Stackブラウザの手順|入れる前に決めておくこと

Stackブラウザ tsukaikata で検索してこのページにたどり着いた人の多くは、インストールの方法そのものに困っているわけではありません。困っているのは、入れたあとに何をどこへ置けばいいのかが決まっていないことです。タブを前提に組み立てられた手順書をそのまま持ち込むと、カードが横に伸びていくだけで、結局いまのブラウザと同じ状態が再現されます。ここでは、入れる前に決めておくと後戻りが減る項目を、公式サイトで確認できる条件だけを使って順番に並べます。

タブを並べる道具から、置き場所を決める道具へ

ここ数年、ブラウザの作りは二手に分かれています。片方はタブを速く探せるようにする方向で、縦に並べる、グループにまとめる、検索で呼び出す、といった改良が続いています。もう片方は、そもそもタブという単位をやめる方向です。後者は数が増えること自体を前提にしていないので、操作の考え方が根本から変わります。

Stackは後者に属します。公式サイトのトップページには、タブの代わりにカードが横に並ぶという説明が置かれています。

In Stack, instead of tabs, you have cards aligned side by side in a spatial environment. 出典: stackbrowser.com

この一文が意味するのは、画面の見た目が変わるということではありません。ひとつの画面に同時に映すものを自分で選ぶ、という判断が毎回発生するということです。タブなら「とりあえず開いておく」が成立しますが、カードを横に並べる作りでは、並べた分だけ一枚あたりの幅が狭くなります。つまり、開く判断と閉じる判断を先送りできません。

この違いを理解しないまま使い始めると、最初の数日で「画面が狭い」「前のブラウザのほうが速かった」という感想になります。逆に言えば、入れる前に置き場所の設計を済ませておけば、その数日を飛ばせます。

入れる前に決めておく3つのこと

手を動かす前に決めておきたいのは次の3つです。どれも、あとから変えると作り直しになる部分です。

  • 毎日開くWebアプリを何本に絞るか。メール、チャット、タスク管理、ドキュメント、生成AIの窓口あたりで、実際には5本から8本に収まることが多い
  • 仕事と私用のアカウントをどう分けるか。同じサービスに2つのアカウントでログインするなら、プロファイルを分ける前提で数える
  • いまのブラウザに何を残すか。全部を移す必要はなく、調べもの用のブラウザは別に残したほうが移行が楽になる

3つ目を飛ばす人が多いのですが、ここが移行の成否を分けます。新しいブラウザに全部を持ち込もうとすると、検索結果から飛んだ先の一時的なページまでカードとして並び始め、常駐させたいアプリが埋もれます。日々ログインしたまま置いておくものと、開いて読んで閉じるものは、置き場所を分けたほうが結果的に速くなります。

手順1: 自分のMacに合う配布物を選ぶ

公式のダウンロードページは、OSを選んでから配布が始まる作りになっています。用意されているのはIntel向け、Apple M1・M2向け、Windows向けの3種類です。Linux向けの配布物はこのページには並んでいません。

AppleシリコンのMacを使っているのにIntel向けを入れると、Rosettaを介した動作になります。起動はしますが、常駐させて一日中開いておく道具でこの差を背負う理由はありません。アップルメニューの「このMacについて」でチップ名を確認してから選んでください。チップ名にAppleの文字が入っていればApple M1・M2向け、Intelと書かれていればIntel向けです。

インストール直後にやっておくとよいのは、既定のブラウザをまだ切り替えないことです。メールやSlackのリンクをクリックしたときにどのブラウザが開くかは、macOSのシステム設定で決まります。ここを最初の日に切り替えると、使い勝手の評価と既定ブラウザの変更が混ざって、何が原因で不便なのかが分からなくなります。1週間ほど並走させてから切り替えるほうが、判断の材料がそろいます。

手順2: プロファイルとFlowの割り当てを決める

Stackには2つの単位があります。プロファイルとFlowです。この2つを混同したまま使い始めると、あとで整理し直すことになります。

プロファイルは、ログイン状態やCookieを分ける単位です。公式サイトでは、プロファイルはいくつでも追加でき、Personal、Work、Incognitoのように切り替えられると説明されています。同じサービスに仕事用と私用の2つのアカウントを持っているなら、ここで分けます。

Flowは、一緒に並べて使うカードのまとまりです。無料のStarterプランでは作れるFlowが5つまでと明記されています。ここが最初の設計で効いてくる制約です。5つしか作れないなら、まとまりの切り方は「サービス別」ではなく「作業別」にしたほうが破綻しません。

  • サービス別に切ると、メール、チャット、ドキュメント、と並べただけで枠が埋まる
  • 作業別に切ると、朝の確認、案件A、案件B、調べもの、私用、のように、実際の時間の使い方と一致する

作業別に切っておくと、切り替えたときに画面に出てくるものが「いまやること一式」になります。これがアプリごとに独立したワークスペースという考え方の基本で、どの道具を使う場合でも共通します。似た考え方の整理はワークスペースのページで、切り替えの単位ごとに何が分かれるのかという形でまとめられています。

手順3: キーボードの操作を先に覚える

公式サイトでは、Fly Modeという移動の仕組みと、その呼び出しに ⌘ Esc が割り当てられていることが示されています。一キーで移動できることを前面に出している作りなので、マウスで探す使い方をしているうちは速さが出ません。

覚える順番としては、最初の日に移動の呼び出しだけを体に入れて、細かいショートカットは後回しにするのが現実的です。移動が速くなると、カードを開いたままにしておく必要が減ります。開いたままにしないで済むなら、一枚あたりの幅が広く保てます。この連鎖が、カード型の作りで快適さが決まる仕組みです。

拡張機能については、Chrome向けの拡張機能が使えるという説明が公式サイトに置かれています。ただし、移行の初日に手持ちの拡張機能を全部入れるのは勧められません。パスワード管理と広告の扱いだけを先に入れて、残りは1週間使ってから、実際に足りないと感じたものだけを足すほうが、原因の切り分けが効きます。どのWebサービスが想定されているかという観点は使えるアプリの一覧が参考になり、常駐させる前提のサービスとそうでないものの線引きを確認できます。

手順4: 通知をどこで受けるかを決める

複数のWebアプリを1つの窓にまとめると、通知の出どころが1か所に集まります。集まること自体は整理になりますが、そのまま全部を許可すると、作業中の画面に全アプリの通知が降ってくる状態になります。

決めておきたいのは、返事の速さが要るものとそうでないものの線引きです。チャットは即時、メールは1時間に1回まとめて見る、タスク管理は通知を切って自分から見に行く、といった形で、アプリごとに扱いを変えます。macOSの通知設定とブラウザ側の設定が二重にかかるので、切ったつもりで届く場合は両方を確認してください。

もうひとつ、常駐させると決めたアプリは、閉じずに置いておくのが前提になります。閉じたり開いたりを繰り返すと、ログインの状態や読み込みのやり直しが毎回発生し、まとめた意味が薄れます。常駐させるものを絞る判断は、前段の「毎日開くWebアプリを何本に絞るか」に戻ってきます。

通知を絞ったあとに効いてくるのが、音と表示の使い分けです。音が鳴るものは作業を止める種類の連絡だけに限り、それ以外はバッジの数字だけにしておくと、画面を見に行くかどうかを自分のタイミングで決められます。追跡や広告の扱いについては、公式サイトに追跡なしで閲覧できるという説明が置かれていますが、業務で使う社内システムが特定の仕組みを前提にしている場合は、遮断の設定が強すぎると画面が正しく出ないことがあります。うまく表示されないページが出たときは、拡張機能と遮断の設定を一度切って切り分けてください。

無料で使える範囲と、有料に切り替わる線

公式の料金ページで示されている区分は次の通りです。数字は同ページの表記に基づきます。

プラン 価格 Flow テーマ
Starter Free forever 5 3色
PRO Subscription 144ドル/年 または 15ドル/月 無制限 11色
PRO Lifetime 199ドル(元値864ドル) 無制限 11色

プロファイルの数は無料のStarterでも無制限と書かれています。つまり、アカウントを分けたいだけなら無料の範囲で足ります。有料に切り替える判断が出てくるのは、Flowが5つでは足りなくなったときです。前述のとおり作業別に切れば5つで回ることが多いので、まずは無料のまま1か月使って、足りなくなってから考えるのが無駄がありません。

Lifetimeの枠は、料金ページ上で売り切れの表示になっています。また、ライブ共同編集は「coming soon」として扱われており、現時点で使える機能としては数えられません。運営元はフッターに Stackers - Delaware と記載されています。買い切りを前提に検討していた場合は、この2点を先に確認してから判断してください。他の道具の価格帯と並べたいときは料金のページに年額と月額の考え方が整理されています。

別の作りのブラウザと見比べるときの視点

同じ「複数のWebアプリを1つの窓にまとめる」という説明でも、中身の作りは道具によってかなり違います。見比べるときに効く軸は3つあります。

1つ目は、分離の単位です。カードやタブを並べる単位と、ログイン状態を分ける単位が同じなのか別なのかで、アカウントの使い分けやすさが変わります。2つ目は、常駐の扱いです。開いたままにしたアプリを裏で生かしておくのか、切り替えたときに読み込み直すのかで、メモリの使い方と体感速度が入れ替わります。3つ目は、拡張機能やキーボード操作をどこまで引き継げるかです。

こうした軸で他の道具と並べた整理としては、月額の考え方や同居できるアプリ数の扱いが異なるWaveboxとの比較、常駐の仕組みと通知の扱いに差があるShiftとの比較、オープンソース由来の系統をたどれるFerdiumとの比較が参考になります。どれも価格だけでなく、何が分かれて何が共有されるのかという観点で並べてあるので、自分の使い方に近い軸を先に決めてから読むと判断が速くなります。

導入の可否を決めるときに最後に効くのは、実際の一日の流れです。朝いちばんに何を開くか、打ち合わせ中に何を横に並べるか、夜に何を閉じるか。この3つを紙に書き出してから設定に入ると、Flowの切り方もプロファイルの数もほぼ自動的に決まります。設定画面を開いてから考え始めると、既定値に引きずられて、いまのブラウザの散らかり方をそのまま移すことになります。細かい条件はよくある質問の形でまとまっている項目もあるので、迷った点はそちらで確認してください。

よくある質問

Stackブラウザは無料のままでも使えますか?

公式の料金ページでは、Starterが Free forever と表記されており、プロファイルは無制限、Flowは5つまで、テーマは3色まで使えると書かれています。アカウントを分ける目的だけなら無料の範囲で足ります。有料のPROに切り替える判断が必要になるのは、Flowが5つでは足りなくなったときです。

有料プランの価格はいくらですか?

料金ページの表記では、PRO Subscriptionが年144ドル、または月払いで15ドルです。買い切りのPRO Lifetimeは199ドル(元値864ドル)と書かれていますが、同ページ上では売り切れの表示になっています。ライブ共同編集は coming soon の扱いで、現時点で使える機能としては数えないほうが安全です。

Apple シリコンのMacとIntelのMacで配布物は違いますか?

違います。ダウンロードページでは Intel、Apple M1/M2、Win の3つから選ぶ形になっています。アップルメニューの「このMacについて」でチップ名を確認してから選んでください。Apple シリコンのMacにIntel向けを入れるとRosettaを介した動作になり、一日中常駐させる用途では不利になります。

いまのブラウザは消したほうがいいですか?

消さずに残すほうが移行は楽です。常駐させたいWebアプリだけを新しいブラウザに移し、検索から飛ぶ一時的なページは従来のブラウザに残す形にすると、カードが増えすぎる問題を避けられます。既定のブラウザの切り替えも初日ではなく、1週間ほど並走させてから決めるほうが判断材料がそろいます。

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