Vivaldiのワークスペースの費用|無料でできる範囲

Vivaldiのワークスペースの費用を調べると、料金表にたどり着かない。プランの比較も、上限の一覧も、席数の表も出てこない。ページが見つからないのではなく、有料版そのものが存在しないからだ。ワークスペースは無料版に最初から入っていて、数の上限も、期限も設定されていない。となると本当に知りたいのは金額ではなく、無料で何ができて、何が有料のツールとの差になるのかという点になる。

ブラウザは無料、アプリをまとめる道具は有料という分かれ方

いまのブラウザ市場では、ブラウザ本体に値段を付ける会社がほとんど無い。一方で、Webアプリを1つの画面にまとめる道具は有料が主流で、無料枠は「合うかどうかを試す場所」として置かれていることが多い。この2つが同じ土俵で比較されるため、ワークスペースの費用という言葉が検索される。

Vivaldiは前者に属する。Windows、macOS、Linuxに同じ無料版が配られ、機能はプランで区切られていない。ワークスペースを作る、名前とアイコンを付ける、URLの条件でタブを自動的に振り分ける、使っていないグループを休止させる。これらはすべて標準の動作で、いくつまでという制限は設けられていない。

したがって費用の話は、「いくら払うか」ではなく「何で成り立っているか」と「払わないことで何が手に入らないか」の2点に置き換えたほうが実用的になる。以下ではその2点を、公開されている情報だけを使って見ていく。

無料で手に入る範囲は、思ったより広い

ワークスペースの周りにある機能も、同じ無料版に入っている。タブスタック、タブタイリング、ウェブパネル、クイックコマンド、複数の操作をまとめて呼び出すコマンドチェイン、内蔵のメールとカレンダーとフィードリーダー、翻訳、広告とトラッカーのブロック、そして端末間の同期まで、追加の支払いは発生しない。

同期は暗号化されたうえでアイスランドのサーバーに保管される仕組みで、これも無料の範囲に含まれる。ブラウザの中にメールソフトとカレンダーが同梱されている構成は他にあまり例が無く、有料の上位プランに置かれていてもおかしくない部分が最初から開いている。

機能に制限が無いということは、試すときの条件も変わる。期限付きの試用ではないので、平日の2週間をまるごと使って、実際の仕事のタブで判断できる。休みの日に短時間だけ触って決めるより、通知が飛んでくる時間帯や、会議が続いた日の終わりに見た画面のほうが、道具の相性はよく分かる。無料であることの一番大きな利点は、この観察期間を自由に取れる点かもしれない。

つまり「良いところは有料版に隠れているのでは」という疑いに対しては、隠れていないという答えになる。費用の検討で見るべき点は、支払いの有無ではなく、この道具の分け方が自分の困りごとに合っているかどうかに移る。

無料である理由は公開されている

無料の道具を長く使うなら、その会社がどこから収益を得ているかは知っておいたほうがよい。Vivaldiはその内訳を自社ブログで公開している。

Vivaldi は、検索エンジンとのパートナー取引によって収益を生み出しています。 出典: vivaldi.com

英語版の同じページでは、収益源として4つが挙げられている。1つ目は標準搭載の検索エンジン経由の検索による配分で、Googleだけは例外として収益にならないと明記されている。2つ目は、インストール直後のスタートページに並ぶブックマークパートナーからの配分になる。3つ目はバージョン6.4で入ったダイレクトマッチで、検索候補に出るブランドのリンクが使われたときに少額の収益が発生する。4つ目が2025年3月から始まったProtonとの提携で、基本のVPNパッケージは無償で使え、利用者が上位プランに切り替えた場合に手数料の一部が入る仕組みになっている。加えて、寄付も収入源として挙げられているが、現時点では大きな比率ではないと書かれている。

重要なのは、どれもワークスペースの中身を見る必要がない収益源だという点だ。標準の検索エンジンも、スタートページのブックマークも、利用者が自分のものに置き換えられると公式に案内されている。ダイレクトマッチも任意の機能として扱われている。無料であることの引き換えは、初期設定に商業的な要素が置かれていることであって、作業内容の収集ではない。

同じ用途の有料ツールは、いくらか

比較の材料として、Webアプリをまとめる道具の公開価格を並べる。金額は各社の料金ページに掲載されているものを使い、無料枠の条件も併記した。

ツール 無料の範囲 有料の価格
Vivaldi 全機能、有料版なし なし
Wavebox 7日間のPro試用のあと無料プラン Proが月8.33ドル(年払い)、Teamsが1人あたり月12.50ドル
Shift 無期限の無料プラン(5つのSpaceと1Spaceあたり10アプリ) Advancedが年199.99ドル
Rambox 30日間のPro試用のあと無料プラン Proが年84ドル
Ferdium 無料、オープンソース なし

1人で使う場合の有料プランは、年84ドルから年199.99ドルまで開いている。金額の幅そのものより、無料枠の設計が各社で違う点のほうが判断に効く。Shiftは上限を数で公開しているため、契約前に自分が収まるかどうかを机上で判断できる。WaveboxとRamboxは有料プランの試用から始まり、期間が終わると無料プランに落ちる形なので、最初の印象は有料版のものになる。

試用期間の長さも、検討のしやすさを左右する。7日間はこの種の道具には短い。タブとアカウントの並べ方は、作った当日ではなく2週目に評価が決まるためだ。ルールが誤作動する、別のアカウント宛の通知が来る、再起動したら配置が戻らない。試用期間があるなら、快適な操作ではなく、こうした引っかかりやすい場面を先に試しておきたい。

各ツールが何を単位に区切っているかは、Waveboxとの比較Shiftとの比較に整理してある。価格表よりも、この区切り方の違いのほうが乗り換え後の体感を決める。

無料でも性格が違う、2種類の無料

表の中の「無料」は、同じ言葉でも中身が2種類に分かれている。1つは有料版を持つ会社が置いている無料プランで、上限が来たら支払う前提で設計されている。もう1つはFerdiumのように、有料版そのものが無く、コミュニティが作って配っている形だ。

この違いは、困ったときの行き先に出る。前者は上限に当たった時点で金額の判断に移れるが、後者は金額の判断が存在しない代わりに、問い合わせ窓口も存在しない。手を入れられる人には後者が向き、業務で止まると困る人には窓口のある前者が向く。Vivaldiはどちらとも少し違い、有料版を持たない会社が提携収益で開発費をまかなう形になっている。

有料に切り替える判断になりやすい場面

無料で足りなくなる場面は、機能の数よりも運用の形で決まる。同じ設定を複数人にそろえたい、誰がどの道具を使っているか把握したい、障害時に連絡できる相手がほしい。この3つのどれかが出てきたら、有料プランの管理機能とサポートが値段の理由になる。逆に、1人で使っていてこの3つが出てこないなら、支払いによって解決する問題はほとんど残らない。

支払っても外れない制限がある

無料版の弱点は、何かが隠されていることではない。構造として決まっていて、支払っても変わらない部分があることだ。

ワークスペースが分けるのは1つのウィンドウの中のタブであり、Cookieの保管場所は分けない。同じプロファイルにある2つのワークスペースは、同じログイン状態を共有する。仕事用と個人用で同じサービスに同時にログインしたいなら、必要なのはワークスペースではなくユーザープロファイルになる。プロファイルの作成自体は無料だが、別種の負担が付く。プロファイルごとのデータを端末間で同期するには、現時点ではプロファイルごとに別のVivaldiアカウントが要る。

このプロファイル運用の負担は、金額ではなく管理の重さとして効いてくる。アカウントが2つになれば、ログイン用のパスワードと同期用の暗号化パスワードもそれぞれに必要になる。設定を変えたときは両方で同じ作業を繰り返すことになり、拡張機能の更新も別々に確認する形になる。無料で分離できるという話と、分離した状態を維持し続けられるという話は別物で、途中で面倒になって1つのプロファイルに戻す人が多いのはこのためだ。

同期にはもう1つ知っておきたい線引きがある。公式が挙げている同期対象は、ブックマークとスピードダイヤル、一部の設定、パスワード、自動入力、履歴、拡張機能、ウェブアプリ、リーディングリスト、開いているタブ、メモで、ワークスペースはそこに含まれていない。デスクトップで丁寧に組んだ構成は、ノートPCには自動では現れない。金額の問題ではないので、有料版があったとしても解決しない部分になる。

サポートの違いも正直に見ておきたい。有料プランには問い合わせ窓口が付き、上位プランの価値の多くはそこと管理機能にある。無料のブラウザが案内するのはコミュニティフォーラムで、回答が来る速さも内容も、その場に詳しい人がいるかどうかに左右される。個人で使う分には差が出にくいが、チームで道具を統一し、動かない時間がそのまま業務の停止につながる場面では、窓口の有無が金額以上の判断材料になる。

料金表に出てこない負担のほうが大きい

費用の比較で見落とされやすいのは、金額よりも時間の側だ。しかもその時間は、まとまってではなく細切れで出ていく。

構成を組むのに1時間かかったとして、同期の対象外である以上、2台目では同じ1時間がもう一度必要になる。自動振り分けのルールは、うまく働けばその時間を回収し、条件が広すぎれば誤爆の修正という形で少しずつ返済を求めてくる。3週間で使うのをやめた道具は、組む手間と離れる手間で2回分の費用になる。習慣が固まる前に終わる短い試用期間の価値が、見た目より低いのはこのためだ。

見積もりの仕方も変えたほうがよい。年84ドルという金額は、1日に換算すれば数十円にしかならない。同じ1日のうちに、目的の画面を探す操作が何度発生しているかを数えたほうが、判断材料としては実態に近い。金額は年に1度の決定で、操作の手数は毎日の決定になる。

日々の負担もある。1つのウィンドウに12のサービスを載せるということは、アプリ切り替えの行き先が1つになり、通知にはサービス名しか出ず、1回のクラッシュで12個が同時に落ちるということでもある。これはワークスペースの欠陥ではなく、タブを単位にする道具の設計上の性質だ。アプリごとに独立したワークスペースという考え方は、メモリを余分に使う代わりに、この巻き込まれを断つことを選んでいる。困っているのが見づらさなら前者が向き、困っているのが中断なら後者が向く。

判断の軸を金額に戻すなら、無料で済ませられる範囲と、窓を分ける方式の価格は並べて見ておきたい。現在の条件は料金に掲載されている。細かい前提はよくある質問に整理されており、乗り換えの前に目を通すと、試す価値があるかどうかを短時間で判断できる。

よくある質問

Vivaldiのワークスペースは無料で使えますか?

無料で使えます。Windows、macOS、Linux向けに配布されている通常版に最初から含まれており、有料版や上位プランは存在しません。作れるワークスペースの数にも上限はなく、タブスタック、タブタイリング、内蔵のメールやカレンダー、同期も同じ無料版の範囲に入っています。

無料なのに、どうやって開発費をまかなっているのですか?

公式ブログでは4つの収益源が説明されています。標準搭載の検索エンジン経由の検索による配分、スタートページのブックマークパートナーからの配分、バージョン6.4で入ったダイレクトマッチ、そして2025年3月に始まったProtonとの提携です。寄付も収入源として挙げられていますが、比率は大きくないとされています。

有料のアプリ集約ツールと比べて、金額はどれくらい違いますか?

各社の料金ページによると、Wavebox Proが年払いで月8.33ドル、Shift Advancedが年199.99ドル、Rambox Proが年84ドルです。いずれも無料プランを併設しており、Ferdiumは無料のオープンソースです。Vivaldiには有料版が無いため、金額の比較では0対有料という形になります。

無料だとログインできるアカウント数に制限がありますか?

数の制限は設けられていませんが、同じサービスに2つのアカウントで同時にログインしたい場合、ワークスペースでは分けられません。Cookieを分けるのはユーザープロファイルの役割です。プロファイルの作成は無料ですが、端末間で同期するにはプロファイルごとに別のアカウントが必要になります。

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