Slack 複数ワークスペース表示のやり方|別メールで入った分もまとめる

会社のSlackと、副業先のSlackと、業務委託で入っているクライアントのSlack。アプリを開くと会社のワークスペースだけが出てきて、他の2つは左端の並びにいない。サインイン画面でメールアドレスを入れても、候補に出てくるのは今表示されているワークスペースだけ。slack 複数ワークスペース表示ができないと感じている状況の大半は、この形です。設定が壊れているわけでも、権限が足りないわけでもありません。参加したときのメールアドレスが違うことが、そのまま表示の差になっています。この記事では、なぜ出てこないのか、どうすれば全部を並べられるのか、並べたあとに何が残るのかを順に整理します。

Slackのアカウントは人ではなくワークスペースに付いている

多くのWebサービスは、1つのアカウントの下にプロジェクトやチームがぶら下がる作りになっています。Slackはその逆で、ワークスペースごとに別々のアカウントが作られます。表示名もプロフィール写真もステータスも通知の設定も、ワークスペース単位で保存されます。同じ人が3つのワークスペースにいるなら、アカウントも3つあるということです。

そして、そのアカウントを識別している鍵がメールアドレスです。ここから2つのことが決まります。

1つ目は、同じアドレスで複数のワークスペースに参加している場合、Slackがそれらをひとまとめに扱ってくれることです。1回の確認で候補が全部出てくるので、アカウントがワークスペース単位で作られていることに気づかないまま使えます。

2つ目は、アドレスが違えば別のまとまりになり、Slackがその2つを結び付けることはないという点です。同じ人間が使っていても、プロフィール写真をそろえても、パスワードを同じにしても関係ありません。2つのアカウントを1つに統合する機能はなく、参加している全ワークスペースをアドレスをまたいで一覧できる画面も用意されていません。

なお、1つのワークスペースの中では、同じアドレスで2つのアカウントを持つことはできません。同じ職場で別人格を持ちたい人が、結局2つ目のメールアドレスを用意することになるのはこのためです。

サインイン画面に出てこないのは、探している範囲が狭いから

標準のサインインの流れは、メールアドレスを1つ聞き、そのアドレス宛に確認コードを送り、確認できたらワークスペースの候補を出す、という順番です。ここで出る候補は、入力したアドレスにひも付いたワークスペースだけです。別のアドレスで参加したワークスペースは、消えているのではなく、そもそも検索の対象に入っていません。

抜け道は、アドレスではなくワークスペースのURLでサインインすることです。ワークスペースには必ず固有のURLがあり、デスクトップアプリでもブラウザでも、そのURLを直接指定して入り口を開けます。URLを入れたあとにアドレスを聞かれるので、そこで初めて2つ目のアドレスを使います。順番が逆になるだけで、通る道が変わります。

URLを忘れたときの探し方

URLは、すでにサインインできているワークスペースなら、サイドバー上部のワークスペース名のメニューに表示されています。招待メールの本文にも入っています。過去に共有されたメッセージのリンクにも含まれているので、メールやカレンダーの本文を「slack.com」で検索するのが早い場合もあります。アドレスを何個も試すより、URLを1つ見つけるほうが確実です。

別メールのワークスペースをすべて並べる

デスクトップアプリは、複数のワークスペースに同時にサインインした状態を保てます。そのとき、参加時のアドレスがそろっている必要はありません。左端のワークスペースの並びの下にある追加のボタンから、URLまたはアドレスを指定して1つずつ足していけば、足した数だけアイコンが並びます。先にどれかをサインアウトする必要もありません。

追加したあとの設定は、ワークスペースごとに独立して保存されます。通知のオン・オフ、おやすみ時間、サイドバーの配色、カスタムステータスは、それぞれのワークスペースで別々に決められます。クライアントのワークスペースだけ夜間は完全に黙らせて、自社のワークスペースは通知を残す、といった分け方ができます。

ここで一番引っかかりやすいのが、シングルサインオン(SSO)を使っているワークスペースです。SSOのワークスペースは、サインインの判定を会社の認証基盤に任せます。その受け渡しは既定のブラウザ上で行われるため、そのブラウザが別のアカウントでログイン中だと、Slackに入力したアドレスとは関係なく、ブラウザ側のアカウントで認証が通ってしまいます。「アドレスは合っているのにアクセス権がないと言われる」ときは、Slackではなくブラウザのログイン状態を疑うほうが早く終わります。

並べたあとに残る、メール違いが効いてくる場面

サインインは一度片付けば終わりますが、次の場面は繰り返し起きます。

  • 招待は送られたアドレスに固定されます。別のアドレスへ転送してから承認しても、作られるアカウントは元のアドレスのものです。以後のサインインでも、そのアドレスを使い続けることになります
  • メッセージへのリンクを外部から開くと、アプリではなくブラウザで開くことがあります。ブラウザ側のセッションで解決されるため、意図と違うワークスペースに着地します
  • アドレスの変更は、そのワークスペース1つの中だけで完結します。変更しても他のワークスペースは付いてこないし、既存の2アカウントが1つに統合されるわけでもありません
  • 履歴の制限もワークスペース単位です。フリープランのワークスペースでさかのぼれるのは直近の90日分で、5つのワークスペースにいる人は5つの別々の制限の下にいることになります

On the Free version of Slack, you can access the most recent 90 days of message history. 出典: slack.com

半年前のやり取りが見つからないとき、検索の書き方ではなくプランの側に理由があることは珍しくありません。どのワークスペースが有料でどれが無料かは、参加している側からは意識しにくい情報です。

アドレスを1つに寄せる案と、その限界

いっそ全部のワークスペースを1つのアドレスにそろえてしまえば、Slackがまとめて表示してくれます。この案は使える場面と使えない場面がはっきり分かれるので、着手する前に見極めたほうが時間を無駄にしません。

使えるのは、寄せ先のアドレスがそのワークスペースで受け入れられる場合だけです。ワークスペースには、参加できるメールのドメインを制限する設定があり、会社のワークスペースではこれが有効になっているのが普通です。個人のドメインのアドレスを会社のワークスペースへ移すことは、方法を変えても通りません。

SSOを使っているワークスペースも同様です。この場合、Slack側のアドレスは会社の認証基盤の側の情報とひも付いているため、利用者が設定画面から自由に書き換える対象ではなくなります。変更は管理者の作業になります。

寄せられる場合でも、新しいメールボックスを作る前にエイリアスを検討する価値はあります。Gmailはアドレスにプラス記号と任意の文字列を足しても同じ受信箱に届く仕様なので、1つの受信箱で複数の宛先を受け取れます。Slack側はそれらを別のアドレスとして扱うため、受信箱は1つのまま、参加は別々に保てます。これで片付くのは招待メールやパスワード再設定の受け取り先であって、サインインの回数は減りません。

現実的な着地点は、アドレスを1つにそろえることではありません。どのワークスペースがどのアドレスなのかを、あとから引ける場所に書き残しておくことです。今後のサインイン、招待の受け取り、アカウントの復旧は、すべてこの1つの情報の上に乗っています。

通知は分けられるが、バッジは分けられない

通知の設定はワークスペースごとに独立しています。キーワード通知、チャンネル単位の上書き、モバイルへの通知のタイミング、おやすみ時間は、それぞれ別に決められます。クライアントのワークスペースはダイレクトメッセージだけ通知し、自社のワークスペースは通常どおり受け取る、といった配分ができます。

分けられないのはバッジです。デスクトップアプリのアイコンはDockに1つしかないため、どのワークスペースの未読も同じ赤い印にまとまります。印が付いた時点で分かるのは「どこかに何か来た」ということだけで、どこかを知るにはアプリを前面に出して左端の並びを読む必要があります。急ぎの連絡でも、何か月も前にミュートすべきだったチャンネルでも、中断の大きさは同じです。

これを軽くする方法は2つあります。1つは、主戦場ではないワークスペースのチャンネルを思い切ってミュートすることです。バッジが持つ情報量が増えます。もう1つは、おやすみ時間を全体で1つ決めるのではなく、ワークスペースごとに別々に設定することです。既定のまま放置されがちな設定ですが、複数のワークスペースを抱えている人ほど効きます。

表示の方式を3つ並べて比べる

Macの上でSlackを複数使うときの形は、大きく3種類あります。違いは「同時に保持できるか」よりも「目的のワークスペースにどれだけ速く着けるか」に出ます。

ブラウザのタブ デスクトップアプリ ワークスペースごとに窓を分ける
別メールを同時に保持 プロフィール単位で可能 可能 可能
ワークスペースごとの窓 タブを引き出せば可能 1つの窓に集約 最初から分かれている
Command+Tabで届く先 ブラウザ Slack本体 そのワークスペース
未読の見え方 タブのタイトル 左端のバッジ 窓ごとに独立
再起動後に残るか セッション次第 残る 道具による

デスクトップアプリは、保持する能力では優秀です。弱いのは取り出す側です。どのワークスペースも同じアプリのアイコンの下にいるため、macOSから見ればSlackは1つしかありません。Command+Tabで選べるのはSlackであって、クライアントのSlackではない、ということです。ワークスペースが3つを超えたあたりから、左端の小さなアイコンの並びは、タブバーと同じ問題を抱え始めます。似た見た目の的を1日に何十回も目で探すことになります。

切り替えの回数から、置き場所を決め直す

ブラウザで仕事をしている場合は、セッションをどの単位で区切るかが先に決まります。Chromeのプロフィールはディスク上の別フォルダなので、2つのプロフィールに2つのSlackセッションを別アドレスで持たせても干渉しません。Firefoxのコンテナは、Mozillaが無料で配布している拡張機能でタブ単位に区切る仕組みで、1つの窓の中に別アカウントのタブを並べられます。どちらも分離は解決しますが、取り出しの速さは変わりません。プロフィールもコンテナも、結局は1つのブラウザのアイコンの下にいるからです。

区切る単位をブラウザの内側からサービス側へ移すという考え方もあります。Webサービスを1つのアプリとして扱い、アプリごとに独立したワークスペースを与えるやり方です。Slackのワークスペースが案件ごとに固定の置き場所を持つため、探す対象がアイコンの列から窓の配置に変わります。この案件単位のまとめ方はワークスペースで説明しています。どのサービスがアプリとして扱えるかは使えるアプリに一覧があり、同じ用途の他社製品との違いはWaveboxとの比較で価格と対応OSの面から並べています。

判断の基準は、ワークスペースの数ではなく、1日に何回またぐかに置くと外れにくくなります。またぐのが週に数回なら、デスクトップアプリの左端の並びで十分です。1日に何十回も行き来していて、しかも別のアドレスのアカウントが混ざっているなら、探す時間はすでに費用として払われています。請求書に載っていないだけです。金額の側は料金に、導入前に迷いやすい点はよくある質問にまとめてあります。

よくある質問

別のメールアドレスで参加したワークスペースを、1つのアプリに並べられますか?

並べられます。デスクトップアプリはワークスペースごとに別々にサインインする作りなので、アドレスがそろっている必要はありません。左端の並びの下にある追加のボタンから、ワークスペースのURLを指定して入り、そのワークスペースで使っているアドレスを入力してください。候補一覧に出てこないワークスペースでも、URLからなら追加できます。

メールアドレスを入力しても、目的のワークスペースが候補に出てきません。

候補に出るのは、入力したアドレスにひも付いたワークスペースだけです。別のアドレスで参加した分は検索の対象外なので、いくら待っても出てきません。アドレスではなくワークスペースのURLでサインインする方式に切り替えると、そのあとで正しいアドレスを聞かれます。URLは招待メールや過去に共有されたリンクから見つかります。

2つのSlackアカウントを1つに統合できますか?

統合はできません。同じ人が持っていても、Slackはワークスペースごとに別のアカウントとして扱います。できるのは、あるワークスペースの中でアカウントのメールアドレスを変更することだけで、変更してもそのワークスペース1つが移るだけです。他のワークスペースが付いてくることも、既存の2つが1つにまとまることもありません。

ワークスペースを何個も開いたままにするとMacは重くなりますか?

サインイン中のワークスペースはそれぞれ接続とキャッシュを持つため、メモリの使用量はチャンネル数ではなくワークスペースの数で増えます。ただし実務で効いてくるのは機械の負荷より注意の負荷です。1つのアプリのアイコンが全部のワークスペースを代表してしまうため、目的の場所を探す回数が増えます。使用頻度の高いワークスペースだけ別の窓に出すのが、費用対効果としては最初の一手になります。

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