Vivaldiのワークスペースがうまくいかないとき|確かめる順番
ボタンが見当たらない。ショートカットを押すと別のウィンドウに飛ぶ。昨日まであったタブの一群が、今日は影も形もない。Vivaldiのワークスペースがうまくいかないとき、原因はほぼ決まった6つのどれかに落ちる。しかも、そのうち半分は不具合ではなく仕様どおりの動きで、残り半分は設定を1か所見れば済む。この記事では、確認の軽いものから順に並べた切り分けの手順と、直しようがない場合に何を変えればよいかまでを扱う。
タブを畳む機能は増えたが、迷い方も増えた
ブラウザ側でタブをまとめる仕組みは、この数年で一気に増えた。Vivaldiはワークスペースを6.0で搭載し、公式ブログでの告知は2023年4月に出ている。同じ時期に他のブラウザもタブグループや縦型タブを揃えた結果、いまの利用者は「タブスタック」「ワークスペース」「ウィンドウ」「プロファイル」という4つの入れ物を同時に扱っている。
厄介なのは、この4つが分けているものが互いに違う点だ。ワークスペースが分けるのは1つのウィンドウの中のタブであって、ログイン状態ではない。プロファイルが分けるのはCookieと拡張機能で、タブの見せ方ではない。「分けたはずなのに分かれていない」という感覚の大半は、どの入れ物に何を期待したかのズレから来ている。
不具合を疑う前に、この区別を頭の隅に置いておくと切り分けが速くなる。以下は、確認にかかる手間が小さい順に並べてある。上から見ていき、症状の説明がついた時点で止めてよい。原因が2つ同時に重なることは、実際にはあまり起きない。
順番1: いま開いているのは、同じプロファイルか
ワークスペースが「全部まとめて」消えたように見えるときは、まずここを見る。ワークスペースもタブも拡張機能も、作ったときのユーザープロファイルに属している。別のプロファイルでブラウザが立ち上がっていれば、何も壊れていなくても画面には何も出てこない。
いまどのプロファイルかは、ウィンドウ右上のプロファイルボタンで確認できる。設定の一般にあるプロファイル管理では、起動時にプロファイルの選択画面を出す設定も用意されている。この設定を有効にしたまま普段と違うものを選ぶと、まったく同じ見た目で中身だけが違うブラウザが開く。
公式のヘルプは、プロファイルが何を持っているかをこう説明している。
各プロファイルには、拡張機能、ブックマーク、スピードダイヤル、Cookie、履歴などの異なる要素を含むことができます。 出典: help.vivaldi.com
スタンドアロン版を使っている場合も同じ見落としが起きる。スタンドアロン版はデータを実行ファイルの近くに置くため、1台に2つ入っていれば中身は完全に別物になる。復元作業に入る前に、いま触っているのがどちらなのかを確かめたい。10秒で済むうえ、ここで解決する例が一定数ある。
順番2: 機能そのものが切れていないか
ワークスペースのボタンが見当たらないときの原因は、3つに分かれる。どれも設定の位置さえ分かれば一目で判断できる。
1つ目は機能自体が無効になっている場合で、設定のタブにあるタブ機能の中に「ワークスペースを有効にする」というチェックボックスがある。これが外れていると、壊れているのではなく存在しない状態になる。
2つ目はタブバーに表示しない設定になっている場合だ。設定のタブからタブの表示、タブバーと進んだ先に「タブバーにワークスペースを表示」があり、タブバーのワークスペースを右クリックしても同じ項目を切り替えられる。
3つ目はツールバーエディターでボタンを移動した場合になる。メインメニューの表示からツールバーのカスタマイズを開くと、ナビゲーションツールバーの一覧にワークスペースが並んでおり、ここから別の場所へドラッグできる。移した本人が忘れていれば、消えたようにしか見えない。
縦型タブバーを使っている場合は、探す位置そのものが変わる点にも注意したい。縦に並べているときのワークスペースはタブバーの上端に置かれるため、横並びのときの感覚で左端を探しても見つからない。
この3つをまとめて飛ばす確認方法がある。クイックコマンドをF2または⌘Eで開き、ワークスペースの名前を打ち込む。それで切り替われば、機能もデータも無事で、原因は表示設定に限られる。
順番3: 切り替えると別のウィンドウに飛ぶ
これは不具合として報告されやすいが、公式に書かれたとおりの動きになる。
ワークスペースは、一度に1つのブラウザウィンドウで開くことができます。別のウィンドウで開いているワークスペースに切り替えると、現在のウィンドウでワークスペースを開くのではなく、選択したワークスペースが既に開いているウィンドウにフォーカスが移動します。 出典: help.vivaldi.com
症状はわかりやすい。目当てのタブはちゃんと出てくるが、出てくる場所が別のディスプレイや別のデスクトップで、いま作業していたウィンドウからフォーカスが外れる。macOSのミッションコントロールで画面を分けていると、ブラウザが勝手に飛んだように感じられる。
どこで何が開いているかは、メインメニューのウィンドウにある「その他のワークスペースとタブ」で一覧できる。ウィンドウパネルでも同じことができ、ウィンドウごとにワークスペースを展開して中身を見られる。もう一方のウィンドウを閉じれば拘束が解け、いるウィンドウで開くようになる。
2つの画面に別々のワークスペースを常に出しておきたい場合は、この仕様と正面からぶつかる。1つのウィンドウの中で並べるならタブタイリングが使え、常に見えていてほしいページはウェブパネルに置くという逃げ道もある。どちらも合わないなら、分ける単位をワークスペースではなくウィンドウ側に寄せることになる。
順番4: タブが勝手に別の場所へ移る
新しく開いたタブが意図しないワークスペースに入るときは、不具合を疑う前にルールを探す。設定のタブからワークスペースへ進むと、ワークスペースルールという項目があり、URLの条件に合ったタブを指定のワークスペースへ自動で移す設定ができる。公式ヘルプの例は「URLにbbc.comが含まれていればニュースのワークスペースで開く」という形で書かれている。
ルールは黙って働くので便利な反面、作った本人が忘れる。条件をドメイン全体にしていると、そのドメインにある資料ページまで同じ場所へ運ばれる。一覧を読み返して、広すぎる条件を狭めるのが直し方になる。
逆に、ルールを一度も作っていない人がこの症状で困っている場合は、作る側に回ると効く。1日の大半を占めるサービスは、だいたい3つか4つに収まる。その分だけドメイン単位のルールを置けば、振り分けの判断そのものが不要になり、新しいタブをどこに置くかで迷う場面が消える。人が毎回決める仕組みは、1週間ほどで守られなくなる。
ルールではないのに同じように見える挙動も2つある。1つは、あるタブから開いたタブが親と同じワークスペースに入る動きで、これは設定ではなく標準の振る舞いだ。もう1つはウィンドウパネルでのドラッグで、フォルダの上に落とせばそのワークスペースへ移る。意図せず1行ずれて落としたときに、勝手に動いたように見える。
順番5: ショートカットが効かない、または別のものが開く
⌘と⇧に数字を組み合わせるショートカットは、ワークスペースの名前ではなく一覧の並び順を見ている。新しく作ったワークスペースは一覧の末尾に追加され、ドラッグで並べ替えると、それより後ろの番号がすべてずれる。押した番号で違うものが開くときは、設定が壊れたのではなく並びが変わったと考えるのが早い。
押しても何も起きないときは、原因がブラウザの外にあることが多い。macOSがシステム側で押さえている組み合わせや、常駐ソフトが横取りしている組み合わせは、ブラウザまで届かない。番号を使わずに「次のワークスペース」「前のワークスペース」へショートカットを割り当てるか、クイックコマンドで名前を打つ方式に変えれば、空いているキーを探す作業そのものが消える。マウスジェスチャーに同じ動作を割り当てる手もある。
| 症状 | 疑う場所 | 確認すること |
|---|---|---|
| ボタンが無い | 設定 > タブ > タブ機能 | ワークスペースを有効にする |
| ボタンが見つからない | ツールバーエディター | 別のツールバーへ移動していないか |
| 番号で別の場所が開く | ワークスペースメニュー | 一覧の並び順が変わっていないか |
| 切り替えで画面が飛ぶ | ウィンドウ > その他のワークスペースとタブ | 別ウィンドウで開いていないか |
| タブが勝手に動く | 設定 > タブ > ワークスペース | ワークスペースルールの条件 |
| 一式が消えた | 右上のプロファイルボタン | 別のプロファイルで起動していないか |
順番6: ワークスペースごと見当たらない
ワークスペースを削除すると、その中のタブもまとめて閉じる。整理した直後にタブが消えたという話の大半はこれで、公式ヘルプにも明記されている。閉じたタブは最近閉じたタブから戻せるので、気づいた時点で探しに行けばよい。次からは、残したいタブを別のワークスペースへ移してから削除する順番にすると事故が起きない。
もう1つ、性質のまったく違う「消えた」がある。デスクトップで作ったワークスペースがノートPCに出てこない場合だ。これは同期の不調ではなく、そもそも同期の対象に入っていない。公式が挙げている同期対象は、ブックマークとスピードダイヤル、一部の設定、パスワード、自動入力の情報、履歴、拡張機能、ウェブアプリ、リーディングリスト、開いているタブ、メモとなっており、ワークスペースの名前はそこにない。
つまりワークスペースの構成は、ウィンドウの配置と同じく、その端末のそのプロファイルに閉じた情報として扱うのが正しい。2台で同じ形を使いたいなら、2台目でも手で組み直す前提に立ち、作り込みすぎない設計にしておくほうが結果的に楽になる。
直しようがないのは、重さのほうだ
設定を一通り見ても改善しない場合、残るのは機能の不調ではなく負荷である。タブをワークスペースに分けると開いている総数が見えなくなり、気づくと数十から数百に膨らむ。この点は公式ヘルプも触れていて、対策として休止が案内されている。ワークスペースを右クリックして休止を選べば、そのグループのタブが抱えていたメモリが解放され、グループ自体は残る。
切り分けは単純だ。使っていないワークスペースを2つ休止させて、重かった操作をもう一度やってみる。それで軽くなるなら、原因は不具合ではなく資源の取り合いになる。そして同じ重さが毎日午後に戻ってくるなら、直すべきは設定ではなく分け方そのものになる。
ここで効いてくるのが、何を1つのウィンドウに入れるかという判断だ。ブラウザ1つに12のサービスを載せていれば、1つの重いページや1つの拡張機能の不調が、全部に波及する。アプリごとに独立したワークスペースという考え方は、この波及を止めるために窓を分ける発想であり、タブを畳んで見た目を整える発想とは目的が違う。どちらが向いているかは、困っているのが「見づらさ」なのか「巻き込まれ」なのかで決まる。
判断材料として、Webアプリを1つの窓にまとめる側の道具が何を単位に区切っているかはワークスペースにまとまっている。ターミナルを含めた作業をブラウザの中で完結させたい場合の考え方はターミナルが近い。細かい前提の違いはよくある質問に整理されており、切り替えの前に読むと判断が早い。
よくある質問
ワークスペースのボタンが消えました。中のタブも消えましたか?
多くの場合、データは残っています。設定のタブにあるタブ機能で「ワークスペースを有効にする」のチェックを確認し、次にタブの表示のタブバーで「タブバーにワークスペースを表示」を確認してください。クイックコマンドをF2か⌘Eで開いて名前を打てば、表示設定と関係なく切り替えられます。
ショートカットで違うワークスペースが開くのはなぜですか?
番号のショートカットは名前ではなく一覧の並び順を見ているためです。新しいワークスペースは末尾に追加され、並べ替えると以降の番号がずれます。番号ではなく「次のワークスペース」「前のワークスペース」に割り当てるか、クイックコマンドで名前を打つ方式に変えると、並びの影響を受けません。
別の端末でワークスペースが出てきません。同期の設定が間違っていますか?
設定の誤りではありません。公式が挙げている同期対象はブックマーク、スピードダイヤル、一部の設定、パスワード、自動入力、履歴、拡張機能、ウェブアプリ、リーディングリスト、開いているタブ、メモで、ワークスペースは含まれていません。2台目では手で組み直すことになります。
削除したワークスペースのタブを戻せますか?
ワークスペースを削除すると中のタブも閉じますが、閉じたタブは最近閉じたタブから復元できます。気づいた時点で早めに開くほうが見つけやすくなります。次からは、残したいタブを別のワークスペースへ移してから削除する順番にしておくと安全です。