Macのメモリを解放しても軽くならないとき|本当に食べている窓を見つける

Gmail、Slack、Notion、生成AIの画面を毎日行き来していると、昼過ぎに動きが鈍くなる日が出てきます。アクティビティモニタを開くと使用済みメモリがほぼ満杯で、そこで「mac メモリ 解放」と検索して、解放アプリやコマンドの記事にたどり着く。この流れはとても多いのですが、実は最初の読み取りの段階でつまずいていることがあります。使用済みメモリが満杯であることは、それ自体では不調の証拠になりません。

ここでは、解放を試す前に見るべき数字がどれなのか、解放ツールが実際に何をしているのか、そして数字が正常なのに作業が重く感じるときに何が起きているのかを順に整理します。

解放を試す前に、いまの数字が何を指しているかを確かめる

最初にやることは、アプリを閉じることでもコマンドを打つことでもなく、アクティビティモニタを開いて「メモリ」をクリックすることです。アクティビティモニタはアプリケーションフォルダの中のユーティリティフォルダにあります。

ここで表示される項目は、名前が似ているのに意味がまったく違います。物理メモリは装着されているRAMの容量、使用済みメモリは実際に使われている容量、アプリメモリはアプリが使っている分、確保されているメモリはシステムの動作に必要でほかのアプリが使えない分です。そして圧縮とキャッシュされたファイルとスワップ使用領域という3つが、判断のうえで重要になります。

重い日の感覚だけで結論を出さないために、遅くなった瞬間にこの画面を見て、数字を書き留めておくと後で比べられます。CPUのタブも同じで、列の見出しをクリックすると使用率の高い順に並び替わります。ここで1つのアプリ名だけが飛び抜けているなら、原因はメモリではなくそのアプリです。全体が満遍なく使われていて、かつ次の節で説明する数字が動いているときに、はじめてメモリの話になります。

使用済みメモリが満杯なのは、故障ではなく設計

16GBのMacで使用済みメモリが15GB台を示していても、それは正常な状態です。macOSは空いているメモリを遊ばせず、次にアプリを開くときのためにファイルをキャッシュとして置いています。空きメモリが多い状態は、速い状態ではなく、使われていない状態です。

圧縮についてもAppleが仕組みを説明しています。

圧縮: 利用できるRAMの容量を増やすために圧縮されたメモリの容量。コンピュータの最大メモリ容量に近付くと、メモリ内の停止中アプリが圧縮され、動作中アプリがより多くのメモリを使用できるようになります。 出典: support.apple.com

つまり、使っていないアプリの分を圧縮して詰めるところまでは、OSが自分でやっています。ここを人の手で追加的に空けても、OSがすでに済ませた仕事をやり直させているだけになりがちです。同じ画面の「キャッシュされたファイル」の説明も同じ考え方で、上書きされるまでキャッシュとして残るので、そのアプリを再度開くときの速さにつながる、と書かれています。解放ツールでこの領域を空にすると、数字は減りますが、次に開くときの読み込みは遅くなります。

判断の材料になるのは、満杯かどうかではありません。詰まっているときにOSが無理をしているかどうかです。

見るべき数字はメモリプレッシャーとスワップ使用領域

メモリプレッシャーは、容量そのものではなく効率を示すグラフです。Appleは、空きメモリ容量、スワップ率、確保されているメモリ、ファイルキャッシュメモリによって決まると説明しています。ここが低いまま安定しているなら、いまの作業量に対してメモリは足りています。

もう1つがスワップ使用領域で、これは未使用ファイルをRAMとの間で入れ替えるために起動ディスク上で使われている領域です。ディスクはメモリよりはるかに遅いので、ここが常時数GB規模で埋まっている状態は、作業量が装着容量を超えているという意味になります。

読み方を整理すると次のようになります。

  • メモリプレッシャーが平らで、スワップ使用領域がほぼ0:メモリは足りている。重さの原因は別にある
  • 特定のアプリを前面にした瞬間だけプレッシャーが跳ねる:そのアプリの使い方の問題
  • プレッシャーが高いまま戻らず、スワップが数GBで居座る:作業量が容量を超えている

3つめに当てはまる場合、Appleシリコン搭載のMacではメモリがチップの一部として実装されているため、後から足すことはできません。買い替えの判断になるので、解放アプリを探す前にここを確かめる価値があります。

解放ツールが実際にやっていること

メモリを解放するツールやコマンドが世の中にあるのは事実で、効果を実感する人もいます。

メモリの解放は、特にメモリ集約型のアプリケーションを使用する際や、マルチタスク処理を行う際に有効です。アプリケーションの起動が速くなったり、システムが以前よりもスムーズに動作したりすることが感じられるかもしれません。 出典: globalgate.co.jp

ここで起きているのは、キャッシュとして保持されていた領域が空くことです。数字としての空きメモリは増えます。一方で、空いた直後にアプリを開くと、キャッシュから読めていたものをディスクから読み直すので、その瞬間は遅くなります。合計でどちらが得かは、そのあと何を開くかで変わります。

判断の目安は次の通りです。1つの重い作業を始める直前、たとえば書き出しや長い会議の前に一度だけ空けるのは、意味がある場面です。反対に、常駐させて数分おきに自動で空けさせる使い方は、OSの働きと競合します。定期実行の設定を入れたまま「やはり重い」と感じているなら、まずその設定を外した状態を1日試して比べたほうが早いです。

実際に食べているのは、ブラウザの中で動き続けているアプリ

Webアプリ中心の働き方では、単体で最も多く使うのはたいていブラウザです。そして使用量はタブの本数に比例しません。読み終えた記事のタブはほとんど費用がかかりませんが、メール、チャット、プロジェクト管理、表計算のように通信をつなぎ続けて更新を受け取る画面は、見えていなくても動き続けます。この種類が10個あるほうが、記事のタブ100本より重くなります。

Chromeにはこれに向けた設定があります。設定のパフォーマンスにあるメモリセーバーは、使っていないタブを非アクティブにし、戻ったときに自動で再読み込みします。レベルは3段階で、タブが長時間経過してから非アクティブになる「適度」、推奨とされる「バランス重視」、短時間で非アクティブになる「最大」から選べます。同じ画面には「常にアクティブにするサイト」という除外リストもあり、書きかけの入力を抱えた画面はここに入れておく形になります。

ただし限界も公開されています。Googleの説明では、音声や動画の再生や通話、画面共有、ページ通知、ダウンロード中、一部記入済みのフォーム、固定タブ、USBやBluetoothの接続中は、タブを非アクティブにできません。チャットを固定タブで置いている状態は、この条件のいくつかに同時に当てはまります。つまり、いちばん重い画面こそ、この設定が触らないように作られている画面です。

ログインした時点で動いていたものを棚卸しする

ログイン直後の10分だけ重く、その後は普通に動くなら、足りないのではなく順番待ちです。macOSはこの一覧を1か所にまとめています。アップルメニューからシステム設定を開き、サイドバーの「一般」、続いて「ログイン項目と機能拡張」を選びます。

この画面には性質の違う2つの一覧があります。上はログイン時に開くアプリや書類やフォルダ、下はバックグラウンドでの実行を許可するかどうかで、Appleはこれをアプリが開いていないときにソフトウェアアップデートの確認やデータの同期などを実行することと説明しています。アップデータや同期の常駐は、何年ものあいだインストールのたびに1つずつ増えていきます。

外すかどうか迷う前に試せる方法もあります。ログインウインドウで、ログインボタンをクリックするあいだシフトキーを押し続けると、自動的に開く項目を一時的に止められます。同じMacで、シフトキーを押したログインと通常のログインを同じ日に1回ずつ試して比べると、原因が順番待ちなのか容量不足なのかが10分で切り分けられます。

起動ディスクの空き容量とスワップは連動している

メモリの話をしているときに見落とされやすいのが、起動ディスクの空き容量です。スワップ使用領域は起動ディスク上に置かれるので、空きがほとんど残っていないMacには、入れ替えのための置き場所がありません。メモリプレッシャーが高く、同時にディスクの空きも少ないという状態は、2つの別々の不調ではなく1つのつながった現象です。

確認はシステム設定の「一般」から「ストレージ」を開くと見られます。ここで大きく場所を取っているのは、多くの場合は書類ではなく、クラウドの同期フォルダに残った古い実体ファイルと、開発用のキャッシュや仮想環境です。どちらも削除の判断に注意が必要なので、真っ先に消すのではなく、何がどれだけ占めているかを把握するところまでで十分です。

順序としては、スワップがほぼ0ならディスクの掃除でメモリの体感は変わりません。スワップが数GBあり、かつディスクの空きが少ないなら、まずディスクを空けるほうが安く、効果も出やすいです。メモリを増やせないAppleシリコンのMacでは、この順序が実質的な唯一の手当てになる場面があります。

症状と見る場所の対応

症状 最初に見る場所 意味
1つのアプリだけ反応しない アクティビティモニタのCPU そのアプリの問題
複数のWebアプリを開くと全体が遅い メモリのスワップ使用領域 作業量が装着容量を超えている
ログイン後10分だけ遅い ログイン項目と機能拡張 順番待ちで、容量不足ではない
数字は正常なのに作業が重い 窓とアカウントの置き方 資源ではなく探す手間の問題

いちばん下の行は、解放アプリを入れても変わらない種類です。

数字が正常なのに重いときは、置き場所を決め直す

メモリプレッシャーは平ら、スワップは0、どのプロセスも数パーセント。それでも1日が重いという状態は珍しくありません。このとき遅いのは機械ではなく、目的の画面を見つけるまでの動作です。40本のタブが複数のウインドウに散っていると、目的の1枚を探すのに毎回1秒から2秒かかり、それが1時間に何十回も起きます。同じサービスの別アカウントに移るためにログアウトするなら、さらに長くなります。

この手間はアクティビティモニタに出ないので、掃除をしても残ります。効くのは、Webアプリごとに決まった置き場所を持たせる形に変えることです。アプリごとに独立したワークスペースという考え方は、タブをまとめる機能とは目的が違います。置き場所を固定すると探す動作が消え、同時にセッションも分かれるので、同じサービスの3つのアカウントに同時にログインしたままにできます。この整理の仕方はワークスペースで説明されています。

メモリの合計使用量が大きく下がるわけではない点は、先に知っておいたほうがよいです。動いているアプリの数は変わらないからです。減るのは探す手間と、通知に反応して別の画面へ飛ぶ回数です。自分が毎日使っている道具がこの形に収まるかどうかは使えるアプリの一覧で先に確かめられますし、料金の範囲は料金にまとまっています。

よくある質問

メモリ解放アプリを入れると速くなりますか?

キャッシュとして保持されていた領域が空くので、表示される空きメモリは増えます。ただしmacOSは空きメモリをキャッシュに使って次回の起動を速くしているため、空けた直後はディスクから読み直す分だけ遅くなります。重い作業の直前に一度だけ使うのは有効ですが、常駐させて数分おきに空ける使い方はOSの働きと競合します。

使用済みメモリがほぼ満杯です。RAMを増やすべきですか?

満杯であること自体は正常で、判断材料にはなりません。見るべきはメモリプレッシャーとスワップ使用領域で、プレッシャーが高いまま戻らず、スワップが数GB規模で居座っているときだけ容量不足です。Appleシリコン搭載のMacはメモリを後から足せないため、買い替えの判断になります。

タブを減らすほかに、ブラウザ側でできることはありますか?

Chromeの設定のパフォーマンスにあるメモリセーバーで、使っていないタブを非アクティブにできます。レベルは適度、バランス重視、最大の3段階です。ただし固定タブや通話中、ページ通知が動いている画面は非アクティブにできないため、チャットのような常時動く画面には効きません。

ログイン直後だけ重いのはメモリ不足ですか?

容量ではなく順番待ちである可能性が高いです。システム設定の一般にある「ログイン項目と機能拡張」で、自動的に開く項目とバックグラウンド実行の許可を確認してください。ログインボタンを押すあいだシフトキーを押し続けると自動起動を一時的に止められるので、通常のログインと比べれば切り分けられます。

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