chromeでアカウント切り替えできない原因を3つの層に分けて見る
Gmailでは目的のアカウントが選べているのに、同じ窓でカレンダーを開くと別の名義で表示される。右上の写真から切り替えたはずが、数分後には元のアカウントに戻っている。チャットに貼られたドキュメントのリンクを踏むと、いつも権限のないアカウントで開く。「chrome アカウント 切り替え できない」でたどり着く画面は人によって違いますが、詰まっている場所は3つのどれかにほぼ収まります。URLに埋め込まれた番号の層、Cookieが置かれている領域の層、そしてサービス側が用意しているログインの作りの層です。どの層で止まっているのかが分かれば、次に触る設定も1つに絞れます。
「切り替えできない」は、同じ言葉で呼ばれている別々の症状
同じ検索語でも、実際に起きていることは大きく分けて4通りあります。切り替えの一覧に目的のアカウントが出てこない。選べるのに選んだ結果が反映されない。特定のサービスだけ別名義になる。切り替えたつもりが、外部から踏んだリンクだけ元に戻る。この4つは原因が別で、直し方も別です。
区別せずに「Chromeの不具合」とまとめてしまうと、キャッシュ削除や再インストールのような効かない手当てに時間を使うことになります。切り分けの手がかりは、症状が起きる範囲です。Googleのサービスだけで起きるのか、SlackやNotionでも起きるのか。ブラウザの中で操作したときだけなのか、メールやチャットから飛んだときだけなのか。この2つの軸で場所を絞ると、触るべき層が決まります。
- Googleのサービスだけで起きる場合は、URLの番号かデフォルトアカウントの層
- どのサービスでも起きる場合は、Cookieの置き場所の層
- 特定の1サービスだけで起きる場合は、そのサービスのログインの作りの層
URLの末尾にある番号が、実際の切り替え先を決めている
GoogleのWebサービスを複数アカウントで使っていると、アドレスに /u/0/ /u/1/ のような番号が入ります。この番号は、そのブラウザの保存領域にログインした順番を指しています。名前でもメールアドレスでもなく、順番です。
ここが厄介なのは、番号とアカウントの対応が固定ではない点です。どこかで一度ログアウトして入り直すと、同じ番号が別のアカウントを指すようになります。ブックマークに /u/1/ の付いたURLを保存していた場合、昨日まで正しかったブックマークが今日から別名義を開くという現象が起きます。切り替え自体は機能しているのに「切り替わらない」と見えるのは、たいていこの型です。
対処は単純で、番号付きのURLをブックマークやショートカットに残さないことです。Gmailなら mail.google.com/mail/u/0/ ではなくサービスのトップから入り、切り替えは画面上のアカウントメニューで行う。あるいは、番号ではなくアカウントを指定できる形式のURLを使う方法もあります。Googleの多くのサービスは、URLに authuser という引数でメールアドレスを渡すと、その名義で開こうとします。番号のずれに影響されないぶん、こちらのほうが安定します。
メールやチャットから飛んだリンクだけ別名義になるとき
この症状はブラウザの外で起きています。リンクを踏んだ瞬間、どのアカウントで開くかの判断はページが描画される前にGoogle側で終わっています。判断材料になるのがデフォルトアカウントで、その決まり方はヘルプに明記されています。
多くの場合、デフォルトのアカウントとは、最初にログインしたアカウントになります。 出典: support.google.com
つまりデフォルトは設定画面で選ぶものではなく、その保存領域で最初に入ったアカウントが自動的にそうなります。仕事用を先に入れたか私用を先に入れたかで、あとから踏むリンクの行き先が変わるということです。順番を変えたければ、その保存領域のすべてのアカウントからログアウトして、望む順で入り直す以外にありません。作業中のセッションが全部切れるので、思いつきでやると午後が潰れます。
Cookieがどこに置かれているかを見る
2つ目の層は保存領域です。ログイン状態を保っているCookieはタブに属しておらず、プロファイルという単位の保存領域に属しています。同じプロファイルで窓を2つ開いても、Cookieは共有されたままです。窓を分ければアカウントも分かれるという直感は、ここで外れます。
Chromeが持っている分け方は3種類あり、それぞれ性質が違います。
| 分け方 | Cookieの扱い | 拡張機能 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| プロファイル | 完全に別 | 個別に入れ直す | 常用するアカウントの分離 |
| シークレットウィンドウ | 一時的な別領域 | 既定では無効 | 短時間の確認 |
| ゲスト | 保存しない | 使えない | 他人にPCを貸すとき |
常用するアカウントを分けたいなら、選択肢はプロファイルだけです。シークレットは終了時に消える前提の領域なので、毎朝ログインし直すことになります。ゲストは記録を残さない用途のもので、日常の作業には向きません。
ただしプロファイルは分離であって、施錠ではありません。Chromeのヘルプは、共用時の見え方について次のように書いています。
デバイスを使用するユーザーは、そのデバイスに設定されている他のどの Chrome プロファイルにも切り替えることができます。 出典: support.google.com
分けた先にパスワードがかかるわけではない、という点は押さえておく価値があります。取引先の管理画面を別プロファイルに置いても、そのMacを触れる人は誰でもそちらへ行けます。分離の目的は誤爆の防止であって、権限の防御ではありません。
拡張機能と組織の設定が噛んでいる場合
切り替えの一覧そのものが出てこない、ログインしても弾かれるといった症状では、ブラウザの外側の設定が効いていることがあります。Cookieを一律にブロックする拡張機能、広告やトラッカーの遮断がGoogleの認証用ドメインまで巻き込んでいるケース、サードパーティCookieの制限が管理画面のログインに必要な通信を止めているケースなどです。
切り分けは、新しいプロファイルを1つ作って、拡張機能を何も入れずに同じ操作をしてみるのが早いです。そこで正常に切り替わるなら、原因は拡張機能かそのプロファイルの設定にあります。同じ症状が出るなら、原因はサービス側かネットワーク側です。この検証は5分ほどで終わり、結果がどちらであっても次に触る場所が決まるので、手当てを始める前に通しておく価値があります。
拡張機能が原因だった場合、犯人を特定する作業が残ります。全部まとめてオフにして再現しなくなったら、半分ずつ戻して絞り込むのが確実です。1つずつ戻すより回数が少なく済みます。なお、認証の途中で止まる症状はCookieを扱う拡張機能に集中しており、見た目を変えるだけのものが原因になることはほとんどありません。
会社や学校から配布された端末では、そもそも管理者側の設定で挙動が決まっていることもあります。Chromeウェブストアのヘルプにも、職場や学校のパソコンでは組織の設定によって一部の拡張機能がブロックされる場合があると書かれています。追加できるアカウントのドメインが制限されている環境では、個人アカウントを足そうとしても一覧に現れません。この場合は手元の設定をいくら触っても変わらないので、管理者に確認するのが最短です。
サービスによって、切り替えの作りが違う
3つ目の層はサービス側です。ここを見落とすと、ブラウザを乗り換えても同じ壁に当たります。
- Googleは1つの保存領域に複数アカウントを同時に置ける作りです。だから切り替えの一覧が存在します。ただし前述のとおり、外から来たリンクの行き先はデフォルトアカウントに引かれます
- Slackは同じメールアドレスで参加したワークスペースをまとめて扱います。別のメールアドレスで参加したワークスペースは別のログイン扱いになり、1つの保存領域には同時に置けません
- Microsoftは職場や学校のアカウントと個人アカウントで認証の系統が分かれており、同居させると片方が落ちることがあります
- 管理画面系のサービスには、そもそも同時ログインを想定していないものがあります。この場合、後から入ったほうが前のセッションを切ります
確かめ方は難しくありません。目的のサービスを開いてアカウントメニューを見て、追加という項目があるかどうかを見ます。項目があれば1つの保存領域に複数を置ける型、無ければ置けない型です。置けない型のサービスが業務の中心にあるなら、URLの整理をどれだけ丁寧にやっても切り替えの往復は消えません。逆に置ける型ばかりなら、保存領域を増やす前にURLの扱いを直すだけで済みます。
自分が毎日行き来しているサービスがどの型なのかを先に確かめると、無駄な検証を省けます。難所になっているサービスが元から切り替えに対応しているなら、必要なのはURLの扱いを整えることだけです。対応していないなら、保存領域を分けるしかありません。
切り替えを直すのと、切り替えの回数を減らすのは別の話
ここまでの手当てで症状は止まりますが、切り替えという操作そのものは残ります。1日に何度も名義を確かめ、間違いに気づいて戻り、また確かめる。この往復は数秒ずつですが、回数が多いほど積み上がります。
考え方を変えると、アカウントごとに置き場所を固定してしまえば、切り替えという操作自体がなくなります。仕事用のGmailはここ、私用のGmailはあちら、取引先の管理画面はさらに別。窓や場所が違えば、名義を確かめる必要がありません。Webアプリをまとめるブラウザが採る方針はこれで、アプリごとに独立したワークスペースを作り、それぞれに別のログインを保持させます。手元の分け方でどこまでできるかはできることに整理があり、複数の名義をどう並べるかという考え方はワークスペースのほうにまとまっています。
同じ目的の道具は他にもあります。長く続いているものではWaveboxとの比較で扱っている製品が近く、無料で使える系統はFerdiumとの比較で触れている製品が該当します。作りも料金体系も違うので、どこまで分離が必要かで選ぶ対象が変わります。費用の目安は料金にあり、使えるサービスの範囲は使えるアプリで確かめられます。
内部リンクから見える、詰まりやすい順番
問い合わせや検索で当たる場所を並べると、読者が引っかかる順番にはっきりした傾向があります。最初に来るのは分け方そのものの理解で、よくある質問に集まる質問も「窓を分ければアカウントも分かれるのか」という一点に寄っています。答えは分かれないで、Cookieが窓ではなく保存領域に属しているという一行を知っているかどうかで、その後の遠回りが決まります。
次に来るのが、道具を入れたあとに残る作業です。プロファイルを分けても、拡張機能は入れ直しになり、ブックマークも別々に育ちます。3つ以上のアカウントを扱う人がプロファイルで運用すると、この維持の手間が効いてきます。切り替えの不具合を直すつもりで始めた作業が、いつのまにか環境を4セット保守する作業に変わっているという状態です。
最後に来るのが、どこまで分離が必要かという線引きです。誤送信を防ぎたいだけなら見た目の区別で足り、権限そのものを分けたいならログインを分ける必要があります。手を付ける順番としては、まずURLから番号を外し、次に常用するアカウントの置き場所を決め、最後に道具を選ぶ。この順で進めると、効かない手当てに時間を使わずに済みます。
よくある質問
Chromeのキャッシュを削除すれば切り替えの不具合は直りますか?
一部の症状には効きますが、URLの番号やデフォルトアカウントが原因のときは直りません。キャッシュ削除はログイン状態も消すため、他の作業まで止まります。まず症状の範囲を確かめて、Googleのサービスだけで起きているのか、すべてのサービスで起きているのかを切り分けてから判断するほうが速いです。
デフォルトのアカウントを後から変更できますか?
設定画面で選ぶ項目はありません。その保存領域で最初にログインしたアカウントがデフォルトになるため、変えるには全アカウントからログアウトして、望む順番で入り直す必要があります。作業中のセッションが全部切れるので、時間に余裕があるときに行うのが安全です。
シークレットウィンドウを2つ目のアカウント用に使い続けても問題ありませんか?
短時間の確認には向きますが、常用には向きません。シークレットのセッションはすべての窓を閉じた時点で終わり、Cookieも消えるため、毎回ログインし直すことになります。拡張機能も既定では動きません。毎日使うアカウントは、プロファイルなど残る保存領域に置くほうが手間が減ります。
プロファイルを分ければ、他人にそのアカウントを見られませんか?
分離はされますが、施錠はされません。Chromeのヘルプにも、その端末を使う人は設定されている他のプロファイルへ切り替えられると書かれています。分けることで得られるのは誤操作の防止で、権限の防御ではありません。人に見られたくない情報は、端末そのもののロックと権限管理で守る必要があります。