タブグループの使い方|作業の場所として区切る考え方
タブグループの使い方を調べる人の多くは、色の付け方や名前の付け方を知りたいわけではありません。タブが増えすぎて目的のものが見つからない、という状態をどうにかしたくて検索しています。この記事では、タブグループが実際に何を保存して何を同期するのかという仕様の部分と、グループの切り方の考え方、そしてグループでは解決しない場面の見分け方を扱います。
タブグループは折りたたみ機能ではなく、保存される入れ物
最初に押さえておきたいのは、タブグループが一時的な見た目の整理ではなく、保存される対象だという点です。公式のヘルプには、同期の扱いがはっきり書かれています。
閲覧履歴とタブが Google アカウントと同期されている場合、タブグループに加えられた変更は自動的に保存され、すべてのデバイス間で同期されます。 出典: support.google.com
この一文から、運用に効く事実が3つ読み取れます。
1つ目は、グループを閉じても消えないことです。タブバーでグループを閉じた場合、そのグループは削除されず、ブックマークバーまたはメニューの中に保存されます。あとから同じ組み合わせのまま開き直せます。つまりタブグループは、作業を中断する単位として使えます。
2つ目は、削除の影響範囲が1台に留まらないことです。グループを削除すると、そのデバイスだけでなく、同じGoogleアカウントを使っている他のデバイスからも削除されます。グループ解除を選んだ場合も、タブは手元に残りますが、グループ自体は他のデバイスからも消えます。会社のMacで整理したつもりが自宅のPCの作業状態を崩していた、という事故はここから起きます。
3つ目は、同期の前提が閲覧履歴とタブの同期であることです。同期を切っている環境では、グループは目の前の1台の中だけの存在になります。
この3つを知らないまま使うと、タブグループは「押すと畳める色付きの線」にしか見えません。実際には、作業の状態を名前を付けて保存できる場所です。
Operaのワークスペースは、同じ発想を側面に置いた形
似た機能を別の置き方で実装しているのがOperaのワークスペースです。公式のヘルプでは、タブを入れておくポケットという説明のされ方をしていて、作れる数は5つまでと明記されています。切り替えはサイドバー上部のアイコンで行い、管理はサイドバー下部の設定パネルから行います。
挙動の面で注目に値するのは、操作の影響範囲がワークスペース単位で閉じている点です。公式ヘルプによると、タブをすべて再読み込みする操作は現在のワークスペースのタブだけが対象になり、Control+Tabでタブを順に送る操作も、現在のワークスペースの中だけを巡回します。リンクを右クリックして、特定のワークスペースで開くこともできます。
Chromeのタブグループとの違いは、切り替えの重さです。タブグループは同じ1本のタブバーの上に並ぶため、切り替えは畳む操作と開く操作になります。ワークスペースは側面のアイコンで切り替わるため、タブバーの中身が丸ごと入れ替わります。5つという上限は制約に見えますが、切り替えをアイコンの押し分けで行う以上、増やしすぎると押し間違いが増えるという設計上の判断とも読めます。
どちらが優れているという話ではありません。1つのタブバーの中で伸び縮みさせるのか、タブバーそのものを差し替えるのか、という違いです。タブの総数が20枚程度までなら前者で足り、それを超えると後者のほうが目に優しくなります。
グループの切り方は3通りしかない
使い方で迷うのは、たいてい「何を基準にまとめるか」の部分です。実務で機能する切り方は、大きく3通りに整理できます。
- 案件で切る。A社・B社・自社というように、関わる相手ごとに1グループを作る。1日のうちに相手が変わる働き方に向く
- 工程で切る。調査・執筆・確認・請求のように、作業の種類でまとめる。同じ案件を長期間続ける働き方に向く
- 時間で切る。今日・今週・保留のように、いつ触るかでまとめる。締め切りに追われる働き方に向く
避けたほうがよいのは、種類で切ることです。「調べもの」「SNS」「ツール類」のように、サイトの性質でまとめると、グループの数はすぐ増えるのに、作業を始めるときに開くグループが決まりません。基準は、作業の開始と終了が一致する単位に置くのが原則です。
グループの数は5つから7つに収めると運用が続きます。それ以上になると、グループを探す時間がタブを探す時間に置き換わるだけで、総量は減りません。色は基準と揃えます。案件で切るなら相手ごとに色を固定し、工程で切るなら作業の種類ごとに固定する。色と基準がずれていると、畳んだときに何も思い出せなくなります。
名前は動詞で始めると機能します。「A社」より「A社の請求書を出す」のほうが、翌朝に開いたときの再起動が速くなります。保存される入れ物である以上、名前は作業の再開点として書くのが合理的です。
折りたたみと保存を、1日の区切りに使う
タブグループを毎日の運用に落とすと、次のような形になります。
作業を始めるとき、今から触るグループだけを開き、他は畳んでおきます。畳まれたグループは名前か色の丸だけがタブバーに残るため、視界に入る情報量が一気に減ります。作業が終わったら、そのグループを閉じます。閉じたグループはブックマークバーかメニューに保存されるので、翌日に同じ状態から再開できます。
この運用が効くのは、タブを閉じることへの抵抗がなくなるからです。タブを40枚開いたままにしている人の多くは、整理が苦手なのではなく、閉じたら二度と戻れないと感じています。名前を付けて保存できると分かれば、閉じる判断が軽くなります。
ブックマークバーに表示させる設定は、設定のデザインの項目から切り替えられます。新しく作ったグループを自動でブックマークバーに固定する設定もあり、これを有効にすると、他のデバイスで作ったグループも同じ場所に並びます。複数台のMacやPCを行き来している場合、この挙動を知らないとブックマークバーが勝手に増えていくように見えます。
グループだけで足りないときに併用する3つの標準機能
タブグループは万能ではありませんが、同じブラウザの中に補助になる機能が揃っています。運用に組み込む価値があるのは次の3つです。
1つ目はタブ検索です。タブバーのタブ検索のボタンから、開いているタブをキーワードで探せます。Macではcommandとshiftとaのキーで直接呼び出せ、アドレスバーに「@タブ」と入力してからタブキーまたはスペースキーを押す方法でも同じ一覧にたどり着けます。グループを畳んでいても中身を横断して探せるため、畳む運用への不安がかなり減ります。畳んだまま放置したグループの中身を思い出せない、という状態はこれで回避できます。
2つ目は縦方向のタブです。タブバーの空白部分を右クリックして縦方向に切り替えると、タブバーが窓の横に移動し、ページのタイトルが最後まで読める状態になります。横並びのタブは枚数が増えるほど1枚あたりの幅が縮み、タイトルが数文字しか見えなくなります。グループ名で畳む運用と、縦に並べてタイトルを読む運用は、どちらも「文字で判断できる状態に戻す」という同じ目的の別解です。タブの枚数が20枚を超えたあたりから、縦のほうが探す時間は短くなります。
3つ目はウィンドウに名前を付ける機能です。タブバーの空白部分を右クリックして名前を付けると、最小化したときや、アプリの切り替え操作で窓を移動するときにその名前が表示されます。グループの上にもう1段、窓という区切りを置きたい場合に効きます。案件ごとに窓を分けて名前を付け、その中で工程ごとにグループを作る、という二段構えにすると、グループの数を5つ以内に保ったまま扱える範囲を広げられます。
タブグループでは片付かない2つの場面
一方で、タブグループを丁寧に運用しても変わらない領域があります。
1つ目はアカウントです。タブグループは見た目の区切りであって、ログイン状態を分けません。仕事用と個人用のGoogleアカウントを別グループに入れても、Cookieは同じプロファイルの中で共有されるため、片方でログインし直すともう片方も切り替わります。アカウントを分けたいなら、ブラウザのプロファイルを分けるか、Cookieを隔離する仕組みを使う必要があります。グループの機能とは層が違います。
2つ目は通知と常駐です。SlackやGmailのように、開きっぱなしで通知を受け取るWebアプリをグループに入れて畳むと、通知の受け取りが不安定になります。畳んだグループのタブは読み込まれたままですが、作業のたびに閉じたり開いたりする運用と、常時開いておきたいアプリの相性は良くありません。結局、常駐させたいアプリだけはグループの外に固定タブとして置く、という折衷になりがちです。
ここが、タブという単位そのものの限界です。1日じゅう開いておくアプリと、調べ物のために一時的に開くページを、同じタブバーの上で同じ仕組みで扱っているのが原因です。
タブの層で足りるか、窓の層に移るかを決める
判断の基準は単純です。数えるべきなのは、タブの枚数ではなく切り替えの回数です。
1日のうちに同じ5つか6つのWebアプリを何十回も往復しているなら、それらはページではなくアプリとして扱うべきものです。この場合、グループに入れて畳む運用はむしろ手間を増やします。逆に、調べ物やプロジェクト単位のページが散らかっているだけなら、タブグループの運用で十分に片付きます。
前者に当てはまる場合、アプリごとに独立したワークスペースを持つ種類のブラウザが選択肢に入ります。用途ごとに作業空間を分けて、その中にアプリを常駐させる考え方についてはワークスペースの説明が分かりやすく、日々開いている業務システムが対象に入っているかどうかは使えるアプリの一覧で先に確認できます。似た立ち位置の製品は複数あるため、Sidekickとの比較のように1対1で並べた資料を読むと、機能の重なりと差がはっきりします。導入の前に費用の桁を把握しておきたい場合は料金を、細かい疑問はよくある質問を先に見ておくと、試す回数を減らせます。
次に手を付けることを1つだけ挙げるなら、今開いているタブを作業の単位で5つに分け、名前を動詞で付けて、今触らない4つを畳むことです。それで視界が戻るならタブの層で足ります。戻らないなら、問題はタブの並べ方ではなく、アプリの置き場所のほうにあります。
よくある質問
タブグループを閉じると、中のタブは消えますか?
消えません。タブバーでグループを閉じた場合、そのグループは削除されずにブックマークバーまたはメニューに保存され、あとから同じ組み合わせで開き直せます。完全に消えるのは、グループの削除を選んだときだけです。
タブグループは他のパソコンでも同じように見えますか?
閲覧履歴とタブがGoogleアカウントと同期されている場合、グループへの変更は自動的に保存され、同じアカウントを使っているデバイス間で同期されます。同期を切っている環境では、グループは目の前の1台の中だけの存在になります。
グループはいくつくらい作るのが適当ですか?
5つから7つに収めると運用が続きます。それ以上に増やすと、タブを探す時間がグループを探す時間に置き換わるだけで、総量は減りません。案件・工程・時間のいずれか1つを基準に決めて、基準と色を揃えるのが実務的です。
タブグループで仕事用と個人用のアカウントは分けられますか?
分けられません。タブグループは見た目の区切りであって、ログイン状態やCookieを隔離する機能ではないためです。同じプロファイルの中ではアカウントが共有されるので、分けたい場合はブラウザのプロファイルを分けるか、Cookieを隔離する仕組みを使うことになります。