Keyboard Maestroの使い方|繰り返す操作をひとつにまとめる
keyboard maestro 使い方を調べ始めると、先にぶつかるのは機能の多さだ。トリガーは40種類近くあり、アクションは数百ある。どこから触ればよいか分からないまま画面を開くと、マクロを1本も作らずに閉じることになる。ここでは6つの部品の役割を先に押さえ、最初の1本を作る手順、ホットキーと打った文字という2つの起動のしかた、アプリごとに効かせる指定までを順に並べる。読み終えた時点で、毎日繰り返している操作のうちどれをまとめるかが決められる状態を目指す。
6つの部品の役割を先に押さえる
公式の手引きでは、この道具は6つの部品が組み合わさって動くと説明されている。この対応を覚えるだけで、どこを触ればよいか迷わなくなる。
- 変更を加えたいときはエディタを使う
- 何かを動かしたいときはエンジンが起きているか確かめる
- マクロがいつ有効になるかを決めたいときはマクログループを設定する
- マクロがいつ実行されるかを決めたいときはトリガーを設定する
- マクロが何をするかを決めたいときはアクションを設定する
エディタは、アプリ本体のことだ。マクロを作ったり直したりするときだけ開き、終わったら終了してよい。常に起動している必要はない。一方でエンジンは背景で動き続けるもので、ホットキーの押下を受け取り、時刻を見張り、アプリの動きを追い、クリップボードの履歴を保持し、パレットを表示し、マクロを実行する役になっている。エディタを起動するとエンジンも一緒に起動し、ログアウトするまで動き続ける。公式の案内では、一般設定のパネルにあるログイン時にエンジンを起動する設定を有効にすることが推奨されている。
うまく動かないという相談のうち、かなりの割合がこのエンジンの話に帰着する。エディタを閉じたら効かなくなった、再起動したら効かなくなったという症状は、エンジンが動いていないだけのことが多い。
値段と動く条件を確かめる
導入の判断に要る数字は公開されている。現行のバージョンは11で、配布されているものは11.1.1になっている。価格は一度の購入で36ドルで、これに該当する税が加わると案内されている。定期的な支払いはなく、購入したバージョン11をそのまま使い続ける形になる。
以前のバージョンから上げる場合は、どのバージョンからでもアップグレードとして25ドルで購入できると書かれている。加えて、2023年3月1日以降に購入した人はバージョン11への無償のアップグレードを受けられると明記されている。新しい大きなアップグレードは数年ごとに出す方針だとも書かれているので、次に費用が発生するのはその時点になる。
動作条件は、バージョン11がmacOS 10.13 High Sierra以降を必要とし、Apple Siliconにも対応していると記載されている。10.12以前のmacOSでは古いバージョンをダウンロードする案内になっている。試用版も配布されているので、下に並べる最初の1本を作るところまでは、購入の前に確かめられる。
最初の1本を作る手順
マクロはマクログループの中に置く。左端がマクログループの一覧、その隣がマクロの一覧、右側が中身という3列の画面構成になっている。
新しいマクログループは、一覧の下にある追加のボタンで作る。マクロも同じように追加のボタンで作るが、隣にあるもう1つのボタンを使うと、名前を付け、マクログループを選び、よく使うトリガーとアクションを選ぶだけで簡単なマクロが1本できる。これが最短の道になる。あとからトリガーもアクションも足せる。
覚えておくと安心なのが、保存の操作が無いという点だ。公式の手引きには、変更を加えてから数秒後にマクロが常に保存されると書かれている。作業中に保存を押し忘れて消えることはない。逆に言えば、試しに書き換えたものもそのまま残るので、動作を確かめる用のマクログループを1つ作って、そこで試してから本番のグループへ移す形にしておくと混ざらない。
バージョン11で加わったものも、最初の1本を作るときに効く。名前を付けるだけで下地ができるマクロの作成の案内役が用意され、氏名や時刻や場所といった情報を尋ねて1つの文章にまとめるアクションも追加された。加えて、動作のためにmacOS側で許可が必要な項目の状態を一覧で示すセキュリティの設定のパネルが増えている。キー入力の再現やメニューの選択は、macOSの側で許可を与えないと動かない種類の操作になるため、動かないときにどこを見ればよいかがこのパネルで分かる形になった。
アクションを並べるもう1つの方法として、記録がある。記録のボタンを押して実際に操作すると、その操作がアクションとしてマクロに書き込まれる。何を選べばよいか分からない段階では、いちど記録して、できたアクションの名前を読むところから始めると早い。
ホットキーで起動させるときの注意
最も基本の起動のしかたがホットキーだ。設定したキーを押すと、システムがそのキー入力を飲み込み、マクロが実行される。キーは文字、数字、記号、ファンクションキーのいずれでもよく、Shift、Control、Option、Commandの修飾キーと組み合わせられる。テンキーの数字は、キーボード本体の数字とは別のキーとして扱われる点も書かれている。
押したときだけでなく、長押ししたとき、離したとき、押している間に繰り返し、という選び方もできる。軽く叩いたとき、1回目だけ、2回叩いたとき、3回、4回という指定も用意されている。バージョン11では、2回目だけ、3回目だけという形の指定も加わった。ただし2回目だと判定するには、3回目が来ないことを見届ける必要があるため、この形を選ぶと実行までに短い待ちが入ると明記されている。
注意点として公式に警告されているのは、押した・離した・叩いたのどれで起動させても、そのキーはシステムに飲み込まれて本来の用途には使えなくなるという点だ。よく使うキーを割り当てると、そのキーが打てなくなる。飲み込ませずに起動させたい場合は、USBデバイスのキーを見るトリガーを使う方法が案内されている。
打った文字で起動させる形
もう1つよく使われるのが、決めた文字列を打つと動く形だ。長めの文字列を使えるので、ホットキーより意味の分かるものにできる。打ったキーはいったんアプリ側へ渡り、その後マクロの実行前に削除される仕組みになっている。
事故を防ぐ書き方が公式に示されている。メールアドレスを入れるつもりで em という2文字を割り当てると、them と打ったときにも発火してしまう。だから前後に印を付けて、うっかり打たない形にする。案内されている例は =em= のような書き方になる。
細かい挙動も文書化されている。打ち間違えて削除キーで直した場合でも、結果として同じ並びになれば発火する。逆に、その文字列を発火させずに打ちたいときは、途中でShiftとスペースを打ってから削除すると打ち消せる。Shiftとスペース、Controlキー、Commandキーの操作、アプリの切り替え、マウスのクリック、数秒のあいだ何も打たないことでも、それまでの入力の並びは打ち消される。大文字と小文字を区別しない設定、濁点や記号の付いた文字を区別しない設定、単語の区切りのあとだけ有効にする設定、正規表現で照合する設定も用意されている。実際に打たれた文字列は専用のトークンで取り出せる。
日本語を打つ環境では、変換の途中でこの仕組みが働くことがあるため、割り当てる文字列は半角の記号で囲んだものにしておくと安全になる。
アプリごとに効かせる範囲を決める
同じキーを、アプリによって別の動きにしたいという要求は多い。それを担うのがマクログループだ。マクログループはマクロを入れるフォルダのようなもので、それぞれが中のマクロがいつ有効になるかを決めている。
特定のアプリだけを対象にする指定と、特定のアプリを除外する指定ができる。メールのアプリだけで有効にする、あるいはメールのアプリで作成中の窓が開いているときだけ有効にするという条件まで書ける。ふだん使うキーを潰さずに済ませる作り方も案内されている。矢印キーで窓の大きさや位置を変えるマクロを1つのグループにまとめ、決めたホットキーを押したあとだけそのグループを有効にする形だ。こうすれば、それ以外の場面では矢印キーがそのまま使える。
マクログループはパレットとして表示でき、自分専用の道具の並びを作れる。メニューバーに出す形も選べるので、更新される情報をメニューバーに置いて、そこからマクロを呼ぶ使い方もできる。検索条件を保存するスマートグループも用意されている。
実際に効いた使い方として、次のような指摘がある。
便利な使い方はたくさんありますが、アプリ毎にショートカットキーがバラバラな操作を統一するだけでも、十分な効果があると感じています。 出典: sites.google.com
最初の1本を何にするか決めかねているなら、この線で選ぶと外れにくい。同じ意味の操作が、アプリによって違うキーになっているものを探す。検索、行の複製、書式の消去あたりに見つかることが多い。
Webアプリが相手のときに届かない範囲
トリガーの種類は多い。時刻や曜日、ログイン、スリープ、復帰、何もしていない状態、アプリの起動と終了、フォルダの中身の変化、ボリュームのマウント、モニタの接続、USB機器の接続、無線ネットワークへの接続、クリップボードの変化、マウスやトラックパッドで図形を描く操作。他のMacやiPhoneから呼び出す形や、決めた時刻に走らせる形も並んでいる。アクションの側も、アプリの操作、キー入力やマウスのクリックやメニュー選択の再現、ファイルや画像の処理、クリップボードの操作、アプリや窓やクリップボードの履歴を選ぶ切り替えの画面、AppleScriptやシェルスクリプトの実行までそろっている。
それでも届きにくい場所がある。ブラウザの中で動くWebアプリが相手のときだ。メニューの項目名で指定するアクションはアプリのメニューに効くが、ページの中に描かれた文字はメニューではない。同じサービスを2つのアカウントで開いていると、タブの見た目がほぼ同じになるため、どのタブを前に出すかという指定そのものが書きにくくなる。座標で押す形にすると、窓の大きさが変わるたびに壊れる。
この詰まりは、自動化の書き方ではなく置き場所の問題になる。アプリを1枚のタブではなく1つの窓として置けば、名前ではなく置き場所で指定できるようになり、アプリを選ぶ側のトリガーとアクションがそのまま使える。Webアプリを窓の単位で分ける考え方はワークスペースに整理されている。アプリごとに独立したワークスペースを持たせると、2つのGmailが同時にログインしたまま別の窓として並ぶため、どちらを前に出すかをアプリの単位で書ける。
コマンドを叩く作業を同じ画面の中に置く形はターミナルにまとめられている。アプリごとに拡大率と消音を覚える形や、通知を1か所に集める形はできることに並んでいる。対応しているサービスの一覧は使えるアプリにあり、無料で使える範囲と有料になる線は料金で確認できる。細かい疑問はよくある質問にまとめられている。
よくある質問
Keyboard Maestroはいくらですか。定期的な支払いはありますか?
一度の購入で36ドルで、これに該当する税が加わると案内されています。定期的な支払いはなく、購入したバージョン11をそのまま使い続ける形です。以前のバージョンから上げる場合はアップグレードとして25ドルで、2023年3月1日以降に購入した人はバージョン11への無償のアップグレードを受けられると明記されています。試用版も配布されています。
設定したのにマクロが動きません。何を見ればよいですか?
まずエンジンが起きているかを確かめてください。エディタはマクロを作るときだけ使うもので、実際に動かしているのは背景で動くエンジンです。エディタを閉じたら効かなくなった、再起動したら効かなくなったという症状はこれに当たります。一般設定のパネルでログイン時にエンジンを起動する設定を有効にしておくと、起動のたびに気にする必要がなくなります。
最初に作るマクロは何にすればよいですか?
アプリによって違うキーになっている同じ意味の操作を探すと外れにくいです。検索、行の複製、書式の消去あたりに見つかります。マクログループは対象にするアプリと除外するアプリを指定できるので、アプリごとに違う動きを同じキーに割り当てられます。保存の操作は無く、変更してから数秒後に自動で保存されるため、試すための専用のグループを作って確かめる形が安全です。
よく使うキーを割り当てても大丈夫ですか?
公式に警告されている点があります。押した・離した・叩いたのどれで起動させても、そのキーはシステムに飲み込まれて本来の用途には使えなくなります。日常的に打つキーを割り当てると、そのキーが打てなくなります。飲み込ませずに起動させたい場合はUSBデバイスのキーを見るトリガーを使う方法が案内されており、打った文字列で起動させる形なら前後に記号の印を付けて誤発火を避けられます。