chromeでアカウント切り替えられないときに見る7つの原因

chrome アカウント切り替えられない、という状態にはいくつかの別の現象が混ざっている。切り替えのメニューに目的のアカウントが出てこない場合もあれば、選んだのに元のアカウントに戻される場合、片方のサービスだけ切り替わらない場合もある。原因が違えば直し方も違うので、まず自分がどの現象に当たっているのかを見分けるところから始めたい。

現象を3つに分けて見分ける

読者が「切り替えられない」と言うとき、実際に起きているのは次のどれかであることがほとんどになる。

  • 選択肢に出てこない。アカウント一覧に目的のアドレスが並ばず、追加しようとしてもログイン画面が途中で止まる
  • 選んだのに戻る。別のアカウントを選ぶと一瞬切り替わるが、ページを再読み込みすると元のアカウントの画面に戻っている
  • 一部だけ切り替わらない。Gmailは切り替わったのに、同じ窓で開いているカレンダーやドライブは前のアカウントのままになっている

1つ目はログインとCookieの問題、2つ目は既定アカウントとセッションの持ち方の問題、3つ目は同時ログイン中の複数アカウントを識別する仕組みの問題になる。同じ画面で起きていても層が違うので、片方の対処を全部に当てても直らない。

選択肢に出てこないとき

アカウント一覧に出てこない原因で多いのは、そのアカウントのセッションがすでに切れているのに一覧の表示だけが残っている状態になる。ログアウトの操作をしていなくても、パスワードを変えた、別の端末でログアウトした、管理者がセッションを無効にした、といった理由でサーバ側のセッションは切れる。この場合は一覧から一度そのアカウントを削除して、入り直すのが早い。

Cookieが原因になっているケースもある。サードパーティCookieを全面的にブロックしている、あるいは特定のサイトのCookieを削除する設定になっていると、ログイン状態を保持するための情報が保存されず、追加しても次の読み込みで消える。プライバシー系の拡張機能が同じことをしていることもあるので、シークレットウィンドウで同じ操作を試すと切り分けられる。シークレットで通るなら、原因は拡張機能か設定の側にある。

会社や学校が管理しているアカウントでは、そもそも追加できないことがある。管理者が別アカウントの同時ログインを制限している場合、ログイン画面までは進むのに最後で弾かれる。この場合は設定側で直せないため、プロファイルを分けて別の入れ物としてログインする形になる。

選んだのに元のアカウントに戻るとき

これがいちばん多く、いちばん誤解されている現象になる。Googleのサービスは、1つのブラウザの中で複数のアカウントに同時ログインできる。そのとき最初にログインしたアカウントが既定として扱われ、URLの中でも0番として管理される。2つ目は1番、3つ目は2番になる。

問題は、この番号がURLに含まれることだ。https://mail.google.com/mail/u/0/のような形になっていて、ブックマークに保存した時点の番号がそのまま残る。あとから別のアカウントを追加してログインの順番が変わると、同じブックマークが別のアカウントを開くようになる。あるいは番号が存在しなくなって、既定のアカウントに落ちる。切り替えたのに戻ると感じる場面の多くは、この番号のずれが原因になっている。

対処は2つある。1つは、ブックマークを番号付きのURLではなくサービスのトップのURLで保存し直すこと。もう1つは、行き来する頻度が高いアカウントについては同じ窓に同居させず、プロファイルごと分けることになる。プロファイルを分ければCookieの保存先そのものが別になるので、既定アカウントの番号という概念に巻き込まれない。

Googleは、複数アカウントの同時利用について仕様上の注意を公開している。

複数のアカウントに同時にログインしている場合、使用しているアカウントがどれか Google で判断できなくなることがあります。たとえば、2 つのアカウントにログインした状態で、新しいブラウザ ウィンドウを開く場合に、どちらのアカウントを使用するか判断できないことがあります。 出典: support.google.com

同じ資料は、既定のアカウントを「多くの場合、最初にログインしたアカウント」と説明している。つまり、切り替えられないのではなく、判断できないときに既定へ落ちている場合がある。何度切り替えても同じ画面に戻るときは、この挙動に当たっている可能性を先に疑いたい。

一部のサービスだけ切り替わらないとき

Gmailは切り替わったのに、同じ窓のドライブやカレンダーが前のアカウントのままになる。この現象は、番号付きURLがサービスごとに独立して保持されていることから起きる。タブを開いた時点の番号がそのタブに残るため、別のタブで切り替えても、すでに開いているタブには反映されない。

対処はタブを開き直すことになるが、開いているタブが20枚を超えていると、どのタブがどのアカウントなのかを追うだけで時間が溶ける。ここまで来ると、操作の問題ではなく置き場所の問題になっている。

サービスによっては、そもそも複数アカウントの同時利用に対応していないものもある。管理者向けの画面や、支払い情報を扱う画面は、安全のため既定アカウント固定になっていることがある。切り替えの操作を繰り返すより、そのサービス専用のプロファイルを作るほうが確実になる。

Googleアカウント以外で起きる同じ現象

切り替えられないのはGoogleのサービスだけではない。同じ構造の詰まりは、他のサービスでも起きる。

Slackは、ワークスペースごとに別のセッションを持つ設計になっている。ブラウザで複数のワークスペースを開くこと自体はできるが、同じメールアドレスで複数の組織に所属している場合、ログイン画面から入り直すたびに直前の組織へ戻されることがある。ワークスペースのURLを直接開くのが確実になる。

Microsoftのアカウントは、個人用と組織用で認証の経路が分かれている。同じアドレスが両方に登録されていると、ログインの途中でどちらかを選ぶ画面が出て、選び間違えると想定と違う画面に着地する。この選択はCookieに記録されるため、次からは確認なしで同じほうへ行く。切り替えたいなら、そのサイトのCookieを消すか、プロファイルを分ける形になる。

Notionのように、1つのアカウントの中に複数のワークスペースを持つ設計のサービスもある。この場合はアカウントの切り替えではなくワークスペースの切り替えになるので、ブラウザ側の設定をいくら触っても変わらない。サービスごとに何が切り替えの単位になっているかを先に確認すると、無駄な操作が減る。

拡張機能とCookie設定が原因になっているとき

切り替えの操作そのものは正しいのに結果が変わらない場合、拡張機能が介入していることがある。広告や追跡をブロックする系統の拡張機能は、ログイン状態の保持に使われるCookieやリダイレクトを止めることがある。プライバシー保護を強く効かせる設定にしているほど、この副作用は出やすくなる。

切り分けは簡単で、シークレットウィンドウで同じ操作を試せばよい。シークレットでは既定で拡張機能が動かないため、そこで切り替えられるなら原因は拡張機能側にある。あとは1つずつ無効にして、どれが効いているかを絞る。6個入っているなら、半分ずつ無効にして試すと3回で特定できる。

Chrome本体の設定側では、サイトのデータをブラウザを閉じるたびに削除する項目が効いていることがある。この設定を入れていると、切り替えたアカウントのログイン状態が翌日には消えている。プライバシーとセキュリティの項目で、対象から外すサイトを個別に指定できるので、業務で使うサービスだけを例外にしておくと両立できる。

プロファイルで分けるという解き方

ここまでの原因のうち、既定アカウントの番号に由来するものと、サービス側が既定アカウント固定になっているものは、同じ窓の中では根本的には直らない。分けるべきなのはアカウントではなく、Cookieの保存先になる。

Chromeのプロファイルは、Cookieとログイン状態、拡張機能、履歴、パスワードをまるごと別に保存する仕組みになる。プロファイルを分ければ、それぞれの中で「1つ目のアカウント」が独立して存在するので、番号のずれも既定アカウントの奪い合いも起きない。作成は右上のアバターアイコンから追加を選ぶだけで、名前と色を決めればすぐ使える。

分けるときの目安は、切り替えの頻度ではなく、同時に開いておきたいかどうかに置くとよい。週に1回しか使わないアカウントなら同じ窓に同居させて構わない。1日に何度も行き来し、しかも両方を開いたままにしておきたいなら、分けたほうが結果として手数が減る。

ただしプロファイルにも限界がある。Dockに並ぶChromeのアイコンは1つのままなので、窓が増えるほど今どれを見ているのか分からなくなる。アプリを巡るキーを押しても、プロファイルが違う窓が同じ列に並ぶ。データの混線は直るが、視覚的な混線は残る。

切り替えを間違えたときの被害を小さくする

切り替えが効かない状態でいちばん怖いのは、動かないことではなく、意図と違うアカウントで操作してしまうことになる。個人のアカウントで取引先に返信する、業務のアカウントで私用のファイルを共有する、といった事故は、切り替えの不確かさから生まれる。

被害を小さくする手当てが3つある。

  • プロファイルごとにテーマの色を大きく離す。窓の端に出る色が手がかりになり、書き始める前に気づける
  • アカウントごとにプロフィール画像を変える。Googleのサービスは右上に画像を出すので、画面の同じ位置で確認できる
  • 送信前に宛先と差出人を読む習慣を作る。メールの下書き画面には差出人が表示されているので、1秒だけ見る

どれも小さな手当てだが、切り替えが不確かなまま作業を続けるより効く。特に1つ目は、プロファイルを作るときに1度設定するだけで、以降ずっと効き続ける。色は青と紺のように近いものを避け、視界の端でも判別できる組み合わせにしたい。

切り替えの回数そのものを減らす

ここまでを整理すると、対処は3段階になる。まず、番号付きURLのブックマークをトップのURLに直す。次に、既定アカウント固定のサービスを使うアカウントについてはプロファイルを分ける。それでも足りないなら、窓の持ち方を変える。

3段階目に進む目安は、1日の行き来が30回を超えているかどうかになる。この回数になると、切り替えの操作そのものより、切り替えた先を確認する視線の往復が時間を食う。減らすべきは操作ではなく、確認の回数のほうだ。

Webアプリとアカウントのそれぞれに独立した窓とセッションを持たせる形なら、同じサービスの別アカウントを並べて置ける。切り替えの操作が要らなくなるので、既定アカウントの番号という概念に触れる場面自体が消える。アプリごとに独立したワークスペースがどう組まれているかはできることにまとまっている。取引先ごとにアプリの組をまとめて切り替える単位の話はワークスペースが扱い、調べ物と手元の作業を同じ窓で片付ける形はターミナルにある。

同じ用途の製品を並べるなら、値段より先にセッションの持ち方と対応OSを見たほうが早い。多機能な製品との違いはWaveboxとの比較に、無料で始められる系統との違いはRamboxとの比較Ferdiumとの比較に、それぞれ事実の並べ方で整理してある。手元のGmailやSlackが対象に入っているかは使えるアプリ、費用の考え方は料金、導入前に引っかかる点はよくある質問で確かめられる。

いま切り替えられずに困っているなら、まずシークレットウィンドウで同じ操作を試すところから始めたい。そこで通るなら原因は拡張機能か設定にあり、そこでも通らないならアカウント側かサービス側の仕様に当たっている。切り分けが済んでから、分ける場所を決めればよい。

よくある質問

アカウントを切り替えても元のアカウントに戻るのはなぜですか?

GoogleのサービスはURLの中でログイン順の番号を持っており、/u/0/のような形で保存されたブックマークは番号でアカウントを指している。あとからログインの順番が変わると、同じURLが別のアカウントや既定のアカウントを開くようになる。トップのURLで保存し直すと直ることが多い。

一部のサービスだけ切り替わらないのはなぜですか?

サービスによっては既定のアカウントでしか動かない仕様になっているものがある。加えて、番号付きのURLはタブごとに保持されるため、別のタブで切り替えてもすでに開いているタブには反映されない。開き直すか、そのサービス専用のプロファイルを作るのが確実になる。

アカウントを追加できないときはどこを見ればよいですか?

シークレットウィンドウで同じ操作を試すと切り分けが早い。そこで追加できるなら原因は拡張機能かCookieの設定にある。そこでも追加できない場合は、そのアカウントのセッションが切れているか、組織の管理者が同時ログインを制限している可能性が高い。

プロファイルを分ければ切り替えの問題は全部なくなりますか?

Cookieとログイン状態が別になるため、既定アカウントの番号に由来する混乱は起きなくなる。ただしDockのアイコンは1つのままで、窓が増えるほど今どれを見ているのかが分かりにくくなる。データの混線は直るが、視覚的な見分けにくさは残る。

記事一覧へ戻る