gmail 複数アカウントをMacで使い分ける|4つの入口と代償
会社のアドレス、個人のアドレス、副業や請求のためのアドレス。gmail 複数アカウントをMacで使い分けようとすると、切り替えメニューを押した先で前に見ていたほうの受信箱が開き、届いた共有リンクは権限エラーになり、通知はどのアドレス宛か分からないまま並ぶ。入口は4つあり、どれを選ぶかで崩れる場所が変わる。この記事では、4つの入口の中身と、選んだあとに残る不便を順に見ていく。
Macで2つ目のGmailを開く入口は4つある
| 入口 | 分かれるもの | 共有されたまま残るもの | 実際のコスト |
|---|---|---|---|
| 右上のアイコンからアカウントを追加 | 表示される受信箱 | Cookie・履歴・拡張機能・通知 | 外から届いたリンクが別アドレスで開く |
| ブラウザのプロファイルを分ける | Cookie・履歴・パスワード・拡張機能 | アプリの身元・Dockのアイコン・通知の差出人 | アドレスを変えるたびに窓を移る |
| メールアプリに複数アカウントを入れる | アプリ内の受信箱の並び | 送信元の初期値・通知の差出人 | Googleドライブやカレンダーは分かれない |
| サービスごとに窓を分ける道具 | セッション・窓・通知の出所 | ブラウザ本体の設定 | 道具をもう1つ覚える |
いちばん手軽なのは右上のアイコンからの追加になる。両方サインインしたまま保たれ、いま見ているアカウントはURLの中に番号として現れる。1つ目が /u/0/、2つ目が /u/1/ という形になる。手軽さと引き換えに、区切りとしてはいちばん浅い。Cookieの保管場所を分けていないためだ。
プロファイルは、Chrome・Edge・Braveなどが持つ仕組みで、macOS Sonoma世代からはSafariでも使える。
Your bookmarks, history, passwords, and other settings are kept separate for each profile. 出典: support.google.com
メールアプリに入れる方法は、メールだけを扱うなら簡潔になる。ただしGoogleのサービスはメールだけではないので、カレンダーやドライブを日常的に使う場合は、結局ブラウザ側でも分ける必要が出てくる。
番号で切り替える方式が崩れる場所
右上から追加する方式でいちばん困るのは、ブラウザの外から届くリンクになる。Slackのメッセージ、カレンダーの招待メール、共有ドキュメントのURL。これらにはアカウント番号が入っていないか、送った側の番号が入っている。開くと /u/0/ の位置にいるアカウントで表示され、そこに権限がなければアクセス権のエラーになる。
そのたびに、右上から切り替え、開き直し、間違って開いた窓を閉じる。共有リンクを受け取る仕事なら週に何十回も起きる。この方式が見捨てられる理由のほとんどがこれになる。
もう1つの落とし穴が、番号が固定ではないという点だ。番号は追加した順に振られるので、アカウントを1つ削除して入れ直すと入れ替わる。ブックマークに /u/1/ の形で保存したURLは、その日から別のアドレスの受信箱を指すようになる。番号入りのURLをブックマークに入れるやり方は、短期の回避策としては使えるが、長く持たせる置き方ではない。
Googleのサービス内でも番号の扱いが揃っていない画面が残っている。ドライブの共有リンクや、通知メールの中のボタンは代表的な例になる。
プロファイルで分けるときに決めておくこと
プロファイルで分けると、Cookieも履歴もパスワードも別になるので、共有リンクの問題は「どの窓で開くか」の問題に変わる。窓さえ合っていれば権限エラーは起きない。代わりに、窓を移る手間が毎回発生する。
作る日に決めておくとよいのは次の3つになる。
- 名前と色とアイコンを変える。macOSではどのプロファイルの窓も同じアプリのアイコンにぶら下がるため、見分けは窓の中でしか付かない
- 拡張機能を仕事側に絞る。両方に同じものを入れると、分けた意味のかなりの部分が消える
- パスワードの置き場所を1つに決める。キーチェーンに入れた分はどのプロファイルからも候補に出るので、二重管理になりやすい
特定のプロファイルを直接開きたい場合は、ターミナルから引数付きでブラウザを起動する方法がある。渡すのは画面に表示されている名前ではなく、実体のフォルダ名になる。表示名が「仕事」でも中身が Profile 3 ということは珍しくないので、chrome://version のプロファイルパスで確かめてから使う。
送信元アドレスの取り違えを防ぐ
複数のアドレスを扱うようになると、受け取る側より送る側で事故が起きる。個人のアドレスで請求の連絡を出す、会社のアドレスで私用の登録をする。相手には差出人しか見えないので、こちらの分け方の事情は伝わらない。
Gmailの側で効く設定は3つある。
- 返信のときに、受信したアドレスから送る設定を有効にする。設定の「アカウントとインポート」にある項目で、これを入れておくと返信での取り違えはほぼ消える
- 既定の送信元アドレスを、使う頻度の高いほうに合わせる。新規作成のときはこの値が使われる
- 署名をアドレスごとに分ける。署名の内容が違えば、送信の直前に気づける
分ける型で運用している場合は、そもそも窓が違うので取り違えは起きにくい。代わりに、「どちらの窓で書き始めたか」を間違えると同じことになるため、窓の見た目で判断できる状態にしておく。ウィンドウのタイトルやアイコンが同じだと、書き始めてから気づくことになる。
送信を取り消せる時間を長めにしておくのも、実務では効く。Gmailには送信を取り消せる時間を選ぶ設定があり、最大で30秒まで伸ばせる。差出人の間違いに気づくのはたいてい送信の直後なので、この数十秒が効く場面は多い。
Macのメールアプリに入れる場合の違い
Gmailは、macOSに入っているメールアプリからも扱える。ブラウザを開かずに済むので、メールを読む量が多い場合は選択肢に入る。ただしブラウザで開く場合と違う点がいくつかある。
- 分かれるのは受信箱の並びだけになる。カレンダー・ドライブ・スプレッドシートはブラウザ側の話なので、そちらは別途分ける必要が残る
- ラベルはフォルダとして表示される。Gmailの側で複数のラベルを付けたメールは、複数の場所に現れる
- 検索の書き方が変わる。Gmailの検索演算子がそのまま使えるわけではないため、探し方を覚え直すことになる
- 通知はメールアプリから届く。ブラウザとは別のアプリになるので、集中モードでメールだけを止めることはできる
通知の主体が分かれるという最後の点は、実務では大きい。仕事のメールだけをメールアプリに入れ、私用はブラウザで開くという分け方にすると、通知を片方だけ止められるようになる。逆に、両方をメールアプリに入れると、また同じアプリからまとめて届くことになる。
どちらに入れるかは、そのアドレスで何をするかで決めるとよい。読んで返すだけならメールアプリ、共有ドキュメントや予定の調整まで行うならブラウザ側に置いたほうが、行き来が減る。
通知を、どのアドレスから受けるか決める
macOSの通知はアプリ単位で管理される。Chromeのタブで開いているGmailの通知は、Gmailではなくブラウザの通知として届く。プロファイルを分けても、通知センターの上ではどれも同じ差出人になる。
このため、「仕事の時間は私用のGmailの通知だけ止める」という設定が作れない。集中モードで止められる単位はアプリであり、両方が同じアプリから届いている限り、片方だけを黙らせることはできない。
現実的な落とし所は次のどれかになる。
- 通知を受けるアドレスを1つに絞り、残りは自分で見に行く時間を決める
- 私用のGmailはスマートフォン側だけで通知を受け、Macでは通知を切る
- 通知の出所そのものを分けられる置き方に変える
3つ目が効くのは、通知の主体がブラウザではなくサービス単位の窓になる場合に限られる。ここが、gmail 複数アカウント mac の運用でブラウザの分け方だけでは解けない部分になる。
アドレスを増やす前に試せる3つの手
分ける前に、そもそも増やさなくてよかったかを確かめておくと、管理の手間が減る。次の3つは、新しいアカウントを作らずに用途を分ける方法になる。
- プラス記法を使う。
名前[email protected]のように書くと、届く先は同じ受信箱のまま、フィルタで振り分けられる。送信元として使えない点と、記号を受け付けないサービスがある点が制約になる - 別のアドレスから送れるようにする。独自ドメインのアドレスを送信元として登録すると、1つの受信箱のまま複数の名義で送れる
- 転送でまとめる。使わなくなったアカウントは転送設定にして、サインインする対象を減らす
反対に、分けたほうがよいのは次の場合になる。取引先とのやり取りで会社のドメインが要る場合、共有ドライブの権限が組織単位で決まっている場合、退職や契約終了で切り離す必要がある場合。この3つに当てはまるなら、受信箱を分けるだけでなく、置き場所ごと分けたほうが後の作業が簡単になる。
使い方に合わせて置き場所を決める
判断は、アドレスの数ではなく、1日に何回そのアドレスを開くかで決めたほうが実態に合う。
- 1日に何度も開き、通知も見たいアドレス。専用の入れ物を用意する価値がある
- 1日に1回か2回、まとめて確認できるアドレス。切り替えメニューで足りる
- 月に数回しか開かないアドレス。転送してしまい、サインインする対象から外す
この3つに仕分けると、専用の入れ物が要るアドレスは思ったより少ないことが多い。用意する数が減れば、拡張機能もパスワードも棚卸しの範囲が狭くなる。
仕分けの結果は、半年ごとに見直すとよい。案件が終わって開かなくなったアドレス、逆に転送で済ませていたのに毎日開くようになったアドレスは、時間とともに入れ替わる。入れ物の数を増やすときより、減らすときのほうが判断が鈍りやすいので、見直す日を決めておくと放置が減る。
番号ではなく、窓の数で数え直す
ここまでの整理で分かるのは、Gmailの側で分けられるのは表示だけであり、Cookieと通知はブラウザの側の話になる、という構造だ。ブラウザのプロファイルで後者の半分を解けるが、通知の出所は残る。サービス1つを1つの窓として置き、アプリごとに独立したワークスペースを持たせると、セッションと通知が同じ単位で分かれるようになる。
窓の単位で何が分かれるのかは、機能の一覧を見ると輪郭がつかめる。サービスごとの置き場所の扱いをまとめているのができることで、仕事と私用のように用途ごと切り替える単位を扱っているのがワークスペースになる。Gmail以外に日常的に開くサービスが対象に入っているかどうかは使えるアプリで先に確かめられる。
同種の道具は複数あり、料金体系と対応の幅が違う。月額と買い切りの考え方の差を並べたものとしてはWaveboxとの比較とShiftとの比較が具体的で、無料で使える範囲を重視するならFerdiumとの比較が近い。費用の判断が先に立つ場合は料金を、運用上の細かい疑問はよくある質問を見ておくと、導入してから引き返す手間が減る。
数え方を変えると、判断は簡単になる。アカウントが4つあるかどうかではなく、通知を追いたい入れ物が何個あるかで決める。その数がそのまま、用意すべき窓の数になる。
よくある質問
Macで2つ目のGmailを開くいちばん簡単な方法は?
Gmailの右上のアイコンからアカウントを追加する方法になる。両方サインインしたまま保たれ、URLの /u/0/ と /u/1/ で見分ける。ただしCookieの保管場所は分かれないため、外から届いた共有リンクは先頭のアカウントで開く。権限エラーが増えるようならプロファイルで分けるほうが向く。
Chromeのプロファイルとアカウントの追加はどう違いますか?
アカウントの追加は表示を切り替えるだけで、Cookie・履歴・拡張機能は共有される。プロファイルはそれらの保管場所ごと分かれるため、同じサービスに2つの身元で同時にサインインできる。代わりに、身元を変えるたびに別の窓へ移る操作が必要になる。
GmailをAppleのメールアプリに入れると分けられますか?
メールの受信箱としては分かれる。ただしカレンダーやドライブなどGoogleの他のサービスは分かれないため、それらを日常的に使う場合は結局ブラウザ側でも分けることになる。送信元アドレスの初期値を確認しておかないと、意図しない名義で返信する事故が起きやすい。
通知だけを仕事用と私用で分けることはできますか?
macOSの通知はアプリ単位で管理されるため、同じブラウザから届く限り片方だけを止めることはできない。通知を受けるアドレスを絞る、私用はスマートフォンだけで受ける、通知の出所をサービス単位の窓に変えるという3つのうちから選ぶことになる。