chrome workspaces like edgeを探した人が、次に決めること
EdgeからChromeに移った直後、ツールバーからワークスペースのボタンが消えていることに気づく。設定を検索しても該当する項目が出てこない。chrome workspaces like edgeという言葉で探しても、隠れている設定が見つかるわけではない。Chromeにはワークスペースという名前の機能が最初から存在せず、Edgeが1つにまとめていた仕事が、Chromeでは3つの別々の場所に分かれて置かれているためだ。
この記事では、Edgeのワークスペースが実際に担っていた役割を分解し、Chromeのどの機能がその役割を引き継げるのか、引き継げないのはどこかを対応表の形で示す。読み終えたときに決めるのは、プロファイルを増やすのか、タブグループで足りるのか、それとも窓の分け方そのものを変えるのかの3択になる。
Edgeのワークスペースが実際にしていた仕事
まず、置き換える対象を正確にする。Microsoftの管理者向けドキュメントは、ワークスペースの中身と前提条件を次のように書いている。
Edge ワークスペースを作成するには、ユーザーは OneDrive for Business ライセンスにアクセスできる必要があります。 出典: learn.microsoft.com
同じページには、ユーザーにMicrosoft EntraテナントとEdge バージョン 114以降が必要であること、個人利用向けのワークスペースはEdge 安定版 120で使えるようになったことも書かれている。つまりワークスペースは、ブラウザ単体の整理機能ではなく、組織のアカウントとクラウドストレージに支えられた機能だった。
共有の範囲も明記されている。ワークスペースが共有するのはタブ・お気に入り・履歴と、各メンバーが今どのタブを見ているかまで。共有しないのはログイン情報・パスワード・ダウンロード・拡張機能・Cookieだ。誰かがタブを閉じると全員のタブが閉じ、共有できる相手は同じEntraテナントの中に限られる。
ここまで読むと、ワークスペースの正体が見えてくる。これは1つのプロファイルの中で動く共同作業の仕組みであって、アカウントを分ける仕組みではない。ワークスペースを2つ開いても、どちらも同じGoogleアカウントでログインしたままになる。この点を取り違えたまま代わりを探すと、必要のない機能を追いかけることになる。
Chromeでは3つの仕組みに分かれている
Chromeの側には、ワークスペースという名前でまとめられた入口が無い。同じ領域を3つの機能が分担している。
- タブグループ … 色と名前を付けてタブの並びを畳める。プロジェクトを視界から外す動きは、ワークスペースの切り替えに一番近い
- プロファイル … Cookie・履歴・保存したパスワード・拡張機能・設定を分ける境界。窓が別になる
- 縦型タブ … タブバーの右クリックメニューから縦並びに切り替えられる。境界は変わらないが、20枚を超えたあたりから一覧性が大きく変わる
Macでのプロファイルの実体は、~/Library/Application Support/Google/Chrome の下にある Default や Profile 1 といったフォルダで、それぞれが独自の Cookies History Login Data Extensions を持つ。プロファイルの表示名は Local State という別のファイルに記録されているため、フォルダ名と画面に出る名前は一致しない。この食い違いは、後でショートカットを作ったり設定を移したりするときに必ず引っかかる場所になる。
これらの機能の全体像はできることのページに一覧があり、プロジェクト単位でアプリを束ねる考え方はワークスペースのページで説明されている。
対応表で見る、置き換わる範囲
| Edgeのワークスペースの動き | Chromeでの代わり | 失われるもの |
|---|---|---|
| 専用のタブの組を持つ | タブグループ、または別プロファイルの窓 | 1プロジェクトが1グループに収まるなら無し |
| 専用のお気に入りを持つ | プロファイルごとのブックマークフォルダ | ブックマークはグループ単位で分けられない |
| 自動保存されて復元される | 保存したタブグループ、セッション復元 | 復元は窓単位で、プロジェクト単位ではない |
| 別の端末から開ける | Chromeのログインと同期 | タブは一覧として同期され、生きた組にはならない |
| ワークスペースごとに別のログイン | 2つ目のプロファイル | グループでは足りず、プロファイルごと必要 |
| タブがリアルタイムで共有される | 該当なし | ここが本当の差 |
| 同僚が閉じられないロックタブ | 該当なし | 固定タブは個人の設定で共有されない |
表の結論ははっきりしている。整理の側はChromeにも答えがあり、一部はEdgeより扱いやすい。共有の側だけが空白になる。
共有機能が無いのは、保存先の設計が違うから
Chromeに共有ワークスペースが無いのは、機能追加の順番の問題ではない。Edgeのワークスペースのデータは利用者のOneDrive for Businessに保存され、Microsoft Entraテナントの内側に閉じている。だから管理者がポリシーで有効と無効を切り替えられるし、組織の外の人とは共有できない。Chromeの同期は、1人のデータをその人の別の端末に運ぶ仕組みで、複数人が同時に書き込む入れ物を持っていない。
この設計は、乗り換えを検討するときに別の意味も持つ。ワークスペースのデータが組織のOneDriveにある以上、その組織を離れた時点でアクセスできなくなる。Edgeを使い続けるかどうかに関わらず、業務委託の契約が終わった、あるいは所属が変わったという場面では、ワークスペースに集めたタブは手元に残らない。長期の資料をワークスペースだけに置いていた場合、この点は先に確認しておく必要がある。
共有の部分に頼っていたチームが取る現実的な代わりは、ブラウザの機能ではなくなる。すでに使っているツールの中に、リンクの置き場をきちんと作ることになる。具体的にはSlackのチャンネルに固定したメッセージ、進行中のリンクをまとめたドキュメント、プロジェクト管理ツールのページのいずれかだ。手間が増えるように見えるが、失われるのは「進行中のタブの集合にそのまま人を招き入れる」という1つの場面に限られる。しかも全員が同時に編集できる共有タブには、誰かが閉じたタブが全員から消えるという別の弱点がある。
プロファイルは分離であって、施錠ではない
Chromeで組み直すときに、最初に押さえておく制約が2つある。1つ目はプロファイルの性質だ。Google公式のヘルプは次のように書いている。
デバイスを使用するユーザーは、そのデバイスに設定されている他のどの Chrome プロファイルにも切り替えることができます。 出典: support.google.com
プロファイルは、仕事用と個人用のGoogleアカウントが同じ窓の中でぶつからないようにするための境界であって、他人から中身を守る鍵ではない。共有のMacで席を離れるときに、プロファイルを分けているから安心だと考えるのは誤りになる。
2つ目はタブグループの限界だ。畳んだグループの中のタブは、メモリの上でもセッションの上でも開いたままになっている。8つのグループに畳んだ100枚のタブは、やはり100枚のタブだ。Chromeのメモリセーバーは非アクティブなタブのメモリを解放して負荷を下げる仕組みで、モードは「適度」「バランス重視(推奨)」「最大」の3段階がある。ただし休止させないタブの条件も公開されていて、その中には固定タブが含まれる。毎日使うアプリを6つ固定した人は、意図しないまま6枚をメモリに常駐させ続ける設定を選んだことになる。
Chromeだけで組み直すときの順番
作業の順番を間違えると、途中で全部やり直すことになる。先に決めるのは、Edgeで作っていたワークスペースのうち、どれが「誰でログインしているか」で決まっていて、どれが「何の作業か」で決まっていたのかの仕分けだ。
- ログインで決まるもの … 取引先のGoogle Workspace、2つ目のSlackアカウント、個人のGmail。これはプロファイルにする。名前はプロジェクト名ではなく、アカウント名や取引先名にする。案件は終わってもアカウントは残るためだ
- 作業で決まるもの … 進行中の案件、調査、レビュー。これは該当するプロファイルの中のタブグループにする。名前は「価格改定レビュー」のように終わりが分かる形にする。「価格」のような主題名を付けると、いつまでも閉じられないグループになる
- 毎日開くアプリ … 固定タブにする。ただし固定した数だけメモリを確保し続けることを承知の上で選ぶ
仕分けが終わったら、既存のタブをいきなりグループに放り込まないことも効く。畳めるようになった安心感で、閉じるべきタブまでグループに入ってしまうためだ。Edgeのワークスペースは何も閉じなくてよい作りだったので、その習慣がそのまま持ち込まれやすい。移す前に、そのタブが「進行中の作業に必要なタブ」なのか「あとで読むつもりの記事」なのかを見る。後者はブックマークかリーディングリストに移す。
そのうえで、実作業をするプロファイルだけ縦型タブに切り替える。調べもの用のプロファイルは横のままでよい。プロファイルごとに色を変えておくことも効く。Chromeの窓は、プロファイルのアイコンの色以外に、いま誰でログインしているかを示す手がかりを持たないためだ。
拡張機能で解決しようとする前に、確認しておく点が1つある。古いタブ管理拡張の多くは、Manifest V2という旧世代の作りで止まっている。Googleが公開している移行の日程によると、2025年7月24日のChrome 138で、すべての利用者に対してManifest V2の拡張機能が無効化され、再度有効にする手段も無くなった。さらに2026年8月31日には、残っていたManifest V2の拡張機能がChromeウェブストアから削除されている。数年前の記事で紹介されていた拡張機能が、いま同じ場所に存在しない場合がある。導入前にストアの最終更新日と直近のレビューを見る必要がある。
窓の数が増えたときに何が起きるか
ここまでの組み方には、はっきりした弱点が1つ残る。切り替えのコストだ。Chromeはプロファイルごとに別の窓を開くため、4つのプロファイルを行き来する人は、ウィンドウ切り替えの中で4つの窓を見分け続けることになる。しかもDockのアイコンは1つにまとまり、通知はどのアカウント宛のものか分からない形で届く。アカウントを分けたことで、切り替えの手数が増えるという交換になっている。
この交換を避ける設計が、窓ではなくアプリを単位にする作り方だ。Webアプリをまとめるブラウザは、アプリごとに独立したワークスペースを持たせて、Gmailは常にGmailの場所、Slackは常にSlackの場所に固定する。プロファイルを切り替えるのではなく、目的のアプリの場所へ直接移動する形になるため、どのアカウントで開いているかを窓の見た目から判断する必要がなくなる。
この考え方の実装は製品ごとに違う。有料の買い切りや月額の違いも含めて比較したい場合はWaveboxとの比較に機能面の対応表があり、無料のオープンソース製品との違いはFerdiumとの比較にまとめられている。すでに終了した製品を候補に入れないための確認も必要で、たとえばSidekickの公式サイトは現在別サービスのドメインへ転送される状態になっている。この経緯はSidekickとの比較で扱われている。
まず1週間、いまのChromeでプロファイルとタブグループの仕分けだけを実行して、窓の切り替えに使っている時間が減るのか増えるのかを見る。増えたなら、分ける単位を窓からアプリに変える段階に来ている。
よくある質問
Chromeにワークスペースという機能はありますか?
ありません。Chromeにあるのはタブグループ、プロファイル、縦型タブの3つで、いずれもワークスペースという名前は使われていません。整理の役割はタブグループ、ログインを分ける役割はプロファイルが担い、リアルタイム共有に相当する機能はありません。
EdgeのワークスペースはMacでも使えますか?
EdgeはmacOSでも動き、機能自体は使えます。ただし公式ドキュメントの前提条件は変わらず、Microsoft Entraテナントとバージョン114以降のEdgeが必要で、ワークスペースを作るにはOneDrive for Businessライセンスへのアクセスが要ります。個人利用向けは安定版120から利用できます。
タブグループを2つ作れば、Googleアカウントを分けられますか?
分けられません。タブグループは同じプロファイルの中にあり、Cookieを共有するため、どのグループでも同じアカウントでログインした状態になります。アカウントを分けるにはプロファイルを追加する必要があり、その場合は別の窓が開きます。
保存したタブグループはEdgeのワークスペースと同じものですか?
保存という点では近く、共有という点では別物です。保存したタブグループは、1人が後から同じタブの組を開き直すための仕組みです。Edgeのワークスペースは複数人で同じタブの組を同時に更新し、誰かがタブを閉じると全員のタブが閉じます。