Notionの複数アカウントを同時に開く|Macでの分け方

Notionを個人用と仕事用で使い分けている人が、notion 複数アカウントという言葉で行き着く場所はだいたい同じだ。アカウントの追加はできる。しかし追加した2つを画面に並べることはできない。ここで必要なのは裏技の紹介ではなく、切り替え式のアプリで足りるのか、それとも窓を分ける必要があるのかを先に決めることだ。決め方と、分けるときの具体的な選択肢を順に並べる。

同じサービスに複数の所属を持つのが普通になった

ひとりの人が同じサービスのアカウントを複数持つ状況は、この数年でめずらしくなくなった。会社の業務で使うワークスペース、個人のメモ、業務委託で参加している別会社のワークスペース。関わる先が増えるほど、アカウントは案件の数だけ積み上がっていく。

この構造はNotionに限らない。GmailもSlackもChatGPTも同じ形で増える。そして道具の側は、この増え方に対して2種類の答えしか用意していない。ひとつは「切り替え」で、もうひとつは「並置」だ。切り替えは画面を1つに保ったまま中身を入れ替える方式で、並置は窓やプロファイルを分けて同時に生かしておく方式になる。

検索して出てくる手順の多くは、この2つを区別しないまま書かれている。そのため「アカウントを追加できる」という記述を読んで導入したあとに、期待した動きにならないという結果になりやすい。まず自分がどちらを必要としているのかを見極めるところから始めたい。

Notionのアプリは、アカウントを並べずに切り替える

Notionのデスクトップアプリとブラウザ版は、どちらも複数のアカウントを保持できる。入口はサイドバーの上にあるワークスペース切り替えメニューだ。

ワークスペース切り替えメニュー: 現在のワークスペースの名前をクリックすると、所属しているワークスペース間での切り替え、新規ワークスペースの作成、別のアカウントの追加、ログアウトができます。設定メニューにも、ワークスペース切り替えメニュー内からアクセスできます。 出典: notion.com

ここに書かれているのは「切り替え」と「追加」であって、「並べて表示」ではない。実際の動きもその通りで、別のアカウントに移ると、サイドバーの中身も、開いていたタブも、検索の対象もすべて入れ替わる。片方を見ながらもう片方に書くという使い方は、この方式では成立しない。

切り替えの操作そのものは数秒で終わる。問題は回数だ。1日20回の切り替えが発生する使い方なら、消えているのは操作の時間ではなく、そのたびに途切れる作業の文脈のほうになる。逆に、片方を週に数回開くだけなら、切り替え式で困る場面はほとんど出てこない。

切り替えで足りる人と、足りない人を分ける3つの質問

道具を選ぶ前に、次の3つに答えておくと選択肢が半分に減る。

  • 2つのアカウントの中身を、同時に見る必要があるか。仕事用のデータベースを参照しながら個人用にメモを書くなら、切り替え式では足りない
  • 両方の通知を受け取りたいか。切り替え式のアプリは、いま開いているアカウントの通知を前提に動く。片方の反応が遅れて困る立場なら、分ける理由になる
  • アカウントは今後も増えるか。案件ごとにワークスペースが増える働き方なら、増えたときに破綻しない方式を先に選んでおくほうが移行の手間が小さい

3つとも「いいえ」なら、公式アプリの切り替えで足りる。ひとつでも「はい」があるなら、以下の並置の方式を検討する価値がある。

同時に開くための3つの道

SafariでDockに追加する

macOS Sonoma 14以降のSafariには、開いているページをそのままアプリとして保存する機能がある。ファイルメニューから「Dockに追加」を選ぶと、独立したアイコンと独立した窓ができる。重要なのは見た目ではなくセッションの扱いだ。

Webアプリは、Safariとは別に機能します。閲覧履歴、Cookie、Webサイトデータ、設定情報はSafariと共有されません。そのため、Safariプロファイルを使う場合と同様に、ブラウズをほかとは切り分けることができます。Webアプリで行ったことは、その中だけで完結します。 出典: support.apple.com

Cookieが共有されないということは、Safari本体で仕事用にログインし、Dockに追加したWebアプリで個人用にログインしても、どちらも落ちないという意味になる。追加の費用はかからず、所要時間も数十秒で終わる。

制約も明記されている。Webアプリのツールバーには戻るボタン、進むボタン、共有ボタン、そして有効にしたSafari機能拡張のボタンが並ぶだけで、タブとブックマークはない。必要になったときは共有ボタンから「Safariで開く」に逃がす。Notionのように1つの窓を長く使うサービスでは、この制約が問題になる場面は少ない。

Chromeのプロファイルを分ける

Chromeはプロファイルごとにログイン状態を分ける。仕事用と個人用のプロファイルを作り、それぞれでNotionを開けば、2つのアカウントが同時に生きる。プロファイルごとにDockのアイコンを作ることもできるため、見た目はアプリに近づく。

こちらの利点は機能拡張が使えることだ。パスワード管理や翻訳の拡張を通したまま使いたいなら、Safariの方式より扱いやすい。難点は窓が増えることで、アカウントが3つ4つと増えると、どの窓がどのプロファイルなのかが視覚的に分かりにくくなる。

Webアプリを窓の単位で分ける道具を使う

3つめは、複数のWebアプリを1つの窓の中でサービス別に切り分ける種類の道具を使う方法だ。アプリ集約ブラウザと呼ばれる系統で、サービスごと、アカウントごとに独立した領域を持たせる作りになっている。Dockのアイコンを増やさずにセッションを分けられる点が、前の2つとの違いになる。

対象がNotionだけなら、この選択肢は大げさだ。Notion、Slack、Gmail、カレンダーと対象が並び、さらにそれぞれに2つのアカウントがあるという状態で、はじめて釣り合いが取れる。

3つの道を、同じ条件で並べる

方式 同時に開けるか 機能拡張 増えるもの 要件
公式アプリの切り替え 不可。切り替え式 なし なし macOS 12以上
SafariのDockに追加 可能。Safariとセッションが別 有効にした機能拡張のみ Dockのアイコン macOS Sonoma 14以降
Chromeのプロファイル 可能。プロファイルごとに別 プロファイルに従う 窓とプロファイル Chromeの対応版
Webアプリをまとめるブラウザ 可能。サービスとアカウント単位 製品による 道具そのもの1つ 製品による

表のうち、判断を左右するのは3列目の「増えるもの」だ。方式そのものの優劣ではなく、アカウントが増えたときに何が積み上がるかで、数年後の使い勝手が決まる。

通知とショートカットを決めないと、分けた意味が薄れる

窓を分けると通知も分かれる。分けた数だけ通知の設定項目が増えるため、放っておくと、集中を切る要因が分割前より多くなる。macOSの通知設定にはWebアプリごとの項目ができるので、バナーを切ってバッジだけ残す、という調整を分けた直後に済ませておきたい。

呼び出し方も先に決めておく。Notionのデスクトップアプリには、アプリを前面に出さずに検索とNotion AIを呼び出すコマンド検索があり、カスタマイズ可能なキーボードショートカットとMacのメニューバーから起動できる。この機能を有効にすると、既定ではNotionがログイン時に開く設定にもなる。Dockのアイコンを右クリックしてオプションから「ログイン時に開く」のチェックを外せば止められる。

窓を分ける方式を選んだ場合、この種の呼び出しは道具の側に寄せたほうが整理しやすい。アカウントごとにショートカットを覚えるのではなく、窓の切り替えをひとつの操作に統一するという考え方になる。

動作要件を先に確かめる

方式を決める前に、手元のMacで使えるかどうかを確かめておく。ここで効いてくるのはmacOSの世代だ。

SafariでWebページをDockに追加してWebアプリとして使う方式は、Appleが macOS Sonoma 14 以降を必要とすると明記している。Sonomaより前の環境では、ファイルメニューにも共有ボタンにもDockに追加という項目が出てこない。要件を確かめずに手順だけを追うと、メニュー項目が見つからない段階で止まることになる。その場合の現実的な解は、Chromeのプロファイルで分けるか、ブラウザ版を窓ごとに開くかのどちらかになる。

Notionのデスクトップアプリ自体は、配布ページからAppleシリコン用、Intel用、両対応のいずれかを選んで入手する形になっている。手元のMacがどちらの系統かは、アップルメニューのこのMacについてで確認できる。どの版を入れても中身は同じで、選び間違えても動かないわけではないが、合っている版のほうが起動と動作は軽い。

分けたあとに起きる、地味な取りこぼし

窓を分けると解決する問題がある一方で、分けたからこそ出てくる小さな詰まりもある。先に知っておくと、あとから原因を探す手間が減る。

ひとつめはリンクの開き先だ。メールやチャットに貼られたNotionのページを開くと、macOSの既定のブラウザに渡される。その既定が仕事用にログインしているブラウザなら、個人用のページを開いたときに権限がないという画面が出る。分ける作業を始める前に、システム設定で既定のブラウザが何になっているかを確かめておきたい。

ふたつめは検索の分断だ。アカウントをまたぐ横断検索は用意されていないため、どちらに書いたか分からないメモを探すときは、両方の窓で同じ語を打つことになる。案件の記録は仕事用、読書や家計のメモは個人用、というように、書く場所の基準を先に決めておくと、この手間はほとんど発生しない。

みっつめは招待の受け取り先だ。新しいワークスペースへ招待されたとき、その案内が届くのは招待に使われたメールアドレスの側になる。個人用のアドレスで仕事の招待を受けると、そのワークスペースは個人用アカウントの下にぶら下がる。あとから移すのは手間がかかるため、招待を依頼する時点でどちらのアドレスを使うかを伝えておくのが早い。

数えてから道具を選ぶ

最後に、判断の順序を決めておく。並べるのは道具ではなく、自分の数字だ。

ひとつめは、毎日開いているサービスの数。ふたつめは、そのうち複数アカウントを持っているサービスの数。この2つが小さければ、公式アプリの切り替えとSafariの「Dockに追加」だけで話は終わる。大きくなるほど、個別に足していく方式は管理する対象が増えて行き詰まりやすい。

数が大きい側に寄っている場合、サービス単位で領域を分ける考え方が効いてくる。アプリごとに独立したワークスペースを持てる作りなら、Notionの2つのアカウントも、Slackの3つのワークスペースも、同じ仕組みの上で扱える。この種の道具が何を分けているのかはできることに整理されていて、案件やアカウントの単位で作業の場を切り替える考え方はワークスペースの説明が具体的だ。対象のサービスがそろっているかどうかは使えるアプリで先に確かめておくと、試す前に判断できる。

候補が複数あって迷うときは、順位付けされた一覧よりも、製品どうしを1対1で並べた資料のほうが早い。無料で使える範囲の線引きは製品ごとに違うため、Waveboxとの比較のように条件を並べたページと料金を先に読んでおくと、試す順番が決めやすくなる。導入前の疑問はよくある質問にまとまっている。

切り替えで足りるなら、道具を増やす必要はない。足りないと分かったときだけ、窓を分ける方式に移ればよい。その判断に必要な材料は、公式の資料にすべて書かれている。

よくある質問

Notionのアプリで、2つのアカウントを同時に画面に出せますか?

公式アプリが用意しているのは切り替えであって、並べて表示する機能ではない。ワークスペース切り替えメニューから別のアカウントを追加できるが、表示されるのは常に1つで、切り替えるとサイドバーもタブも入れ替わる。同時に見たい場合は、SafariでDockに追加する、Chromeのプロファイルを分ける、窓の単位でサービスを分ける道具を使う、のいずれかになる。

SafariでDockに追加した場合、元のログイン状態は引き継がれますか?

引き継がれない。Appleは、作成されたWebアプリが閲覧履歴もCookieもWebサイトデータも設定情報もSafariと共有しないと明記している。そのためWebアプリの中で改めてログインする形になる。この分離は不便に見えるが、同じサービスの別アカウントを同時に開きたいときには、そのまま利点として働く。

費用はかかりますか?

SafariのDockに追加も、Chromeのプロファイルも、ブラウザの標準機能なので追加の費用はかからない。Notionのデスクトップアプリも無料で配布されている。費用が発生するのは、複数のWebアプリを1つの窓でまとめて扱う種類の道具を導入する場合で、その多くは無料で使える範囲と有料の範囲が分かれている。

古いMacでも複数アカウントを分けられますか?

SafariでページをDockに追加してWebアプリとして使う機能は、Appleが macOS Sonoma 14 以降を必要とすると明記している。Sonomaより前のMacではこのメニュー項目自体が出てこないため、Chromeのプロファイルを分ける方法か、ブラウザ版を窓ごとに開く方法を選ぶことになる。どちらもブラウザの標準機能なので、追加の費用はかからない。

記事一覧へ戻る