溜まっているタブを性質ごとに分け、それぞれに効く手を割り当てたうえで、道具を替える境目がどこにあるのかを示す。
タブが増えるのは意志の問題ではなく、置き場所が1つしかないから
ブラウザは、性質のまったく違うものを同じ場所に並べる。読みかけの記事も、返事待ちの発注書も、1日中つなぎっぱなしのチャットも、同じ幅のタブとして1列に並ぶ。並んでいる限り、どれも「開いているもの」として等価に見える。
ここに、閉じられない理由が2つ重なる。1つは、閉じると探し直す手間が発生すること。もう1つは、閉じた瞬間に状態が失われるものが混じっていることだ。書きかけのフォーム、途中まで進めた検索条件、読み込みに時間のかかる管理画面。これらは「閉じる」の対象にしにくい。
結果として、閉じられるものだけが減り、閉じられないものが残り、そこへ新しいタブが積まれていく。40個まで増えた人が一度10個まで減らしても、数日で戻るのはこの構造のためだ。片付けの技術ではなく、置き場所が1つしかないことが効いている。
溜まっているタブは3種類に分かれる
対策を選ぶ前に、いま開いているものを声に出さずに分類してみると、手の当て方が変わる。
- 読みかけ。あとで読むつもりの記事、資料、ドキュメント。開いておく理由は「忘れそうだから」であって、いま使ってはいない。
- 待ち。返事待ち、承認待ち、処理の完了待ち。用が済めば閉じられるが、いつ済むかが自分の側で決められない。
- 常駐。メール、チャット、タスク管理、カレンダー、生成AIのチャット。1日中開いていて、閉じる前提が無い。
この3つは、必要な対策がまったく違う。読みかけは外に出す。待ちは期限を付ける。常駐は閉じるのではなく分ける。ひとまとめに「タブを減らす」と考えている限り、効く手と効かない手が混ざったままになる。
分類してみると、多くの人は読みかけが最多で、体感を悪くしているのは常駐、という結果になる。数を作っているものと、重さや探しにくさを作っているものが別々なのが、この問題の厄介なところだ。タブの本数だけを目標にすると、いちばん安く片付く読みかけばかりが減り、実際に効いている常駐はそのまま残る。数字は改善したのに体感が変わらない、という結果になりやすい。
分類の作業は、最初の1回だけ手でやれば足りる。2回目以降は、新しくタブを開いた瞬間に「これは読みかけか、待ちか、常駐か」と考える癖がつくため、置き場所の判断が開いた時点で済む。片付けを後回しにすると、判断の対象が数十件まで膨らんでから一度に襲ってくる。開いた時点で行き先を決めるほうが、1件あたりの負担は小さい。
読みかけは、ブラウザの外へ出す
読みかけのタブを開いたままにしているのは、閉じたら二度と戻らないという不安があるからだ。戻る道が用意されていれば、閉じる抵抗は小さくなる。
- リーディングリストやあとで読む機能に送る。ブラウザ標準の機能でも、外部のサービスでも構わない。要点は、タブバー以外の置き場所を1つ決めることだ。
- ブックマークのフォルダを1つだけ作る。細かく分類しようとすると運用が続かない。日付だけを名前にしたフォルダに放り込むほうが残る。
- タスク管理へリンクごと移す。読むこと自体が仕事なら、タブではなくタスクとして持つほうが期限を付けられる。
どれを選んでも効果は近い。決めるべきは方法ではなく、「読みかけはここに置く」という単一の行き先だ。行き先が複数あると、どこに入れたか分からなくなり、結局タブへ戻ってくる。ブックマークとリーディングリストとタスク管理を並行して使っている状態は、行き先が無いのとほとんど変わらない。
移し終えたあとで気付くことが1つある。行き先へ送った記事の大半は、その後読まれない。これは失敗ではなく、開いた時点では必要に見えたものが実際には必要でなかったという情報だ。読まれないまま数か月たったものをまとめて消す時間を月に1回だけ取ると、次に何を開いておくかの判断そのものが変わってくる。タブとして目の前にある限り、この判断は先送りされ続ける。
Chromeには、しばらく触っていないタブのメモリを解放する仕組みも用意されている。
Memory Saver frees up memory from inactive tabs. This gives active tabs and other apps more computer resources and keeps your browser fast. 出典: support.google.com
読みかけのタブが大半を占めているなら、この機能を有効にしておくだけで動作は軽くなる。ただしタブバーの見た目は変わらないため、探しにくさのほうは残る。軽さと探しやすさは別の問題として扱うほうがよい。
タブを自動で整理する拡張機能に頼る手もあるが、選ぶ前に確かめておきたい点が2つある。1つは、閉じたタブの一覧がどこに保存されるのか。拡張機能の中だけに保存される方式だと、その拡張機能を外した時点で履歴ごと消える。もう1つは、閲覧履歴やタブのURLにどこまでの権限を渡すことになるのかだ。仕事で使う管理画面のURLは、それ自体が情報になる。整理の手間を減らすために増える権限が、見合っているかどうかを一度考えたほうがよい。
待ちのタブには、閉じる条件を先に決めておく
返事待ちのタブが閉じられないのは、閉じたあとに何が起きるかを決めていないからだ。決め事を1つ置くと、判断が要らなくなる。
- その日のうちに動きが無いものは閉じて、翌朝に開き直す。開き直せる場所(メール、チャット、タスク)が必ずどこかにある。
- 相手の返事が要るものは、閉じる前に自分側のタスクへ変換する。タブは通知の代わりにならない。
- 処理の完了待ちは、完了通知が来る設定になっているかを確かめてから閉じる。通知が来ないものだけをタブに残す。
この「閉じる条件」を書き出しておくのが、ブラウザタブ開きすぎ対策としては地味に効く。1つずつ迷って判断していた作業が、条件に当てはめるだけの作業に変わるからだ。
条件を決めても閉じられない待ちのタブが残るなら、そこには別の理由が隠れている。多いのは、読み込みに時間のかかる管理画面や、絞り込み条件を毎回設定し直さないと同じ画面に戻れない業務システムだ。この場合に閉じにくいのはタブではなく、再現の手間のほうだ。対処は、その画面のURLに条件が含まれるならブックマークにしておくこと、含まれないなら手順を1行のメモにしておくことに尽きる。再現の道が用意されると、待ちのタブは閉じられる側へ移る。
常駐アプリは、閉じるのではなく置き場所を変える
残るのが常駐のタブで、ここが本丸になる。閉じられないうえに、数が減らない。しかも通知や自動更新で、開いているだけで注意を奪う。
考えられる手は4つある。それぞれ解けるものが違う。
| 手段 | まとめる | アカウントを分ける | 探す時間を減らす |
|---|---|---|---|
| タブグループ | できる | できない | 少し減る |
| ウインドウを分ける | できる | できない | 減る |
| ブラウザのプロファイル | できる | できる | 切り替えが必要 |
| アプリごとに窓を持つ道具 | できる | できる | 減る |
表の見方には注意点がある。4つの手段は、上から下へ「より強い対策」に並んでいるわけではない。解ける問題の種類が違うだけで、上位互換の関係にはない。たとえば同じ案件の資料をまとめたいだけの人がプロファイルを分けると、切り替えの手間だけが増えて何も解決しない。逆に、同じサービスの2アカウントが必要な人がタブグループをどれだけ丁寧に整えても、その困りごとには届かない。
タブグループは、案件ごとにタブを畳んでおける。ただし同じサービスの2つ目のアカウントは扱えない。プロファイルはCookieの保管場所ごと分かれるためアカウントの問題を解けるが、プロファイルの切り替え自体が新しい手間になる。ウインドウを分ける方法は探しやすさに効くが、macOSの側で窓の数が増えるため、区別の付く名前や配置を自分で決めておく必要がある。
自分にどれが要るかは、困りごとの種類で決まる。「まとめたい」だけならタブグループで足りる。「同じサービスに2つのアカウントがある」ならプロファイル以上が要る。「探す時間そのものを減らしたい」なら、窓の単位を変える方向になる。
常駐のタブについては、通知の扱いも合わせて決めておきたい。タブが減らない理由の1つは、通知に気付くために開いたままにしていることだ。バッジや音で気付ける状態になっていれば、その画面を目に入る場所へ置き続ける必要は薄れる。逆に、通知が来ないから開きっぱなしにしているサービスがあるなら、通知の設定を見直すほうが先だ。開いておくことで通知の代わりにしている限り、タブの数は下がらない。
1週間だけ切り替え回数を数えると、道具を替える境目が見える
どの対策まで進めるべきかは、タブの数ではなく切り替えの回数で決まる。1週間、1日のうちにブラウザ内でサービスを行き来した回数をおおまかに数えてみる。数える精度は要らない。10回程度で収まっているなら、読みかけを外へ出して待ちに条件を付ければ足りる。50回を超え、しかも行き先が6個以上のサービスに分かれているなら、置き場所の設計を替える段階に入っている。
この段階で選択肢になるのが、サービスごとに窓とアイコンを与えてアプリごとに独立したワークスペースにしてしまう考え方だ。タブという1列の並びを捨てて、役割の単位で窓を持たせる。案件や役割でまとめる考え方はワークスペースに整理されており、ブラウザの機能のうち何を窓の中へ持ち込むのかの線引きはできることにまとまっている。手元で常時開いているサービスが対応しているかは、使えるアプリで先に確かめておくと入れてから困らない。開発の作業を挟む使い方なら、窓の横で使えるターミナルの有無も判断材料になる。
この考え方の道具を比べるときは、機能一覧より直接の比較のほうが速い。対応範囲の広さではWaveboxとの比較、無料のオープンソースとの線引きではFerdiumとの比較、窓の作り方の違いではShiftとの比較が参考になる。費用から絞りたいなら料金を、導入前の細かい疑問はよくある質問を先に見ておくと、比較の順番を間違えにくい。
切り替え回数を数えるときに、もう1つ記録しておくと判断が早くなる項目がある。同じサービスにアカウントが2つ以上ある場合、その数だ。アカウントの重複が無いなら、まとめる方向の手段だけで足りる可能性が高い。重複が1つでもあるなら、まとめる手段をどれだけ丁寧に運用しても、その部分だけは解けないまま残る。回数と重複の2つを並べると、どこまで進めるべきかが自分で判断できる。
順番としては、まず読みかけの行き先を1つ決める。次に待ちのタブに閉じる条件を付ける。それでも常駐の数が減らず、切り替えの回数が高止まりしているなら、そこが道具を替える境目になる。閉じる工夫を積み増すより、置き場所を変えるほうが戻りにくい。
よくある質問
タブを閉じてもすぐ増えてしまいます。どこから手を付ければよいですか?
まず開いているタブを、読みかけ、待ち、常駐の3つに分けます。数を作っているのはたいてい読みかけなので、リーディングリストやブックマークなど行き先を1つだけ決めて、そこへ送ります。行き先を複数用意すると運用が続かず、タブへ戻ってきます。常駐のタブはこの段階では触りません。
タブグループを使えば解決しますか?
案件ごとにタブを畳んでおきたいだけなら足ります。ただしタブグループはブラウザのプロファイルに属していて、Cookieはそのプロファイルのものを共有します。したがって同じサービスの2つ目のアカウントは扱えません。同じサービスに2アカウントが必要になった時点が、プロファイルや別の道具を検討する境目です。
ウインドウを分けるのとアプリごとに分けるのは何が違いますか?
ウインドウを分けても、中身は同じブラウザの同じプロファイルです。アカウントは共有され、窓の名前も自分で管理することになります。アプリごとに窓を持つ道具は、サービス単位でセッションとアイコンが分かれるため、切り替えがmacOS側の操作で済み、同じサービスの複数アカウントも並べられます。
道具を替えるべきかどうかは、何を基準に判断しますか?
1週間、1日あたりのサービス間の切り替え回数をおおまかに数えます。10回程度で収まり、アカウントの重複も無いなら、読みかけの整理と閉じる条件の設定で足ります。50回を超え、行き先が6個以上のサービスに分かれているなら、閉じる工夫を足すより置き場所の設計を変えるほうが効果が続きます。