Firefoxでワークスペースを作る方法|タブグループ・コンテナ・Floorpの使い分け
Firefoxで「ワークスペース」を作りたいなら、まず決めるのは、タブを作業ごとに束ねたいのか、同じサービスに別のアカウントでログインしたままにしたいのかです。前者ならFirefox標準のタブグループ、後者なら公式アドオンのMulti-Account Containers、窓ごと完全に分けたいならプロファイル管理が答えになります。EdgeやOperaのように「ワークスペース」という名前の機能をそのまま求めるなら、Firefoxをもとに作られたFloorpが標準で備えています。2026年10月18日時点のリリースノートと配布ページで確かめた内容をもとに、それぞれの作り方と、どこまで分けられるかを順に整理します。
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Firefoxでワークスペースにあたる仕組みは5つある
Firefox本体のリリースノートで導入が告知されたのは「タブグループ」と「プロファイル管理」で、「ワークスペース」という名前の機能ではありません。そのため検索すると、標準機能・公式アドオン・個人が作ったアドオン・派生ブラウザの話が混ざって出てきます。まず全体を1つの表にします。
| 仕組み | 種類 | 分けるもの | ログイン状態 |
|---|---|---|---|
| タブグループ | Firefox標準 | タブの束(名前と色) | 分かれない |
| プロファイル管理 | Firefox標準 | ブックマーク・タブ・履歴を丸ごと | 分かれる(窓が別) |
| Multi-Account Containers | Mozilla公式アドオン | クッキーとサイトの保存領域 | 分かれる(同じ窓の中) |
| 「Workspaces」系のアドオン | 個人などが配布 | 表示するタブの組 | 分かれない |
| Floorpのワークスペース | Firefoxベースの別ブラウザ | タブの組。コンテナの割り当ても可 | 割り当てれば分かれる |
表の右端の列が判断の分かれ目です。タブが多すぎて探せないだけなら、ログイン状態が分かれない仕組みで足ります。仕事用と取引先用のGoogleアカウントを並べたいなら、コンテナかプロファイルが必要です。ここを取り違えると、タブグループを丁寧に作ったのに、2つ目のアカウントでログインした瞬間に1つ目から追い出される、ということが起きます。
タブグループ:標準機能で作業ごとにタブを束ねる
タブグループはFirefox 137で段階的な提供が始まり、公開日は2025年4月1日でした。Firefox 137のリリースノートには、タブを別のタブの上にドラッグし、ハイライトが出るまで待ってから離すとグループができること、名前と色を付けられること、常に保存されて閉じても後から開き直せることが書かれています。続くFirefox 138では全世界のすべての利用者に提供され、タブバーの上でグループごとドラッグして位置を動かせるようになりました。
作り方は次のとおりです。
- 束ねたいタブを、別のタブの上までドラッグする
- ハイライトが出るまで少し待ち、指を離す
- 表示された欄にグループの名前を入れ、色を選ぶ
- 同じ作業のタブを、できたグループの上にドラッグして加える
ワークスペースの代わりとして役に立つのは「常に保存される」という性質です。案件Aのグループを閉じておき、必要な日だけ開き直せば、作業ごとにタブの組を切り替える使い方になります。拡張機能を入れずに済むので、会社のPCでアドオンが制限されている場合にも使えます。
限界も明確です。グループはあくまで同じ窓の同じセッションの中にあるタブなので、ログイン状態は分かれません。案件Aのグループと案件BのグループでGmailを開くと、両方とも同じアカウントのGmailになります。タブグループは整理の道具であって、分離の道具ではありません。
プロファイル管理:仕事と私用を窓ごと分ける
Firefox 138(2025年4月29日公開)では、プロファイル管理も作り直されました。Firefox 138のリリースノートによると、仕事・学校・旅行の計画などの用途ごとにプロファイルを分け、名前・アバター・配色を付けて見分けられるようにし、すばやく切り替えられます。ブックマーク・タブ・閲覧履歴はプロファイルごとに完全に分かれます。
ワークスペースとして見たとき、プロファイルは壁がいちばん厚い仕組みです。拡張機能もパスワードも分かれるので、取引先から指定の拡張機能を入れるよう求められても、その影響をそのプロファイルの中に閉じ込められます。ログイン状態も当然分かれます。
代わりに、切り替えるたびに別の窓へ移ることになります。macOSでは窓が増えるほど、いまどの窓がどのプロファイルなのかを見分ける手間が増えます。配色を必ず変えておく、プロファイル名は短い一語にする、という2つの設定だけでも取り違えはかなり減ります。
向いているのは、1日に何度もまたがない境界です。本業と副業、仕事と私用のように、片方に入ったらしばらくそこで作業する分け方なら、プロファイルがもっとも安全です。1時間に何度も行き来する境界に使うと、窓を探す操作そのものが仕事になります。
Multi-Account Containers:同じサービスに別アカウントで同時ログイン
同じ窓の中でログイン状態を分けたい場合の答えが、Mozillaが配布しているMulti-Account Containersです。配布ページの説明は、何を分けているかを技術的な言葉ではっきり書いています。
Under the hood, it separates website storage into tab-specific Containers. Cookies downloaded by one Container are not available to other Containers. 出典: addons.mozilla.org
サイトの保存領域をタブ単位のコンテナに分け、あるコンテナが受け取ったクッキーは他のコンテナからは使えない、という意味です。2026年10月18日時点で、同じページには利用者427,600人、レビュー8,078件で平均評価4.6と表示されています。
設定の流れは、配布ページの案内に沿うと次のとおりです。
- アドオンを入れ、ツールバーのコンテナのアイコンを押して、コンテナの名前・色・アイコンを決める
- 新しいタブのボタンを長押しし、開きたいコンテナを選ぶ
- よく使うサイトは、そのコンテナで常に開くように割り当てておく
最後の割り当てが要です。割り当てておけば、どこでクリックしたリンクでも決めたコンテナで開くので、選び間違いが減ります。注意点は、分かれるのがクッキーと保存領域だけで、ブックマーク・保存したパスワード・履歴はコンテナをまたいで共有されることです。コンテナで分けた上でタブグループを重ねると、コンテナがアカウントの境界、タブグループが作業の束、という役割分担になります。
アドオンの「Workspaces」とFloorp:名前どおりの機能を求める場合
Firefoxのアドオン配布ページで「Workspaces」と検索すると、同じ名前のアドオンが複数見つかります。たとえば「Workspaces」(firefox-workspaces)は、タブの組を切り替えて今の作業に集中するためのもので、説明には標準のタブグループと並行して動くと書かれています。2026年10月18日時点の利用者は434人、最終更新は2025年7月2日です。タブの組を切り替える系統では「Simple Tab Groups」が利用者65,800人と規模が大きく、こちらもログイン状態は分けません。個人が作るアドオンは更新が止まることもあるので、入れる前に最終更新日を見ておくと安心です。
名前どおりの「ワークスペース」を標準で使いたい場合は、Firefoxをもとにしたオープンソースのブラウザ、Floorpが選択肢になります。Floorpの公式サイトでは、ワークスペースで用途ごとにタブをまとめられ、必要ならFirefoxのコンテナを割り当てて、Cookieやログイン状態を分けて使えると説明しています。分割表示で最大4ページを同時に表示できる点も特徴です。
ワークスペースとコンテナを組み合わせたときの使い勝手については、利用者のブログにこうあります。
Floorpのワークスペースとコンテナーを組み合わせて使うことで、プロファイル管理やプライベートウィンドウが必要なくなり、とても使いやすくなったので紹介します! 出典: hachima25.hatenablog.com
この記事は2024年2月の投稿で、設定画面の名前は版によって変わることがあります。手順を追うときは、手元のFloorpの設定画面と見比べてください。
初心者が迷わない選び方
最初の1つを選ぶ基準は、直近で作業が止まった場面です。
- タブが多すぎて目的のページを探した:タブグループから始める。追加のインストールは要らない
- 同じサービスに別のアカウントでログインし直した:Multi-Account Containersを入れ、サイトの割り当てまで済ませる
- 仕事と私用のブックマークや拡張機能が混ざって困った:プロファイルを分け、配色を変えて見分ける
- ブラウザごと乗り換えてもよいので、名前どおりのワークスペースが欲しい:Floorpを試す
組み合わせるなら2つまでに抑えるのが長続きのこつです。コンテナとタブグループ、あるいはプロファイルとタブグループ、のように役割を1行で言える組み合わせにします。3つ以上を重ねると、同じGmailに着く道が3通りでき、どれが正しい入口か分からなくなります。
もう1つ確かめておきたいのが、会社のPCでの制限です。管理されたFirefoxではアドオンの追加が禁じられていることがあります。その場合でもタブグループとプロファイル管理は標準機能なので、まずこの2つで足りるかを試すのが現実的です。
Webアプリの置き場所という、もう1つの層
ここまでの5つは、どれも「Webアプリはタブである」という前提の上にあります。タブグループで束ねても、朝は左から4番目にあったSlackが、夕方には別の位置に動いています。開くたびにタイトルやアイコンを読んで探す手間は、どの仕組みでも残ります。
これとは逆の前提で作られた道具が、Webアプリをまとめるブラウザです。サービスごとに左のサイドバーへ常設のアイコンを持たせ、アプリごとに独立したCookieの保存領域を割り当て、アプリのまとまりをワークスペースとして切り替えます。たとえば、サイドバーの一番下にあるワークスペースのバッジから「新規ワークスペース」を選ぶ(⌘⌥Nでも作れる)、⌥Tabで切り替える、Gmailを右クリックして「別アカウントとして追加(セッションを分ける)」を選ぶ、という操作で、アプリごとに独立したワークスペースができます。この設計の考え方はワークスペースに、通知の集約や同期など窓を常設したときに一緒に変わる点はできることにまとまっています。
費用の面では、料金のページに、無料版はワークスペース1つとアプリ3つまで期間の制限なく使え、Proは月額980円(税込)、年額8,800円(税込)、買い切り19,800円(税込)と書かれています。ダウンロードから14日間はProの全機能を、カードの登録なしで試せます。同じアカウントの複数ログインはPro(体験期間中を含む)の機能です。Firefoxのブックマークは設定の「インポート」タブから取り込めますが、ログイン状態とパスワードは取り込まれないので、各サービスには一度ログインし直すことになります。オープンソースで同じ系統の道具を使いたい場合は、Ferdiumとの比較に違いが整理されています。
どの道具を選ぶにしても、効果は回数で確かめられます。1日だけ、サービスを切り替えるたびに「ログインし直した」「ページを探した」「窓を探した」のどれだったかを記録し、手を入れた翌日にもう一度数えます。手を入れた層の数字だけが減っていれば、その選択は合っています。
よくある質問
Firefoxに「ワークスペース」という標準機能はありますか?
Firefox本体のリリースノートで告知されたのは、Firefox 137から段階提供されたタブグループと、Firefox 138で作り直されたプロファイル管理です。ワークスペースという名前の機能を標準で使いたい場合は、Firefoxをもとにしたブラウザ、Floorpが備えています。タブを作業ごとに束ねるだけなら、標準のタブグループで足ります。
タブグループで仕事用と私用のGmailを分けられますか?
分けられません。タブグループは同じ窓の同じセッションの中でタブを束ねる機能なので、どのグループで開いてもGmailは同じアカウントになります。別のアカウントで同時にログインしたままにするには、Multi-Account Containersでコンテナを分けるか、プロファイルを分けてください。
Multi-Account Containersでは何が共有されたままになりますか?
分かれるのはクッキーとサイトの保存領域です。ブックマーク、保存したパスワード、閲覧履歴はコンテナをまたいで共有されます。拡張機能やパスワードまで完全に分けたい場合は、Firefoxのプロファイルを分けるほうが向いています。
会社のPCでアドオンを入れられない場合はどうすればよいですか?
標準機能のタブグループとプロファイル管理を使います。タブグループは拡張機能なしで作れて、閉じても保存されるので、作業ごとのタブの組を切り替える用途に使えます。ログイン状態を分けたい場合は、プロファイルを分けて配色を変え、窓を見分けやすくしておくと取り違えが減ります。