Shift ブラウザをmacで使う前に|無料枠と年額の見方
仕事用のGmailと個人用のGmail、取引先が指定してくるOutlook、Slackが3つ、Notion、そこにAIの画面が2枚。この状態になったMacでは、ブラウザは作業をする場所ではなく、作業を探す場所に変わっている。shift ブラウザ macという言葉で調べる人の多くは、この段階に来ている。知りたいのは機能の一覧ではなく、この道具がアカウントを本当に分けてくれるのか、そして分けるために何を手放すことになるのかの2点になる。この記事では、Shiftが分けているものの範囲、無料でどこまで使えるか、有料に進む前に確かめる点を順に並べる。
Shiftが引き受けている問題
Shiftは、メールのアカウントとWebアプリを、Spacesと呼ぶ入れ物の中にまとめて置くデスクトップのアプリケーションだ。入れ物ごとにログインの状態が別々に保たれるため、2つ目のGmailを開いたときに1つ目からログアウトされる、という現象が起きない。設定なしで放り込めるWebアプリの一覧は1,500種類を超える規模で用意されている。
出自を知っておくと判断が速くなる。この製品は、複数のGmailを同時に扱うという課題から育ってきた経緯があり、いまもメールが中心に据えられている。設計の重心がメールにあるかどうかは、あとで向き不向きを判断するときに効いてくる。
配布まわりで先に押さえておく点が2つある。1つは、サイトが以前のtryshift.comからshift.comへ移っていること。数年前の紹介記事や古いブックマークは、会社がすでに離れた名前を指している。もう1つは、デスクトップ版がMacとWindowsに向けて提供されており、ダウンロードはファイルの直リンクではなくメールで受け取る形になっていることだ。
Shift is available on desktop for Mac and Windows. Enter your email to receive a download link and install instantly. 出典: shift.com
手元にLinuxの機械もあって行き来している人にとって、これは不便ではなく壁になる。使い方を組み立てたあとで気づくより、始める前に確かめておくほうがよい。
無料でどこまで使えて、どこから有料になるか
無料のプランは期限付きの試用ではなく、そのまま使い続けられる。含まれるのは5つのSpacesと、1つのSpacesに入れられる10個までのアプリ、端末間の同期、ブラウザの構成を作るための機能とテンプレート、そして2026年にアドレスバーへ組み込まれたAI機能の限定的な利用となる。
5つという数は、聞いた瞬間は十分に思える。ただ、自分のアカウントを正直に数えると印象が変わる。仕事のメール、個人のメール、取引先A、取引先B、それ以外、と並べただけで5つに届く。副業や、地域の役員の仕事が1つ増えると、そこで上限に触れる。1つのSpacesに10個というほうは、実際には4つか5つ置いて止まる人が多いため、先に効いてくるのはSpacesの数のほうだ。
有料のAdvancedは年額199.99ドルで提示されており、Spacesとアプリの上限が外れ、AIの利用量が広がり、メールに加えてビデオでのサポートが付く。チーム向けの価格は公開されておらず、問い合わせて見積もりを取る形になる。ここで見るべきは金額そのものより、年単位の契約であるという点だ。月々の小さな出費として始まるのではなく、1年分をまとめて決める買い方になる。
AI機能は製品の中で最も新しい部分で、独立したパネルではなくアドレスバーに畳み込まれている。返信の下書きに1日の多くを使う人には意味があるが、アカウントを分ける道具を選ぶ理由がここにあるわけではない。判断の軸は、あくまで分離と切り替えに置くほうが後悔が少ない。
同じ分類の道具を横に並べる
| 道具 | 無料でできる範囲 | 有料 | 対応OS |
|---|---|---|---|
| Shift | Spaces 5つ、1つにつきアプリ10個 | Advanced 年額199.99ドル | Mac、Windows |
| Wavebox | グループ2つ(各2アプリ)、拡張機能1つ | Pro 月8.33ドル(年払い)、Teams 1人あたり月12.50ドル | macOS、Windows、Linux |
| Ferdium | 制限なし(オープンソース) | なし | macOS、Windows、Linux |
数字は各社が公開している料金ページの記載で、予告なく変わる。金額そのものより形を見るとよい。1つは年単位のライセンス、1つは無料枠を薄くした月額の購読、1つは有志が保守する無料のソフトウェアという並びになっている。年額と月額は、途中でやめたときに残る損の大きさが違う。
それぞれの中身をもう少し細かく見るなら、機能を項目ごとに突き合わせたShiftとの比較と、月額制の側を同じ形で並べたWaveboxとの比較が参考になる。どちらも、料金だけでなく分離の単位がどこに引かれているかを揃えて書いてある。
macOSの側で手放すことになるもの
ここが2週目まで使い続けられるかを決める。ログインの状態を分けること自体は難しい処理ではない。難しいのは、それらが1つのアプリケーションの中に同居することで起きる変化のほうだ。
アプリの切り替えで1つにまとまる
どのSpacesも、Macから見れば同じ1つのアプリケーションの中にある。アプリを切り替える操作で出てくるアイコンは1つ、Mission Controlでもまとめて扱われ、Dockのバッジも合算される。長年かけて作った「あのアプリは2打鍵で出る」という手の記憶が、特定のアカウントに届かなくなる。切り替えは、まず入れ物を出して、その中で目的のSpacesを探す2段階になる。
通知の差出人が1つになる
取引先のSlackからの通知も、個人のメールの通知も、Macから見れば同じアプリケーションが出した通知になる。通知のスタイル、集中モードの例外設定、時間帯ごとの制御は、アカウント単位ではなく入れ物単位でしかかけられない。細かく分けたければ、アプリの中に用意された設定でやり直すことになり、OSの側の仕組みは使えなくなる。
外から開いたリンクは既定のブラウザに行く
メールアプリで押したカレンダーの招待、Slackのデスクトップ版で押したリンク、ターミナルから開いたURL。これらはすべて、macOSに登録された既定のブラウザに渡される。渡された側は、そのリンクがどのアカウントのものかを知らない。「権限がありません」と表示される事故の多くはここで起きており、アカウントを扱う道具そのものが既定のブラウザになっていない限り、この経路は塞がらない。
分けるほどメモリを使う
分離された画面は、それぞれ独立した描画の処理として動き、独自のCookieの保管場所を持つ。分離が本物である理由がそこにあり、同時にSpacesを増やすほどメモリの使用量が伸びる理由でもある。使っていない画面を眠らせる機能がこの分類の道具に共通して付いているのは、この費用が構造上避けられないからだ。
Chromeのプロフィールと何が違うのか
すでにChromeのプロフィールで凌いでいる人は、Spacesが何を足すのかを知りたいはずだ。紙の上では同じ仕事をしている。どちらもアカウントの集まりに独自のCookieの保管場所を与え、2つ目のGmailが1つ目を追い出す現象を止める。
違うのは周りの作りだ。Chromeのプロフィールは、アドレスバーもタブの列も拡張機能も一式そろった普通のブラウザの窓で、切り替えは同じアプリケーションの別の窓を開くことを意味する。Spacesは、横の列に並んだアプリの一覧で、ブラウザらしい部品は必要な分まで削られている。目に入る情報は減る代わりに、拡張機能の扱いや、サイトごとの権限の細かい調整は、素のプロフィールほど自由には触れない。
実務ではもう1つ差がある。Chromeのプロフィールは無料で、すでに入っていて、会社の管理部門にも説明が要らない。別のアプリケーションを入れるとなると、承認を取る対象が1つ増え、更新を追う対象が1つ増え、認証情報が置かれる場所が1つ増える。導入してはいけないという話ではなく、取引先のセキュリティの確認票が届く前に話を通しておくほうが安いという話になる。
整理すると、プロフィールは分離を解いて切り替えを放置し、入れ物型の道具は分離を解いてOSの振る舞いを一部差し出す。どちらも両方は解いていない。この分類の製品が並び立っている理由がそこにある。
支払う前に確かめる4つのこと
料金は最も比べやすく、最も当てにならない指標だ。実際に人が困るのは、値段以外の4点で起きる。
- 新規の登録が続いているか、そして提供元がドメインや名前を最近変えていないか。この製品のように移っている場合、古い情報が混ざる
- 対応するOSの一覧が、主に使う1台だけでなく、行き来しているすべての機械と合っているか
- 契約が年単位か月単位か。年単位の契約は、いちばん忙しい月に、いちばん冷静でない判断で結ばれやすい
- 支払いを止めたときに設定がどうなるか。中身が読める状態で残るのか、構成ごと開けなくなるのか
会社から貸与されたMacを使っている場合は、もう1つ加わる。会社の資格情報を保持してよいアプリケーションを限定している職場は珍しくなく、ブラウザに見えても、業務のメールにログインする以上はその規則の対象になる。先に聞けばメール1通で済み、取引先3社分を移したあとで聞けば作り直しになる。
年額のライセンスを買うなら、試用の期間は月末のいちばん荒れた日に当てるべきで、静かな日に触って決めるものではない。この編集部が保守している比較の料金は料金にまとめてあり、設定なしで窓に入れられるサービスの一覧は使えるアプリにある。
比較データから見える、選び方の分かれ目
複数の道具を同じ項目で並べていくと、分離の単位が2種類しかないことが見えてくる。1つはアカウント単位で分ける考え方で、メールが中心の人に合う。もう1つは仕事の種類で分ける考え方で、取引先ごと、案件ごとに使う道具の組み合わせが変わる人に合う。前者を選ぶと、SlackもNotionも「どのアカウントか」で並ぶ。後者を選ぶと、同じ取引先のSlackとNotionとAIの画面が1つの場所にそろう。
どちらが正しいという話ではなく、1日の中で何回どちらの切り替えが起きているかで決まる。アカウントの取り違えが多い人は前者、いま何をしていたか分からなくなる人は後者だ。後者の考え方を突き詰めると、アプリごとに独立したワークスペースを持たせて、macOSのアプリ切り替えや通知の仕組みをそのまま使える形にたどり着く。この分け方の理屈はワークスペースに、実際にどこまで分かれるのかはできることにまとめてある。
判断を助ける数え方が1つある。1日のうち、アカウントを間違えて開き直した回数と、目的の画面を探して行き来した回数を、2日だけ手元に書き出してみることだ。前者が多ければ分離の道具、後者が多ければ切り替えの道具を選ぶことになる。感覚で選ぶと、たいていは値段の安いほうか、記事で見かけた回数の多いほうに寄ってしまう。
いきなり道具を替える必要はない。まず1週間、取り違えがいちばん多い2つのアカウントだけを分けてみて、それで摩擦の大半が消えるなら問題は分離にあった。消えないなら、問題は切り替えの手間のほうにある。どちらだったかが分かってから支払いを決めても遅くない。
よくある質問
Shiftは無料でも使い続けられますか?
無料のプランは期限で止まらず、そのまま使い続けられます。含まれるのはSpaces 5つ、1つのSpacesにつきアプリ10個、端末間の同期、AI機能の限定的な利用です。上限を外すAdvancedは年額199.99ドルで、チーム向けの価格は問い合わせて見積もりを取る形になっています。
MacのどのモデルでもShiftは動きますか?
デスクトップ版はMacとWindows向けに提供されており、ダウンロードはファイルの直リンクではなくメールで届く形式です。現時点の一覧にLinuxは入っていません。Macと合わせてLinuxの機械も使っている場合は、始める前に対応の範囲を確かめておくとよいです。
Shiftを入れれば、Gmailが別アカウントで開く事故はなくなりますか?
アプリの中で開く分には解決します。入れ物ごとにログインの状態が分かれているためです。ただし、メールアプリやSlackから押したリンクは、macOSに登録された既定のブラウザに渡されます。渡された側はどのアカウントのリンクか分からないため、この経路の取り違えは残ります。
アカウントを増やすとMacが重くなるのはなぜですか?
分離された画面は、それぞれ独立した描画の処理として動き、Cookieの保管場所も別々に持ちます。これが2つのアカウントを本当に分けている仕組みそのもので、分けるほど処理も増えます。使っていない画面を眠らせる機能で負荷は下げられますが、費用の一部は構造上残ります。