gmail 複数アカウントは規約違反か|線引きと本当に効く規則
gmail 複数アカウント規約という調べ方をするのは、たいてい3つ目か4つ目を作ったあとです。個人の連絡用、勤務先から配られたもの、副業や取引先の都合で増えたもの、それに何年か前の登録で作ったきり開いていないもの。数が増えてきたところで、これは規約上まずいのではないかという心配が出てきます。
先に線引きを書きます。Googleの規約は、1人が持てるアカウントの数を制限していません。ただし数とは無関係に規約へ触れる使い方が4つあり、さらに、Googleの規約よりも先に効いてくる別系統の規則があります。多くの人が実際にぶつかるのは後者のほうです。
Googleは複数アカウントの利用を前提に作られている
いちばん分かりやすい根拠は画面そのものです。アカウントの切り替えメニューがあり、複数のアカウントに同時にサインインできる仕組みがあり、GmailやドライブのURLに /u/0、/u/1 という番号が入るのも、複数のアカウントが同時にサインインされている状態を想定しているからです。Chromeにはプロファイルの機能があり、スマートフォンにも複数のアカウントを追加できます。仕事で使うGoogle Workspaceのアカウントと個人のアカウントを同じ端末で併用することも、想定された使い方です。
Googleは1人が持てるアカウント数の上限を公表しておらず、複数持っていること自体を問題として扱っていません。求められているのは数を減らすことではなく、それぞれのアカウントが実在する人のものであること、国ごとに定められた年齢の条件を満たしていること、機械ではなく人の手で作られていること、そして連絡が付く状態に保たれていることです。
つまり、判断の基準は個数ではなく用途にあります。
規約に触れるのは、次の4つの使い方
複数アカウントが問題になるのは、次の4つの場面です。いずれも「何個持っているか」ではなく「増やしたアカウントを何に使ったか」で決まります。
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制限や停止からの逃げ道にする。停止されたアカウントの代わりに新しいアカウントを作り、同じ活動を続ける行為です。これがいちばん明確に規約へ触れる形で、アカウント同士の関連が見られる場面もここに限られます。同じ人が2つ持っていること自体は何でもありませんが、停止の直後に現れた新しいアカウントは別の扱いになります。
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機械的な大量作成。スクリプトでの登録、まとめて作る行為、他人が作ったアカウントを買う行為はいずれも規約の外にあります。必要があって手作業で4つ目を作った人とは、まったく別の分類です。
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なりすまし。ニックネームや屋号を名前に使うことは問題になりませんが、実在する特定の個人や組織になりすまして相手を誤認させる使い方は認められていません。
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他社サービスの「1人1回」を回避する。2つ目のアドレスで無料体験を2回受ける、紹介の特典を自分で2回受け取る、1人1点限りの割引を2回使う、といった使い方です。これはGoogleの規約ではなく、その相手のサービスの規約に触れます。結果として起きるのは注文の取り消しやそのサービスの利用停止で、Googleは関与しません。
仕事用と個人用と副業用を分けて持っている状態は、この4つのどれにも当てはまりません。理由は単純で、別人になるために使っていないからです。
先に効いてくるのは、勤務先や取引先の規則
実務でぶつかる制約は、Googleの規約ではなく雇用契約や情報の取り扱い規程、取引先との契約のほうにあります。
いちばん多いのが、仕事のメールを個人のGmailへ転送している状態です。設定は数分で終わりますが、規則の面では話が別です。業務のデータが会社の管理下から出て、監査も削除もできない受信箱に残り、退職した後もそこに残り続けます。これを明確に禁止している組織は多く、扱う情報によっては社内規程だけでなく情報の管理義務そのものに触れます。
逆向きにも注意が要ります。Workspaceのアカウントを所有しているのは組織であって、使っている本人ではありません。管理者はパスワードを再設定でき、停止でき、中身を書き出して別の人に引き継ぐこともできます。そこに個人の資料を置いておくと、その管理下に入り、退職時のアカウント削除と一緒に消えます。
取引先との契約が3つ目の層です。秘密保持の条項では保管場所が指定されていることがあり、個人のアカウントが許可された場所に入っていることはまずありません。会社員より業務委託で働く人のほうがここに触れやすく、理由は単純で、取引先が自社ドメインのアドレスを発行しているなら、その仕事の記録はそのアドレスの中に置いたままにしてほしい、という意図があるからです。全部を個人の受信箱へ転送すると、その意図を相談なしに無効化することになります。
規約違反とまでは言えないものの、金銭的に損をする形もあります。仕事用のアカウントで作った資料は、そのアカウントの持ち物です。そこで書いて共有した文書は、アカウントが閉じられた時点で開けなくなります。職場が変わっても残したい資料は、残せる場所で作る必要があり、最終日に慌てて持ち出すのは、間に合わないうえに禁止されていることが多い行為です。
| 状態 | Googleの規約 | 実際のリスク | 効いてくる相手 |
|---|---|---|---|
| 個人・仕事・副業を別々に持つ | 問題なし | なし | なし |
| 仕事のメールを個人アドレスへ転送 | 規約上は可 | 規程違反・データが残る | 勤務先 |
| Workspaceに個人の資料を置く | 規約上は可 | 退職時に消える | 勤務先 |
| 2つ目で無料体験をもう一度使う | Googleの管轄外 | 注文取消・利用停止 | そのサービス |
| 停止された直後に作り直す | 規約違反 | 双方とも停止 | |
| 機械的な大量作成・購入 | 規約違反 | 削除 |
右の2列を縦に読むと形が見えます。Googleの規約に触れる範囲はかなり狭く、実際に起きる問題のほとんどは契約や規程の側にあり、原因は数が多いことではなく混ざっていることです。
1つを共有するほうが、分けて持つより危ない
規約の話は「複数持ってよいか」の形で語られがちですが、実務で問題を起こしやすいのは逆の状態です。1つのアカウントを複数人で共有している形のほうが、はるかに壊れやすくなります。
パスワードを共有すると、アカウントを守る仕組みがまとめて機能しなくなります。2段階認証の宛先は1人分しか設定できないので、確認コードを読み上げる担当が生まれます。操作の履歴は誰が何をしたのかを示さなくなり、全部が同じ身元の行動として記録されます。担当が抜けたときにアクセスを止めるにはパスワードを変えるしかなく、他の3人も使っているせいで、変えるべき日に変えられません。
この用途にはGoogle側の受け皿が2つ用意されています。代理アクセスを使えば、パスワードを渡さずに他の人が自分のログインのまま読んで返信でき、送信したメールには代理として送った記録が残ります。Googleグループを使えば、1つの住所を複数人に配れて、担当の入れ替えはメンバーの編集だけで済みます。
小さな組織で2つ目のアカウントが増える理由の大半は、請求や問い合わせのような「担当者より長く残る住所」が必要になることです。個人のアカウントをその用途に使うと、担当が変わるたびにパスワードの受け渡しが発生します。グループや代理アクセスであれば、引き継ぎは管理画面の操作で終わり、誰の個人のログインにも影響しません。
使っていないアカウントは、放置しているだけで消える
規約の話でもう1つ見落とされやすいのが、未使用のアカウントの扱いです。
If a Google Account has not been used within a 2-year period, we may delete the account and its contents. 出典: support.google.com
2年という期間は、登録のためだけに作って以後開いていないアカウントにそのまま当てはまります。残したい住所なら定期的にサインインしておく必要があり、残す価値がないなら、失うより先に自分で閉じるほうが後始末が楽です。
同じ理由で、増やしたアカウントほど回復手段が弱くなりがちです。すぐ必要になって急いで作ったアカウントは、再設定用の連絡先も2段階認証も後回しにされ、そのまま忘れられます。そして数年後、そのアカウントがどうしても必要になった日に開けなくなります。
保存容量も同じ性質を持ちます。無料の容量はアカウントごとに別で、合算されません。ふだん開かないアカウントの容量が静かに埋まり、受信が止まっていることに気づかないまま数か月が過ぎる、という形で表面化します。
もう1つ、誰も点検しないまま溜まっていくものがあります。過去に許可した外部アプリ、サインインしたまま残っている古い端末、使わなくなったメールソフトのために発行したアプリパスワードです。Googleのセキュリティ診断を開けば数分で一覧を確認できますが、この確認はアカウントごとに必要で、いちばん後回しにされるのは、急ぎで作って以後開いていないアカウントです。乗っ取りの入口になりやすいのが、いちばん使っているアカウントではなく忘れているアカウントである理由はここにあります。
年に一度、アカウントごとに5分だけ通す手順を決めておくと、この種の劣化はほぼ止まります。サインインして、再設定用の連絡先と電話番号が生きていることを確かめ、保存容量の残りを見て、使っていない外部アプリの許可を取り消し、送信元アドレスごとの返信設定を確認する。年に5分を割く価値がないアカウントは、持ち続けるのではなく閉じる候補です。
規約を守りやすい置き方にしておく
規則は、守りやすい形になっているときだけ守られます。仕事のアカウントと個人のアカウントが同じブラウザの窓に同居していると、混ざるまでの距離はキー1つ分しかありません。前の節で挙げた契約上の問題は、ほとんどがこの距離の短さから生まれています。
Webアプリを1つの窓にまとめるブラウザは、この既定値を変えます。アカウントごとにセッションとアイコンと通知の設定が分かれるので、違う身元で返信するには違う窓に切り替える必要が出てきます。差出人の欄を見落として送ってしまう事故と、窓を間違える事故では、起きる頻度が違います。仕事の単位で窓とセッションを区切る考え方はワークスペースにまとまっており、通知やセッションの扱いが同種の道具とどう違うかはWaveboxとの比較で並べています。使える機能の範囲そのものを先に見たい場合はできることに一覧があります。中心にあるのはアプリごとに独立したワークスペースという考え方で、アカウントの数ではなく仕事の単位で区切ります。
同じことはメールの外にも当てはまります。Slack、案件管理、取引先の管理画面も、既定ではブラウザという1つの身元の中に置かれています。差出人を間違える問題がメールだけで起きない理由はここにあり、置き場所を直すと全部まとめて片が付きます。
やる順番としては、技術的な設定より先に、雇用契約や取引先との合意を読み直すのが早道です。制約が実際に書かれているのはそちらで、確認は数分で終わります。そのうえで、仕事のメールを個人のアドレスへ転送している設定があれば止めてください。すでに同意した規程に触れている可能性がいちばん高いのがこの1点です。残ったアカウントには、タブではなく専用の窓と通知の設定を与えておくと、分けておくことが記憶力に依存しなくなります。
よくある質問
Gmailを複数持つこと自体は規約違反になりますか?
なりません。Googleは1人が持てるアカウント数の上限を公表しておらず、切り替えメニューやChromeのプロファイルなど、複数を同時に使う前提の仕組みを用意しています。問題になるのは数ではなく、機械的な大量作成、停止からの回避、なりすましといった使い方です。
2つ目のアドレスで無料体験をもう一度使うのは問題ですか?
Googleの規約ではなく、その体験を提供しているサービス側の規約に触れます。1人1回の条件を守らせるのはそのサービスなので、結果として起きるのは注文の取り消しやアカウントの停止です。特典や割引の重複取得も同じ扱いになります。
仕事のメールを個人のGmailに転送してもよいですか?
Gmailの機能としては可能ですが、勤務先の規程で禁止されていることが多い操作です。業務のデータが会社の管理下から出て、監査も削除もできない場所に残るためです。扱う情報によっては社内規程だけでなく情報管理の義務にも関わるので、設定より先に契約や規程を確認してください。
使っていないGoogleアカウントは放置しても大丈夫ですか?
2年間使われていないアカウントは、中身ごと削除される可能性があるとGoogleが示しています。登録のためだけに作って開いていないアカウントはこの条件に当てはまるので、残すなら定期的にサインインし、残さないなら自分で閉じておくほうが後始末が簡単です。