Stackブラウザの費用|無料でできる範囲
Stackブラウザの費用を調べている人が本当に知りたいのは、金額そのものより「無料のままどこまで実用になるのか」だろう。公式の料金ページには、無料の段階と月額と買い切りの3つが数字付きで並んでいる。ただしその表には、どの制限が自分に最初に効いてくるのかまでは書かれていない。この記事では、公開されている金額を整理したうえで、無料の範囲が現実の使い方に耐えるかどうかを判断できる形に落とす。結論を先に言えば、判断を分けるのは金額ではなく、無料で作れる束の数だ。
無料のStarterに含まれている4つ
公式の料金表では、無料の段階は Starter と呼ばれ、free forever と書かれている。含まれるものは4項目だ。
- ブラウジングの基本機能(browsing essentials)
- プロファイル無制限
- Flow が5つまで
- テーマの色が3色まで
このうち2つは同じ分野の他の製品より寛容で、2つが柵になっている。
寛容な側で目立つのがプロファイル無制限だ。複数のWebサービスを1か所にまとめる道具では、分けられる身分の数こそが有料の理由になっていることが多い。ここでは無料の段階から無制限と書かれている。仕事用と個人用のGmailを同時に開きたい、会社のSlackと副業のSlackを分けたい、という目的で探しているのであれば、少なくとも表の上では無料の範囲で足りることになる。まずここを実際に試して確かめるのが、費用を検討する前の順番として正しい。
テーマの色数は見た目の話なので、判断からは外してよい。ただし、色で文脈を見分ける運用をするつもりなら、無料では3つの文脈までが色で区別できる上限になる、という読み替えはしておきたい。
最初に当たるのは「Flow が5つ」の上限
Flow は、カードの束にあたる単位だ。公式の料金ページには Flow の例として work-work・personal・study・news・shopping・trip-to-India という6つが並んでいる。例として挙げられている数が6で、無料で作れる数が5だという点は、そのまま実務の目安になる。
現実的な配置で数えてみる。本業で1つ、副業か2社目の取引先で1つ、個人の用事で1つ、資料を読む用で1つ。ここまでで4つだ。5つ目は、取引先がもう1社増えた時点か、講座を受け始めた時点か、旅行の準備を始めた時点で埋まる。無料の範囲が狭いというより、「本業+私生活」の規模に合わせて設計されていると理解したほうが近い。取引先を3社以上抱えて案件ごとに分けたい人は、早い段階で上限に触れる。
上限の中で収める方法は2つある。1つは、Flow を案件ごとではなく恒久的な区分として使い、取引先の違いはプロファイルとカードの並びで吸収する方法だ。もう1つは、Flow を使い捨てとみなし、案件が終わったら畳んで作り直す方法になる。どちらも成立するが、どちらを選ぶかは入れてから考えるより先に決めたほうがよい。入れてから決めると、上限に当たった日にそのまま課金するかどうかを迫られる。
公開されている3つの金額
| 段階 | 金額 | Flow | テーマ |
|---|---|---|---|
| Starter | 無料 | 5つ | 3色 |
| PRO Subscription | 月額15ドル、または年額144ドル | 無制限 | 11色 |
| PRO Lifetime | 199ドル(通常864ドルとして表示) | 無制限 | 11色 |
年額の144ドルは月あたり12ドルにあたるので、月額を12回払うより36ドル安い。買い切りの199ドルは、月額換算でおよそ13か月分、年額換算でおよそ17か月分に相当する。つまり1年半ほど使い続ける見込みが立つなら買い切りのほうが安く、そこまで使うか分からない段階では月額のほうが安い。判断に必要な計算はこれだけだ。
買い切りには、購読には付かない項目が並んでいる。専用のカーソル2種、NFTに紐づくライセンス、Stacker としての位置づけと特典、Stacker's Share program への参加権だ。加えて数に限りがあり、料金ページの counter は確認時点で 993 sold out of 4242 と表示されていた。4,242本のうち993本が売れた状態ということになる。
After the lifetime licenses are sold out, we will activate a regular recurring subscription yearly price of which is $144. 出典: stackbrowser.com
買い切りが売り切れた後は、年額144ドルの購読が通常の提供形態になる、と公式が明記している。なお表示はすべて米ドルなので、日本から支払う場合の円での負担額は、為替と決済手段の手数料で変わる。円建ての固定価格は公表されていない。
無料の範囲で足りるかは、1晩で確かめられる
料金の判断は、比較記事を何本も読むより、手を動かして確かめたほうが早く終わる。所要時間は1時間ほどで、確かめる項目は3つしかない。
1つ目は、Flow を実際に5つ作って名前を付けてみることだ。本業、2社目、個人の用事、資料を読む用、と順に埋めていって、5つ目を付ける前に6つ目が思い浮かんだなら、無料の範囲では収まらない。逆に、5つ目の名前が出てこず1枠余るなら、上限は理論上の話にとどまる。名前を付ける作業そのものが判定になる。
2つ目は、プロファイル無制限が期待どおりに働くかの確認だ。同じサービスに2つのプロファイルでログインし、両方を開いたまま放置する。片方に入ると片方が落ちないか、ダウンロードしたファイルがプロファイルごとに別の場所へ入るか、届いた通知にどちらのアカウント宛かを示す情報が載っているか。この3点が揃って初めて、無料の段階でアカウントを分けられると言える。表の1行を鵜呑みにせず、自分のサービスで確かめるのが確実だ。
3つ目は、テーマの色数と自分の文脈の数を突き合わせることだ。色で文脈を見分けるつもりがないなら、3色と11色の差は判断材料から外してよい。色で見分けるつもりなら、3色は3つの文脈までという上限の言い換えになる。同じ行でも、使い方によって意味が変わる。
この3つを確かめた時点で、無料で足りるかどうかの答えは出る。機能一覧を読み比べても「たぶん足りる」以上の結論は出ない。
支払いが「入場券」も兼ねている点
有料の段階を検討するときに見落とせないのが、この製品がクローズドベータであるという前提だ。ライフタイムのライセンスを買うことは、公式FAQで早期アクセスを得る経路の1つとして説明されている。つまり支払いの対価は機能だけではなく、使い始める権利も含んでいる。
資金の使い道も公式に書かれている。ライフタイムの販売収益は、共同編集の最初の版を出すための費用に充てるとされ、限定販売の理由として「前払いの資金を作ること」と「同じ方向を向く利用者の輪を広げること」の2つが挙げられている。有料の機能一覧に並んでいる live collaboration には、購読・買い切りのどちらの列にも coming soon が添えられている。支払う理由として提示されている機能が、同じ表の中で未提供と明示されている形だ。
この構造は批判の対象ではない。個人や小規模チームが作るソフトウェアでは一般的な資金調達の形で、実際に完成する例も多い。ただし買い手が立てるべき問いは変わる。「ブラウザに199ドルは高いか」ではなく、「公表されている計画が完成する側に199ドルを置けるか」になる。金額の重さより、年額17か月分を前払いする性格のものだと理解しておくほうが、後で迷わない。
返金の条件は2通りある
返金については、通常の条件と、NFTが付いた場合の条件が別々に書かれている。
通常は、購入から14日以内に申請でき、申請から5営業日以内に処理されるとされている。この部分は同じ分野の他の製品と大きく変わらない。
買い切りのライセンスにNFTが紐づいている場合は扱いが異なる。公式の説明では、返金を受けるにはまずそのNFTを OpenSea に出品する必要があり、出品から30日経っても売れなかった場合に、会社が当初の購入額に相当する米ドルで買い戻す、という手順になっている。
買い切りの数量に限りがある点も、返金の考え方に関わってくる。料金ページの表示は確認時点で4,242本のうち993本が販売済みという状態で、売り切れれば年額の購読が通常の提供形態になると書かれている。残りが多い状態なら、急いで決める理由はそれほど強くない。数に限りがあるという表示は、締切の通知というより、開発資金がどこまで集まったかを示す目盛りとして読むほうが実態に近い。
隠された条件ではなく料金ページに明記されている内容だが、14日以内に申請すれば終わる話とは性格が違う。出品という手順と30日の待機が挟まるため、トークンを保有したり出品したりすること自体に抵抗がある場合は、購読のほうが精神的な負担は軽い。買う前に原文を読んでおく手間は、金額に比べれば小さい。
同じ分野の料金は、形で比べる
この分野の料金は、月額の購読、年額の割引、買い切りの3つの形に分かれる。金額の大小より、どの形を採っているかを先に見たほうが比較が早い。
月額は離脱が簡単で、合わなければ翌月に止められる。年額は割引と引き換えに1年分を先に決める。買い切りは継続費用を1回の支払いに変える代わりに、製品が続くかどうかの危険を買い手が引き受ける。Stackブラウザは3つすべてを公開しているのが特徴で、買い切りは1年半ほど使ってようやく年額より安くなる位置に置かれている。
他社と比べるときは、年間の総額だけでなく「無料の段階で何が上限になっているか」を並べるのが実務的だ。上限の種類が課金の理由そのものだからだ。扱えるサービスの数を上限にする製品もあれば、1サービスあたりのアカウント数を上限にする製品もある。ここではアカウントを無制限にしたうえで束の数を上限にしている。購読型の料金体系がどう組まれているかはWaveboxとの比較で段階ごとの区切り方を確認できる。同じアプリごとに独立したワークスペースという考え方でも、課金の区切りをどこに置くかは製品ごとに違う。年額の相場感をもう1つ持っておきたい場合は料金の段階の分け方も並べて見ると、金額の妥当性を判断しやすくなる。
もう1つ、どの料金表にも出てこない費用がある。他のブラウザからの取り込み機能がまだ用意されていないため、移行にかかる手間は時間として支払うことになる。毎日使っている環境を組み直す時間は、多くの人にとって月額15ドルより重い出費だ。
支払う前に数えておく2つの数字
判断に必要な数字は2つしかない。1つは、自分の理想的な配置に必要な Flow の数だ。5つ以下で収まるなら、無料の段階がそのまま答えになり、購読を検討する段階にまだ来ていない。もう1つは、この道具を使い続ける見込みの月数だ。17か月を超える見込みが立つなら買い切りの計算が合い、立たないなら月額のほうが損をしない。
そのうえで、クローズドベータであること、共同編集が未提供であること、返金の手順が通常と異なる場合があることの3点を確認しておけば、支払いの判断に必要な材料は揃う。機能の一覧を眺めて迷うより、この2つの数字を先に出すほうが早く決まる。毎日何回その道具を通るか、そして何か月通い続けるか。費用対効果はほぼその2つで決まっている。
よくある質問
Stackブラウザは無料のままどこまで使えますか?
公式の料金表では、無料の Starter にブラウジングの基本機能、プロファイル無制限、Flow 5つ、テーマ3色が含まれ、期間の制限は書かれていない。実質的な上限は Flow の数なので、束が5つに収まる使い方なら無料のまま続けられる。上限に当たるのは取引先や案件が増えたときになる。
有料版はいくらですか?
料金ページには月額15ドル、年額144ドルが記載されている。年額は月あたり12ドルの計算になる。買い切りの PRO Lifetime は199ドルで、通常864ドルという表示と並んでいる。買い切りは数量限定で、確認時点の表示は4,242本のうち993本が販売済みだった。
買い切りと月額はどちらが得ですか?
使う期間で決まる。199ドルは月額15ドルの約13か月分、年額144ドル換算では約17か月分にあたる。1年半を超えて使う見込みが立つなら買い切りの計算が合い、それより短いなら月額のほうが安い。加えて買い切りは返金の手順が通常と異なる場合がある点も判断材料になる。
返金はできますか?
通常は購入から14日以内に申請でき、5営業日以内に処理されると公式に書かれている。ただし買い切りでNFTが紐づいている場合は手順が異なり、まず OpenSea に出品し、30日経っても売れなければ会社が当初の購入額相当の米ドルで買い戻す、という流れになる。購入前に料金ページの該当箇所を読んでおくのが確実だ。