Chromeのプロファイルで仕事と私用を分ける|作成前に決めること
Chromeのプロファイルは右上のアバターから数回押すだけで増やせる。にもかかわらず「chrome プロファイル」で調べ直す人が多いのは、作る手順が難しいからではなく、作ったあとに何が分かれて何が混ざるのかが分からないまま増やしてしまい、あとで戻すのに手間がかかるからである。
この記事は、作る前に決めておくと後戻りしない線引きを整理するものである。ブックマークとパスワードをどちらに置くのか、同期をどこまで入れるのか、最初のプロファイルをどのアカウントにするのか。この3つを先に決めておけば、プロファイルを作り直す作業はほぼ発生しない。
プロファイルという言葉が指しているもの
Chromeでプロファイルと呼ばれているのは、人格や設定画面ではなく、1つの利用者ぶんの情報をまとめたデータの束である。大学のヘルプデスクのような、社内外の利用者に説明する立場の文書では次のように定義されている。
Chromeの「プロファイル」は、Googleアカウント毎のブックマーク、閲覧履歴、テーマ、パスワード、その他の設定をひとまとめにしたデータのことを指します。 出典: openweb.chukyo-u.ac.jp
この定義でいちばん重要なのは「データ」という言葉である。プロファイルはアプリケーションではなく、Chromeが読み書きするフォルダに過ぎない。macOSでは~/Library/Application Support/Google/Chromeの下に置かれ、最初のものはDefault、追加したものはProfile 1のように番号が付く。Chromeの実行ファイルそのものは1つで、どのプロファイルの窓も同じ実行ファイルから開く。
Googleアカウントとプロファイルの関係も混ざりやすい。プロファイルはアカウントに紐づけることもできるが、紐づけなくても使える。Chromeにログインせずに作ったプロファイルは、その機械の中だけにデータを持つ。逆にログインすると、ブックマークやパスワードをアカウント側に保存して、ログインしている他のデバイスから使えるようになる。
分けて得られることと、得られないこと
プロファイルを分けて得られるものは4つに絞られる。1つ目は、同じサービスに2つのアカウントで同時にログインできること。Gmailの受信箱を業務と私用で並べて置けるのは、Cookieがプロファイルごとに分かれているためである。2つ目は、履歴と自動入力が混ざらないこと。業務の窓で住所を入れるときに私用の住所が候補に出てこなくなる。3つ目は、拡張機能を分けられること。業務側にだけ会社が指定した拡張機能を入れ、私用側には入れないという運用ができる。4つ目は、画面の見た目を変えて取り違えを減らせること。
得られないものも同じくらいはっきりしている。タブの数は減らない。通知の出どころは分からないままである。Dockのアイコンも1つのままで、Command+Tabの切り替えでも1つのアプリとして扱われる。プロファイルはセッションを分ける仕組みであって、画面の混雑を解く仕組みではない。ここを期待して増やすと、プロファイルが4つになったあたりで「分けたのに前より探している」という状態になる。
会社の機械を共用している場合はもう1点ある。Chrome公式のヘルプは、デバイスを信頼できる相手とだけ共用するようにと注意しており、その機械を使える人は設定されている他のプロファイルにも切り替えられると明記している。プロファイルは見分けるための仕切りであって、鍵ではない。
作る前に決めておく3つの線引き
どのサービスを業務側に置くか
業務用と私用の2つを作る、と決めただけでは足りない。実際に迷うのは、どちらとも言えるサービスの扱いである。調べ物に使う検索、生成AI、コードを置いている場所、家計簿、子どもの学校の連絡。この境界を決めずに使い始めると、業務側の履歴に私用の検索が混ざり、あとで見返すときに役に立たなくなる。
決め方の目安は、そのサービスに業務のアカウントでログインするかどうかで揃えることである。ログインしないサービスはどちらの窓で開いても差が出ないため、履歴を汚したくない側から外しておくと扱いが楽になる。
同期をどこまで入れるか
同期を入れると便利さと引き換えに、私用の機械へ業務のブックマークとパスワードが降りてくる。逆も起きる。会社から貸与された機械に、私用で使っている買い物サイトのパスワードが同期されるのは避けたいはずである。プロファイルごとに同期の対象を決められるので、作った直後に設定を開いて、パスワードとブックマークのそれぞれを入れるかどうかを選んでおく。
最初のプロファイルをどのアカウントにするか
Defaultは削除を前提としないプロファイルであり、ここに入れたアカウントが実質的な既定になる。メールやチャットのアプリから開いたリンクは、最後に使っていたプロファイルで開くため、日中は業務側が最後に使われている状態が続く。夜に届いた私用のメールのリンクを押して業務側の窓が開く、という場面をどちらに寄せるかを先に選ぶ。
作る手順と、作った直後にやること
手順そのものは短い。Chromeを開き、右上のプロファイルから「Chrome プロファイルを追加」を選び、名前、写真、テーマカラーを決める。Googleアカウントでログインした場合、プロファイル名はそのアカウント名が自動で入る。
作った直後にやっておくと後で困らない作業が4つある。
- テーマカラーを分ける。右上のプロファイルから「Chrome プロファイルを管理」に入り、編集したいプロファイルの編集メニューで名前、写真、テーマカラーを変更でき、変更は自動で保存される
- 起動時の選択画面を出すかを決める。同じ管理画面の下にある「起動時に表示する」をオンにすると、新しくブラウザを開いたときにすべてのプロファイルが一覧で出る
- フォルダ名を確認する。アドレス欄に
chrome://versionと入れて「プロファイルパス」の行末を見ると、表示名ではない実体のフォルダ名が分かる。ターミナルから特定のプロファイルを開く運用をするなら必須になる - 拡張機能を入れる範囲を決める。プロファイルは拡張機能も分けるため、業務側だけに入れるもの、両方に入れるものを最初に決めておくと、あとで設定を照らし合わせる手間が減る
名前の付け方にも一言ある。「仕事」「私用」のような役割名は分かりやすい一方で、取引先が増えると足りなくなる。組織名や屋号を入れておくと、プロファイルが4つを超えたあたりから見分けが速くなる。
分けたつもりで混ざる場所
プロファイルが分けるのはChromeの内側のデータであって、OSとの境目は分けない。次の4か所は、分けたつもりでいると取り違えが起きる。
| 混ざる場所 | 起きること | 抑え方 |
|---|---|---|
| 外部アプリから開くリンク | 最後に使ったプロファイルで開く | 既定にしたい側をDefaultに置く |
| Dockとアプリの切り替え | アイコンは1つ、Command+Tabでも1つ | 窓を単位にする道具に移す |
| ダウンロードの保存先 | 初期値は同じフォルダ | プロファイルごとに保存先を変える |
| 通知 | どのプロファイルが鳴らしたか分からない | 音や通知の許可を業務側だけに絞る |
リンクの開き先は、業務で取り違えがいちばん起きやすい場所である。メールに届いた共有ファイルのURLを押したとき、開いた窓が私用のアカウントだと、権限が無いという画面が出る。そこでアカウントの切り替えを押すと、今度は共有元に私用のアドレスでアクセス要求が飛ぶことがある。プロファイルを分けているからこそ起きる事故であり、リンクを押す前に今どの窓にいるのかを見る癖が要る。
ダウンロードの保存先を分けておくと、後からの探し物が楽になる。初期値ではどのプロファイルも同じフォルダに落ちるため、業務の請求書と私用の領収書が同じ場所に並ぶ。設定のダウンロードで保存先をプロファイルごとに変え、ダウンロードのたびに保存先を尋ねる設定を業務側だけオンにしておく手もある。
シークレットウィンドウとゲストモードも、プロファイルの代わりにはならない。シークレットウィンドウは開いているプロファイルの拡張機能や設定を土台にしており、閉じた時点でCookieを捨てるだけである。ゲストモードはデータを残さない代わりに、ブックマークもパスワードも使えない。どちらも一時的に別のアカウントを開くためのもので、毎日行き来する用途には向かない。
増えたプロファイルを整理する
分ける方針を決めても、検証用や単発の案件で作ったものが残っていく。削除すると、そのプロファイルのブックマーク、履歴、パスワードなどの設定はパソコンから削除される。Googleアカウントに同期していた分はアカウント側に残るが、同期していなかったブックマークは戻らないため、先に書き出しておく。
削除の手順は追加とほぼ同じ場所にある。右上のプロファイルから「Chrome プロファイルを管理」に入り、削除したいプロファイルの編集メニューから削除を選び、確認で確定する。削除してもフォルダの番号は詰められないので、Profile 5を消したあとに作った新しいプロファイルがProfile 6になることは覚えておくとよい。
プロファイルが増える原因は、単発の用事で作ったものを消さずに残す運用にある。1回しか使わない予定のログインは、プロファイルを作るのではなくシークレットウィンドウで済ませる、と決めておくと数が増えにくい。逆に、3か月以上続く取引先のアカウントは最初からプロファイルを作り、テーマカラーと名前を付けたうえで、案件が終わった日に削除するところまで手順にしておく。
整理の目安としては、月に1度も開かなかったプロファイルは残す理由を書き出せるかどうかで判断する。理由が書けないものは、ブックマークだけ書き出して消すほうが、毎回の選択画面が短くなる分だけ日々の操作が軽くなる。
窓の単位で分ける道に移るとき
プロファイルを分けても残るのは、タブの数と通知の出どころである。同じサービスに3つ以上のアカウントで同時にログインしたい場合や、アプリごとにアイコンと通知を分けたい場合は、分ける単位をプロファイルからアプリに変える道具が候補になる。
アプリごとに独立したワークスペースという考え方では、Cookieの入れ物をアプリごとに持たせて、同じサービスに複数のアカウントで同時にログインできるようにする。その仕組みはワークスペースに書かれている。通知をひとつにまとめる、キーひとつで切り替える、といった日々の操作がどこまで含まれるかはできることにある。
対応しているサービスは一覧になっており、載っていないものもURLから追加できるかどうかが使い勝手を決める。対応の範囲は使えるアプリで確認できる。無料でどこまで使えて、有料にするといくらかかるのかは料金にまとまっている。同じジャンルの製品と何が違うのかを並べたものがShiftとの比較で、ライセンスの台数やデータの扱いなど契約前に気になる点はよくある質問に置かれている。
いま必要なのは、プロファイルを増やすことなのか、分ける単位を変えることなのか。この問いに答えるには、同時にログインしていたいアカウントの数を数えるのが早い。数が2つで収まるならプロファイルで足り、3つを超えるなら単位を変える段階に入っている。
よくある質問
Chromeのプロファイルとアカウントの切り替えは何が違いますか?
Googleの各サービスの中でアカウントを切り替える方法は、履歴もパスワードも1つのプロファイルの中で共有したまま、見る相手を変えるだけである。プロファイルの切り替えは、ブックマーク、履歴、保存したパスワード、拡張機能ごと別の窓に移る。同じサービスに2つのアカウントで同時にログインしたいなら、プロファイルを分ける側になる。
プロファイルを作るとき、Googleアカウントへのログインは必須ですか?
必須ではない。ログインせずに作ったプロファイルは、ブックマークも履歴もその機械の中だけに残る。ログインすると設定をアカウントに保存して他のデバイスから使えるようになるが、私用の機械に業務のパスワードが降りてくることにもなるため、同期する範囲は作った直後に決めておく。
テーマカラーを変える以外に、窓を見分ける方法はありますか?
写真とプロファイル名を変えると、窓の右上のアバターで判別できるようになる。それでも足りない場合は、業務側だけブックマークバーを表示する、通知の許可を片方だけに与えるなど、画面の見た目そのものを変える手が残る。Dockのアイコンを分けたい場合は、プロファイルの設定では足りず、窓を単位にする道具が必要になる。
プロファイルを削除したあと、同じ名前で作り直せますか?
表示名は自由に付け直せるため、同じ名前で作り直せる。ただし実体のフォルダ名は引き継がれず、削除した番号が再利用されるわけでもない。ターミナルからプロファイルを指定して開く運用をしている場合は、作り直したあとにchrome://versionでフォルダ名を確認し、指定を書き直す必要がある。