タブを開きすぎたときは、閉じる前に4種類へ仕分ける
タブのタイトルが消えてファビコンだけになり、目的のページを探すのにタブバーの上をなぞる状態になっている。too many tabs openと検索して出てくる助言はたいてい「いらないタブを閉じましょう」だが、それが実行できないのには理由がある。上に並んでいるタブはどれも何かを抱えていて、幅2ピクセルのアイコンからは、まだ必要なものがどれなのか判別できないためだ。
この記事では、閉じる作業に入る前に済ませる仕分けの手順を示す。開いているタブは性質の違う4種類に分かれていて、種類ごとに正しい置き場所が違う。仕分けを先にやると、閉じる判断そのものはほとんど考えずに済むようになる。
開いているタブは、先送りにした判断の山
タブが開いたままになる理由は2つしかない。中の作業が終わっていないか、閉じてよいかどうかの判断がついていないかだ。数が増える原因は、ほぼ後者にある。
タブを開くのに判断は要らない。リンクを押せば増える。ところが閉じるときには、そのページをもう一度見つけられるか、入力途中のものが残っていないか、開いた目的は済んだのかを毎回考えることになる。小さな判断が3つ、それが90枚分あるとすれば、実際にまとまった作業量になる。ブラウザはこの判断を一切手伝ってくれない。
もう1つの問題は、タブバーが3つの役割を同時に担わされていることだ。1日中開いておくWebアプリの起動場所であり、参照中の資料の置き場であり、あとで読むつもりのページを溜める予定表でもある。ラベルのないアイコンが横一列に並んだ形は、この3つのどれにとっても使いにくい。3つが混ざるとさらに悪くなる。
必要なのはタブを減らすことではなく、混ざっている役割を分けて、それぞれに合った置き場所を与えることになる。
1本のタブバーに同居している4種類
散らかったタブバーの中身は、ほぼこの4つに分類できる。名前を付けるところが要点で、種類ごとに取るべき行動が違うため、同じ扱いをしている限り片付けた実感が出ない。
- アプリ … メール、チャット、カレンダー、案件管理、メモ。これはページではなくソフトウェアで、特定のアカウントに紐づいていて、今日何があっても明日の朝また開く。だいたい4〜8個ある
- 参照中の資料 … いま進めている作業のために開いている仕様書、チケット、ドキュメント。寿命は数時間から数日。枚数が多くても正当な理由がある唯一の種類で、作業が終われば自然に不要になる
- 読むつもりの列 … 読もうと思って開いて、読んでいない記事やスレッド。溜まる速度が消化する速度を上回る。後ろめたさが伴うため、いつまでも閉じられない
- 残りかす … 検索結果のページ、途中で経由しただけのページ、1つだけ確認するために開いたページ、サイトの仕様で勝手に新しいタブに開いたリンク。90枚のうち30枚程度がこれということも珍しくない
10分で終わる仕分けの順番
タブバーの左端から順に見ていく方法は取らない。まずタブ検索の一覧を開く。同じタブがタイトル付きの縦のリストで表示されるため、アイコンではなく文字で判断できるようになる。これができるかどうかで、仕分けの所要時間が変わる。
そのうえで、次の順に進める。前の段階が終わるほど、次の段階の作業量が減る形になっている。
- 残りかすを先に全部閉じる。1枚あたり1秒かからず判別でき、しかも全体の3分の1前後を占める。定義上、すでに用が済んだものしか入っていないので、失うものは無い
- 読むつもりの列を外に出す。リーディングリストかブックマークのフォルダに、選別せずまとめて移す。ここで「これは本当に読むか」を考え始めると手が止まる。この列の問題は読まないことではなく、1日中視界を占有していることなので、移した時点で問題は解決している
- 残った参照中の資料を作業ごとにグループへまとめる。ここまで来れば数は目で追える程度に減っている。まとめておくと、作業が終わったときに一括で閉じられる
- アプリは最後に、別扱いで考える。片付けの問題ではなく、置き場所の設計の問題だからだ
途中で止まる原因は2つある。1つは「まだ必要か確かめる」ためにタブを開いてしまい、10分の仕分けが2時間の読書になること。判断はタイトルだけで行い、タイトルで決まらないものはリーディングリストに送る、と決めておけば防げる。もう1つは、入力途中のものが埋もれているのではないかという不安だ。これが当てはまるのは実際には1枚か2枚なので、先にフォームや編集画面だけを探して処理し、残りは気にしないでよい。
種類ごとの正しい置き場所
| 種類 | 寿命 | 適した置き場所 | タブに置くと起きること |
|---|---|---|---|
| アプリ | 恒久 | 固定された専用の窓 | 資料に埋もれ、再読み込みされ、ログアウトする |
| 参照中の資料 | 数時間〜数日 | 作業名を付けたタブグループ | 作業終了後も残り、残りかすに変わる |
| 読むつもりの列 | 不定 | リーディングリスト、ブックマーク | 毎日ずっと視界を占有し続ける |
| 残りかす | 数分 | 閉じる | 静かに増えて、他のタブを見えなくする |
寿命の列だけを縦に読むと、判断の基準が1本に見えてくる。分単位のものは閉じる。時間単位のものはまとめる。年単位のものは、そもそもタブバーに置く対象ではない。タブバーが本来想定していたのは、真ん中の1行だけだ。
いちばん厄介なのは最初の行になる。アプリのタブと残りかすのタブは、タブバーの上では見た目がまったく同じで、しかも隣り合って並ぶ。1日中使う6個が、4秒しか使わない30個と同じ場所を取り合っている状態になる。
1週間で元に戻る理由
仕分けをしても数が戻るのは、意志が弱いからではない。タブを増やす仕組みが3つあり、そのうち自力で止められるのは1つしかない。
1つ目は、Webアプリの多くがリンクを新しいタブで開く設定になっていることだ。共有リンクが6本並んだチャットのスレッドを追うと、意識せずに6枚増える。
2つ目は、探すより検索するほうが速いことだ。同じページがもう一度必要になったとき、新しいタブを開いて検索すれば数秒で着く。散らかったタブバーから既存のタブを見つけるほうが時間がかかる。結果として同じドキュメントのページが3枚開いている状態が生まれる。これは別の悪癖ではなく、枚数が多いことの症状にあたる。
3つ目は通知だ。Webアプリからの通知は、そのアプリに注意を引き寄せる。そのアプリが決まった場所に開いていなければ、また新しい場所に開くことになる。置き場所が固定されているアプリでは、この増え方は起きない。
自分で止められるのは3つ目だけで、そしてそれがいちばん効く。1つ目と2つ目が増やすのは寿命の短いタブなので、放っておいても仕分けの対象になる。3つ目が増やすのは決して閉じないタブのほうだ。仕分けを繰り返しても状態が戻る人は、この3つ目が原因になっている場合が多い。
ブラウザの機能で直る範囲
ブラウザに最初から入っている機能は、それぞれ違う問題を解いている。よく勧められる組み合わせが噛み合わないことがあるので、何を解決する機能なのかを分けておく。
メモリ関連の機能が解決するのはメモリだ。Chromeのメモリセーバーは、使っていないタブのメモリを解放する仕組みで、公式のヘルプには休止させない条件も公開されている。
「アクティブな音声や動画(再生または通話)」「画面共有」「ページ通知」「アクティブなダウンロード」「一部記入済みのフォーム」「固定タブ」「接続済みのデバイス(USB または Bluetooth)」 出典: support.google.com
この条件の設計自体は妥当で、そして枚数の問題とは無関係だ。休止したタブもタブバーの場所は占有し続ける。100枚のタブを軽快に動かせるMacでも、その中から1枚を探す人にとっては使いにくいままになる。
タブグループが解決するのは探しにくさで、これは実際に効く。12枚が1つのラベルに畳まれれば、タブバーは再び読めるようになる。ただしグループは寿命を決めてくれない。主題の名前を付けたグループは終わりが来ないので閉じられず、恒久的なグループが8つ並べば、1段上で同じ問題が再現する。名前は「請求フローの改修」のように、終わったと分かる形にする。
リーディングリストが解決するのは読むつもりの列で、開く日を決めるという条件付きで効く。誰も開かないリーディングリストは、同じ積み残しを静かな場所に移しただけだが、視界から消えている分だけ改善している。
どの機能も埋めないのがアプリの問題になる。タブバーには「恒久的な項目」という概念が無い。これから2年間開き続けるものと、4分前の検索結果が、まったく同じ構造の中に並ぶ。
タブ管理の拡張機能を入れる前に確かめること
検索して出てくる解決策の多くは拡張機能の紹介に行き着く。ここで先に確認しておく点がある。Chromeの拡張機能の作り方は世代交代を終えており、古い世代のものはすでに動かない。
Googleが公開している移行の日程では、2025年7月24日のChrome 138で、すべての利用者に対してManifest V2の拡張機能が無効化され、利用者の側で再び有効にする手段も無くなった。例外を許していた企業向けのポリシーもChrome 139で削除されている。さらに2026年8月31日には、残っていたManifest V2の拡張機能がChromeウェブストアから削除された。
つまり、数年前の記事で高く評価されていたタブ管理の拡張機能が、いま同じURLに存在しないことがある。存在していても、新しい作りに書き直された別物になっている場合がある。導入する前に、ストアの掲載ページで最終更新日を見て、平均評価ではなく直近のレビューを読む必要がある。何年も前に付いた平均点は、移行を乗り越えたかどうかを何も語らない。
作りの世代とは別に、権限の面でも確認しておきたい点がある。タブの集合を扱う拡張機能は、そのプロファイルで開いているすべてのタブを読み書きできる。タブバーを整理するために入れる道具として想像するより、広い権限になる。きちんと保守されている道具なら妥当な取引だが、更新の止まったまま動いているだけの拡張機能に渡す権限としては見合わない。
恒久的なものに、恒久的な置き場所を与える
残る選択肢は、アプリをタブとして扱うのをやめることだ。Webアプリをまとめるブラウザは、アプリごとに独立したワークスペースを割り当てて、メールは常にメールの場所、チャットは常にチャットの場所に固定する。資料を読んでいるタブバーの中に、アプリが混ざらなくなる。残るのは寿命の短い参照だけなので、タブバーは放っておいても軽くなっていく。
この形が実際にどこまで分かれるのかはできることのページに整理があり、どのサービスがそのまま入るのかは使えるアプリの一覧で確認できる。ターミナルまで同じ窓に置けるかどうかは開発の仕事をしている人には差になるので、ターミナルの説明も合わせて見ておくとよい。似た発想の製品どうしの違いを知りたい場合はShiftとの比較やRamboxとの比較に、機能と料金の対応がまとめられている。
まず4種類の仕分けを1回だけ実行して、残ったタブの数を数える。残ったものの大半が参照ではなくアプリだったなら、問題は最初から枚数ではなかったことになる。その場合、どれだけ閉じても状態は戻る。アプリをタブバーの外へ出すことが、唯一持続する変更になる。
よくある質問
タブは何枚までなら問題ないですか?
決まった枚数はありません。限界を決めるのはメモリではなく読みやすさで、タブのタイトルが消えてカーソルを当てないと判別できなくなった時点が境目です。一般的なノートPCの画面では20枚から30枚のあたりで起きます。それ以上を軽快に動かせる機械でも、目で探す作業は成立しなくなります。
タブを閉じるとメモリは実際に空きますか?
空きますが、期待したほどではない場合があります。最近のブラウザは使っていないタブのメモリを自動的に解放するため、長く触っていないタブを閉じても戻る量はわずかです。閉じることの効果は、システムの資源よりも、探す速度と注意の面に出ます。
入力途中のフォームがあるタブを閉じても大丈夫ですか?
確実とは言えません。記入途中のフォームは自動的な休止の対象から外れますが、その保護が働くのはブラウザによる自動処理に対してであり、手動で閉じる操作には及びません。入力したまま保存していない内容は、送信するか別の場所に控えてから閉じてください。
ブックマークに入れるのと、タブを開いたままにするのはどちらがよいですか?
いま使っているのではなく保管しておきたいものなら、ブックマークが適しています。ブックマークは置いておく間の負担がありませんが、タブは1日中タブバーの場所を占有します。保存したページはあまり読み返されないという前提を知ったうえで、まとめて移すのが現実的です。