ブラウザタブ管理を、Edgeのワークスペース基準で選び直す

Windowsの職場でEdgeのワークスペースを使っていた人がMacに移ると、最初に探すのはたいてい同じものだ。名前の付いたボタンを押すと、その案件のタブだけが並んだ窓が開く。あの動きをMacでも再現したい。ところがブラウザタブ管理の手段を調べ始めると、ワークスペース・スペース・タブグループ・コンテナーと似た名前が並び、どれが自分の悩みに効くのか分からなくなる。この記事では、名前ではなく「何を分けているか」で手段を並べ直し、Macで選べる選択肢の違いと、選ぶ順番を示す。

同じ言葉で語られている悩みは3種類ある

ブラウザタブ管理という言葉が指している困りごとは、聞いてみると3つに分かれる。混ざったまま道具を探すと、入れた道具が効かない理由が分からないまま次の道具を探すことになる。

1つ目は、まとめたいという悩みだ。1つの案件に関係するタブが11個あって、まとめて開いてまとめて閉じたい。これは並べ方の問題で、いまの主要なブラウザはどれも何らかの答えを持っている。

2つ目は、分けたいという悩みだ。同じサービスにアカウントが2つあり、サインアウトせずに両方を使いたい。これはCookieの保管場所の問題で、タブをどうグループ化しても解けない。

3つ目は、たどり着きたいという悩みだ。まとめ終わっていて、アカウントも分かれているのに、目的の窓を探す手間が1日に何十回も発生する。これは窓とアプリの切り替えの問題で、ブラウザの中ではなくmacOSの側にある。

ワークスペース系の機能を探している人の多くは1つ目から入り、1か月ほどで2つ目に気付く。3つ目はブラウザを乗り換えても残る。もともとブラウザの機能ではないからだ。

Edgeのワークスペースが実際にしていること

Edgeのワークスペースは、名前の付いたタブの組を、窓ではなくサインインしているアカウントの側に保存する仕組みだ。開くと専用の窓が立ち上がり、閉じると組は保管庫に戻る。さらに他の人と共有でき、共有されたワークスペースではタブの開閉が参加者全員にその場で反映される。ブックマークのフォルダというより、共同編集の文書に近い挙動になる。

押さえておくべき性質は2つある。1つは、ワークスペースがログインを分けないことだ。所属しているのはブラウザのプロファイルで、Cookieはそのプロファイルのものを使う。したがって同じプロファイルにある2つのワークスペースは、同じアカウントでサインインした状態になる。2つ目のSlackアカウントや2つ目のGmailアカウントを、ワークスペースだけで持つことはできない。

もう1つは、サインインが前提であることだ。同期と共有が機能の主目的なので、Microsoftアカウントか職場のアカウントに結び付く。この結び付きのため、使えるかどうかがアカウントの種類や配信チャネルによって変わってきた経緯がある。Macで確かめるときは、一般的な対応表を信じるより、手元のEdgeのメニューを開いて項目があるかを見るほうが早い。

EdgeはmacOS版も継続して提供されている。求めているのがEdgeの機能そのものなら、Edgeを使い続けるのが最短距離になる。以降は、それ以外を選ぶ必要がある人のための整理だ。

Macで選べる手段を1つずつ見る

Chromeのタブグループは、色と名前の付いたラベルでタブをまとめ、折りたたむと1つの小さな札になる。保存したグループは窓を閉じても残り、同じアカウントの他の端末にも同期する。単独で使う分にはEdgeのワークスペースに最も近い。ただしCookieはプロファイル側で共有されたままなので、分ける悩みには効かない。

You can group your tabs to help you organize them. Name and color code your tab groups to keep track of your tabs. 出典: support.google.com

説明のとおり、目的は整理であって分離ではない。ここを取り違えると、グループを増やしても同じアカウントで開き続けることになる。

Safariは、まとめる機能と分ける機能を別々に持っている。タブグループは名前の付いたタブの組をiCloud経由で同期する。プロファイルはmacOS SonomaからCookie・履歴・拡張機能を分け、プロファイルごとにタブグループを持てる。この2つを組み合わせると、分離された身分の中でタブがまとまっている状態になり、単一の機能としては他のどのブラウザより全体像に近い。残る手間は切り替えがメニュー操作であること、そしてmacOSから見ると全部がSafariという1つのアプリであることだ。

Vivaldiは、窓の中にある名前付きのタブの組をワークスペースと呼び、タブバーから切り替えられる。語彙としてはEdgeに最も近く、macOS版もある。性質は他と同じで、まとめはするが分離はしない。

Arcはサイドバーをスペースという単位で区切り、スペースごとにプロファイルを割り当てられる。この割り当てが、同じサービスの2アカウントを持てるかどうかの分かれ目になる。Arcは2025年に新機能の追加を終えているため、機能は今の形で固定されている。いまある機能で足りるなら、仕様が動かないという意味では安定した選択肢になる。

Firefoxのコンテナーは、1つの窓の中でタブごとにCookieの保管場所を分ける拡張機能だ。タブの下に色の線が付き、特定のサイトを常に同じコンテナーで開く設定もできる。無料で使える中では、同じサービスの2アカウントを1つの窓に並べられる唯一の方法になる。まとめと分けの両方をタブ単位で解く代わりに、切り替えの悩みはそのまま残る。

もう1つ、古くからある方法として、ブラウザ自体を2つ使い分けるやり方がある。仕事はChrome、私用はSafariというように分ければ、Dockのアイコンもアプリ切り替えの行き先も2つになり、Cookieの保管場所も完全に分かれる。設定は何も要らない。切り替えの手間という一点だけを見れば、有料の道具より速い場面すらある。破綻するのは3つ目からで、どのアプリにどのアカウントが入っているかを覚える負担が、得られる分離より速く増えていく。2つに割り切れる状況では強く、細かく分けたい状況では弱い方法だと考えておくとよい。

読者の質問の側で並べ直す

手段 タブの組に名前が付く ログインが分かれる 他の人と共有できる 文脈ごとに窓が分かれる
Edgeのワークスペース はい いいえ はい はい
Chromeの保存したタブグループ はい いいえ いいえ いいえ
Safariのタブグループ はい いいえ いいえ いいえ
Safariのプロファイル タブグループ経由 はい いいえ はい
Vivaldiのワークスペース はい いいえ いいえ いいえ
Arcのスペース(プロファイル割り当て) はい はい いいえ いいえ
Firefoxのコンテナー タブ単位 はい いいえ いいえ
Webアプリを窓ごとに持つブラウザ アプリ単位 はい いいえ はい

比較のときに読み飛ばされて、あとで効いてくるのは右端の列だ。1つの窓の中に名前の付いたタブの組があっても、その窓を見ている必要は残る。文脈ごとに窓が分かれていれば、切り替えの操作はCommand+TabかDockのアイコンになり、動作の種類そのものが変わる。

共有だけは代わりが見つからない

Edgeから離れた人がいちばん困るのは、まとめる機能ではなく共有のほうだ。同僚が開いたタブが自分の画面にも現れる動きは、他の手段では再現できない。挙げてきた機能はどれも個人向けで、共同作業向けに作られていないからだ。

共有が効いていたのは、参加者全員が同じ一覧を見ていたからであって、その一覧がブラウザの中にあったからではない。実際、共有ワークスペースで扱っていたリンクの多くは、案件の資料・管理画面・進行中のドキュメントで、どれもチームの誰かがすでに別の場所で管理しているものだ。

現実的な代わりは、これをブラウザにやらせるのをやめることになる。共有したいリンクの一覧は、チームがすでに共有に使っている場所に置く。固定したメッセージ、社内のドキュメント、共有のブックマークフォルダのいずれかだ。Edgeの体験が快適だったのは1回の操作で届いたからなので、その一覧に固定の置き場所を与えれば、同期するブラウザを探さなくても近い状態は作れる。

作り直すときは、散らかり方まで持ち込まない

ブラウザを移る瞬間は、1年でいちばん安く物を捨てられるタイミングだ。多くの人はここで全部を持ち込んでしまい、移った先で同じ状態を再現する。

出発点はタブの一覧ではなく、案件の一覧にする。ワークスペースは案件の周りにたまるもので、そのうちのいくつかはすでに終わっている。今月動いている案件だけを書き出すと、ブラウザが示す数より短い一覧になる。そこに属さないタブは、ワークスペースの中身ではなくブックマークに落とせばよい。

次に、常設の道具とその日だけの資料を分ける。1時間ごとに開くサービスには固定の場所が要る。2回しか開かなかった資料のページには要らない。設定が重くなるのは、この2つを同じ重みでピン留めしているからだ。重くなった設定こそが、新しいブラウザを探す動機そのものになっている。

最後に、道具を選ぶ前に区切る単位を決める。サービス単位で区切ると一覧は整うが、2つのサービスにそれぞれ2アカウントある状況では何も解決しない。身分単位、つまり会社の自分・個人の自分・取引先ごとの自分で区切ると、あとから新しいサービスが増えても構造が崩れない。順番が大事で、先に境界を決めて、それを引ける仕組みを後から選ぶ。

切り替えの回数を数えてから、区切る単位を決める

機能の一覧を見比べるより、1日に何回文脈が変わるかを数えたほうが、手段は正しく選べる。数回なら、いま入っているブラウザのタブグループで足りる。この段階で乗り換える理由はない。1日に何度もあり、しかも同じサービスの2アカウントをまたぐなら、詰まっているのはCookieの側だ。Safariのプロファイル、プロファイルを割り当てたArcのスペース、Firefoxのコンテナーのいずれでも解ける。選ぶ基準は、2つのアカウントを同時に画面に出す必要があるかどうかになる。

1日に何十回もあり、扱うサービスの種類も多いなら、詰まっているのはまとめでも分離でもない。すべてが1つのアプリの中にあるため、macOSの速い経路をたどっても着く先が作業ではなくブラウザになる、という構造の問題だ。この段階では、サービスごとに窓とDockのアイコンを与えてアプリごとに独立したワークスペースにしてしまうほうが、1日の形が変わる。案件単位でまとめる考え方はワークスペースに、ブラウザの機能のうち何を窓の中に持ち込むかの線引きはできることにまとまっている。よく使うサービスが対応しているかどうかは使えるアプリで先に確かめておくと、入れてから困らない。

この考え方の道具を比べるときは、機能の一覧より直接の比較のほうが速い。対応範囲の広さではWaveboxとの比較、無料のオープンソースとの線引きではFerdiumとの比較、窓の作り方の違いではShiftとの比較が判断材料になる。費用から先に絞りたい場合は料金を見て、導入前の細かい疑問はよくある質問で潰しておくと、比較の順番を間違えにくい。

よくある質問

EdgeのワークスペースはMacでも使えますか?

macOS版のEdgeは継続して提供されており、メニューにワークスペースの項目が出るアカウントも多くあります。ただし使えるかどうかはアカウントの種類や配信チャネルによって変わってきた経緯があるため、一般的な対応表よりも、手元のEdgeのメニューを開いて確かめるほうが確実です。いずれの場合もサインインが前提になります。

ワークスペースで2つ目のSlackアカウントを持てますか?

持てません。ワークスペースはブラウザのプロファイルに属していて、Cookieはそのプロファイルのものを共有します。したがって同じプロファイル内のワークスペースは、すべて同じアカウントでサインインした状態になります。同じサービスの2アカウントが必要なら、プロファイルを分けるか、コンテナー、またはアプリごとにセッションを持つ道具が必要です。

Macで一番近い代わりはどれですか?

個人で使う範囲なら、Chromeの保存したタブグループとVivaldiのワークスペースが近く、どちらもサインインしたアカウントに同期します。共有して同僚と同じタブの組を編集する部分は、macOSのブラウザでは直接の代わりがありません。チームがすでに使っている共有のページや固定メッセージに一覧を置く方法が現実的です。

タブグループだけで足りるか、別のアプリが要るかはどう判断しますか?

1日の切り替え回数を1週間数えてみるのが早いです。数回で、しかもアカウントが重複していないならタブグループで足ります。同じサービスに2アカウントが必要になった時点、または切り替えそのものが手間として意識に上がった時点が、道具を替える境目になります。機能の一覧を見比べるより外しにくい判断材料です。

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