Gmailのアカウント切り替え|ログアウトせずに並べる4つの方法
Gmailのアカウント切り替えで検索する人の困りごとは、だいたい同じ形をしています。仕事用と個人用の2つがあって、片方に入るともう片方が落ちる。あるいは、右上のアイコンから切り替えたつもりが、開いたカレンダーは違うアカウントのものだった。ログアウトとログインを繰り返すのが日課になっている状態です。方法は1つではなく、実際には性格の違う4つがあり、どれを選ぶかは「何を分けたいのか」で決まります。ここでは、それぞれが何を分けていて何を分けていないのかを並べ、いま起きている失敗から選べるようにします。
詰まっている場所は3つに分かれる
「切り替えたい」と言うとき、その中身は3種類のどれかに収まります。ここを最初に切り分けると、選ぶ作業はほとんど終わります。
1つ目は、切り替えそのものができないという状態です。同じサービスに2つのアカウントで同時に入れず、片方に入るともう片方が落ちます。これはCookieとサイトのローカルストレージの置き場所の問題です。
2つ目は、切り替えはできるが取り違えるという状態です。2つとも入っているのに、リンクを踏むと意図しないほうで開く、カレンダーだけ別のアカウントになっている、という形で出ます。
3つ目は、切り替えが遅いという状態です。分離もできていて取り違えも起きないが、1日に何十回も行き来しているので、その数秒が積み上がっています。
方法によって効く場所が違います。1つ目に効く方法が2つ目にも効くとは限らず、3つ目はそもそもブラウザの設定では届かない場所にあります。
Googleの複数ログインでできること
最初に試す価値があるのは、Googleが標準で持っている複数ログインです。Googleのページで右上のプロフィール画像を押し、アカウントの追加を選んでログインすると、以後は同じメニューから切り替えられます。Googleのヘルプでは次のように説明されています。
複数の Google アカウントを使用している場合、一度に複数のアカウントにログインすることができます。この方法でアカウントを切り替えると、ログアウトとログインを繰り返す必要がなくなります。 出典: support.google.com
仕組みとしては、CookieをURLの中の番号で見分けています。切り替えるとアドレスに含まれる数字が変わり、その番号が何番目にログインしたアカウントかを表します。最初にログインしたものが0番、次が1番、という並びです。この番号を含むアドレスをブックマークしておけば、目的のアカウントのGmailを直接開けます。
設定はアカウントごとに持てます。ヘルプにも、アカウント間で設定が共有されることは通常なく、言語設定やログイン手順をアカウントごとに変えられると書かれています。追加のソフトも拡張機能も要らず、無料で、今日から使えます。Gmailだけを2つ行き来したいのであれば、これで足りることは多いです。
Googleの複数ログインで起きる取り違え
一方で、この方式には構造的な弱点が2つあります。どちらも、しばらく使ってから気づく種類のものです。
1つ目は、既定のアカウントの設定が引き継がれることがある点です。Googleのヘルプは、この挙動を明示しています。
複数のアカウントに同時にログインしている場合、使用しているアカウントがどれか Google で判断できなくなることがあります。たとえば、2 つのアカウントにログインした状態で、新しいブラウザ ウィンドウを開く場合に、どちらのアカウントを使用するか判断できないことがあります。 出典: support.google.com
この場合、ウェブとアプリのアクティビティや広告のカスタマイズといった設定に、既定のアカウントのものが適用されることがあります。既定のアカウントとは、多くの場合、最初にログインしたアカウントです。Google Playのように国ごとに内容が変わるサービスでは、表示される内容そのものが変わります。
2つ目は、効く範囲がGoogleのサービスの中に限られる点です。番号でアカウントを見分けるのはGoogle側の仕組みなので、SlackやNotionのような他社のサービスには関係がありません。Gmailは2つ並んでいるのにSlackは1つしか入れない、という状態は、この仕組みの限界そのものです。使いたいサービスが複数社にまたがった時点で、別の方法が要ります。
Chromeのプロフィールで分ける
次の選択肢が、ブラウザのプロフィールです。Chromeのヘルプでは、ブックマーク、履歴、パスワード、その他の設定をまとめて別々に保てる仕組みとして説明されています。作り方は、右上のプロフィールから新しいプロフィールを追加し、名前と写真と配色を決める流れです。Googleアカウントでログインすれば、名前は自動でそのアカウントの名前になります。
分離の強さは、Googleの複数ログインとは比べものになりません。Cookieだけでなく、拡張機能、履歴、保存したパスワードまで分かれます。仕事用の拡張機能が個人のタブで動くことはなく、個人の検索履歴が仕事の入力候補に出てくることもありません。そして何より、Googleのサービスに限らず、あらゆるサイトで効きます。
運用上の注意も2つあります。1つは、拡張機能とパスワードが2組に割れることです。よく使う拡張機能は2回入れる必要があります。もう1つは、同じ端末を他人と共有している場合の見え方です。Chromeのヘルプには、端末を持っている人は別のプロフィールに切り替えられるため、信頼できる相手とだけ共有するようにという注意が書かれています。
起動時に毎回どのプロフィールで開くかを選びたい場合は、プロフィールの管理画面で起動時に表示する設定を有効にします。この一手間を入れておくと、既定のプロフィールで開いてしまう事故がかなり減ります。
Firefoxのコンテナで分ける
3つ目が、Firefoxのコンテナです。Mozillaが公開しているMulti-Account Containersという拡張機能で管理し、タブ単位にCookieとサイトのストレージを区切ります。
Under the hood, it separates website storage into tab-specific Containers. Cookies downloaded by one Container are not available to other Containers. 出典: addons.mozilla.org
プロフィールとの違いは粒度です。プロフィールはウィンドウごと分かれますが、コンテナは1つのウィンドウの中に、別アカウントのタブを並べて置けます。タブの上端に色の線が出るので、いまどちらで見ているかがクリックせずに分かります。2つのアカウントの受信箱を見比べる場面が多い人には、この形が合います。
実務で効くのは、サイトごとの割り当てです。特定のドメインを常に決まったコンテナで開くよう登録しておけば、社内システムのリンクはどこから踏んでも仕事用のコンテナに入ります。この拡張機能の利用者は403,827人、評価は8,059件のレビューで4.6です。
分かれないものもあります。履歴、拡張機能、保存したパスワードは、コンテナをまたいで共有されたままです。そして当然ながら、Firefoxを使う前提の方法なので、Chromeを使い続けたい人の選択肢にはなりません。
4つの方法を横に並べる
| Googleの複数ログイン | Chromeのプロフィール | Firefoxのコンテナ | 窓ごとの分離 | |
|---|---|---|---|---|
| Cookieの分離 | Googleの中だけ | 分かれる | 分かれる | 分かれる |
| 他社サービスにも効く | 効かない | 効く | 効く | 効く |
| 拡張機能と履歴 | 共有 | 分かれる | 共有 | 分かれる |
| 1つの窓に2アカウントを並べる | できる | できない | できる | 用途による |
| 追加の導入作業 | 不要 | 少ない | 拡張機能が要る | アプリの導入が要る |
| 費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 有料のものが多い |
| Command+Tabで直接届く | 届かない | 届かない | 届かない | 届く |
上から4行が分離の話、下の3行が導入と日々の速さの話です。分離だけを見るなら無料の方法で足ります。最終行だけが、他の3つと性質の違う項目になっています。
切り替えの速さは、どの方法でも変わらない
見落とされやすいのが、最終行の意味です。Googleの複数ログインも、Chromeのプロフィールも、Firefoxのコンテナも、区切りをブラウザの内側に置いています。macOSから見れば、どれも同じアプリのウィンドウです。Command+Tabで選べるのはブラウザであって、仕事用のGmailではありません。
この差は、1回あたりでは数秒です。ブラウザを前面に出し、目的のウィンドウかタブを探し、そこから開く。ただ、1日30回この操作をしていれば、待ち時間ではなく注意が削られていきます。探している数秒のあいだに、何をしようとしていたかを忘れるためです。
もう1つ、どの方法にも共通する穴があります。ブラウザの外から届くリンクです。メールソフト、チャット、カレンダーの予定から届いたリンクは、macOSが既定のブラウザに渡すだけで、どのプロフィールやコンテナに属すべきかという情報は持っていません。Firefoxはサイトごとの割り当てで開き直すかを聞いてきますが、Chromeのプロフィールにこれに当たる標準機能はありません。
起きている失敗から選ぶ
機能の一覧から選ぶと外します。いま繰り返し起きている失敗の側から決めるほうが確実です。
- Gmailとカレンダーだけを2つ行き来している。Googleの複数ログインで足ります。追加の作業は要りません
- GmailもSlackもNotionも2つある。Chromeのプロフィールか、Firefoxのコンテナです。Googleの複数ログインは効きません
- 2つの受信箱を並べて見比べる。コンテナが向きます。1つの窓の中に両方のタブを置けるためです
- 仕事と個人を強く切り分けたい。プロフィールが向きます。拡張機能と保存したパスワードまで分かれます
- 分離はできたが、切り替えがまだ遅い。これはブラウザの設定では届かない場所にあります
区切る単位を、窓の側へ移す
最後の失敗に当たっている場合、選択肢はブラウザの設定ではなく、窓の持ち方に移ります。Webサービスを1つのアプリとして扱い、アプリごとに独立したワークスペースを与える方式です。仕事用のGmailと個人用のGmailが別の窓として存在し、それぞれがセッションを持ちます。探す対象がタブの列から画面の配置に変わるため、切り替えの速さが変わります。
案件単位のまとめ方はワークスペースで説明しています。ブラウザとして残す機能と窓の中に持ち込む機能の線引きはできることに、どのサービスを窓として登録できるかは使えるアプリに並べてあります。同じ用途の他社製品との違いは、価格と対応OSの面からWaveboxとの比較に整理しました。
どれが優れているという話ではありません。使うアカウントが2つで、行き来が1日に数回なら、Googleの複数ログインで十分です。判断の分かれ目は、扱うサービスの数と1日の切り替え回数です。使うサービスが4つか5つに固定されていて、そこを1日に何十回も行き来しているなら、区切りをブラウザの内側に置き続ける理由は薄くなります。費用の側は料金に、導入前に迷いやすい点はよくある質問にまとめてあります。
よくある質問
Gmailの複数ログインは、何アカウントまで同時に使えますか?
Googleのヘルプに上限の数値は示されていません。実際には、追加するほど既定のアカウントの設定が適用される場面が増え、どれで見ているか分からなくなる頻度も上がります。仕事用と個人用の2つ、多くても3つに絞り、それ以上必要ならブラウザのプロフィールを分けるほうが取り違えが減ります。
複数ログインしているのに、リンクを踏むと違うアカウントで開くのはなぜですか?
ブラウザの外から届いたリンクには、どのアカウントで開くべきかという情報が付いていないためです。Googleは判断できない場面では既定のアカウント、つまり多くの場合は最初にログインしたアカウントの設定を適用します。確実に分けたい場合は、プロフィールかコンテナでCookieの置き場所自体を分けてください。
Chromeのプロフィールを分けると、ブックマークやパスワードも分かれますか?
分かれます。Chromeのプロフィールは、ブックマーク、履歴、パスワード、その他の設定をまとめて別に保つ仕組みです。そのため、よく使う拡張機能は2回入れる必要があり、保存したパスワードも2組に割れます。分離が強い代わりに、用意する手間がかかる方法だと考えてください。
シークレットウィンドウで2つ目のアカウントに入るのは、良い方法ですか?
毎日使うアカウントの置き場所には向きません。シークレットウィンドウは閉じた時点でCookieを捨てるため、開くたびにログインと二要素認証をやり直すことになります。さらに、開いているシークレットウィンドウ同士はセッションを共有するので、シークレットだけで3つ目のアカウントを持つこともできません。