safari プロファイルは仕事の分け方にどこまで使えるか
safari プロファイルを使えば、仕事と個人のブラウジングを分けられる。ただし分かれるものと分かれないものがはっきりしていて、そこを知らずに使い始めると、思っていた分け方にならない。この記事では、Appleが公開している仕様をもとに、何が分離されるのか、どこで足りなくなるのか、足りなくなったときに何を見ればよいのかを順に整理する。
対象は、Gmailを2つ以上持ち、SlackやNotionを毎日行き来していて、仕事の画面に個人のログインが混ざるのを避けたい人になる。分ける単位が2つで収まるのか、3つ以上になるのかで、答えが変わる。
Safariのプロファイルで分かれるもの、分かれないもの
プロファイルは、生活の場面ごとにブラウジングを切り分けるための仕組みだ。Appleのサポート文書では、次のように説明されている。
生活の環境ごとにプロファイルを作成して、個人用の閲覧環境と勤務先用や学校用などの閲覧環境を分けることができます。 出典: Apple サポート
分かれるのは、タブ、履歴、Webサイトデータ(Cookieを含む)、お気に入りのブックマークフォルダ、そして有効にする機能拡張の組み合わせになる。つまり、仕事用のプロファイルでGmailにログインしていても、個人用のプロファイルから見れば、そのログインは存在しない。同じサービスに2つのアカウントで入り続けられるのは、この分離があるからだ。
分かれないものが1つある。iCloudキーチェーンに保存したパスワードは、作成したどのプロファイルからも使える。これは利点として設計されていて、プロファイルを分けたからといってパスワードを入れ直す必要はない。ただし、仕事用のMacで個人のパスワードを取り出せる状態でもあるため、端末を共有している場合は前提として押さえておく必要がある。
もう1つ、ブックマーク全体は分かれない。プロファイルごとに選べるのは「お気に入り」に表示するフォルダであって、ブックマークの本体そのものは共通のままだ。仕事のブックマークを個人用の画面から一切見えなくしたい、という要求には応えない。
作り方と、切り替え方
手順は短い。Safariを開いて、メニューから「Safari」「設定」と進み、「プロファイル」を選ぶ。初めて使うときは「プロファイルを使い始める」を押す。
そのあと、プロファイルの一覧の下にある追加ボタンを押し、名前を入れて、アイコンとカラーを選ぶ。カラーは見た目の飾りではなく、いまどのプロファイルの窓を見ているかを一目で分かるようにするための印なので、仕事は寒色、個人は暖色のように、迷わない組み合わせにしておくとよい。
次に、そのプロファイルで「お気に入り」に出すブックマークフォルダを選ぶ。ここを既定のままにしておくと、仕事の窓に個人のよく見るサイトが並ぶことになるので、先にフォルダを分けておくほうが早い。最後に「プロファイルを作成」を押し、「機能拡張」からそのプロファイルで使うものを選ぶ。
切り替えは、メニューの「ファイル」「新規ウインドウ」と進み、「新規◯◯ウインドウ」(◯◯はプロファイル名)を選ぶ。ここが最も誤解されやすい点で、プロファイルの切り替えは窓の切り替えになる。タブを切り替えるようにプロファイルを行き来する操作はなく、プロファイルの数だけ窓が増える。
なお、自分で作ったプロファイルとは別に、「個人用(デフォルト)」が常に存在する。これは削除できないが、名前とアイコンとカラーは変更できるので、実際の用途に合わせて名前を付け替えておくと、窓を見た瞬間の判断が速くなる。
機能拡張はプロファイルごとに選べる
見落とされやすいが、実務でいちばん効くのがここになる。プロファイルごとに、有効にする機能拡張を選べる。
仕事用のプロファイルには、パスワード管理ツールと、業務で使う拡張だけを入れる。個人用には広告ブロックや買い物系の拡張を入れる。こうしておくと、仕事の画面に個人向けの拡張が割り込むことがなくなり、拡張がページを書き換えることによる不具合の切り分けもしやすくなる。
逆に言えば、すべてのプロファイルで同じ拡張を使いたい場合は、プロファイルを作るたびに選び直す作業が増える。プロファイルを4つも5つも作る予定があるなら、この設定作業が毎回ついてくることは見込んでおいたほうがよい。
削除すると何が消えるか
プロファイルを消す操作は、見た目より重い。Appleの説明では、プロファイルを削除すると、そのプロファイルに関連付けられているタブ、履歴、Webサイトデータが消去され、そのプロファイルで開いているすべてのWebサイトが閉じる。
つまり、ログイン状態が全部消える。二段階認証を設定しているサービスが10個あれば、その10個を入れ直すことになる。残るのは、お気に入りに指定していたブックマークフォルダだけで、これは空でない限り消えない。
試しに作ってみたプロファイルを整理するとき、中でログインを済ませてしまっていると、この作業が一気に発生する。作る前に、そのプロファイルを何に使うかを決めておくと、あとで消す回数が減る。
仕事の分け方として、どこまで使えるか
ここまでの仕様を踏まえると、使える範囲と足りなくなる範囲がはっきりする。
足りるのは、分けたい単位が2つまでで、片方を見ている間はもう片方を見なくてよい場合だ。平日の日中は仕事、夜は個人、という分け方なら、窓を1つ閉じてもう1つ開くだけで済む。追加の費用もかからない。
足りなくなるのは、次の3つのどれかに当てはまるときになる。
1つ目は、分けたい単位が3つ以上になるとき。クライアントA、クライアントB、自社、個人と並べると、窓が4つになる。窓が4つある状態では、どの窓にどのアカウントが入っていたかを覚えておく負担が戻ってきて、分けた意味が薄れる。
2つ目は、複数の窓の通知を同時に見張りたいとき。プロファイルをまたいで通知を1か所に集める仕組みは用意されていない。仕事のSlackと自社のSlackの両方を見ていたい場合、窓を両方開いたまま、それぞれの未読を自分で見に行くことになる。
3つ目は、リンクを開く先を自動で決めたいとき。Safariのプロファイルでは、メールに貼られたリンクをクリックしたときに、そのリンクが属するプロファイルの窓で開く、という振り分けは行われない。手元で開いている窓で開くので、間違ったアカウントのセッションに着地する場面が出てくる。
同じサービスに2つのアカウントで入るときの進め方
プロファイルを使う目的で最も多いのが、同じサービスに複数のアカウントで入り続けたい、という要望になる。手順そのものは難しくないが、順番を間違えると一度やり直しになる。
先に、仕事用のプロファイルを作り、その窓でGmailなり何なりにログインする。このとき、既存の「個人用(デフォルト)」の窓は開いたままでよい。窓が別であればセッションは混ざらない。
注意が要るのは、ログインの途中でリンクを踏んだときだ。認証メールのリンクを個人用の窓で開いてしまうと、そちらのプロファイルにセッションが作られてしまう。確認メールから進む種類のログインをするときは、そのメール自体を仕事用の窓の中で開くようにしておくと、取り違えが起きない。
二段階認証で認証アプリを使っている場合、プロファイルが違っても認証アプリ側の登録は1つで済む。プロファイルごとにアプリを登録し直す必要はない。ただし「このブラウザを信頼する」の記憶はプロファイルごとになるので、窓を分けた分だけ、初回はコードを求められる。
作業としては、10個程度のサービスを分けるのに30分前後を見ておけば足りる。まとめて片付けたほうが、認証アプリを何度も開き直さずに済む。
窓が増えたあとの置き場所
プロファイルを2つ以上作ると、次に困るのが窓の置き場所になる。どちらの窓を見ているか分からなくなると、分離した意味が薄れる。
いちばん効くのは、プロファイルのカラーを強く分けることだ。Safariの窓は、プロファイルのカラーが枠まわりに反映されるため、寒色と暖色のように離れた色を選んでおくと、視界の端でも判別できる。
次に、プロファイルごとに既定の検索エンジンを変えておくと、窓を取り違えたまま検索したときに気づきやすい。仕事の窓で個人の検索履歴が育つのも防げる。
macOSの機能側では、ミッションコントロールで仕事用の窓を別のデスクトップへ置き、個人用は元のデスクトップに残す形が扱いやすい。3本指のスワイプで切り替えられるので、窓を探す操作が減る。ただしこれは、切り替えの動作を覚えている間だけ楽になる方法で、分ける単位が増えるほど効き目は落ちていく。
Chromeのプロファイルとの違い
Chromeにも同じ名前の仕組みがあり、考え方はほとんど同じだ。Googleのヘルプでは、ブックマーク、履歴、パスワードなどを、プロファイルごとに分離できると説明されている。
違いはパスワードの扱いにある。Safariのプロファイルは、iCloudキーチェーンのパスワードをどのプロファイルからも使える形にしているのに対し、Chromeはプロファイルごとにログインしたアカウントへ紐づけて保存する。共有しているMacで使う場合、この差は無視できない。
もう1つの違いは、既定のプロファイルの扱いだ。Safariは「個人用(デフォルト)」が必ず残り、削除できない。Chromeでも最初のプロファイルは特別な扱いを受ける。どちらも、全部を同じ条件で並べるという作り方にはなっていない。
いずれにしても、窓の切り替えでプロファイルを行き来する構造は共通で、窓が増えたときの負担も共通になる。
分ける単位が3つを超えたときに見る選択肢
プロファイルで足りなくなる地点は、はっきりしている。分ける単位が3つ以上になり、それらを同時に見張る必要が出たときだ。
このとき見ることになるのが、アプリ単位で入れ物を分ける作りの道具になる。プロファイルが「窓ごとに分ける」のに対して、こちらはアプリごとに独立したワークスペースを持たせ、同じ1つの窓の中でアプリを切り替える。Gmailを3つ、Slackを2つ並べても、窓は1つのままになる。この分け方の具体的な形はワークスペースのページに、アプリごとにCookieの入れ物を持たせる仕組みとして説明されている。
通知の扱いも変わる。プロファイルをまたいで集められなかった未読が、1か所にまとまる形になる。その周辺の機能を通して見たい場合はできることのページに一覧がある。
同じ分野の道具は複数あり、無料で使える範囲も金額の付け方もばらばらなので、比較するなら条件を横に並べたほうが早い。製品ごとの違いはWaveboxとの比較やShiftとの比較、Ferdiumとの比較の各ページにまとめられている。対応しているサービスの一覧は使えるアプリで確認でき、一覧に無いサービスもURLを入れれば追加できる作りが一般的だ。購入前によく聞かれる点はよくある質問に整理されている。
ただし、いきなり道具を増やす必要はない。まずはSafariのプロファイルを2つ作って2週間使い、窓の行き来が苦にならないかを見るほうが確実だ。苦にならなければそれで終わりで、苦になるなら、そのときに分け方の単位を見直せばよい。
よくある質問
Safariのプロファイルを分けると、パスワードも分かれますか?
分かれません。iCloudキーチェーンに保存したパスワードは、作成したどのプロファイルからも使えます。これは入れ直しの手間を省くための設計ですが、端末を共有している場合は、どのプロファイルからでもパスワードを取り出せる状態である点を踏まえておく必要があります。
プロファイルはどうやって切り替えますか?
メニューの「ファイル」から「新規ウインドウ」と進み、「新規◯◯ウインドウ」(◯◯はプロファイル名)を選びます。タブのように切り替えるのではなく、プロファイルごとに別の窓が開く形です。そのため、分ける単位が増えるほど窓の数も増えます。
プロファイルを削除すると、何が消えますか?
そのプロファイルのタブ、履歴、Webサイトデータが消去され、開いているサイトはすべて閉じます。ログイン状態も消えるため、二段階認証を設定しているサービスは入れ直しになります。お気に入りに指定していたブックマークフォルダは、空でなければ残ります。
機能拡張はプロファイルごとに変えられますか?
変えられます。プロファイルを作るときに「機能拡張」から、そのプロファイルで使うものを選べます。仕事用にはパスワード管理ツールだけ、個人用には広告ブロックだけ、といった分け方ができます。逆に、すべてのプロファイルで同じ拡張を使いたい場合は、作るたびに選び直す手間がかかります。