Vivaldiのワークスペースの代わり|手放してよい機能

Vivaldiのワークスペースを仕事用、調べもの用、私用と作り込んだあとで、代わりになるものを探し始める人がいる。理由はたいてい2つのどちらかで、ワークスペースを2つ同時に並べて見たいのに並べられないか、分けたつもりのログインが分かれていなかったかである。代わりを探す前にやることは、ワークスペースが実際に担当している仕事を分解することだ。担当している仕事が4つあり、そのうち3つはVivaldiの中の別の機能で置き換えがきき、残り1つはそもそもワークスペースの担当ではない。

ワークスペースがやっている仕事は4つに分かれる

公式の説明では、ワークスペースはタブとタブスタックをカテゴリごとにグループ化し、選んだワークスペースのタブだけをウィンドウに表示する機能だと書かれている。この説明を、日々の使い方に引き直すと4つになる。

  • 束ねる。関係するタブを1つの名前の下に集める
  • 隠す。いま作業していないカテゴリのタブを視界から消す
  • 戻る。ブラウザを閉じても、その束が次に開いたときも残っている
  • 分ける。別のアカウントとして振る舞う

このうち4つ目だけが、ワークスペースの担当ではない。ワークスペースを2つ作っても、Cookieの保管場所は共有されたままで、同じサービスには同じアカウントでログインしたままになる。片方でサインアウトすればもう片方も落ちる。ここを取り違えたまま代わりを探すと、同じ性質の機能に乗り換えて同じ場所で詰まる。

代わりを探す作業は、この4つのうち自分がどれを必要としていたのかを決めるところから始まる。束ねたいだけなのか、隠したいのか、身分を分けたいのか。必要なものが1つなら、手放してよい機能が3つあるということでもある。

1つのワークスペースは、同時に1つの窓にしか置けない

代わりを探す最大の理由になっているのが、この性質である。公式のヘルプに次のように書かれている。

A workspace can be open in one browser window at a time. When switching to a workspace that is open in a different window, instead of opening the workspace in the current window, focus will be moved to the window where the chosen workspace is already open. 出典: help.vivaldi.com

つまり、左の窓に仕事のワークスペース、右の窓に資料のワークスペースを置いて同時に眺める、という使い方はできない。別の窓で開いているワークスペースに切り替えようとすると、いまの窓でそれが開くのではなく、すでに開いている窓へフォーカスが移る。

これは不具合ではなく、ワークスペースが「1つの窓の中の表示の切り替え」として設計されていることの帰結だ。仕様として一貫している。ただし、画面を2つ使って左右で作業する人にとっては、必要としている使い方と設計が噛み合っていないことになる。

並べて見たい場合の代わりは、ワークスペースではなく窓そのものになる。Vivaldiは新しい窓をいくつでも開けるので、窓ごとに別のタブ群を置けばよい。失うのは名前とアイコンと、ワークスペースメニューに出るタブ数の表示である。窓の位置と大きさは記録されないため、再起動のたびに置き直すことになる点も、あらかじめ見込んでおきたい。

束ねるだけならタブスタックで足りる

4つの仕事のうち「束ねる」だけが目的なら、タブスタックが近い。タブスタックは2階層でタブをまとめる機能で、ワークスペースの中でも使える。違いは、スタックは同じタブバーの上に並んだままである点だ。束はできるが、他の束が視界から消えるわけではない。

ここが分岐点になる。視界から消したいなら、ワークスペースかそれに準じるものが要る。ただ整理して見分けがつけばよいだけなら、スタックで足りる。タブが40個ある状態で困っているのが「探すのに時間がかかる」ことなのか「関係ない画面が目に入る」ことなのかを、自分に確かめておくとよい。前者はスタックで縮む。後者はスタックでは縮まない。

タブタイリングと組み合わせる使い方もある。複数のタブを分割画面やグリッドで同時に表示する機能で、比較しながら作業するときに効く。代わりを探す前に、いまの詰まりがこの組み合わせで解けないかは見ておく価値がある。ワークスペースを丸ごと置き換えるより、失うものが少ない。

身分を分けたいならユーザープロファイル

ログインを分けたい場合、Vivaldiの中での答えはワークスペースではなくユーザープロファイルである。公式ヘルプによれば、プロファイルは1つのVivaldiのインストールを複数の利用者で共有するための仕組みで、プロファイルごとに拡張機能、ブックマーク、スピードダイヤル、Cookie、履歴を別に持つ。キーボードショートカットやマウスジェスチャーといった設定も、プロファイルごとに変えられる。

追加は、右上のプロファイルボタンからManage People、Add Personと進み、名前とアバターを決める流れになる。macOSとWindowsでは、このときそのプロファイル専用のデスクトップショートカットを作るかどうかを選べる。ここが実務上は効く。ショートカットを作っておけば、ブラウザを開いてからプロファイルを選ぶのではなく、最初から目的の身分で起動できる。

ただしプロファイルには代償がある。プロファイルを分けると、拡張機能もブックマークも通知の許可も別々に設定し直すことになる。アプリごとに独立したワークスペースという考え方に照らすと、プロファイルは分離の単位としては正しいが、粒度が粗い。アカウントを3つに分けるために、環境まるごとを3つ維持することになるからだ。

一時的に別の身分が要るだけなら、ゲストプロファイルという選択肢もある。友人にブラウザを貸すような場面を想定した機能で、いまの設定や開いているタブに影響しない。削除はManage ProfilesからRemove Personで行い、そのプロファイルのデータごと消える点には注意が要る。

後で戻る目的ならセッション管理

「戻る」が目的だった場合、セッション管理が近い代わりになる。いま開いているタブ群に名前を付けて保存し、あとから呼び出す機能だ。ワークスペースとの違いは、常にサイドバーに並んでいる必要がないことである。

月に1回だけ開く一連のタブ、四半期ごとの締め作業で使うタブ、去年の案件のタブ。こうしたものをワークスペースとして常駐させておくと、切り替えの選択肢が増えるだけで日常の役には立たない。セッションとして保存しておけば、必要なときに呼び出せて、普段は視界にも選択肢にも出てこない。

ワークスペースの数を減らす方向で考えるなら、まずここを疑うとよい。週に1回も開かないワークスペースは、たいていセッションで足りる。手放してよい機能というのは、こういう形で見つかる。

同じ名前の機能でも、中身は同じではない

他のブラウザに移る形の代わりを検討する場合、名前が同じでも担当範囲が違う点に注意が要る。あわせて、その機能が今後も続くのかどうかも確かめておきたい。

  • Microsoft Edgeのワークスペースは、複数人で同じ画面を共有する仕組みを持っていたが、その共有と共同編集の部分は提供終了が進められ、データの置き場所もEdge Syncへ移る形になった。個人用としてのワークスペース自体は残る
  • Arcのスペースは、2025年5月に開発元が新機能の追加を止める旨を表明し、以降は保守中心になっている。開発元のThe Browser Companyは2025年10月21日にAtlassianによる買収が完了しており、買収額は6億1,000万ドルと公表されている
  • ChromeとSafariのプロファイルは、Vivaldiのユーザープロファイルに近い。束ねる機能ではなく分ける機能なので、置き換えるなら比較対象はワークスペースではなくプロファイルになる

続くかどうかは、代わりを選ぶときの条件に入れておいたほうがよい。移行そのものに時間がかかるため、数年で作り直しになると割に合わない。価値判断ではなく、いつ何が発表されたかという事実として見ておけば足りる。

窓で分ける方式に移る場合に確かめる3点

代わりの候補として窓を単位にする方式を検討する場合、移る前に確かめておくと後戻りが減る点が3つある。

  • 同じサービスに、窓ごとに別のアカウントで同時に入れるか。ここが分かれていない製品だと、結局プロファイルを分ける運用に戻る
  • 通知にどのアカウントのものか出るか。出ないなら、通知を見てから切り替えて確かめる動作が残る
  • 窓の位置と大きさが、再起動後に戻るか。戻らない場合、画面の置き直しが毎回発生する

3つとも、カタログの機能一覧では判別しにくい。試用版を入れて、1日だけ普段どおりに使ってみるのが確実だ。特に3つ目は、実際に再起動するまで気づかないことが多い。

あわせて、移行そのものにかかる手間も見積もっておきたい。ワークスペースを5つ作り込んでいる状態から移るなら、タブの並べ直しとログインのやり直しで数時間はかかる。その時間を、削れる中断の回数で回収できるかどうかが判断の基準になる。1日に20回切り替えている人と、3回の人とでは、同じ移行でも意味がまったく違う。

代わりを選ぶときに、実際に効く条件

ここまでを踏まえると、代わりの候補は「束ねる道具」「分ける道具」「並べる道具」の3種類に整理できる。自分が必要としていた仕事が1つなら、その種類だけを見ればよい。

問題になりやすいのは、2つ以上を同時に必要としている場合だ。別のアカウントで入りたくて、かつ左右に並べて見たい。この組み合わせは、1つの窓の中の表示を切り替える方式ではどうやっても届かない。窓を分けて、窓ごとに別の身分を持たせる方式が要る。窓を単位にした考え方はワークスペースに整理してあり、常駐と通知をどう扱うかを含めた全体像はできることにまとまっている。

もう1つ、乗り換えで失うものを数えておきたい。Vivaldiはブラウザ1つの中に、メール、カレンダー、フィードリーダー、広告とトラッカーのブロック、Proton VPNとの連携、タブの休止、パネル、翻訳までを載せている。ワークスペースの代わりだけを求めて別の道具に移ると、使っていた周辺の機能まで一緒に手放すことになる。逆に言えば、これらを使っていないなら手放してよい機能はかなり多い。いま何を実際に使っているかを数えてから決めると、移ったあとの後悔が減る。

作業の中でターミナルやコマンドを併用している場合は、その置き場所も条件に入る。ブラウザの外に出る回数が多いほど、切り替えの歩数が効いてくるためだ。この観点についてはターミナルに具体例がある。同じ分類の製品を横に見たい場合はSidekickとの比較が近く、費用の形そのものを比べるなら料金を見ると、月額と買い切りの違いを含めて並べられる。

よくある質問

Vivaldiのワークスペースを2つ、左右の窓に並べて表示できますか?

できません。公式ヘルプに、1つのワークスペースは同時に1つのブラウザ窓でしか開けないと明記されています。別の窓で開いているワークスペースに切り替えようとすると、いまの窓でそれが開くのではなく、すでに開いている窓へフォーカスが移ります。左右に並べたい場合は、ワークスペースではなく窓そのものを分ける方式が必要になります。

ワークスペースを分ければ、別のアカウントでログインできますか?

分かれません。ワークスペースはタブの表示を切り替える機能で、Cookieの保管場所は共有されたままです。同じサービスには同じアカウントでログインした状態が続き、片方でサインアウトすればもう片方も落ちます。ログインを分けたい場合は、ユーザープロファイルを使うか、窓ごとに身分を分けられる道具を選ぶことになります。

ユーザープロファイルに分けると、何を作り直すことになりますか?

プロファイルごとに拡張機能、ブックマーク、スピードダイヤル、Cookie、履歴が別になります。キーボードショートカットやマウスジェスチャーといった設定も個別です。分離としては確実ですが、アカウントを3つに分けるために環境を3つ維持することになります。macOSではプロファイル専用のデスクトップショートカットを作れるので、起動の手間だけは減らせます。

ワークスペースの数を減らしたいときは、どれから外せばよいですか?

週に1回も開かないものから外すのが目安です。使う頻度の低い一連のタブは、ワークスペースとして常駐させるよりセッションとして名前を付けて保存しておくほうが、切り替えの選択肢を増やさずに済みます。逆に、毎日行き来するものだけを残すと、キーボードショートカットで届く範囲に収まって切り替えが速くなります。

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