Chromeのタブ整理拡張機能を、入れる前に4つの型で選ぶ

タブが横に潰れてアイコンだけになり、目的の画面を探すのに毎回数秒かかる。その状態を直したくてChromeのタブ整理拡張機能を探し始めた人は多い。ただ、拡張機能は種類ごとに解いている問題が違うため、悩みと型が噛み合っていないと入れても散らかり方が変わらない。この記事では、拡張機能を4つの型に分けて効き方を並べ、入れる前に確かめる条件と、拡張機能では埋まらない範囲までを切り分ける。

タブが増えるのは、意志の弱さの問題ではない

タブが増える背景には、この10年で仕事道具がほとんどWebへ移ったという事情がある。メール、チャット、ドキュメント、タスク管理、生成AI。以前はそれぞれが独立したアプリケーションだったものが、いまはすべて同じブラウザの中の1枚のタブになっている。閉じないのではなく、閉じたら仕事が止まる種類のタブが混ざっている。

そこで役に立つのは、いま開いているタブを2種類に分ける作業だ。1つ目は常設のタブで、GmailやSlackのように1日に何度も戻る場所を指す。2つ目は使い捨てのタブで、調べ物の検索結果や、いま読んでいる記事を指す。散らかって見えるのは、この2種類が同じ横一列に並んでいるからで、数そのものが原因ではない。

タブが40個ある人の内訳を書き出すと、常設は8個前後に収まることが多い。残りは、閉じても困らないのに閉じるきっかけがないまま残っているタブだ。整理の道具を選ぶときは、この2種類のどちらを何とかしたいのかを先に決めておくと外れにくい。

さらに厄介なのは、常設のタブが増えるほど、同じサービスの別アカウントが並ぶ点だ。会社のGmailと個人のGmail、本業のSlackと副業のSlack。これはタブの並べ方の問題ではなく、ログイン情報の保管場所の問題であり、整理系の拡張機能では原理的に解けない。この線引きは後段であらためて扱う。

Chromeのタブ整理拡張機能は、大きく4つの型に分かれる

ストアに並ぶ整理系の拡張機能は数多いが、やっていることで分けると4つに収まる。同じ「タブ整理」という言葉で紹介されていても、解いている問題は別物だ。

1つ目は一括保存型だ。開いているタブをまとめてリストに変換し、ブラウザからは閉じる。窓が一瞬で軽くなるのが利点で、あとで読む資料が大量にたまっている人に効く。弱点は、保存したリストが二度と開かれない置き場所になりやすいことだ。閉じた瞬間に問題は消えるが、探し物は増える。

2つ目はグループ化型だ。ドメインや開いた時間帯でタブを自動的にまとめ、色と名前を付ける。案件ごとに視界を切り替えたい人に向く。弱点は、自動の仕分けが人の頭の中の区切りと一致しないことだ。同じドメインでも案件Aと案件Bにまたがる資料は珍しくない。

3つ目は縦タブ型だ。タブを横一列ではなく左側の縦のリストとして表示する。20個を超えたあたりからタイトルが読めなくなるという問題は、これでほぼ消える。弱点は、画面の横幅を常に消費することと、タブの数そのものは減らないことだ。

4つ目は休止型だ。しばらく触っていないタブのメモリを解放し、戻ったときに読み込み直す。動作が重い人に効く。弱点は、フォームに入力途中の内容や、生成AIとのやり取りの途中経過が失われる場合があることだ。書きかけのタブを勝手に休ませない設定を先に確かめておきたい。

自分の悩みが「探せない」なら2つ目か3つ目、「重い」なら4つ目、「あとで読む資料が視界に入るのが嫌」なら1つ目が近い。ここを取り違えると、入れても手応えが出ない。

型を決めたあとの試し方にも順番がある。いきなり常用のブラウザへ入れるのではなく、まず1つだけ入れて3日使う。手応えが出るかどうかは、機能表ではなく自分の手の動きで分かる。3日たっても操作の癖が変わらなければ、その型は自分の悩みに当たっていない。2つ以上を同時に入れると、どちらが効いたのか分からなくなるうえ、同じ型どうしがタブの操作を奪い合って動作が不安定になる場合がある。

入れる前に確かめる3つの条件

拡張機能はブラウザの中で最も強い権限を持ちうる部品だ。タブの一覧を読むという機能の性質上、開いているページの情報に触れる設計になりやすい。導入の前に、次の3点を確かめておきたい。

  • 要求している権限の範囲。インストール時に「すべてのウェブサイト上での自分のデータの読み取りと変更」と出る場合、その拡張機能は開いているページの中身に触れられる。タブの並べ替えだけが目的なら、より狭い権限で成立することもある。何を求めているかは、インストール画面と拡張機能の詳細ページの両方で確認できる
  • 保存したタブの置き場所。ローカルのみに保存するのか、開発元のサーバーへ送るのかで、扱いが変わる。取引先の管理画面のURLが外部に保存される状態は、業務によっては避けたい
  • 更新が続いているか。Chromeの拡張機能はManifest V3への移行が進み、古い作りのものは動作しなくなった経緯がある。最終更新が数年前のまま止まっているものは、次の仕様変更で止まる前提で見ておく

拡張機能は、Chrome ウェブストアからインストールできます。拡張機能をインストールする前に、その拡張機能に必要な権限を確認してください。 出典: support.google.com

権限の確認は、インストールした後からでも遅くない。設定の拡張機能の一覧から、それぞれのサイトへのアクセスを「クリックした場合のみ」へ絞れる。整理系の拡張機能の多くは、この設定でも機能する。

Chrome本体だけで届く範囲を先に見る

拡張機能を足す前に、標準機能でどこまで届くかを見ておくと、入れる数を減らせる。入れる拡張機能が少ないほど、動作も権限の管理も軽くなる。

タブグループは、色と名前を付けてタブをまとめ、折りたたむ機能だ。折りたたんだグループは名前のラベル1つ分の幅に縮むため、常設のタブと使い捨てのタブを分けるだけでも横幅がかなり戻る。グループは保存でき、閉じたあとで呼び出せる。上に挙げた2つ目の型が解こうとしている問題の大部分は、標準機能で足りる場合がある。

タブ検索は、タブバーの右端にある下向きの記号から開く一覧だ。開いているタブと最近閉じたタブをキーワードで絞り込める。40個のタブから目的の1枚を探す操作は、これで数秒に収まる。3つ目の型を入れる理由が「探せない」だけなら、まずここを試す価値がある。

メモリセーバーは、しばらく触っていないタブを自動的に休ませる標準の仕組みだ。4つ目の型と同じ役割を、追加の権限なしで担う。常に起こしておきたいサイトは例外として登録できる。

ピン留めは、タブをアイコンの幅まで縮めて左端に固定する。常設のタブをピン留めして、それ以外を右側に置くという運用だけで、上に書いた2種類の混在はかなり解消する。ピン留めしたタブはウィンドウを閉じても次回に戻るため、毎朝の開き直しも要らなくなる。

拡張機能では埋まらない3つの穴

型を正しく選んでも残る問題がある。これは拡張機能の出来ではなく、すべてが1つのブラウザという1つのアプリケーションの中で起きていることから来る性質だ。

  • ログインが分かれない。同じサービスの2つのアカウントを同時に開くには、Cookieの保管場所そのものを分ける必要がある。これを担うのはプロファイルであり、タブの並べ方を変える拡張機能では届かない
  • 通知の出どころが分からない。届く通知は「Chrome」からのものとして表示され、どのアカウント宛かはクリックするまで分からない。読む価値の判断だけのために切り替えが1回発生する
  • アプリ切り替えの行き先が合わない。macOSはブラウザ全体を1つの対象として扱うため、Command+Tabで着くのは「Chrome」であって「仕事のSlack」ではない。そこからタブを探す手数が毎回上乗せされる

1回あたりは数秒だ。ただし削られているのは時間ではなく注意力で、5秒の中断が1日に何十回も起きる状態は、合計の秒数から想像するより重い。この3つが自分の悩みの中心にあるなら、区切る単位をタブからアプリへ移すほうが筋がいい。

手段を同じ質問で並べる

製品側の呼び名で比べると混乱するので、読者の質問の側で並べたほうが判断しやすい。

手段 タブの数が減る 探す時間が減る ログインが分かれる 追加の権限
一括保存型の拡張機能 はい いいえ いいえ 広い
グループ化型の拡張機能 いいえ はい いいえ 広い
縦タブ型の拡張機能 いいえ はい いいえ 中程度
休止型の拡張機能 いいえ いいえ いいえ 中程度
Chromeのタブグループ 見た目のみ はい いいえ なし
Chromeのタブ検索 いいえ はい いいえ なし
Chromeのプロファイル はい 部分的 はい なし
Webアプリを窓ごとに持つブラウザ はい はい はい なし

この表で分かるのは、拡張機能の列にログインを分ける手段が1つも無いという点だ。同じサービスの複数アカウントで困っているなら、探す先はストアではなくプロファイルの設定になる。逆に、ログインは1つで資料が多すぎるだけなら、標準のタブグループとタブ検索の組み合わせで足りることが多い。

数える対象を、タブの数から切り替えの回数へ

どの手段が合うかは、開いているタブの数ではなく、1日に何回アカウントや案件をまたぐかで決めたほうが外れにくい。またぐ回数が少なく、資料のタブが多いだけなら拡張機能で足りる。またぐ回数が多く、扱うサービスの種類そのものが多いなら、区切る単位をタブや窓からアプリの側へ移すほうが効く。

区切る単位をアプリへ移すと、常設のタブは独立した窓になり、通知の出どころとアイコンが一致し、切り替えの行き先がタブバーからmacOSのアプリ切り替えに戻る。サービス単位ではなく案件単位でまとめる考え方はワークスペースで説明していて、アプリごとに独立したワークスペースを持つとタブの並べ替えという作業そのものが不要になる理由が分かる。ブラウザの機能のうち何を窓の中へ持ってきて何を持ってこないのかという線引きはできることにまとまっている。ターミナルを同じ窓の中に置く使い方はターミナルにあり、開発の作業とWebアプリの往復が多い人はここが判断の分かれ目になる。扱えるサービスの範囲は使えるアプリで確認できる。

同じ発想の道具を横に並べたい場合、価格帯と対応範囲の違いはWaveboxとの比較、切り替えの速さを軸にした違いはShiftとの比較、無料のオープンソースとの線引きはFerdiumとの比較Ramboxとの比較にある。窓の作り方の考え方の違いはSidekickとの比較にまとまっている。費用の側から先に判断したいなら料金を、導入前に迷いやすい点はよくある質問を見ておくと、比較の順番を間違えにくい。

拡張機能を入れると決めた場合、最初にやることは検索ではない。いま開いているタブを、常設と使い捨ての2列に書き出す。この作業だけで、閉じてよいタブがその場でいくつか見つかる。そのうえで残った常設のタブが10個を超えていて、しかも同じサービスの別アカウントが混ざっているなら、必要なのは整理の拡張機能ではなく分離の仕組みになる。順番を逆にすると、拡張機能を入れ替えながら同じ散らかり方を作り直すことになりやすい。

よくある質問

タブ整理の拡張機能は複数入れても大丈夫ですか?

型が重ならなければ併用できますが、同じ型を2つ入れるとタブの操作を奪い合って動作が不安定になることがあります。とくに休止型とグループ化型は、休止のタイミングでグループの状態が崩れる場合があります。まず1つだけ入れて数日使い、足りない機能がはっきりしてから追加する順番が安全です。

拡張機能を入れずに、Chromeの標準機能だけでどこまでできますか?

タブグループで色と名前を付けて折りたたみ、タブ検索でキーワードから目的の1枚を探し、メモリセーバーで使っていないタブを休ませるところまでは標準で届きます。常設のタブをピン留めして左端に固定すれば、使い捨てのタブと混ざらなくなります。探す時間と動作の重さが悩みなら、追加なしで解ける場合があります。

拡張機能で会社と個人のアカウントを分けられますか?

分けられません。ログイン状態を持っているのはCookieの保管場所であり、これを分ける単位はプロファイルです。タブの並べ方を変える拡張機能はこの層に触れないため、同じサービスの2つのアカウントを同時に開くことはできません。プロファイルを分けるか、アプリごとに窓を分ける仕組みを使うことになります。

保存した大量のタブを、あとで実際に開く人は少ないと聞きますが?

一括保存型は「いま視界から消す」ことに効く道具で、「あとで読む」ことを保証する道具ではありません。保存リストが読まれない置き場所になるのを避けるには、保存時に案件名を付けて期限を決め、その日が来たら中身を見ずに捨てる運用が現実的です。読む前提のものはブックマークやタスク管理側へ移したほうが残ります。

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